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大学発スタートアップ企業のコアメッセージと評価制度の作り方:Sigma-i Lab #10 文字起こし!

1月31日に開催されたミートアップ「Sigma-i Lab #10」では、東北大学発のスタートアップ企業・シグマアイで組織開発を担当する3名が集い、先進的な技術・アイデアとビジネスを両立するための会社作りについて語りました。登壇者の高砂は、シグマアイの「コアメッセージ」を策定。また、小林は「評価しない評価制度」を新たに策定して、一人ひとりのクリエイティビティを最大化できる環境を作りました。これらのプロセスを赤裸々に語りながら、参加いただいた皆様からも意見をいただきました。その模様の文字起こしをお送りいたします!

<登壇者>

大関真之(おおぜき・まさゆき)シグマアイ代表取締役CEO。東北大学大学院情報科学研究科情報基礎科学専攻・教授

髙砂 優(たかすな・ゆう)シグマアイ 事業開発・組織開発担当

小林 孝広(こばやし・たかひろ)シグマアイ 事業開発・組織開発担当

テーマは、会社づくり。新しく作った評価制度などをお話します

大関:どうも、こんばんはでございます。いきなり始まったから演者もびっくりしてます。実はこれ、流れてますから、もう。

髙砂:流れてます。

大関:はい。シグマアイラボです。

髙砂:よろしくお願いします。

小林:よろしくお願いします。

大関:オープニング、途中固まってしまいまして。配信している私が一番びびったんですけれども。皆さん、いかがお過ごしでございますでしょうか。ちゃんと、視聴数的には、皆さん待っていただいたんだってことを認識しておりますけれども。今、私は音声とか大丈夫かなってチェックしながらでございますけれども。

今日はお二方、ゲストで来ていただいておりまして。シグマアイの第2世代?

小林:ですね。

髙砂:第2世代。

大関:何、固まってるの。

ちょっと待って。僕は今、映像がどうなってるかが心配なわけ。これを見ると「遅延してるね」とかあるわけ。それがリアルに遅延されると、「おや?」って思うの。頭がバグるわけ。落ち着いていただきたいから、もちろんそうなんですけれども。

というわけで、改めまして、シグマアイラボでございまして。株式会社シグマアイの全てをさらけ出すという、危険な番組でございます。YouTubeライブで配信をするので、今、何が起こったかっつうと、オープニングを流してたと思うんですけれども、その途中でPCがいかれるという。さっさと再起動して、気を取り直してやり直してるというところでございます。

じゃ、落ち着いてきましたかね。元気よくあいさつするところから始めますよ。

髙砂:はい。

大関:何が面白いって、前回までのシグマアイラボ見ていらっしゃる方いらっしゃると思うんですけど。大体学生さんとか、簡単に言うと若い人が出てたわけですけれども。今回は、おじさん3人組と。第2世代であり、ナイスミドルな人たちを呼んだんですけれども。こっちのほうが固い。

髙砂:んー。

小林:んー。

大関:さっきまでの勢いと全然違うじゃないですか。

小林:急に。

髙砂:そうですね。

大関:どうしたの? 大丈夫?

髙砂:全然。これからエンジンかけていきます。

大関:人生初らしいんです。人生初YouTubeが生配信。しかも、オープニングでとちられるという。最悪の状況だと思いますけども。そういう時は、声を出して始めるとちょうどいいと思いますので。自己紹介のほど、よろしくお願いいたします。

髙砂:髙砂優と申します。シグマアイでは事業開発ということで。
面接みたいですね。

大関:もう採用されてますからね。どんだけ仕事してるっちゅうねん。

髙砂:1年ぐらいの試用期間があったんじゃないかなと思ってます。ていうぐらい、いつも試されてるんじゃないかと思うぐらいの緊張と疲労と入り混じりの。何かうまいこと言おうとは考えてんですけど、なかなかちょっと出てこないんで。

小林:なるほど。

大関:出ません、出ません。

髙砂:出ません。

大関:全て事故です。

髙砂:今日は、なんだかんだで楽しみに来てますので、いろんなお話をできたらなというふうに思っていますので。まずは、あいさつとしてこのぐらいに。

小林:めっちゃ緊張してるかも。

大関:そんなつもりじゃないの?

