一旗は、名古屋・東京・大阪に加えて、ミラノにオフィスを構えています。デジタルアートの会社が、なぜイタリアなのか。
日本の文化は、まだ「見せ方」で損をしている
浮世絵は、19世紀のヨーロッパでジャポニスムを生んだくらい、もともと海外での評価が高い題材です。
一方で、海外の方が日本の文化に触れる機会は、いまも「美術館のガラスケース越し」が中心です。言葉の壁があり、背景知識がなければ、なかなか入り込めない。
イマーシブという形式は、そこを飛び越えられます。空間ごと作品に入ってしまえば、解説を読む前に、体で理解できる。言語に依存しにくいというのは、海外展開において決定的な強みです。
すでに7ヵ国・地域へ
「動き出す浮世絵展」はこれまで、国内の複数都市に加えて、パリ、高雄などの海外都市でも開催されてきました。一旗全体では、国内外7ヵ国・地域で80以上のプロジェクトを実現しています。
海外での開催は、日本国内とはまったく別の仕事です。会場の規格が違う。電源が違う。法規制が違う。現地パートナーとの分担も、契約の考え方も違う。
そして何より、「何が伝わるか」が違います。日本人なら説明不要の記号が、まったく通じないことがある。逆に、日本では見過ごされていた部分が、強く刺さることもある。
翻訳するのは、言葉だけではない
解説パネルの翻訳は、当然やります。けれど本当に難しいのは、そこではありません。
たとえば「粋」や「見立て」のような、日本語でも説明の難しい概念をどう扱うか。長い注釈をつければ正確になりますが、体験のテンポは落ちます。
どこを言葉で補い、どこを映像と音だけに任せるか。その線引きが、その国での評価をかなり左右します。
ミラノ拠点が意味するもの
ミラノはデザインとファッションの都市であり、ヨーロッパにおける文化発信のハブでもあります。
ここに拠点を持つということは、「日本から作品を持っていく」だけでなく、現地で企画し、現地のネットワークで動く体制をつくるということです。
時差のあるやり取りも、輸送も、通関も、日本にいるだけでは覚えられません。実際に現地でプロジェクトを回した経験が、そのまま次の国の設計図になります。
名古屋発の会社であるということ
一旗は2019年に名古屋で設立された会社です。本社は名古屋駅から徒歩8分の「なごのキャンパス」にあります。
東京の大手代理店を経由しなくても、名古屋の会社が、パリでも高雄でもミラノでも仕事ができる。それを証明していくこと自体が、この会社のテーマの一つだと思っています。