こんにちは!ホライズンテクノロジー広報担当です!
2026年8月27日に、G’s FUKUOKAさんと共催したCTO Meetupの内容をお届けします!
今回の会場はG’s FUKUOKA
今回のテーマは「AI × 選ばれるサービスのつくり方」。
生成AIの活用が急速に広がり、プロダクト開発のスピードや仕事の進め方は大きく変わりつつあります。一方、AIを導入し、より多くのものを早くつくれるようになれば、それだけでユーザーから選ばれるサービスになるのでしょうか。
当日は二部構成で実施しました。第1部では5社の登壇者がそれぞれの会社やサービスについて紹介。第2部はAIの評価方法や開発現場で生まれている新たな課題、組織やエンジニアの役割の変化、AI時代のサービス品質などについてパネルディスカッション。
福岡を代表するプロダクト企業から、サービス開発や技術組織を牽引するCTO・技術責任者・プロダクトマネージャーが一堂に集まり、それぞれの現場で得た知見を率直に共有していただけることも、Fukuoka CTO Meetupならではの魅力です。普段はなかなか聞けない判断の背景や試行錯誤に触れられる、貴重な時間となりました。
本記事では、当日のパネルディスカッションから見えてきた、AIをサービスの価値につなげるためのヒントを紹介します。
軽食とドリンクで、リラックスして楽しむ時間
弊社主催イベント名物の鶏の炭火焼きがお出しできなかったので、今回はツバメドーナツと、お酒やソフトドリンクをご用意。
各テーブルにはお菓子も並べ、ドリンクを片手に登壇者の話を聞ける、肩ひじ張らないリラックスした空間になりました!
開始前から参加者同士の会話も生まれ、会場は和やかな雰囲気に包まれていました。
ツバメドーナツ美味しかったです🍩
さらに、今回はG’s FUKUOKAさんのご協力で、初めてオンライン配信も実施し、会場だけでなくオンラインからも参加いただける場が実現しました。
オンラインも同時配信🎥
登壇者紹介
株式会社クアンド プロダクトマネージャー 松本 修さん
長崎県雲仙市出身。MIXIにて大規模Webサービスのバックエンドの開発・R&Dを経験。その後、2019年にアマゾンウェブサービス(AWS)へ入社し、クラウドを活用した顧客向けの技術支援を担当。2021年からVisional傘下となったトラボックスにて運送事業者向けSaaS開発をリードし、プロダクト部門部長として運送事業者向け新規サービスの開発に従事。現場仕事の労働生産性向上と属人性の排除をSaaSで実現すべく、2024年11月よりクアンドへ参画。
株式会社ジチタイワークス 技術責任者 徳丸 真彦さん
2011年、就職を機に上京し、楽天株式会社に入社。その後、アパレルや広告代理店を経て、2020年に九州へUターン。製造業向けSaaSを提供する会社で約3年間勤務したのち、2024年4月にホープへ入社。ジチタイワークス事業の技術責任者を務める。
株式会社ヌーラボ Principal Engineer 二橋 宣友さん
富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社(現・富士通株式会社)で、多くのプロジェクトにおけるインフラ全般の業務(オンプレミス/クラウドでのシステム設計・構築・保守・運用)を担当したのち、2018年に株式会社ヌーラボへ入社。SRE兼AWSアライアンスリードとして、会社および複数プロダクトのサービス品質、セキュリティ、開発効率、運用効率の向上に努めている。また、「2022 APN AWS Top Engineers」「2023 Japan AWS All Certifications Engineers」「2023 Japan AWS Top Engineers」を受賞。
株式会社ヤマップ CTO 樋口 浩平さん
ヤマップ2人目のメンバーとして参画し、システム開発全般を担当。現在はCTOとして、プロダクト開発マネジメントとエンジニアのパフォーマンス最大化に取り組む。テクノロジーで登山の安全性を向上させ、新しい山の楽しみ方を創出し、地球とつながるよろこびを届けたいと考えている。
ホライズンテクノロジー株式会社 代表取締役CTO 大谷 祐司
サイバーエージェントのネット広告部門で開発組織を立ち上げたのち、2013年にインテリジェンス(現・パーソルキャリア)へ入社。マーケティング部門のDXを推進したのち、3つの新規サービスを立ち上げる。2018年よりサーキュレーション社に参画し、取締役CTOを務める。2022年に独立してホライズンテクノロジーを設立し、代表取締役に就任。
