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Sigma-i Lab #5 PoC事業化ブレストの会 文字起こし!

3月4日に開催された、新プロダクトPoC の事業化ブレストの会、「Sigma-i Lab #5」。東北大学教授・シグマアイ代表の大関 真之と、東北大学客員准教授・シグマアイ事業開発マネージャーの羽田 成宏が、新プロダクトの事業化の方向性について語りました。そして、参加いただいた皆様からも意見をいただきました。その模様の文字起こしをお送りいたします。

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本日は、アプリの事業開発に向けての議論

○大関:はい、こんばんはでございます。株式会社シグマアイの、いつもおなじみになってきましたけれども、Sigma-i Labというコーナーをやっておりまして、だいたい月に1回ずつ生配信をさせていただいております。改めまして、株式会社シグマアイの代表取締役を務めております、大関真之と申します。よろしくお願いします。

そして、本日は。

○羽田:はい、シグマアイ事業開発担当をしています、羽田と言います。よろしくお願いいたします。

○大関:はい、よろしくお願いいたします。前回までは、同じく共同代表を務めております、観山正道と一緒に過ごしていました。そして、本日は、これまで作ってきましたアプリの目指す方向性は何だろうか、ということを考えるために、事業開発マネジャーの羽田さんとお送りしていくということでございます。

羽田さん、YouTubeの生配信というのは、人生の中で何回目ですか。

○羽田:YouTubeの生配信は、昨日で2回目じゃないですかね。

○大関:え、昨日今日なんですか。

○羽田:昨日、うちのお客さまでもあり、本拠地の仙台市さんのイベントがありまして。

○大関:昨日だったんですね。

○羽田:昨日だったんですよ。なので2連発というところでですね。

○大関:どうですか。生配信をやってみての感想は。

○羽田:生配信は、フィードバック感を得るのが難しいんですけども、盛り上がると、没頭できるというか、だからこそ、面白いコミュニケーションができるんじゃないかなというのは、昨日の気づきでしたね。

○大関:なるほどなるほど。じゃ、緊張とかはもう通り越して、何とかなるという感じですか。

○羽田:そうなんですよ。でも、今日の冒頭でも言おうと思ったんですけれど、僕はシグマアイの事業開発マネジャーをやらせていただいているんですけど、普段、五人囃子をやっていると思うんですよ。何かにぎやかですね、みたいな。昨日は、僭越ながらお内裏さまかおひなさまか分からないですけど、ちょっとむさ苦しいですがおひなさまをやらせてもらいます、みたいなことを冒頭に言ったんですよ、桃の節句なので。

リアクションが、リアルでもオンラインでもなかったので。あれ? 困ったぞと思ったんですけど、今日のテーマであるコミュニケーションの話をよく聞くと、特に東北の方は、初対面とかこういう場でも、感情を出すもんじゃないということをおっしゃって。

○大関:はいはい、はいはい。

○羽田:なるほど、そうやってある意味盛り上がらずに行った時でも、めちゃくちゃ後から、楽しかったですと言われるんですよ。これは深いんだなと思っていて、大関さんもそういう経験があるんじゃないかなと思って。

つまり、目の前の温度感とか盛り上がりの雰囲気と、本当のそれというのは、差がある場合があるし、特にこういった形式では、結構多いんじゃないかなと思っていて。

今日の話にもつながると思うんですけど、そこにもし問題とか、達成したいものがあったりすると、ビジネス的にも結構面白いんじゃないかなというのを、経験談を含めて今、話したというところです。

空間的・時間的に離れていても一緒にいられるようにした、ニコニコ動画の偉大さ

○大関:確かにね。今だって二人でしゃべっているわけですけれども、実はこの裏というか奥には、お客さんだったり、ファンだったりがいる。空間は離れているんだけれども、さらには、配信をするとアーカイブという概念があるので、時間すらも離れているんですよね。

○羽田:確かに。

○大関:それは、距離として見るのか、それともつながれると思うかというので、大きく違うと思うんですよ。

どうやって接点を持つかとか、つながりを持つかということ。例えばYouTubeだったら、その人がコメントで壁の向こうというか、ガラス越しに声援を送るつもりだったんだけれども、僕はこの画面にコメントを表示するようにしていて、お客さんがスピーカーにもなれるというのを考えていたんですね。

ニコニコ動画って、はやりましたよね。あれ、すごいなって、改めて思ったんですけれども。アーカイブされた動画に、参加した痕跡を残せるんですよね。その痕跡が、実は十何年前の誰々だとか、すごく残っている動画だったりすると、すごい積み重なっていくんですよね。

この威力ってすごいなと思って。「離れていても」というのは、空間的じゃなくて、時間的に離れていても一緒にいられるようにした、というのがニコニコ動画の偉大さなんだと思うんですよね。

だから、生配信は生配信で、何が起こるか分からないというのは、よくテレビとかで言われていますよね。実際にこういうYouTubeの生配信だって、僕はもうこの裏で何が起こっているかってモニタリングしながらやっているので、ドキドキはしているんですけど、それはそれで何か生々しくうごめいているものであって。

結局、配信されて、残って、見るものとしては、時間だろうが空間だろうが、離れている人にとって平等にできているというのが、今の時代なんだろうなと思うんですよね。

そうすると、どういうかたちで参加するのかというのは自由だし、人それぞれ、もちろんお仕事があるからとか、例えば子育て世代の場合だったら、今、例えばお風呂に入れなきゃいけないから時間とか、お夕飯食べなきゃいけない時間とかあると思うんですけど、そういうので参加できなかったけれども、技術があるおかげで参加できるようになっている。

後からでも、それこそアンケートを、下に概要部分がありますから、そこにアンケートがありますから、後で聞いて、僕、こう思ったというのも載せていただけることもできるので、いつでも参加できるようになったのが、今なのかなと思いますね。

第1弾のPoC は、人と人との関係性を可視化するチャットアプリ

○大関:それで、前回まで何をやっていたかというのを振り返りながら、今日お話ししたいなと思うんですけれども。

羽田さん、僕のアプリ、見ました?

