「大きなプロジェクトに関わりたいと大手に入ったけど、任されるのは『調整』ばかり」
「自分が作った資料が、誰の役に立っているのか分からない」
「同世代の起業家が活躍するニュースを見て、焦りを感じる」
もしあなたが今、組織の「歯車」としての働き方に疑問を感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
あなたの成長を止めているのは、あなた自身の能力ではなく、「打席に立つ回数」の違いだけかもしれません。
今回は、株式会社CINCA代表の阿部へのインタビュー第2弾。 テーマは「成長」です。
なぜ、CINCAのメンバーは未経験から短期間で「事業家」へと変貌を遂げるのか。 AI時代における「若手の逆襲」や、リアルなキャリアパスについて、赤裸々に語ってもらいました。
入社1ヶ月目から、PL責任を負う
――前回は「戦略的な泥臭さ」について伺いました。今回は、より「個人のキャリア」にフォーカスしたいと思います。ズバリ、CINCAに入社すると、最初の1ヶ月でどんなことを任されるのでしょうか?
阿部: 結論から言うと、「事業の立ち上げに必要なこと全て」に触れてもらいます。
一般的な企業だと、最初の数ヶ月は研修だったり、先輩の後ろについてのOJTだったり、部分的なタスクの切り出しから始まりますよね。 CINCAでは、入社直後からアシスタントとして複数のプロジェクトにアサインされ、即座に「打席」に立ってもらいます。
――「即座に」というのは、具体的にどのレベルの業務ですか?
阿部: 例えば、ユーザーインタビューの対象者集めから実際のインタビュー実施、そこから得られたインサイトを元にしたサービス紹介資料の作成。さらには、事業収益の試算(PL作成)まで担当してもらいます。
――いきなりPL(損益計算書)まで見るのですか?
阿部: はい。もちろん最初は私がサポートしますが、自分自身で「この事業はどうすれば黒字化するのか」を数字でシミュレーションできなければ、事業家とは言えませんから。
営業、マーケティング、PM(プロダクトマネジメント)、簡単なUIデザインや広告運用、そして簡単な開発まで。私たちは少人数で事業を回すので、役割を固定せず、これら全てを横断的にこなす「ゼネラリスト」としての動きが求められます。
大手企業なら3年かけて各部署を回って経験するような内容を、最初の1〜3ヶ月で一気に実戦投入するイメージですね。
――かなりハードそうですが、未経験でも大丈夫なのでしょうか?
阿部: そこは私たちのメソッドがありますから安心してください。 逆に言うと、だからこそCINCAでは、新規事業コンサルティングにおいて「業務委託」のメンバーを入れていないんです。
CINCAのメソッドは覚えることが非常に多い。表面的なスキルだけでなく、事業開発の深い思考法までインストールするには、腰を据えて取り組む必要があります。だからこそ、正社員として採用し、時間をかけて「プロの事業家」へと育成する体制をとっています。
社長が負けた日。AI時代における「若手の逆襲」
――「育成」という言葉が出ましたが、トップダウンで阿部さんが教え込むスタイルなのでしょうか?
阿部: いえ、最近はむしろ逆ですね。私がメンバーに教えられることのほうが多いくらいです。 特に最近、ある若手メンバーの活躍を見て「これは敵わないな」と痛感したエピソードがあります。
――代表が「敵わない」と? どんな出来事だったのですか?
阿部: ある新規事業の検証フェーズでの話です。 従来、私たちはWebサービスの検証を行う際、FigmaなどでUIのモック(見た目だけの模型)を作って顧客に見せ、「このサービスを使いたいですか?」とヒアリングしていました。
ところが、そのメンバーは「Cursor」というAIコーディングツールを使いこなし、なんとたった1日で「実際に動くプロダクト」を作り上げてきたんです。
――1日で、動くものを。
阿部: そうです。エンジニアではない彼が、AIと対話しながらコードを書き、ログインできて、データベースが動いて、主要機能が使えるレベルのものを持ってきた。
これをインタビューの場で顧客に触ってもらったところ、検証の精度が段違いに上がりました。 静止画のモックを見せて「どうですか?」と聞くのと、実際に動くツールを触らせて「これにお金を払いますか?」と聞くのとでは、得られるフィードバックの質が全く違います。
――すごいですね。それは阿部さんが指示したわけではなく?
