こんにちは。オルニ株式会社 代表の熊崎雅崇です。
「この世から二日酔いを無くす」。この言葉を本気で実現したくて、僕たちは毎日、生しじみラーメンを作っています。前編では、なぜ僕が島根に向かったのかを書きました。今回はその後編。実際に宍道湖に入り、しじみを獲り、工場を見て、改めて感じたことを書きたいと思います。
結論から言うと、“ラーメンを作っている”と思っていたけど、本当は“命をつないでいる”んだ。そう思わされる旅でした。
朝6時。ライフジャケットを借りて、腰まで湖に入りました。人生で初めてのしじみ漁。泥の中に手を入れ、スコップで掘り、ひとつひとつ選別していく。想像以上に地味で、想像以上に重い。でも、そのひとつひとつが、僕たちのスープになる。「これが、スープの命なんだ」。そう思った瞬間、湖の冷たさも、朝の空気も、しじみの重さも、全部が身体にずしんと入ってきました。
漁師さんは笑いながら「冬は地獄だよ〜」と言いました。その言葉の軽さの裏にある、積み重ねてきた覚悟の重さ。感謝しかありませんでした。僕たちは普段、“食材”としてしじみを扱ってしまいがちです。でも、その前に、誰かが命をかけて獲ってくれている。この当たり前を、ちゃんと忘れちゃいけない。そう強く思いました。
その後、宍道湖近くのしじみ仕分け工場へ。4社が集まり、約1.5時間の商談。そのあと、実際の工場を見学させていただきました。正直、驚きました。全部、人の手だったんです。1日500kg。大量のしじみを、人の目で見て、人の手で選び、袋詰めして、ラベルを貼る。もっと機械化されていると思っていました。でも違った。そこにあったのは、“効率”じゃなくて、“想い”でした。
ひとつひとつを丁寧に扱う姿に、しじみラーメンの誇りを見ました。飲食店って、目の前の一杯だけを見る仕事じゃない。そのもっと前から、価値は始まっている。素材の背景まで含めて、商品なんだと思います。
昼は湖のほとりで寿司と蕎麦をいただきました。動画を撮っていたら「YouTuberですか?」と聞かれて、「ラーメン屋です」と答えたら、なんとも言えない反応をされました(笑)。でも、僕は本気で思っています。ラーメン屋こそ、現場に行かなきゃいけない。厨房だけじゃ足りない。漁港も、畑も、市場も、工場も。全部見て、全部知って、初めて語れることがある。
空港ではラウンジのフォンブースが埋まっていて、外のベンチでミーティング。最後に食べた味噌ラーメンは、トッピングが乗っていない状態で出てきました。「あ、まあいいか」と思って食べていたら、すぐにスタッフさんが気づいて作り直してくれた。こういう小さな“気づき”にも、学びがある。飲食って、こういう積み重ねなんだと思います。気づけるか。動けるか。そこに全部出る。
僕らが作る一杯のラーメンは、この“命のリレー”の上にあります。漁師さんが獲る。職人さんが仕分ける。運ぶ人が届ける。店舗で仕込む。スタッフが笑顔で出す。そして、お客様が食べてくれる。このバトンが繋がって、ようやく一杯が完成する。
ラーメンって、ただの「食」じゃない。想いと命が繋がって、ようやく完成する“祈り”なんだと思いました。今回の旅で、それを心の底から実感しました。
僕は、これからも現場に行き続けます。命に触れ続けます。そして、もっと強い店を作ります。この世から二日酔いを無くす。そのために、ただラーメンを作るんじゃない。“誇れる一杯”を作る。それを、人生をかけてやっていきます。
もしこの想いに共感してくれる人がいたら、ぜひ一緒にやりましょう。オルニは、まだまだこれからです。