○羽田:前回も、前々回も見まして、いつも大関さんとはこんな会話で、本当にビジネスネタとか、コンセプトデザインするじゃないですか。

○大関:うんうん、うん。

○羽田:もういくつも思い付いていますよ。

○大関:おお、さすがですね。マジですか。社員の人たちが、裏ではいろいろと。

まだ、残念ながら触れられる状況にはなっていなかったんですけれども、ただ、その噂は聞いて、自分だったら何に使う、みたいなやりとりはしているということは聞いてはいるんですけれども。

せっかくなので、前回の記事がございますので、その記事を見ながら、紹介したいと思います。今回もそうですけれども、これまでの記事を、ウェブでちゃんと全部履歴が残っておりまして、こんなことをやりとりしたんだとか、そういうものが全部見られます。

これも、YouTubeで残してある部分と、こういうふうに文字起こしで残している部分がございますので、いくらでも見ていただければと思います。

こうやって、第一回目、第二回目、第三回目、こちらは第四回目でございましたけれども、YouTubeもこんな感じでありますよ。しかもこれ、改めて見ると面白いですね。全部書いているんですよ。挨拶から。

「はい、というわけでこんばんはでございます」って。台本かよというレベルで、実はこれ、書いてあるから、ちょっと貴重なんですよね。

これは前々回ですね。「あけましておめでとうございます」と書いていますね。

○羽田:これは、今日、再確認しました。だからもう、ある意味完コピの痕跡ですよね。完コピの痕跡というのも、それはそれで生々しい価値があるなと、今、思いました。

○大関:これ、自分で、なんつうか。言い間違いとはちょっと違うんですけど、なんちゅう表現を使っているんだよ、みたいな、すごいこっ恥ずかしくなるんですよ。だって、こことかも不思議ですよ。

「観山:そうですね。大関:そうか、1月か。観山:1月ですよ。」、何も言っていないという。

たぶんここで探っているんですよね。そういう探っている様子とかが見られるから、これ、たぶん10年後ぐらいに見直すと、めちゃくちゃ面白いんじゃないかなと。

○羽田:1個また思い付いてしまったんですけど。

○大関:お、どうぞどうぞ。

○羽田:やっぱり今って、いろいろなデータが入っているわけじゃないですか。と思った時に、聞くお耳が強い人がいる。文字が、お目めが強い人という話があったと思っていて、最初に文字起こしを見た後に動画を見ると、なんかナチュラルなスタイルじゃないですか、反応。経験レベルでは。

でも、時空間で言うと、まずライブを見て、この後に編集語記として、編集していないんですけど、これを見るみたいな話があるじゃないですか。そこで、見る順番によって、得られるものは違うか、みたいなところは結構面白いなと思って。

大関さんとか観山さんは当事者なので、自分で話して、文字起こしされた、みたいな感覚だと思うんですけど、先に文字を見て映像を見るのか、当日映像を見てこっちを見るのかで、得られるものが違ってきそうです。さっき言った、自分の中での時空間を超えていたと思うので、結構面白い体験の基になるんじゃないかなと思いました。

○大関:確かに、しゃべっている本人が言うのもなんですけど、こんなことをしゃべったんだとか、正直覚えていないんですよね。覚えていないということは、べつに悪いことじゃなくて、その場じゃないと思い付かなかったんだなということが、自分でも改めて思うんですよね。

これで、実際に作ったアプリの、それこそ経過がよく分かりますよね。これは最初に作ったやつですけれども、パソコンで展示しましたけれども、ウェブブラウザー上で動くアプリをイメージしていました。左側には、社員が何かやりとりしているチャットアプリを作りましょうということを、まず考えました。

その時に、チャットによって、どの話題に興味があるのかということを、ある意味データとして得ることができます。その話題にどういうふうに乗っかったかというので、ちょっとやりがちなのが、いわゆる言葉、単語で引っ掛けようとするところがあるんですけど、言葉は人それぞれ自由なものなので、どんな表現、どんなものを使うが自由だよねと。

であれば、その話題にどれだけフィーバー、熱情を持って書き込みをしたのかとか、話題に対して人がどういう関係を持とうとしているのかを可視化しましょうと。

その時によくありがちなのは、ウェブの記事もそうですし、インターネットにあるeコマース的な話ですと、ものと人の関係をどうしてもくくり付けて、このものは君、好きだよねってリコメンデーションにつなげたりするんですけれども、ここでやっていることは、実は人と人の関係を可視化しようといったわけですね。人ともの、人と話題で、その話題に共通して乗っかってくるほかの人がいるので、ある人と、その他の人はどういう関係にあるのかというのを、表出するデータを活用することによって、人と人の関係を可視化しましょうと。

なので、そうするとチャットで、仕事でやりとりしているだけ、もしくは雑談をしているだけなのに、いつの間にか、例えばここにあるのは、大関と伊勢君がなぜか近いとか、隠れた関係性が見えてくる。

そうすると、近くなっているから仲間だよねと思ってもいいかもしれないし、離れているから、僕とは違う考えを持っているポテンシャルのある関係なんだと言って、あえて一緒のグループになることによって、別の仕事を、今までになかった仕事を創出しようとか、そういったことができるんじゃないかと言って、このチャットアプリというもののポテンシャル、可能性というものについて注目したというのが、わりと最初の方のやつだったかなと思いますね。

関係性が可視化できれば、マネジメントツールに使える

○大関:前回のアプリを振り返りながら、今日も始めているわけですけども、どうですか、これ。

○羽田:これはすごく良くて、変な話ですけれど、カーリングに見えたんですね。

○大関:ああ、確かに。

○羽田:右側のほう、ストーンに見えたんですよ。

そうすると、北京オリンピックがあったからではないんですけど、ロコ・ソラーレですね。

ロコ・ソラーレが思い出されて、あのチームのコミュニケーションって、結構独特というか、すごい面白いじゃないですか。スポーツとしてはチームだし、作戦とか、しゃべったりするという特殊性はある。

一方で、感情をめちゃくちゃ出すチームだし、準決勝に勝った時、吉田選手が確か、「今、コミュニケーション取れてるから大丈夫」ということを言っていたんですよ。

それって、言わないじゃないですか、会社で仕事をしていて。今、僕らって、私たちって、コミュニケーション取れているって言わないんですけど。

○大関:そうですね。

○羽田:スポーツと仕事は違うんですけど、そういうコミュニケーションはすごい大事だなと思ったんですね。

これをうまく、こういうツールとかデジタル技術でできるといいなと思った時に、チームが思い浮かんできて、大関さんがさっきおっしゃった、痕跡というのは僕もすごい好きな考え方です。社会学に、社会的なものでなくて、そういうものを作るために、動きの痕跡の集合体が社会的なものという考え方があって。

そうすると、僕らはどういう軌跡をたどったというところを、この切り口だけでいいと思うので、そうするとストーンが動くように、右側のやつが動くじゃないですか。その流れを見て、ああいい流れだねみたいなとこが分かる。大局観として分かることで行くと、結構面白いマネジメントツールになるんじゃないかなとか思ったり。