髙砂:いえいえ、そんなつもりじゃないです。変化を出していきたいと。

大関:これからボーンって行くってことですね。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。なんか深夜だか朝方のラジオ番組みたいになってきましたね。

髙砂:確かに。

大関:それでは、もうお一方、よろしくお願いします。

小林:シグマアイの小林と申します。私は、こういう場っていうのは、そんなに多くはないんですけど、昨日もちょっと別のイベントで話をさしてもらったんですけど。

今日はテーマとして会社づくりっていうところでもあるので、後ほど僕が今担当してるような評価制度だったり、みたいなところを中心にお話ができるといいなとは思ってるんですけど。違うところに脱線していくほうが楽しいだろうな、みたいな期待もしつつ。

正直、過去いろんな経験をしてきているので、言えないこともたくさんあるんですけど。そういうものから、いろんなものちょっとひねり出しながら、伝説の回になるように。

大関:伝説の回。もうなってるけど、既に。オープニングから何かが起こるぞっていう。

髙砂:伝説の回、確かに。

大関:怪しい電波出てるぞっていう雰囲気はあるんですけれども。

小林:ちょっと隣に武士が座ってるから。

大関:そうですね。

小林:その武士の刀をちょっと抜いていこうかなっていうような形で。

髙砂:武士に怒られます。

小林:楽しい回にしていけたらなと思ってますので、よろしくお願いします。

40近くになってきて、「俺ほんと何したいんだっけ」

大関:お2人の新しいポテンシャルが明らかになってきて、私個人はすごい楽しみです。そもそも、シグマアイの今メンバーとして、お仕事していただいておりますけれども。それぞれそもそもどんな経歴であったりとか、どんだけ武将としてなしてきたかっていう話。そんなキャラクターで行こうとしてるわけですから。

髙砂:武将としてね。

大関:過去どんな経歴をお持ちで、言うたらスタートアップに来ちゃったわけじゃないですか。ある種の一念発起をしたと思うんですけれども、そういったエピソードも交えつつ教えていただけたらなと思うんですけども。

髙砂:私からですね。

大関:はい。

髙砂:そうですね。

大関:それでいくんですか。面白いな。

髙砂:そうですね。もう映ってんですか。

大関:そうですよ。今さら?

髙砂:すごく普通の大学生で、僕なんか多分、一番人口の多い私立文系というカテゴリーからよく何も考えず商社に。

大関:商社。

髙砂:商社に入ったんですけど。漠然と飽きやすいので、創造、クリエイトする創造をする世界に行きたいっていうのと、あと海外っていう、この2つだけです。もうほとんどそれだけで就活をして、たまたま引っかかった会社に行ったというところがあって。

でもそこで結構堅い仕事してました。あんまり細かいこと言ってもしょうがないんですけど、商社っていうの、いろんなプロジェクトがあるんです。皆さんいろんな想像されると思うんですけど。石炭とか天然資源がとか輸入とか何とかって、いろいろあると思うんですけど。

要は商社ってどこまでリスク取っていいんか。リスク取れる範囲で最大限まで頑張って利益上げましょうみたいな、このなんかトレードオフみたいなところがあるんです。ここがどんだけうまくやるかみたいなことを考える、リスクを考えるような仕事をしてたんですけど。

そうこう、こういうことをやってるうちに、もうちょっと外に前向きに。前向きって言っちゃ……。前向きって言い方すると、前の仕事が前向きじゃないみたいな話なのですごくよくないんですけど、どっちかと言うと、やっぱ真剣に見なきゃいけないんで。穴を見つけるとかネガティブサイドもしっかり見て、こういうこと直していかなきゃいけないね、みたいな話があるんですけど。

それも大事だけど、やっぱそれよりも前を向くと言うか。すごく簡単なこと言うと前を向く仕事をしていきたいなっていうふうに。前向いてないみたいな仕事って何ですかね。言っちゃいけないこと言ったかもしれない。

