ゲーム理論で読み解く、転職先の選び方~どちらの内定先を選ぶべきか~ [社長コラム]
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多くの人が「良い会社があれば転職したい」と言う。
実際に転職活動をするとき、大半が似たような選択肢を検討する。
業界トップ、注目のスタートアップ、有名ベンチャー。
“正解っぽい選択”に群がる光景は、もう見慣れたものだ。
でも、ここに落とし穴がある。
これはゲーム理論でいう「ナッシュ均衡」そのもの。
自分の選択が最適に思えても、全員が同じ行動を取った瞬間、競争が激化して全体が損をする構造だ。
ゲーム理論を“転職”に重ねてみる
ゲーム理論の基本例に「囚人のジレンマ」がある。
2人の囚人が自白するか否かを選ぶ場面で、お互いが自分の利益だけを考えると、結局2人とも損をするという話だ。
お互いに黙秘すれば軽い罰で済むのに、「相手が裏切るかも」と疑って自白し合う。
結果、全員が本来より不利な状況に陥る。
転職市場も、まったく同じ構造だ。
「みんなが選ぶ会社=安心」と考えて応募が集中すれば、難易度は上がり、通過率は下がり、自分の希少性も薄まる。合理的に見えて、非効率な結果が待っている。
「内定2社、どっちを選ぶか?」にゲーム理論で答えを出すなら
よくあるのが、最終的に2社の内定で悩むケース。
一方は誰もが知る有名企業。待遇も悪くない。
もう一方は知名度はないけれど、事業フェーズが面白く、裁量も大きそう。
多くの人は前者を選ぶ。
理由はわかりやすい。「安定してる」「履歴書に書きやすい」「親も安心する」。
つまり、“他人から見たときに説明がつく選択肢”だ。
でもここでゲーム理論的に考えてみる。
有名企業には、有名企業を選ぶ人が集まる。
同じようなスキル、同じようなキャリア志向、同じような競争相手。
その中で頭ひとつ抜けるのは、よほど突出した人材か、ポジション運に恵まれた人だけだ。
一方、後者。
誰もが見逃すポジションで、先行者として中に入る。
意思決定のスピードも速く、実力次第で事業そのものに深く関われる可能性がある。
この構造は、まさに逆張りの価値が最大化されるシーンだ。
ゲーム理論的に言えば、「選ばれにくい選択肢」は、そのぶん“相対的なレバレッジ”を持ちやすい。
他人と同じ局面では差がつかない。
でも、“他人が避けた局面”では、ちょっとした成果でも一気に抜けられる。
転職で差がつくのは「逆張り」できる人
ここで重要なのが、“あえてズラす”という戦略的視点だ。
他人と同じ動きをせず、自分だけのルートを選びにいく。
これは単なる逆張りではない。構造的に勝ちやすくなる行動でもある。
・競争が少ない
・希少性が高くなる
・初期からコアメンバーとして裁量を得やすい
今すぐの年収やブランド力より、「その会社が3年後どうなるか」に目を向けられる人は強い。
誰も見ていない企業こそ、ポジションの伸びしろが眠っている可能性が高い。
転職で得られる価値は、「今どこにいるか」ではなく、「そこで何を築けるか」で決まる。
キャリアは予測するものじゃない。「仕掛ける」ものだ
多くの人が「良い会社」を探す。
でも、本当に差がつくのは「会社を良くしていけるかどうか」の視点だ。
ゲーム理論が教えてくれるのは、他人の行動を前提に、自分の手をどう打つか。
誰かと同じ動きをしている時点で、勝負は始まっていない。
戦う場所、選ぶ軸、自分のポジション。
どれも“ズラした瞬間”に初めてゲームが動き出す。
最後に
転職市場は、合理的な判断が集まった先にこそ、競争が激化するという皮肉を抱えている。
でも、だからこそ「ズラす」「逆張りする」ことには戦略的な価値がある。
自分だけが気づいている会社、まだ誰も選んでいない業界、評価されていないポジション。
そこに飛び込む勇気が、未来の差分になる。
転職もまた、戦略ゲームだ。
勝ちたいなら、ルール通りに動くな。ズラせ。