こんにちは。オルニ株式会社 代表取締役の熊崎雅崇です。
「この世から二日酔いを無くす」
この夢を掲げて、生しじみラーメン『オルニ』を運営しています。国内100店舗、そして世界展開を目指して、日々しじみラーメンと向き合っています。
今回は、島根県で体験した「しじみ漁ツアー」について書きたいと思います。僕らのラーメンの命でもある、“しじみ”。その命が、どこで、誰の手によって、どう獲られているのか。ただ仕入れるだけじゃなく、その背景を自分の目で見たかった。スープの向こう側を、ちゃんと知りたかったんです。
「素材の背景に価値がある」
きっかけは、ある焼肉店の店長との会話でした。その方は、実際に仕入れる牛を自分で見に行き、生産者さんと会い、時には野菜も一緒に育てる。「素材の背景に価値がある」そう話してくれました。その言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。僕たちは、しじみラーメンを作っている。でも、そのスープの奥には、確かに“命”がある。その命の現場に、自分はちゃんと足を運べているのか。調理場からは見えないもの。でも、しじみがどう獲られ、どう届けられているのか。そのプロセスのすべてに、人の想いが込められている。その“見えない背景”こそが、最大の価値なんじゃないか。そう強く感じました。だから僕は、現場に行くことを決めました。
「水曜はしじみ漁はお休みです」
向かったのは、島根県。全国のしじみの大多数がここで獲れる、まさに聖地のような場所です。仕入れ先の方々との工場見学を予定し、「せっかくなら、しじみ漁も見たい」と思って連絡をしたところ…返ってきたのは、まさかの一言。「水曜はしじみ漁、お休みです」え、しじみにも定休日あるのか。思わず笑いました。でも、どうしても見たかった。
そこでInstagramで「島根 しじみ漁」と検索し、漁師さんに片っ端からDMを送りました。すると、奇跡が起きました。「別の湖なら、体験してもいいよ」そう返信をくれた方がいたんです。本当に、神様かと思いました。
無人駅、徒歩90分、そして星空
出雲空港に降り立ち、バスで出雲市駅へ。そこから体験予定の湖の最寄り駅を目指したら、まさかの“無人駅”。ホテルもない。タクシーもない。Googleマップを見ると、ひとつ前の駅にビジネスホテルがある。「歩くか」そう決めて、2駅分を1時間半かけて徒歩で戻りました。田んぼ道。カエルの声。満天の星空。なんでこんな状況なんだ、って笑いながら、なんだかすごく、人間らしい時間でした。足は筋肉痛。でも、心は少し研ぎ澄まされていました。
船で現れた、しじみ漁師さん
翌朝、5時起き。タクシーを探すも、3社に断られ、4社目でようやくOK。湖に向かい、待っていると6:30に「今から家を出ます」と連絡が。てっきり車で来るのかと思ったら…湖の向こうから、ボートで登場。手を振ってる人がいる。まさかの登場シーンに、思わず笑ってしまいました。その漁師さんは40代。弟さんが僕と同い年で、上のお子さんは大学生、下のお子さんは2歳。人生の深さを感じる方でした。
命を、すくう
ライフジャケットを借りて、腰まで湖に入り、しじみを獲るお手伝いをさせてもらいました。泥の中に手を入れ、スコップで掘って、ひとつひとつ選別していく。その作業をしながら、強く思いました。「これが、スープの命なんだ」湖の冷たさ。朝の空気。しじみの重さ。全部が、身体にずしんと沁みました。「冬は地獄だよ〜」そう笑う漁師さんに、感謝しかありませんでした。