小林:全然、大丈夫。

髙砂:前向くような仕事をしたいな、とかっていうふうなことを言ってて。その間、海外留学したりとか、コンサルティングやって企業をどんどん元気になっていくように、そういう課題解決の仕事をしたいな、とかっていうことは考えていろいろやってたんですけど。

なんかやっぱどっかで、自分にうそをついてるような感じとかと戦いながら。戦いながら蓋をしつつ気付かないふりしては、「やっぱ俺はこういうことやりたいんだ」みたいな。たくさんのうそをつく自分と、これとなんか戦いながら。やっとなんかいろいろ40近くになってきて、「俺ほんと何したいんだっけ」みたいな話に真剣に向き合える、向き合っていいんだと思えるようになったみたいです。

誰が言ったわけでもないのに、おりを開けてもおりから出てかない動物みたいになってた自分がいて。それってなんか変だなと。自分らしくないなと思った時に。これは40近くになって、気付くの遅いんだけど、「もうなんか、そういうの好きにやりゃあいいじゃん」とかって思っていた時に。

たまたま、ここに来る前にスタートアップが蓄電池とかやってるとこだったんですけど。そこで船舶、船の領域を電動化するみたいな話があって。こういう結構、社会に直結して世の中が変わっていったりとか、社会解決みたいなやつの色合いが強いところをダイレクトに行くようなことをやりたいなと。

どの仕事もそうですけど、言ったらこれももうちょっと自分がこう……。月並みな言葉で言うと手触り感があるみたいなこと言いますけど、自分が当事者としてやるっていうとこに行きたいなとかって思って行きました。

行って、たまたまいろいろあって、やってた部署が、部署と言うかそのプロジェクトがなくなった時に、でもやっぱり引き続きこういう新しいテクノロジーで……。て言うか、テクノロジーが結構大きく変えるんだろうなっていう感覚が、やっぱりそん時、感触で持ったのと。

あと技術って言うと、どうしてもその技術を扱う、それを熟知した人が主役のように思うんだけど、そんなことねえなと思ったんです、その時に。それと社会をつなげるブリッジは絶対いるなと思った時に、役割はあるぞというふうに思ったので。

じゃあやっぱり引き続きこういうことはしたいなと思ってた時に……。僕、大学発だったんです、前の会社。大学発スタートアップって、やっぱり面白い研究やってるから。じゃあやっぱそういうとこから探してみよう、みたいな感じで。非常に非効率に、しらみつぶしに、大学発スタートアップっていうの全部ばあっと見てやって。

結構Excelで公開してるとこもあるんです。そういうの見てった時に東北大学に行き当たって。したら量子コンピューターの話が出てて。「ここも、すっげえ、俺、全然お呼びでないんだろうな」とか思いながら、いきなりメールを送ったんです。Wantedly、言っちゃいけないけど、そういうのとかじゃなくて。ダイレクトでメールを。

大関:そうだったか。

髙砂:僕、何の媒体もなく、いきなりメール送ったんですよね。

大関:確かに、あの頃、まだそこまでシステムティックじゃなかったから。そうだったんだ。

髙砂:あったっぽかったんですけど、僕はそれ見つけられなくて、メールでポンと送って。こういう者ですけど、話してくれませんかって言ったら。

大関:元気だね。

髙砂:そうなんです。そしたら、すぐに執行役員の田口さんから来て「話をしよう」と来て、カジュアル面談をして。「ああ、なるほど」って言って。

大関:こんな者ですと。

髙砂:そうです。それで、やっぱり何より社会課題発いうところが自分には刺さって。だとすれば、やっぱり自分自身もその場で当然主役になれるし。そういう技術ってものにも触れながらしたいことができるなと思って。ちょっと長くなってましたけど、そんな感じで来たという。

大げさですけど、シグマアイに入るのが、幸せになる方法かなとちょっと思って。

大関:いやでもこの画角が、マック(小林さんのニックネーム)がうなずきながら聞いてるんだよ。この2人の番組として成立してます。

髙砂:ほんとですか。今日ちょっと、若干だらだら目にしゃべっていいのかなと思って、そういう感じで今。

大関:なんかもちろん、今までのやつと雰囲気が、しっとり感が違いますけれども。これってなんか重みなんだなって思いました。

これまでいろいろ考えてきて、悩みに悩み抜いて、さっきの、自分の声に。なんか心の声を聞いて、ようやく後押しを自分からする感じ?