第1部|登壇者・会社紹介
第1部では、5社が各8分、合計40分の持ち時間で、各社の事業やサービス、AI活用の現在地について紹介しました。異なる業界・サービスの特徴を知ることで、その後のパネルディスカッションにおける共通点や違いが、より見えやすくなりました。
会社紹介の様子
第2部|パネルディスカッション
AIの成果を、どう測るのか
最初に議論されたのは、LLMを活用した機能や業務改善の成果をどのように評価するかというテーマです。
従来のシステムであれば、あらかじめ正解データを用意し、結果と照合することで精度を測れるものもあります。しかし、文字起こしや要約、自然言語で回答するAIでは、「正しい」と判断する基準そのものを定めることが簡単ではありません。さらに、LLMを複数の処理に通すことで結果が変わるため、一つの数値だけで品質を評価する難しさも語られました。
登壇者からは、定量的な評価が難しい領域では、ユーザーアンケートや対面での聞き取りなど、地道な確認も行っているという話があり、そのほかにも、次のような方法が紹介されました。
・回答の根拠を表示する
・ユーザーからフィードバックを集める
・A/Bテストを行う
・最終的なコンバージョンにつながったかを確認する
各社がプロダクトの特性に応じて、複数の方法を組み合わせながら評価しています。
AIの評価では、技術的な精度だけでなく、「その機能によってユーザーの課題を解決できたか」まで確かめる必要があります。当日の議論からは、数値で測れるものと、ユーザーの声を通じて確かめるものの両方が欠かせないことが見えてきました。
パネルディスカッションの様子
「つくる負担」から「確認する負担」へ
AIを使えば、コードもテストもドキュメントも、これまでよりずっと速くつくれます。
一見すると、開発の負担は軽くなったように思えます。しかし、パネルディスカッションで聞こえてきたのは、「つくる時間は減ったけれど、確認する時間は増えた」という声でした。
AIが大量につくってくれるからこそ、それが本当に正しいのか、ユーザーに影響はないのかを確かめる作業が必要になります。
もちろん、すべてを人が細かく確認していては、せっかくのスピードを生かせません。そこで、小さく独立した機能は、コードを一行ずつ読むのではなく、あらかじめ決めたガードレールに沿って動いているかを確認する。影響の大きい領域は人がしっかり見ながら、それ以外は自動レビューやテスト、ログなどの仕組みで問題を早めに見つける。そんな工夫も紹介されました。
もう一つ印象的だったのが、AIに任せると「必要以上にコードやテストを生成してしまうことがある」という話です。
生成されたものをそのまま残していくと、あとから読む人の負担が増え、保守にも時間がかかります。便利だからこそ、不要なコードやテストはきちんと削り、コードベースをできるだけ小さく保つことも大切です。
AI時代の開発では、ただ速くつくるだけではなく、「何を残すのか」「どこを人が確認するのか」まで考えることが、これまで以上に重要になっていると実感しました。
パネルディスカッションの様子
AIが変えた、チームとエンジニアの役割
AIの導入は、開発工程だけでなく組織のあり方にも変化をもたらしています。
少人数のチームでも、以前より多くの開発を並行して進められるようになった一方、セキュリティやオブザーバビリティなど、専門的な知識が必要な場面はなくなりません。そこで、専門性を持つメンバーがチームの境界を越えてプロジェクトに参加する、小さな横断グループの事例が紹介されました。
また、フロントエンド、バックエンド、インフラと役割を固定するのではなく、AIを活用しながら複数の領域に触れる動きも進んでいます。
ただし、「つくれるようになったから、つくる」という状態には注意が必要です。機能を増やすこと自体が目的になり、ユーザー価値につながらないものまでつくってしまう、いわゆるビルドトラップのリスクも指摘されました。
エンジニアには実装だけでなく、何をつくるべきかを考えるプロジェクトマネジメントやプロダクトマネジメントなど、より上流の工程に関わる力も求められています。
AI時代でも、サービス品質の基準は変わらない
パネルディスカッションの様子
AIを使うようになったことで、サービス品質の基準そのものは変わったのでしょうか。