データの世界だと、僕はあまり詳しくはないんですけど、マッシブデータフローみたいな話があって、僕ら人間が活動しなくても、例えばbotがつぶやくとか、メーラーが勝手にメールを送るとか、あるじゃないですか。

だから、世界をマクロで見ると、データがすごく流れているねっていう話があって。そこに人間の作用があると、データが変質すると考えれば、これをマクロで捉えた時の、人間関係の意義みたいなところの見方を、ちょっと見たいなと思ったのが、一つ目です。

○大関:そういうふうに、動的なものを可視化するのもそうだし、システムも駆動されるようになったら、面白いですよね。

今、孤独だって言うじゃないですか。オンラインのミーティングはあるけれども、ブチンと切ってしまうと、静かな世界になってしまって、あれ、一人なのかなと。僕は大学で教えているんで、特に学生さんがそういった状況にあるとか言うんですけど、でも、実は社会は動いているんですよね。仕事をしている。一人でも何かをしている。

その仕事とか、何かの営みが、結局別の形で表出することによって、励ましてくれたり、マネジメントにつながっていくというのは、非常に新しい世界を感じさせるものがありますね。

はい、コメントにもありますけど、「コミュニケーションの可視化ができるとパワハラ検出ツールもできたりして」、ですよね。だから、どういう関係性になっちゃっているかで、パワーバランスみたいなものが見えてきたら、もちろんそういうのもあるでしょうし、逆に、それで、ああ、こいつらはこういう関係がやっぱいいんだねといって、時間的に安定しているんだったらそれを良しとするとか、あるかもしれないし。

○羽田:確かに。

○大関:やっぱり、データとして見られるということは本当に良くて、時間経過をずっと追い続けることができるので、後で振り返った時に、例えば、あの時すげえ全社挙げて、何がしかの活動をしていたけれども、あの時の乗りってどんな感じだろうって見たら、今の状況と比較をしていい状況なんだろうか、あの時と近しい感覚だけれども、あの時ほど盛り上がっているだろうかとか、そういう振り返りができたりして、面白いかもしれないですね。

○羽田:ハラスメントも、原田さん、それパワハラですから気を付けてくださいと言われたとて、なかなか変わらないじゃないですか。その時に、人間の能力の一つのすごいところは、大局観だと捉えるところがあると思っていて。感覚的に、これはやっぱ良くないなと思うと、結構変わることが多いじゃないですか。このダイナミックに動くみたいなところの動きから、大局観みたいなところがすごく伝わってきたので。

可視化をする目的と価値を明確にする

○羽田:そういうところと、二つめに、考えてきたことをちょっと出しちゃっても大丈夫ですか。

○大関:うん、いいですよ。

○羽田:もう一個、これは将棋を思い浮かべたんですよ。

○大関:ほうほう、ほう。

○羽田:右側が動くじゃないですか。左側のダイナミックなコミュニケーションがあって、時空間を超えたのが送られた時に、右側が動きますよね。そこの動きは、あるルールというか、考えで動くんですけれど、将棋って、まずルールがあって、これを打っていて、この画面でいうと右側のところが動くわけですよね。

今だと、将棋はAIで評価値を流して、どっちが強い、みたいなところがあって。

○大関:あれね、リアルタイムに流していますよね。

○羽田:ありますよね。

オンライン対局で、すごいAIが強かったり、逆に、ここから後手はAIがやってくれる権利を500円で売るみたいな話が。機械、テクノロジーとの親和性が実は非常に良くて、新しい将棋の売れる人を増やすみたいな効果もあって、見る将棋も、右側の動きだと全然分からないけど、評価値が分かるところで、何かちょっと逆転しているような今回の発想があった時に。

そこで思ったのは、右側をさっきは大局観に見てどういう状況かというのをつかむとあったんですけど、意図的に右側を動かすようなゲームができないかなと思ったんです。きれいな魔方陣を描くようなコミュニケーションはなんだ、みたいな。そういったようなところを、ちょっと思い付いたところが、ちょっと面白系の発想ではあったりしました。

○大関:確かに、アクションに対してリアクションがあるのが、今までは、人が嫌な顔をするとか、にやっと笑うとか、それを拾わなきゃいけなかった部分もあるんですけど。それ以外、周りと、目の前にしている人以外のところとの関係も、ある意味こういうふうに見せることができるので、将棋ね、桂馬のような人とか、いるんですかね。

○羽田:あ、そうそう、何かいそうじゃないですか。表現力がないかもしれないんですけれど、一見不活発なんですけれど、ミクロではものすごく動いていて、ある瞬間、どかんと局面展開できるとか。

全員がそういう動きを把握できるわけじゃないですし、評価するわけじゃないんですけど、マクロで見たら、シンプルな表示で動くほうが、こんなダイナミックな動きをするんだ、彼女はとか、何かありそうですよね。

○大関:うんうん、うん。だから、これに基づいてグループにしたところで、そのグループのやつらがずっと近くにいるのかと思ったら、一人外れて、いつもひょいひょい、ひょいひょい行くやつがいると。おまえか、隠れてこっそりプロジェクトを進めるじゃないけど、潤滑油にしていた人がいるんだとか、そういうのが、これの動きで分かっちゃうかもしれない。

それは、ポジティブに活躍を見ることもできるから、確かに、桂馬役がいるというのは、いいかもしれないですね。

○羽田:いいですね。

○大関:なるほど、可視化も、だからその意味では価値なんですよね。

何でも可視化がいいかというのはもちろんあるんですけれども、うまく目的と、その可視化によってどんな価値があるのか、どんな影響があるのか、ということを分析すると、なるほど、この可視化に意味があるんだなということを振り返ることができたかなと思います。

PoC 第2弾は、非同期 × 音声 のチャットツールを、iPhoneアプリで開発

○大関:これで、だからチャットツールをじゃあ作ろうみたいな話になって、チャットはべつにあるじゃんという話になったんですよね。だけれども、どんなチャットがいいんだろう。チャットがいい場面と、チャットじゃなくて、今こういうふうに直接話すし、対面のほうがいいよねという話もあったりする。

だけれども、私たちはすごくダイナミックに動いて、今はそれこそ1時間ごとに会議をしたりしています。隙間なく動いている間に、どうやってコミュニケーションを濃密に行うかと考えると、非同期のコミュニケーションを取らざるを得ない。だから、チャットはチャットでも、非同期の通信に実は気づいていない価値があるんじゃないかと。

電話が出てきてから、同期コミュニケーションが取れるということに人類は気づいて、たぶん昔は手紙だったんですよね。だから、完全非同期コミュニケーションで、思い付いたと言って手紙を書いて、それこそ数学の証明とかを書いて送って、それで届いてきて、ああ、すごいねと言っても隣にはいないわけですよ。