髙砂:そうですね。やっぱり自分にうそつくみたいな話ってずっと拭えないかなと思ってて。すごく陳腐な言い方かもしれないですけど、相対と絶対みたいなのがあった時に、相対の中に自分を置くと、一生これは多分幸せになれんって思った時に。自分なりの絶対的な基準っていうのが持つ確率っていうのが、やっぱり自分の中の一番、大げさですけど幸せになる方法かなとちょっと思って。だからこそ、ここにいるんですけど。そう思えなかったら多分、今ここにはいなかった。

大関:そうですね。今ここの優ちゃんの話で、その間にコメントがあったわけです。

髙砂:ほんとですか。

大関:「シグマアイ面白そう」。

髙砂:俺も見てました。

大関:うれしいね。こんなしっとりした話にっていう。どこの方向に番組が持って行くかって、司会者としてははらはらしてますけれども。のびのびと語ってもらえたってのは非常にうれしいですけど。

髙砂:今この感触で思いましたけど、これ1時間早そうですね。

大関:そうなんです。あっという間ですよ。

小林:あっという間ですよ。

大関:出演していただいた方々、大体1時間じゃ、ある意味足りない。1時間20分、30分ほしいなって言うんだけれども、ピシャっと切る。

髙砂:そこはシャープっていう。

大関:次、どうなるんだろう。あの人どんな……。もっと話聞きたいってなったら、シグマアイ来ればいい。

髙砂:メールをしろと。

大関:そう、直接。わりとウェルカムですから。直接メール、確かにinfo@sigmailab.comってあるんですけど。あれやるとみんなに届きますから。みんな見てるから。

髙砂:みんな見てます。

小林:見てますね。

大関:僕なんか毎日のように来るから、「ああ、こんなの来た、こんなの来た」って全部チェックしてますから。そういう意味では、まだサイズ感的にもまだまだちっちゃいところもあるので。面白そうだと思っていただけたら、メールをいただけたらと思います。

髙砂:よかった。

大関:終わってないよ(笑)。

小林:楽になった、一気に。

大関:そうそう。緊張ほぐす意味でもね。

髙砂:そうですね。

パイロット試験は撃沈。「給料高いよ」と聞いて、たまたま受かったのがキーエンスでした

大関:キャラクターが皆さんに伝わったってのが、一番重要かなと思いますので。それでは、じゃあマックは過去こんなことがあって。それで紆余曲折あってシグマアイに流れ着いてきたっていう話を。

小林:ということで、私さっきコメント来てましたけど、社内でマックって呼ばれてるんです。

大関:そう。何でマックなんでしょうね。

小林:確か映画の話になって。その時に「トーマス・クラウン・アフェアー」っていう映画が好きだって話をしたんです。そしたらそれって、「もともとスティーブ・マックィーンがやってた映画のリメイクだよね」って話になって。僕、それリメイクだっての知らなかったんです。結構、映画詳しい人社内にいるんで。ていうので、スティーブ・マックィーンからで。

スティーブ・マックィーンと言えばデニムジーンズだよねって。僕、倉敷市出身なんです。倉敷市、岡山県、デニムの町、国産デニム発祥の地みたいなところからマックになっちゃった、っていうところで決まっちゃったんですけど。

別に不満もなく、うれしくもなくみたいなところあるんですけど。みんなそれぞれニックネームがあったりするんで。

大関:そうそう。なんか普通に定着しましたね。

小林:そう。

大関:優ちゃん、マックってね。

小林:言いにくいのは、僕がMacユーザーなので、パソコンのMacユーザーなので、マックのMacが、何のマックだみたいな。

ていうことで話、脱線しちゃったんですけど。

私はもともと高校生の時にパイロットになりたいと思って、海外の大学に留学をしたんです。なので日本の大学行ったことなくて。海外の大学で飛行機のことちょっと学んで。

パイロットになりたいなと思いつつも、大学3年生の時、2年生3年生の時に、ボストンの大学だったんですけど、ボストンキャリアフォーラムっていう日系の大手の企業が、留学生を青田買いに来るジョブフェアーがあるんです、毎年。