登壇者の回答に共通していたのは、「AIを使っているかどうかにかかわらず、ユーザーに届ける品質の基準は変わらない」という考え方でした。
QAや外部テスト、利用データの分析、ユーザーインタビューなど、これまで行ってきた確認を継続しながら、AIによって得られる情報も品質向上に活用しています。
特に印象的だったのは、一次情報を取りに行くことの重要性です。ユーザーがどのような状況でサービスを使い、何に困り、どのような感情を抱いているのか。その理解は、AIが生成した情報だけでは十分ではありません。
ヤマップからは、登山の現場で刻々と変わる情報や、ユーザーの感情を伴う声など、AIだけでは捉えにくい情報を重視していることが紹介されました。
AIによって分析できる情報が増えたからこそ、現場へ足を運び、ユーザー本人から話を聞くことの価値は、むしろ高まっているのかもしれません。
Q&A:AI時代のジュニアエンジニアを、どう育てるか
Q&Aでは、AIが細かな実装を担えるようになるなか、ジュニアエンジニアにどのような仕事を任せ、どう育成するかという質問も寄せられました。
登壇者からは、失敗が許容されるPoCや検証環境から少しずつ任せること、フロントエンドやバックエンド、インフラなどに幅広く触れ、システム全体の構成を理解できる仕事を経験してもらうことなどが挙げられました。
AIが出した答えを適切に判断するためには、基本的な仕組みや問題の分解方法を理解する必要があります。AIを使わせないのではなく、メンターやマネージャーが丁寧に伴走しながら、AIも自己学習の相手として活用していくことが大切です。
これからは、細かな実装だけに閉じず、システム全体を捉え、自分で問いを立て、AIの回答を判断できる力が、エンジニアの成長を支えるのではないでしょうか。
自由なAI活用から生まれた、意外なアイデア
ディスカッションでは、AIを自由に使うからこそ生まれたユニークな事例も紹介されました。
その一つが、テスト項目書の内容をラジオ番組のような形式に変換し、耳で理解しやすくする取り組みです。また、AIを自由に試す社内イベントで、参加者がゲームなどを制作した事例です。
すぐに業務上の成果を求めるだけでなく、自由に試せる場をつくることで、メンバーの創造性や、想定していなかったAIの使い方が引き出されます。AI活用を組織に定着させるうえでは、ルールを整えることと同時に、まず触って楽しめる機会をつくることも大切だと感じられるエピソードでした👏
AIを価値に変えるのは、人の目的と判断
今回のディスカッションを通じて見えてきたのは、AIを導入すること自体がゴールではないということです。
AIによって、少人数でも多くのものを、これまで以上の速さでつくれるようになりました。一方で、生成されたものを確認する負担や、不要なものまでつくってしまうリスクも生まれています。
だからこそ、誰のどのような課題を解決するのか、どこまでAIに任せるのか、品質に対して誰が責任を持つのかを、人や組織が考え続けなければなりません。
モデルやツールが変わっても、ユーザーの声を聞き、現場の一次情報に触れ、提供する価値に責任を持つ姿勢は変わりません。
AIが「つくる力」を広げる今、選ばれるサービスを生み出すのは、技術の新しさだけではなく、目的を定め、不要なものを捨て、ユーザーにとっての価値を判断する力なのではないでしょうか。
懇親会|会社や役職を越えてつながる場に
パネルディスカッション終了後は、会場参加者による懇親会を実施しました。
登壇内容についてさらに質問したり、AI活用に関する悩みや事例を共有したりと、登壇者と参加者が会社や役職の垣根を越えて直接言葉を交わし、最後まで活気ある時間となりました。
こうしたリアルな交流が生まれることも、本イベントの大きな価値です。
今回のイベントは、G’s FUKUOKAスタッフの皆さまに、企画段階から一緒につくり上げていただきました。当日の司会やZoom配信など、さまざまな場面で力を貸していただき、本当にありがとうございました!
また、弊社の新入社員も助っ人として当日の運営に参加し、受付や会場準備などを一緒に支えてくれました。とても心強く、本当にありがたかったです☺️
貴重なお話を聞かせてくださった登壇者の皆さま、会場・オンラインでご参加いただいた皆さまも本当にありがとうございました✨
ホライズンテクノロジーでは、これからも福岡の技術リーダーとエンジニアがつながり、リアルな知見を共有できる場をつくっていきます。今後のイベントもぜひお楽しみに!