すごいねとか、もしくはそれに対する反証とかを送って、みたいなことをやっていたと思うんですけど、たぶん僕だったら、2カ月後ぐらいに手紙が来たら、これ、何だっけってと言いそうなんですけれどね。

だけど、そういうふうに、たぶん非同期コミュニケーションが旧来のコミュニケーションと何となく思われていたんですね。それに対して電話というものができて、通信速度がどんどん速くなっていったから、メールも非同期コミュニケーションなんだけど、わりと同期に近くなってきたとか。それこそ、オンラインでやりとりができる。Zoomであったり、Google Meet、そういったものが出てきたから、同期コミュニケーションばっかりに、逆になっていった。

そんな中、非同期コミュニケーションで新しい価値を見いだそうじゃないかということで、チャットツールに注目して、ブレストしながら、こんなのを作れるんじゃね?みたいな感じになっていったわけですね。

そうしたら、確かこの会ですね。そうそう、そう。こんな感じで、iPhoneアプリ、いわゆるiPhone、iPadアプリを、僕は作ったことがなかったんで、作れるようになってみようという一環でもあるんですけれども、このチャットのツールを作り始めていたところだったんですね。

前回は、練習でアプリを作り過ぎたので、iPhoneに実際デプロイができなかったというトラブルがあったんですけれども、このたび、3月の頭になりましたので、ようやくその制限が外れて、今回はちゃんと実装するところまできました。

ここのやつは、さっきの可視化のところまでは、あれはどういうアルゴリズムで動かすかというところが、まだまだいろいろ詰めるところがあるので、ちょっと取っておいているんですけど、このチャットも、今の時代だからできるチャットツールにしようと考えていたんですね。

文字を打つというのは、簡単にできる。なんですけど、オフィス感が欲しいよねと。オンラインでお仕事をしている時に、Zoomであるとか、Meetでやりとりをしている時に、何となくミーティングができているからいいんだけれども、やっぱりべったりし過ぎている。それを切ったら、例えば在宅でやっているとか、オフィスの一角でやっていたら、シーンとするわけですよ。

欲しかったのは、何か分からないことがあった時に一声掛けられる状況ですよねと。そういうことで、このチャットツールには、もちろん今のスマートフォンとかでキーボードを打つに対して、マイクでしゃべって音声入力をする機能は付いているんですけど、標準で音声入力にしたらどうかということにしたんですね。

だから、今の技術で当然できることなんだけれども、できると言って作らないのが一番愚かなので、作っちゃいますということで作り始めたのが、前回でございました。

呼びかけるように始まるチャットは、たぶんない

○大関:さて、それで、というわけで今はどうなっているか。できたできた。はい、こんな感じでございまして。僕はダークモードが好きなんでダークモードでやっていますけれども、これは、今のiPhoneの画面をそのままこちらの配信で写している状況でございます。これはログインした後なんですけれども。iPadも同時に持っていますけれども、iPadのほうでも、同じiOSでございますので、入っているよ、という状況です。

ちょっとちっちゃいかもしれませんけれども、上から順に、やりとりがあります。僕は2ちゃんねる世代なんですね。「ハイハイわろすわろす」とか書いていますけれども、すげえ恥ずかしい限りでございますけれども。

まず普通にメッセージを打つ所が下にあるんですけれども、何か打ちますよね、「テスト」とか。そうすると、右に羽根、それこそ羽田さんだけど、羽根じゃないや飛行機、飛行機の

マークがありまして、ぽちっと押します。そうすると上に「テスト」って出ますよね。

これは普通じゃないですか。なんですけれども、この下に、画面で言うとここですね、下に「録音」というボタンがありまして、長押ししながらしゃべります。「直しながら喋ります」って書きましたよね。この長押し録音で長押ししながらしゃべると、その音声入力が入って、こちらに文章としてバンと出るというわけでございます。

配信の環境次第で、何とも言えないんですけれども、今、途中で聞こえました? ここに、iPadでも同じように、「直しながら喋ります」って、僕が言ったやつを相手に伝えることが、当然できます。

その時に、声で言ってきます。僕がテキストで言った場合でも、音声読み上げで、例えば「テスト」というのは手で入力したんですけれども、その「テスト」というのが読み上げで来ます。例えばこの録音ボタンを押して、僕が声で言った場合には、その声をそのままこちらに送ってくれて、こいつから鳴ってくるってわけです。

なので、例えば僕が、「羽田さん」と言う。そうすると「羽田さん」とこっちに書き込みが出るわけですけれども、難しいんですよ。難しいというのは、配信しながら音を気にするというのが一番難しいんですけど、あ、音量が。

『羽田さん』。鳴りましたかね。聞こえましたかね。そうそう。これが、メッセージを入れたと入れたら、その後、適切なタイミングで『羽田さん』と声を掛けてくるわけですよ。つまりトランシーバーです。昔風に言うならトランシーバーなんですけど、オフィスにいる、家にいるけれども、離れているメンバーに対して声を掛けることができる。

声を掛けるようにチャットをするって、たぶんないんですよ。チャットってどうしても、やりとりはしていて、積み重なっていて、ある種会議的、議論的になってくるんですよね。だけれども、これは呼び掛けて始まるんですよ。

こんな感じで、音声とテキスト両方が入り交じってやりとりをすることのできるツールができました。それで、通信内容とか、先ほどの話題に対して、どれだけの頻度関わっているかで分析をすることによって、互いにどんな人間関係があるのかな、どんなふうにお互いがどう思っているかではないですね、この話題についてどれぐらい面白いと思っているとか、逆に、ちょっとつまんねえと思っているとか、そういうことを混ぜ込むことによって、チームとしての動きであるとか、経過であるとか、関係みたいなものを見ることができる、というふうに作っていこうと思っております。

ここまで作るのは、まじ大変でしたけれども、今なら何でも作れる気になりました、というぐらいに経験値が高まったのかなと思いますけれど。

テキストだけでは分からない、相手のテンションが伝わるのが強い

○大関:どうですか、事業開発担当マネジャーとして、これをどう料理しようと思っていらっしゃいますか。もちろん僕も、料理をするために一緒に考えるところなんでございますけれども。

○羽田:確かに、コミュニケーションの起点が、モーダル、話すのか、絵なのか、画像なのか、入り口で確かに違いますよね。そして、特に仕事のシーンでは、いい商談ができましたとか、めちゃくちゃ技術的に面白いことができました、ビジネス的に面白いアイデアが出ましたという時に、何となく、まずあの人に話してみたい、というのがあるじゃないですか。複数の場合もありますよね。この方と、この方と。