就活生じゃない時っていうのは、その出展した企業のお手伝いをするっていう、高単価のバイトがあるんです。それに日本人留学生の就活生じゃない人たちは、こぞって参加をして。そこで意外とコネクションができて。そのまま就職決まっちゃうっていうケースも結構あったりするんで。

そういうバイトに行った時に、担当したのが当時のモルガン・スタンレー。外資系証券バリバリみたいなところでお仕事さしてもらった時に。初めてです、自分の親戚とか友達以外の社会人っていう人に、仕事の場で接するっていうのがほぼ初めての状態で。見た時に、自分が社会人になった時、パイロットになった、こんな生活するんだろうなみたいなイメージを持ちつつ、そこにモルガン・スタンレーの社員の人がいるわけです。

見てたら、やっぱなんか楽しそうに仕事しながら、スターバックス飲みながら、ザ・アメリカみたいな感じで仕事をしながら、でも年収1億2億、平気で稼いでる人たちですよねと思ったら。パイロットの年収って高々これぐらいだよな、っていうスイッチが入っちゃって。「絶対ビジネスのほうがチャンスあんじゃん、楽しそうじゃん」っていうふうに思っちゃったんです。

結果、パイロットの試験は受けるのは受けたんですけど、当然、簡単に受かるものでもないし。あえなく撃沈したっていうところもあったんですけど。

大関:パイロットだけに(笑)。

小林:そうですね。撃沈したら駄目ですね。よくないんですけど(笑)。

髙砂:朝ドラもパイロットですし。

小林:そうですね。当然あと、ちょうど僕が留学した時に「GOOD LUCK!!」のドラマがあって、パイロット人気がドカンって上がっちゃって。競争率もその時、多分2倍3倍ぐらい、通常よりもさらに増えたタイミングだったんです。

髙砂:自分も航空会社受けました、その時。

大関:なるほど。

髙砂:受けました。

小林:ちょうどそういうのがあって、当然、狭き門でっていうところもあったので。て言ってる時に、そん時やっぱり就活のモチベーションどこに行ったかと言うと、お金だったんです、僕は。30歳までに年収1,000万以上稼げる会社、みたいなところで最後のフィルターかけてやってた中で、「この会社、給料めっちゃいいらしいよ」って聞いたのが、最初に入ったキーエンスって会社なんですけど。

そん時は僕はキーエンスなんて知らずに。友達がそう言うから行ってみようっていう感じで行ったら、トントントンってもう内定が出ちゃって。びっくりしました。3月ぐらい。ちょっと経団連のあの協定がまだある時で、それよりちょっと早い段階の3月ぐらいから試験が始まってたんです、キーエンスは。4月までに出ちゃった、内定が、3月か。ていう感じだったんです。

他の商社とかも受けたりもしたんですけど、お金が稼げるっていうところと。あとは僕自身、やっぱもともとパイロットになろうと思ってた前、建築家になりたいと思ってたところもあって。理系気質なところがあったので、ものづくりとかそういうもの好きだったので、キーエンスに入ったと。

世の中を変えたり、みんながあっと驚くようなものをつくることに興味がありました

小林:キーエンスに入って2~3年した時に、もともとずっと勤めるつもりはなかったんですけど、かと言って何かをやりたいわけでなかったんです。その時にたまたまパーティーで知り合った人が、次に行くAIGの方だったんですけど、誘っていただいて。

その方がいわゆる外資の金融マンっていうところがあって。僕がこのイメージしてた、当時のあのモルガン・スタンレーの人たちみたいなところもあったので。時間も自由に使いながら、お金もがっつり稼ぎながら、やりたいことをやってるみたいなところで、この人と仕事してみたいなと思って転職をしたっていうのが最初の転職です。

