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「富士通では面白い仕事」ができる。カムバック入社したからこそ分かるその魅力とは

プロフィール
静岡県袋井市生まれ。京都大学大学院・情報学研究科卒。
2011年に富士通に新卒入社後、アクセンチュアを経て、2017年に富士通にカムバック入社。
現在はマネージャーとして証券・取引所業界のSI業務に携わる。

富士通へ新卒入社で担当した東京証券取引所 株式売買システムの開発

--富士通へ新卒入社した時に最も印象に残っているプロジェクトは何ですか?

2011年に入社し、東京証券取引所の株式売買システムarrowheadの開発リーダーを担当していました。世界でもトップクラスの性能を誇っていたarrowheadですが、株式の注文数が今後も増加していくことを見据えて、絶対に止まらない安全なシステムにすることを目的に全面リニューアルするプロジェクトに参画しました。メンバーと共に理想のシステムを追求し、完成度の高いシステムを開発したこのプロジェクトが最も印象に残っています。

arrowheadは、2010年1月4日に稼働した、世界最高水準の高速性・信頼性・拡張性を兼ね備えた、現物商品の売買システムの呼称です。直近では、注文件数の増加、短時間での注文集中、投資家の新しいニーズ等の株式市場の環境変化に対応するため、2019年11月5日にバージョンアップしています。対象取引は現物商品にかかるオークション取引(株式、CB等)です。

引用:JPX 日本取引所グループ

--当時はどんなワークスタイルだったのでしょうか?

もともと仕事にのめり込みたいタイプですし、当時はまだ独身だったこともあり、5日分の着替えを持って出社し遅くまで仕事をすることがありました。仕事に没頭することは私にとって純粋に楽しく、楽しいから仕事をしていただけでしたが、客観的に見たらハードワークだったかもしれません。

--富士通からアクセンチュアに転職したきっかけは何ですか?

私は自分がやりたいと思える案件を選んで仕事をしています。富士通で携わったプロジェクトでは、「今まで自分が実践してきた手法だと通用しない」とか、難題がありつつも、そこに挑戦していく楽しさがありました。arrowheadの開発が落ち着き、テストフェーズに入り仕事に没頭するほど作業がなくなったタイミングで、自分自身がもっと「面白い!」と思える案件を探していたときに転職を決めました。

当時は、例えばクライアントにとって「新しい」と思えるような取り組みをするために、システムの企画やビジネスの企画といった、より上流に関われるような環境へ行きたいと思っていましたね。

あとは、開発が終わったあとは、一定期間時間に余裕ができることがあり、もっと仕事にのめり込める環境を自然と探していたのかもしれません。

アクセンチュアで感じた“現場の泥臭さ”を知る重要性

--アクセンチュアではどんな仕事をしていたのですか?

奇しくもアクセンチュアでは、富士通が関わっているプロジェクトに入ったんです。金融機関のデジタル化をするプロジェクトのビジネス側をドライブさせるコンサルティングを私が担当し、システムのストラクチャー側を富士通が担当していました。アクセンチュアでは、私がやりたいと感じていた企画などの上流工程を担っていました。

--対外的に富士通と関わったとき、何を感じましたか?

単にシステム作るだけじゃなくて、お客さんの会社内部の泥臭い部分も分かっていることが、他社にはない富士通の強みだったんだということですかね。自分が上流工程を担っている分、より現場と対峙して仕組みを構築する富士通は、お客さんとの距離が近いと感じました。

コンサルティングと現場という役割なので、当たり前と言えば当たり前なのですが、客観的に見て改めてそう感じましたね。

「arrowheadだけど、10年に1度のリニューアルをする。戻ってこないか?」カムバックのきっかけとなる上司からの一声

--アクセンチュアから再び富士通に転職しようと思ったのはなぜですか?

戻ったきっかけは、富士通でarrowheadの仕事していた頃の上司に「arrowheadの10年に1度の大リニューアルプロジェクトが始まる。戻ってきて一緒にやらないか?」と言われたことでした。声をかけてくれたその人は今の上司でもありますが、自分の中にはない新しい発見や学びを与えてくれる人で、すごく刺激があるんです。単純に、面白そうな案件だなと思い、カムバック制度の活用を決めました。

--再度転職をすることへの心理的ハードルは高くなかったのでしょうか?

それほど高くはなかったです。一度転職をすると「自分のやりたいことを仕事にできるところへ行こう」、くらいの感覚になります。ただ、「面白い案件」に携わっていきたいという気持ちが最重要であり、加えてと、信頼していた上司と新たな挑戦ができることや、ライフステージの変化を考慮して、転職意思を固めました。

富士通で作っているのはシステムではなく“ビジネス”

--桑原さんがおっしゃる面白い仕事とは、具体的にどういう仕事なのですか?