でも、三人いた時に、三人まとめて四人でZoomをやると、本当はそれぞれに届けたい感じとか、あるじゃないですか。それで一人一人に丁寧にしゃべるってあるじゃないですか。それが今はできなくて、Zoomで慣れている分、全部まとめよう、integrate、統合しようみたいな。こういう効率化なのか、癖なのか分からないですが、そうなった時に、想起した人ごとに、その場でしゃべられる独自性みたいなところが、むちゃくちゃいいなと思ったので。

そうすると、コミュニケーションというのがあったりすると思いますし、いろいろなことのクオリティーとか、間柄の関係性が変わってくるかなと思って。

声を掛けてくれたらうれしいじゃないですか。同時に三人が思い浮かんで、例えば収益性のことに関しては田口さんに聞きましょうと。最初の関係性構築に関しては観山さんに聞きましょう。ちょっと技術が分からないので大関さんに聞きましょうと。何かあるじゃないですか。要素分解があった時に、これが一気にまとめて、じゃあ田口さんどうですかと言うよりは、個別にそのテンションで、違うトピック、イシューをメインにしてしゃべるのはものすごく価値があると思うので。

これは、まず、今の世の中にないコミュニケーションとしての価値がすごく高いんじゃないかと。

○大関:Zoomのせいと言っちゃうとあれなんですけど、それを基本に生きているせいで、「会議をしよう」になるんですよね。会いましょう、何かを聞きましょうという時に、じゃあ1時間集まりましょうとなって。

○羽田:そうですよね。

○大関:一対一でZoomというのも、なかなかちょっと違うよなと思う部分が、何かあるんですよね。

かといって電話をしますか。電話は、拘束時間のことを考えると、効率が良くないんですよね。じゃあ、Slack等々でメッセージを残しておきましょう。その後にミーティングをしましょう。これも、まどろっこしいとなるんですよね。

そしたら、それこそ、今、声で「羽田さん」って言った通り、呼び掛けるって、やっぱり声なんですよね。「@羽田さん」でもいいんだけど、何か違うんですよね。この話題を今考えているから、これについて聞くぐらいの時には、「@羽田Slackでメッセージ」みたいな感じでやるんですけど。

これだったら、「羽田さん」って言ったら、その声のテンションで、あ、今、必死に何か作っていて、それについてのアイデアが欲しいだとか、ちょっとにやにやしているから、くだらないことだなとか、そういうのが分かるかなと思うんですね。

これは、実は、言われたらその場で声が出るようになるんですけど、その時に、もしもお持ちになっているとか、ミュートにしていなかったら聞こえて、「なになに?」というふうにして声を掛けたり、例えば電車の中だったら、チャットをするって全然いいんですけれども、これを後から見た時に、当然再生できるんですよ。

なので、どんなテンションでしゃべっているのかが分かるんですよ。これは結構強いなと思って。

○羽田:いいと思います。

○大関:「羽田さん」という4文字の意味が全然違うんですよね。

○羽田:そう。さっきは、結構、こういう時のデモとしてのしゃべりだったんですけど、レアなシーンだと、緊急な対応をしなければいけない時の大関さんのトーンだったなというのが、一瞬で、今言語化したんですけど、伝わりますし。

そういった意味では、シンプルにコミュニケーションコストがあるとすると、下がるみたいなところで、ものすごいべーシックな価値はあると思いましたし。例えば、営業をする時に、知っている中で、既にお客さんになっている人に、また新製品ができたのでと、大抵メールでやるじゃないですか。

でも、「できたんっす」みたいなトーンだと、全然違ってきますよね。というのは思ったので、あらゆるコミュニケーションの時のコミュニケーションコストと考えた時にはそこを下げるという話になると思いますし、プラスにするところもすごくあるんじゃないかなと。

あなただけに感、というのはすごい大事だと思うんです。あなただけに伝えたいことが、お互い、あなただけに伝えたいというところがあるし、あなただけに来たというのが分かるじゃないですか。そこの気持ち良さというところが、今、世の中にどんどんなくなって、やりにくくなっている。

そういった意味では、営業ツールなのか、コメントツールなのか、いろいろな形があるとはいえ、すごくべーシックな人間の生活に必要なものじゃないかなと思って、ものすごい可能性がいっぱいあるなと思いますね。

○大関:そうなんですよね。自分はどうしても技術側なので、何か作った時に、「ねえ、聞いてよ、観山」と言いたくなるわけですよ。「すごいの、できたんだけど」とか。そのプロジェクトに関わっているビジネスサイドの人たちも、今か今かと待っているわけじゃないですか。この課題を解いたらお客さんが喜ぶから、いろいろな提案ができるから、頑張ってほしい、技術サイドに、という時があるわけじゃないですか。

その時に、「できた!」ってドアをバンと開ける感じはきっと必要で。そうすることによって、内容以上に、ディスカッションに熱が入ると思うんですよね。熱が高まって自然にZoomだったり、自然に本当の会議をするというのはあっていいんだけど。

それよりも、たぶん、仕事って、決める時は決めるんだけど、先ほどもありましたけど、仕事の経過を味わいたいんですよ。何かができるんだと思った時に、一気にガッとやるし、何かができたとなったら、じゃ、次は何をしようかと言って動きがあるわけですよね。

そうすると、さっきのカーリングじゃないけれども、例えば、みんながわあっとディスカッションしている中で、あるメンバーがひと言、「それってさ」って言ったら、みんながバッと聞くみたいな感じじゃないですか。

だけど、Zoomの会議で、5人ぐらいで会議をした時に、「それってさ」と投げ込める人って、キャラクター次第なんですけれども、難しかったりするんですよね。

だけれども、突然思い付いて、後で、長文でチャットで言う人もいるんですけど、言葉でだったら言える人も、きっといるので。そうすると、一石を投じやすくなるはずで、今まで、ある意味、このビデオ会議時代でふさぎ込んでしまった、ポテンシャルがある人を救うことになるのかなとか。ディスカッションをやってみて弾まなかったけど、「君、どう思っているの?」って言われたら言えないけれども、これだったら、もしかしたら言えるかもしれないというのはありますね。

恋の告白に使う人も出てくる

○大関:これ、プライベートでどう使います? ちなみに。

○羽田:プライベートか。

○大関:そう、これは、要するにトランシーバーなんですよ。トランシーバーって、子どもの時にすごいわくわくしましたよね。

○羽田:確かに確かに、確かに。

○大関:トランシーバーよりも、4G回線なり、携帯電話だったり、無線Wi-Fiを使ってすげえ遠くからでもつながるというので、また、それも質として違うんですけれども。