そっからはずっと保険業界ではいるんですけど。ちょうど転職したタイミングがAIGショック。リーマンショックがあって翌月がAIGショックみたいな時で。世の中を、世界中が騒ぎになってた時なんですけど。ていうのもあって、そのAIGグループの保険会社っていうのは結構やりづらい時が続いたっていうのもあって。そのチームごと独立をしたみたいな形で、そっから僕の独立人生が始まっていくんですけど。

ていう形で、自分自身の保険代理店っていうのを設立しながら、ていうのをずっと続けながら、やりたいことをやってくるみたいな。なので、スタートアップよりもよりどうなるか分かんないような状態のところをずっとやってきたっていうところがあって。

その中で仲間と会社つくったりとか、いろんなマーケティング系の会社つくってみたりとかって、いろんなことやりながら失敗しながら、みたいな繰り返しながら生きてきて。一番自分の人生を変えるきっかけになったのは、4年5年前になるんですかね、学校の経営にちょっと関わる機会があって。でも私立の、もう創立100年近い名門と呼ばれてるような学校で、高校と大学を持ってる学校法人だったんですけど。そこで役員として経営再建に関わるみたいな機会があったんです。

結果的に、それはちょっと世間を騒がす大事件に発展しまして。自宅に国税も来れば特捜部も来るみたいな、ドラマのような体験をしまして。そこの1年間、ほんと『半沢直樹』みたいな世界で。結構、「やばいぞ」っていうぐらい思ってたんです。

ほんとにテレビとか映画で見るような世界みたいなのがあるんだなっていうのを経験したんです。そこでちょっと覚悟を決めたところがあって。

そうなった時に、「どうしようか、これから」っていう、真剣に考えたんです。その時にやっぱり今まで自分の働く仕事っていうモチベーションが、自由だったりお金みたいなところがやっぱりあったんです。そういうところで身を置いてると、やっぱりまたいつかこういうことって、巻き込まれたりとかも含めて、あるよねっていうのは思ったところがあって。

子どもがまだ小さかったですけど、仕事のことを理解するようになった時に、お父さんの仕事こんなことで世の中の役に立ってんだなって、胸を張って言えるような仕事をしてたいなっていうのがまず1つあったのと。あとは、そういったお金の世界に身を置いてましたけど、やっぱり世の中を変えたりとか、何か新しい、みんなのあっと驚くようなものをつくるとか、そういうところに興味はありました。

なので、そう言っても5年10年先に、今ないけれども新しいサービスだったり、考え方だったり、価値観みたいなものをつくっていけるような会社に入りたいなっていうので、転職活動をずっとしていて。で、これがシグマアイの1つ前の人材系の会社なんです、ベンチャーなんですけどそこに入って、っていうのがキャリアを大きく変えたきっかけです。

その人材系の会社に1年半ほど、新規事業の責任者をやらしてもらいながらいる中で。そこはいろんな大人の事情もありつつ、評価制度だったりとか、自分がやってることとかの矛盾だったりとか、みたいなものをいろいろ感じてる中で。そん時、転職しようとまで思ってなかったんですけど、たまたま声を掛けてもらったところから内定いただいたんです。それが言ってもいいのかな、DMMっていう会社だったんですけど。

そこも心ひかれたのは、あそこ何でもやってるDMMって言うじゃないですか。僕やっぱ興味、いろんなことに首突っ込みたいタイプでもあるんで。なんでもいろんなことに挑戦できる、みたいなところはちょっと魅力的だなと思って。その時には転職の、またスイッチが入ったっていうのがあって。

転職活動してる時に、僕の場合はWantedlyからメッセージをいただいてっていうのがきっかけでシグマアイを知って。聞いてると、話、面接って言っても面接じゃないんですけど。

大関:そうだよ(笑)。

小林:なんか雑談をみんなでするっていう会なんですけど。

大関:お互い感覚をすり合わせて。

小林:それをしてる中で、シグマアイっていうのは量子コンピューター技術の会社ではあるんですけど、コンピューター技術にこだわってるわけじゃなくて。技術で世の中をまず良くしようよっていうベースラインがある中で、やりたいことは、自分がやりたいことにどんどん挑戦していいよ、やってよと。そういうものでどんどん事業つくっていく、事業開発をやっていいよと。なおかつ、これは時代的なものもありますけど、完全フルリモートで誰かに束縛されることもなく、日々「あれやってるか、これやってるか」って管理されるわけでもなく、みたいな環境で働けてるので、もう天国ですよ、ある意味。