阿部: 完全に彼の自発的なアクションです。 これを見たとき、従来のやり方に固執していた自分を反省しましたね(笑)。
CINCAには、「良いツールは即採用」という文化があります。彼のおかげで、今では全社的にAIツールの活用が進み、予算も確保して自由に使える環境を整えました。
「社長の指示待ち」ではなく、メンバーが最新の武器を見つけてきて、組織の当たり前をアップデートしていく。そんな光景が日常的に生まれています。
「手触り感」の正体と、市場価値の証明
――デジタルな領域だけでなく、リアルな事業も手がけていると聞きました。
阿部: そうですね。私たちは「Web完結」にはこだわっていません。 直近では「ヘッドスパ店舗」の事業立ち上げも行いました。
――ヘッドスパですか! Web業界出身者からすると、かなり泥臭い現場仕事になりそうですが。
阿部: ええ、物件探しから内装工事のディレクション、オペレーション構築まで、全て自分たちでやります。 でも、メンバーはそこに大きなやりがいを感じていました。
PCの前で数字を管理するだけでなく、自分たちが作り込んだ空間にお客様が来店し、サービスを受け、喜んでお金を支払ってくれる。
その瞬間を目の当たりにした時の「手触り感」は、何物にも代えがたいものです。
――確かに、自分が動かした仕事の結果がダイレクトに見えるのは魅力的です。
阿部: そういった経験は、単なる思い出作りではありません。確実に「市場価値」として跳ね返ってきます。
それを証明する事例として、関西への移住を機にCINCAを卒業したメンバーの話をしましょう。
彼はCINCAで約2年間、数々の修羅場をくぐり抜けてきました。
その後、転職活動をした結果、なんと30歳という若さで「大手企業の新規事業部の部長」として採用されたんです。
――30歳で、大手の部長職。それは異例の抜擢ですね。
阿部: 通常、大企業でそのポジションに就こうと思ったら、40代・50代まで待たなければならないことも多いでしょう。 でも、CINCAで「0→1」を何度も経験し、PLを見れて、事業の撤退基準まで持っている人材は、市場において極めて希少です。
「CINCAで2年修行すれば、どこでも通用する人材になれる」。それが証明された嬉しい事例でしたね。
起業は「ギャンブル」ではなく「再現性」を見出せる
――市場価値が上がるのは分かりましたが、せっかく育てた優秀なメンバーが辞めてしまうのは、会社として痛手ではないですか?
阿部: もちろん寂しさはありますが、私はそれでいいと思っています。
むしろ、私個人としては転職するよりも「起業してほしい」と考えています。
――起業、ですか。
阿部: CINCAに2年もいれば、月商数百万円レベルの事業を作る「0→1」の経験を、最低でも10回以上は積むことになります。
「どういう事業がいけるか」「どうなったら失敗か」という嗅覚が、理屈ではなく身体に染み付いている状態です。
そんな彼らが起業するなら、私は喜んで出資します。
実際に、すでに2件ほど実行済みです。
――元メンバーの会社に出資するわけですね。
阿部: はい。これには彼らにとっても大きなメリットがあります。
普通に起業するよりも、CINCAのリソースやノウハウを使える分、失敗確率は格段に下がります。
さらに将来、事業売却(M&A)を考える際にも、私たちが持つクライアントネットワークを活用して、スムーズなExit(売却)を目指すことができる。
言ってみれば、「非常に勝率の高い、お得な起業」ができるわけです。
――なるほど。起業というハイリスクな挑戦を、勝ち戦に変えられると。
阿部: その通りです。 CINCAで力をつけ、クライアントに引き抜かれるもよし、大手企業の幹部になるもよし、スピンアウトして起業家になるもよし。
ここには、単なる「労働力」として消費される毎日はありません。 あるのは、未来の自分の可能性を広げるための、濃密すぎる「修行」の日々だけです。
もしあなたが、今の環境で「もっと任せてほしい」「もっとヒリヒリするような手触りが欲しい」と感じているなら。 ぜひ一度、私たちのオフィスに遊びに来てください。
3ヶ月後のあなたは、今のあなたが想像もできない場所に立っているはずですから。