○羽田:そうですね。YouTubeで、例えばおいしいものとかを見た時に、ここはあいつと行きたいとか、あの人と行きたいとかがあるじゃないですか。

○大関:確かに。

○羽田:だから、その時に「行こう」と言いたくないですか。

○大関:ああ。

○羽田:そうすると、予約サイトとか、ポータルサイトを越えられるようなところに行くんじゃないかなと思って。テレビとかでもいいと思うんですけど、本を見たりしているんですけど、ここのあいつ好きとか、あれ食べたいって言っていたよねとか、あそこへ行きたいって言っていたよねと。母親が食べていた時に。

それが過ぎると、わざわざ、今度会う約束してその時にしゃべるみたいな話があるのですけれど、ここ、食べたい、一緒にここ行きたい、みたいな時に言ってしまったら通じるというのは、すごくいいんじゃないかな。

○大関:確かに、何かあっと思った時に、LINE通話しますか、電話しますか。それは、夫婦だったり、親子だったりして、いわゆる緊急事態だったらするんでしょうけど、友達に言えるかもしれないですね。「なんかさ、すげえYouTubeの何々って面白いんだけれど」とか、旅行先で、「沖縄行ったことある? 沖縄でさ、何というのをさ、めっちゃおいしいって聞いたんだけど、どっかお薦めの店、ある?」とか、普通に気軽に聞きやすいかもしれないですね。メールだったら、わざわざ書く感があるんですよね。

○羽田:そうですよね。そうそう。テンションの伝わり方が違うから、純粋に食べたいのか、何か話をしたいのか、と思ってしまうんですけど。

○大関:そうだよね。うわ、これで恋の告白とかする人もいるんだろうな、きっと。

○羽田:たぶん、そういうかたちになってくると思うんですね。何でしょう、ちょっと変かもしれないですけど、本当に好きになった今の瞬間と、告白する瞬間はずれているわけじゃないですか。それがいいということもあると思うんですけど、マジで好きになった瞬間に言えるというのは、どういうことが生まれるのか、ちょっと見たいですよね。

○大関:これは、古くてめちゃくちゃ新しいんですよね。トランシーバーだと思うと古いんですけど、その時のトランシーバーは、距離の制限があったし、大人になってくると、トランシーバーは、仕事上使う人たち以外はたぶん、普段使わないんですよね。

これだけiPhoneだったり、スマートフォンが普及して、Androidもそうですけれど、通信できるものを常に持っているのに、じゃあ通信しますかって言うと、電話はしないし、チャットでつながっているけど、もう少しだけこれの利点を使ってみませんかというふうには思うんですよね。

○羽田:確かに。

○大関:本当につながり続けている実感が持てると思うんですよ、これ。

マーケティング、研究、学会発表のシーンでも使える

○羽田:それと、ビジネスのアイデアを考えていたんですけど、「この商品、めちゃくちゃおいしい」とか、「このプロダクト、めちゃくちゃいいね」というところを、逆のクレームはコールセンターみたいなものがあったりすると思うんですけど、本当に「ワオ」みたいなところって、YouTuber、インフルエンサーみたいな仰々しい形しかいませんよね。日常の「いや、これ、使っていて良かったね」みたいなところを拾えたりするところは、マーケティングとしてもすごい面白いんじゃないかなと思っていて。

いつでも言いたいことを言えて、何かしらフィードバックがあるような常時回線コミュニケーションカスタマーツール、みたいなところが面白いんじゃないかなと思って。

○大関:しかも、情感のこもった声のまま言えるので、その時には対応できなくても、後で聞き直して、「ほんとにほんとに幸せな気分なんだね」とか、「本当に怒っているんだね」とか、「本当に悲しんでいるんだね」というのを、まんま閉じ込めて残しておけるわけじゃないですか。データって、言うたらそういうことなんですよね。

○羽田:うんうん、うんうん。

○大関:なぜか、メールとかの言葉から、一気にストリーミング再生がはやって、いわゆるYouTubeとか動画の時代になっちゃった。その合間にある音声というちょうどいいデータというのは、実はiPodとかで音楽を聞くようには使われていたけれど、僕らのコミュニケーションで使えたのに、なぜか電話と同じようなものしかなかった。

そうすると、感情を残しておいて、昔のことであったり、今の瞬間というのを平等に扱うことができるので、コメントにもありましたけれど、タイムトラベラーアプリケーション的なものが作れる。すごいことかもしれない。

「海外の大学でよくある、お茶の時間みたいにできれば、研究のブレイクスルーが起きるかも」。あのね、研究している時に確かに思うんですよ。夜中に思い付いちゃうんですよ。それで、夜中に思い付いて、研究はだいたい一人でやっていますから、それで思い付いた時に、「だ、だ誰か聞いて」ってなるわけですよ。

もちろん、ディスカッションできればそれに越したことないんだけれども、思い付いた時に、言葉に変換しなきゃいけないんですよね。その時に、書くこともできないことってあるんですよ。

その時に、わあって言うんだけど、たぶん研究のツールでレコーダーを使っていらっしゃる人も中にはいるんですけれども、これだったら、そのレコーダーの機能プラス、共同研究者だったり、パートナーの人に、「聞いて・・・」と残せるんですよね。それで聞いて、朝起きた時とか、出勤した後とかに聞いて、「何? 何かすげえの思い付いたんだって?」というふうにドアをバンって開けてくることができるわけですよ。

チャットとかで文字にしましょうと言うと、何かうまく言えないんですよね。これ、また不思議なことに。思った通りにしゃべるということと、思った通りに書くというのは全然違うので、それこそ人によって得手不得手もあるかもしれないし。そういうギャップを埋めることができるので、たぶん。

今、アキさんがおっしゃってくれましたけれども、「研究のブレイクスルーを起こすようなお茶の時間の代わりになるもの。一人で思い付いた時に夜中にギャーって叫ぶだけじゃなくて、それをまとめつつ、共同研究者とか同じ思いを持っている人に伝えることができて、そうしたらその反応でまた盛り上がることができます。ちょっと時間差はあるんだけれども、情熱の差はそのまま変わらないようにできるものなのかな」というのはありますね。

○羽田:いいですね。研究の話で言うと、僕はサービスデザインを専門にしているんですけども、もともと光、オプティクスとか、VRとか、Human Machine Interfaceをやっていたので、学会とかだと、デモができるんですね。だから、僕は経験しやすいですし、感想も、言葉にできなくても様子だけで分かるみたいなところがある。

ただ、分野によっては、ポスター発表でリアクションとか、すごいしにく分野があることは僕も知っているんですけど、それに対する率直なコメントとか、レビューは絶対に必要だと思いません?