ていう僕のやりたいことがやらせてもらいながら、僕自身、動物占いもペガサスなんです。束縛されるのが一番嫌いな動物なんです。

大関:なるほど。

小林:だから、管理されるのが嫌だからっていうのもあって自分で独立してやってきてたっていうのもあるんですけど。

コアメッセージと評価制度の策定によって、シグマアイに一つの大きな柱が立ったと思うんです

小林:そういう中でも今度、今日のテーマにもつながるところの人事評価の部分とかって、やっぱり自分が嫌な思いをしてきた部分でもあるので。評価制度なんて極論ないほうがいいと思ってるんです。

でも会社組織として、ある程度これからスケールしていくにあたっては必要なことなので考えてますけど。僕みたいな人でも納得できるような評価制度をつくると、みんななんか納得じゃないけどwin-winになるんじゃないの、みたいなところもあったりするので。その辺りを今日はお話できたらいいなとは思ってます。

大関:ありがとうございます。やっぱりナイスミドルが集まると深いですね。

髙砂:おっさんが集まるから人生が長くて、もう7時半過ぎてますよ。

大関:いや、7時半過ぎててもいいんです。この2人の質問、回答コーナーとか、普通にラジオ番組的にやったらうけるんじゃねえかなって思いました。何が飛び出すか分からないっていうのも面白いですけれども。

でも、大体こんな感じです。学生さんが、前回まで出てらっしゃいましたけれども。その時も、やっぱり最初は自己紹介。名前言うだけみたいな感じですけれども。でもやりたいこと、やってきたこと、やりたいことってひも解いてくると、どんどん出てくるんです。そしたら、やっと本題っていう時にはもう30分過ぎてるんです。たいして変わりません、そういう意味では。どうぞご安心いただければと思うんですけれども。

そんな感じで、ある意味、人生経験もそうですし業務上の、さまざまなところからの経験をお持ちの2人がやって来て。ある意味、やりたいことという意味では、明確なようでいて、まだ何を仕事にしたらいいかっていう、ちょっと不透明な状況というか、ふわふわしていたのが当時のシグマアイだったと思うんです。

それでスタートアップならではの、柔らかさかもしれないし頼りなさかもしれない。それをある意味リフレッシュすると言うか、再構築するために採用されたのがお2人なんです。

実際にそれぞれやってもらいたい仕事として、コアメッセージの策定、先ほどの評価制度の策定っていうのがありましたけれども。これで僕はシグマアイに一本槍と言うか、一つ大きな柱が立ったと思うんです。

なんで、今はみんなぶれずに、そのポリシーの下仕事をすればよいっていうことで。ある意味、前の向き方が、ある意味ばらばらなんですよ、みんなやりたいこといっぱいあるんで。だけれども、ここに戻ってくれば、ここを起点にすればブレないよねっていうものが、旗印としてできたわけですけれども。

そのところを皆さんにご披露しつつ、エピソード等々お聞かせいただきたいわけですけれども。まずは、コアメッセージの策定。いきなり新入社員にコアメッセージの策定ってどういうこと?っていう話なんですけど。

髙砂:そうですね。

大関:あん時どう思いました?