シンプルに「新しいこと」です。ITの力で実現していけることは2種類で、「既にある概念をITの力で新しくしていくこと」と、「未知の概念をITの力で新しく生み出していくこと」です。arrowheadは前者でしたが、今まさに後者をやろうとしていて、お客さんと少人数のチームを組んで、ビジネスの仮説検証をしながら、アジャイルで開発しつつプロジェクトを進めるという新たな手法をはじめました。これはすごく楽しいですね、お客さんとビジネスを作っている感じがします。

システムを作っているだけだと、「納期に間に合わない」とか、「品質が高まらないとか」そういう話になりがちですが、今回の場合このシステムを「どうエンドユーザに使ってもらうか?」という部分の方が難しかったりするので、新たな課題にぶつかることで、お客さんとの新しい関係性ができていく過程が面白いです。

--アジャイル開発でPDCAを回しながら進めるプロジェクトですが、どのような背景で始動したのですか?

ビジネスの最前線にいるお客さんが「こういうことがやりたい」とか、アイデアをたくさん持っていました。ちょうど富士通もお客さんに対して、社内のノウハウを活かした提案を行い、お客さんの希望を実現していこうとしている時期だったので、タイミングがマッチしました。

最初はシステムを作る仕様書を書いていたのですが、いきなりお金をかけてシステムを開発しても、実際に使ってもらえるかが分からないというリスクがありました。人的にも金銭的にも相応のコストをかけた大プロジェクトで、完成したあと、結果として「違ったね」という結論になってしまったら元も子もないじゃないですか。そういう根本的な問題を解決するには、どうすることが一番お客さんのためになるのかを考え抜いた結果、新ビジネスを立ち上げることに特化したアジャイル開発を導入し、少しずつお客さんと一緒に完成形を形にする手法を採用しようと思ったんですよね。

--富士通のような大企業でも、臨機応変な対応をされているのですか?

社外でのこの形態のアジャイル開発の本格導入は初めてでしたね。それまではカスタマーズカスタマーの元に直接訪問することはなかったのですが、お客さんと一緒に綿密なユーザーリサーチを繰り返してみると、当初の想定とは全然違うものが出来上がりました。つまり、最初の仕様のまま作っていたら失敗していたということが分かったんです。

それをきっかけにユーザーの声に耳を傾けていくことで、お客さんの要望に応えられるようになったし、仕事としても面白いし、さらにお客さんとの関係性も深くすることができるなりました。

今まではお客さんに「このシステムを作ります」と言って対価をもらっていたけれども、

今では「何ができるか分からないけど、この期間でこれだけの人員を使うので、対価を下さい!」といったような提案もするようになりましたね(笑)

私が大切にしている「面白い仕事」を取ってくるためには、今後富士通としてもこういった提案を増やしていきたいです。

富士通の未来を担う若手人材の育成に必要なのは“開発現場との共同作業”

--若手の人材を育成していく際に大切にしていることは何ですか?

富士通で改革を起こそうと思っても、現場のことを知らない人間は改革を起こす側に回ることができない。私自身、昔はソースコードを書いていました。開発チームに入って、お客さんと一緒に要件定義をしてモノづくりをしたり、自分で手を動かしていた経験があるからこそ、今があります。

私はお客さんの真横で一緒にモノを作れることこそが価値だと思っているので、意図的に若手を現場に入れて育てています。あと、自分が今取り組んでいるモノづくりが最終的に何に繋がるのかを、ちゃんと「実感」できる環境を作ってあげることも重要です。その経験がどんな形でお客さんに貢献しているのかを知る、ということです。

モノを作るプロセスを理解していて、実際に自分で作れる人って本当に少ないんですよ。これからはそういう人が必要になってくると思う。海外のIT企業は実際にモノを作れる人が活躍をしてるんです。

--富士通では桑原さんのおっしゃる「面白い仕事」に挑戦できる環境は万全なのでしょうか?

富士通はそれをやりやすい会社ではあります。もちろん今までのやり方を踏襲する方もいます、それはそれでリスクが少ないし駄目というわけではありません。でも、新しいやり方にチャレンジする人に対しても、それはリスクが高いからNGだよ、という会社でもないです。もちろん現場での調整は多少ありますが、それらを踏まえても富士通は挑戦を許容してくれる環境が整っていると思っています。

富士通の改革は、富士通だけでは果たせない

--今、富士通は変革の時期ですが、桑原さんはどのような形で変革に貢献していくのでしょうか?

富士通が変わるということは、お客さんも変わるということだと思うんです。富士通とお客さんが一緒に変わって、本質的かつ目新しいプロジェクトがあちらこちらにある状態が理想です。お客さんのビジネスのやり方が変わってくると、そこに関与している富士通とお客さんの関係性も変わっているはずなので、富士通だけが変わっていくわけではありません。

もちろん、私たち富士通の社員がモチベーションを高く持って働くことも大事ですが、やっぱりお客さんから面白い仕事をいただけるような関係を構築していくことだったり、やり方を一緒に変えて面白いことに一緒にチャレンジしていく姿勢は大事だと思います。そういったスタンスを意識して持つことは一社員でもできますし、それが単純にモノを作る会社を脱してDX企業になっていく、という富士通の改革にも繋がると思っています。

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