○大関:確かに。ポスター発表のところに、これを、iPhoneなり何なりのデバイスを置いておいて、長押しして言っておける、というのはありますね。

○羽田:これは普通の録音などでもできるんじゃないかと思うんですけど、常時つながっていて、聞いているやつが周辺のホテル、サイバーでつながっているとか、翌日の講演を準備するとかあるじゃないですか。だけど、そういう緊張状態だからこそ、離れているからできるインタラクティブが、アカデミアに貢献するんじゃないかなと、ちょっと今、ぱっと光景が浮かんだんですけれど。

○大関:だから、ポスター発表も、同期を強制しているから2時間なんですよね。貼り続けておくことができるから、夕飯の時とかに、「あれ見たんだけどさ」みたいなのはあるけど、その時の気分がちょっとだけ変容しているんですよね。落ち着いちゃったりとか。

それを、その場で呼び掛けて、「俺、おまえの研究を見てこういうことを思ったんだけれど、どうどういうことなんだよ」と言っておいて、例えば講演中で聞いているから別のことをやっているんだけれども、休み時間とかに「まじで!」と言って。それはあるかもしれないですね。

「ただし、特許とか論文が絡むと難しいこともあるから、つながる範囲の限定は必要かもしれない」。そうですね。それが、ツール側での制限だったり、誰と誰にはこういうふうに聞こえるようにしましょうとか、そういうのができるのかなと思います。

一時前、めちゃくちゃおおはやりしたクラブハウスも、公開したり、限定したりとかで調整していましたよね。公開するのは楽しいんだけど、公開するのだったらしゃべれないというので、結構なフィルタリングが起こる。そこに攻め入るじゃないけれど、そこのお客さんたちとか、ユーザーさんたちに使いやすいものの一つになるかもしれないですね。

エンドユーザー、サービスを提供する企業、シグマアイの3社が、スパイラルになって事業を生み出す

○大関:あっと言う間に50分たっちゃった。ハネちゃんのことをちゃんと紹介しようと思っていたのに。

○羽田:普段通りできたのかなと思って。

ごめんなさい。ポスターを思い付くと、大関さんが言われているように、ありとあらゆる展示会が変わると思いました。これは、大関さんチャレンジのように、オンライン化とかがあると思うんですけど、その機能があった時に、行かないから本当にもっとできることだとか、そこに展示員がいないから言えることとか、展示会のアップデート、ビジネス的にもすごく面白いんじゃないかなと。

○大関:展示会で場所を占有しなくてもよくなるかもしれないしね。常に、何かの、どこどこ社さんの展示があるという状態じゃなくて、こういうのでずらしが利くからできるとか、あるかもしれないですね。

なるほど、展示会ね。それは面白いですね。ありがとうございます。

ちなみに、ハネちゃんは、こういう技術の種を膨らませていって、事業化に結び付けていく役割なわけですけれども、ここで見ていらっしゃる人って、事業開発とかに興味がある。それこそこの技術の種が、すげえ長い道のりを通ってですけれども、事業化だったり、何がしかの本当に新しいビジネスの種になる。そういう営みを見ていきたいと思っている人たちが集まっていると思うんですけど、事業開発のコツとか、難しいところも含めなんですけれども、どういうふうに考えるのがいいのか、ということを教えていただけるとありがたいんですけれども。

○羽田:そうですね。皆さんと価値を生むためなら何でもやるという意気込みが大事だと思って。何でもやるというところが、例えば職種的に、営業とか、研究とか、コンセプトデザインというところもあると思うんですけど、マーケット用語になってしまうんですけど、マーケットインとか、プロダクトアウトとかあるじゃないですか。それで、プロダクトアウトだから日本は、みたいな話があったりすると思うんですけど、僕はそうじゃないと思っていて、プロダクトイン、プロダクトアウト、マーケットイン、マーケットアウト、全部要ると思うんですね。

どういうことかと言うと、お客さんの世界がある。シグマアイの世界があった時に、シグマアイの言葉で、「量子を使ったサービスはすごい」と言ったって、お客さんの世界では意味が分からないし、ましてや価値を受け取れない。

そこは、実はプロダクトアウトということなんですけど、まず発信しないと分かってもらえないので、僕らから、技術的にも、ビジネス的にも僕らの言葉でまず届ける。次に、お客さんの世界の中で、お客さんの言葉で理解するところに持って行くことが非常に大事です。それが、いわゆる営業とか、マーケティングだとか、いわゆるPoC検証というところで、そこを一緒の立場でやると、僕らの言葉で最初は届けたんですけど、お客さんのワールドの中の言葉とか価値観で理解するようになる。

それで、いきなり、めちゃくちゃ私たちの世界にとってうれしかった、ということにはなかなかならないと思うんですよ、1周目では。そうすると、お客さまのトップとかユーザーの言葉で、僕らに「こういうところは使いにくい」と彼らの世界で言ってくるわけです。で、これをフィードバックするという話じゃないですか。

その時に、お客さんの世界のお客さんの言葉で受け取ったものを、大関さん、こういうことですと言って、技術者とかに伝わらなかったりするじゃないですか。お客さん迎合になってしまって、御用聞きすればいいものができるというわけじゃないですよね。僕らのビジョンとコンセプトが大事なので、それにのっとった言葉に、今度はシグマアイの中で変換しないといけない。

これをぐるぐる繰り返す時に、営業的なこともあれば、コンセプトデザインもあったりするし、時には、エンジニアと一緒に検証するとか、技術的なディスカッションするとか、共同研究を一緒に営んでみることもあります。自分たちの世界、自分たちの言葉、お客さま・エンドユーザー・生活者の言葉・世界が、スパイラルのように一緒のところを目指していくのが、事業開発かなと思っている。

○大関:なるほどなるほど。その考えに至ったのは、長年の経験なんですか。でも、もともと研究寄りの人ですよね。

○羽田:研究寄りですけれど、ひねくれているので、例えばデザイン志向だとか、経営戦略とかがあるじゃないですか。それでうまくいくのなら、世の中はもっとハッピーになるのに、うまくいかないということは、世の中がビジネス化されているからかなと思った。

1個すごく大きな転換点は、経営戦略を学んだ時に、ビジネスを作った時に素晴らしい経営戦略があって、それにのっとればいいとか思ってしまうわけじゃないですか。僕は、ヘンリー・ミンツバーグという方が研究対象だったんですけど、時と場合によって、極端な話、戦略は組み替えればいいと言っていて、めちゃめちゃ計画する場合もあれば、それこれアジャイルにやってみて、自社のパターンとして得意なものを戦略化するみたいなものがある。それは時と場合によって使い分ければいいじゃんというようなことを言っていて、なるほどと思ったんですよ。

なので、大関さんが言ってくださったように、、ある時は研究者モードで事業開発をやる時もあるし、今日のようにちょっとアーティスティックに、大関さんだとアーティストになれるので、アートになれば、めちゃくちゃロジカルにここは考えるべきだな、みたいな話がある。

だから、多重人格で、よく学際領域とか、STEM教育とか言われると思うんですけど、あれを本当にやってしまえばいいんじゃないかと。自分の中で多重人化することと、お客さんに対しても、今、仙台市のプロジェクトをやっているような、実際の現場に行くこともあれば、行政の人と話すこともあるし、若手研究者と話すこともあると思います。そこの行き来ですら、多重人格的にやると、関係性のブリッジとかコネクトの仕方が見つかってきて、さっき言ったスパイラルが描けるんじゃないかなと思って。

一種類の専門家がいると、ほかの人が過度に必要になったりすると思ったので、自分はちょっとカメレオンっぽく存在してもいいんじゃないかなと思ったというところです。

世代や年代に関係なく、誰とでも議論ができるのはシグマアイの魅力

○大関:僕は、大学で共同研究等々をして、いわゆる企業の人たちと会うようになってから今になっていったというのがあって、もともとは、理論物理といって食ってもいけないような地味なことをやっていたんですけど、それは面白いんですよね。

身一つ、鉛筆一つで世の中のことを解明するという営みなので、それはそれでエキサイティングなんだけれども、いろいろな世の中の切り出し方があるんだなと。共同研究しながら、いろいろな課題が世の中にあることを知ってしまった。

その課題を解くのに、みんなで協力し合っている。あ、そういうところに僕も参加することができるんだろうかと思った時に、鉛筆一本じゃ足りないんだよねということが分かった。だけど、体を動かす運動選手と同じで、頭を動かすのは好きなので、今までやったことはないけれども、できるんじゃないかだろうかと言って、カメレオンっぽくというのはまさにそうで、僕、手の計算だったら得意ですよ。コンピューターの計算だったら得意ですよと言って、初めての課題なんだけれども、役割を変えて参加することが楽しくなってきたんですよね。

そういうことも考えると、大学の研究者以外も、やってもいいかもしれないと。辞めるというのとは違うんですよね。あれもこれもやることが楽しいし、そうすることによって、世の中のいろいろな課題をクリアするために、うまくはまることができる。そうすることによって、僕たちがお役に立つことができたら、というのでシグマアイを作るかという話になっていったんですよ。シグマアイっぽいハネちゃんが、今日は事業開発のお話をしながら、このチャットアプリをどういうふうに生かしていくかということを考えながら、新しい告白のスタイルができるんじゃないかということまで話ができました。

あっという間に8時になってしまったという。1時間というのは、やる前になると、長げえな、そんな話すことあるかなって考えがちなんですけれども、やってみると1時間というのはあっという間でございまして、まだまだ話し足りないことはあるかもしれないし、聞き足りない部分もあるかもしれませんけれども、一応、ちょうど8時になりましたけど、本日はここまでにしたいと思います。何か、羽田さん、言い残したこととか、もうちょっと言いたいことはありますか。

○羽田:皆さんありがとうございました。これがいつも通りの姿で、ここでまたアイデアが膨らむというところが、シグマアイの面白いところかなと思いますので。

○大関:そうなんですよね。

○羽田:説明できたほうがいい場合もあれば、説明できないところの良さもあると思っていて、具体的、具体性が欠けるなという議論として捉えられるかもしれないんですけど、その分可能性があるというところと、今の世の中を見ると、こういったスタイルが新しい時代を切り開くんじゃないかなという。世代とか、年代とか、いろいろなことを関係なく、こういう議論が誰とでもできるところはシグマアイの魅力ですし、今日の大関さんという、ある意味友達であり、友人であり、同僚であり、みたいな関係でお話しさせてもらったというところだったと思います。

○大関:ありがとうございます。本当に、これは普段通りなんですよね。外で配信するだから、もうちょっと行儀よくみたいな話が当然あるんですけども、それを変えてもしょうがないし、ありのままを出すというのがこのSigma-i Labのコンセプトでございましたので、また違ったなのか、同じなのか分からないですけれども、シグマアイって本当に変わっているなって思われたら、それでいいかなと思います。

ただ、ずっとこれを長く見続けていただければと思います。あの時言っていたことが、例えば4カ月後に形になったり、半年後の布石になっていたりします。それぐらい、いろいろなことを張り巡らせながら考えるのが、議論するのが、議論という言葉とは違いますね、おしゃべりするのが好きなんです。だけれども、裏ではこういうふうに技術をめいっぱい使って、言ったことを言っただけじゃなくて本物にする力もありますので、いろいろな人が活躍することができるのが、このシグマアイの良いところかなと思います。

技術を持っているあなた、そしてビジネスアイデアを持っているあなた、何か新しいことをちょっと考えたいというねあなた、ぜひともシグマアイをこれから注目していただいて、もしかしたら一緒にやる時があるかもしれませんので、引き続き注目していただければと思います。

概要欄のほうに、アンケートがございます。今日の分のアンケートとか、前回までのやつを振り返って、こんなことを思いましたとか、こんなもの作りたいと思っちゃいましたとか、こんなものに使えるんじゃないですかとか、そういうアイデアも募集中でございます。何なりとお気軽に、皆さまの声を、口に出す、手で書く、両方できる時代が来ましたので、ぜひともいろいろなことを、ご意見としてお知らせいただければと思います。ありがとうございます。

コメントのほうで盛り上げていただいた方も、ありがとうございます。「心のグラデーションを感じました」、良かったです。

○羽田:いいですね、この言葉は。

○大関:すてきな言葉をありがとうございます。

ユーザーインターフェース的に、いろいろな人が触れるように、シンプルで、こうやればいいのかということを普通に感じたままに使えるような、ユーザーインターフェースを僕も目指すところでございますので、ぜひとも、公開された折には、使い勝手が悪いとか、良いとか、そういうフィードバックもお待ちしておりますので、乞うご期待というところでございます。

くまパンダさん、ご帰宅って、30分ぐらいの時に言っていましたけれども、お疲れさまでございました。皆さんも、今日は金曜日でございますので、よい週末を迎えていただければと思います。

では、春になりましたので、暖かくなったかと思いきや寒くなったりもしますので、引き続き健康には注意して、楽しく生きていただければと思います。また1カ月後かな、次回お会いできることを楽しみにしております。それでは、またね。どうもありがとうございました!

○羽田:ありがとうございました!

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