髙砂:あれは最初、ブランドをどうすんだ、みたいな話から入ってたんです。ブランドって話を出た時に、ブランドって言っても何から考えればいいのかって言って。コアメッセージっていう話が、前やってたやつの仕事でちょっとあったんです。それってやっぱ大事だなと思ってて。

結局、何をやるにしても、そこが起点になって織りなされていくものだと思うので。やっぱこの核みたいなものっていうのは、当然つくんなきゃいけないなっていうようなところはあったんですけど。

一方で、とは言え何か確たる製品が今あるかっつったら、そういうあれでもないし。はっきり言って、ここにいる人たちの頭しかないじゃん、みたいな。

大関:そう、そのものを差し出しましょう。

「ちょっとこれ、ちげえんだけど」

髙砂:そういう世界だし。いろんなバックグラウンドの人いますけどどうしようっていった時に、すごい方程式があるわけじゃないけど、取りあえずみんなの話を聞くかと思ってて、僕も入ったばっかりだから。人数少ないんで、一回 1on1でじっくり話してみたらいいじゃないかっていうのがあって一人一人と話してみて。

そもそも何で入ったんですかとか、何を楽しみにやってんですかとか、ぶっちゃけどう思います、この会社、みたいなこと言って。僕なんかは入ったばっかりなんで、まだ無邪気だからどんどん聞くと、いろんなことみんな言ってくれて。

だんだんそうやってくうちに、大体この会社のいいところっていうか、強みとしてるようなところとか、みんなが何考えてるのかみたいなところが、形づくられてきてったなってなって。

でもシグマアイらしいところは、当然そんなの一回出したって、「うん」なんて誰も言わなくて。「いやいや」って感じで。

小林:だいぶやりましたね。

髙砂:「この角度とかがさ」とかいって始まって。まあ、それはしかるべきプロセスとは言え、だんだんこっちも。

小林:「しらねえよ」(笑)

髙砂:「自分で考えればいいんだ」って思うんです。「お前が考えろよ」みたいに思うんですけど(笑)。みたいな話しをずっと結構やるんです。これで今日いけるかなと思ったらやっぱ駄目で、みたいな。

大関:だいぶ、僕も言いたい放題言いましたし(笑)。

髙砂:はい。結局、みんな何か思ってることあるんだったら言えばいいじゃんとか。なんかみんな、ある程度決まりだしたら、ああだこうだっつったり。結局……

小林:本音が出てますね。いい感じですね。

髙砂:結局みんなに聞いたんです。ほとんどの人に、自分のアイデアは何だみたいに聞いたんです。それは事業部のところでもそうですけど。それぞれみんな、結局、「アイデア持ち寄って出してくださいよ」とか言って。

したらみんな、なんかこういろいろ言ってくるんです。「なんだやるじゃん」とかなって。結局、俺はこう思う、ああだこうだ、があって、なんかやって。

集まってきたらいいけど、集まってきたら結局受け止めるのこっちだから。

大関:そうですね。

髙砂:まとめて短くして。

大関:全部足せばいいもんじゃねえしね。

髙砂:そうそう。また抽象化するとか何とかで。ずっと子どもと遊びながらもずっと考えて。「またこれか」みたいな感じで。

だんだん作家さんみたいに追われる感じになって。先生、できましたか、先生。

小林:伊佐坂先生気分ですね(笑)。

髙砂:そう、伊佐坂先生みたいになって。「ほんとやだ」っつって。だんだん、後回しにしたくなるんです。僕の仕事もありますから。こっち載っけてこうやってっつって、あれどうなったのって言われて。結構書けてた時に最後、ラスボスで大関さんと観山さんに投げるみたいな時が来たんです。

大関:怖え。

髙砂:ラスボスに投げたら、ラスボスも、当然ラスボスだから長いんです(笑)。

小林:長い。

髙砂:ちょっとこれ、ちげえんだけど、と。そこに、何のコメントもないのはさすがにまずいだろうと思ったから。それは言われて当然だろうとは思うんだけれども。だんだんこう、やってくうちにSlackで投げたんです。したら回答来なくなったんです。沈黙の時があって。

小林:ありました。

髙砂:「これ何?」と思って。なんか気に入らないなら気に入らないとか言ってほしいし。いいならいいとか言ってほしい。意思表示をしてほしいのに、なんか黙ってんです(笑)。

「あなたとしかできないことを」というコアメッセージになりました。

髙砂:で、「あなたとしかできないことを」というコアメッセージになりました。Wantedlyにも載ってるんですけど、やっぱりこのプロセスを言語化してみて、すごいいいことが自分でもできたなと思ったし。書きましたけど、やっぱこのコアメッセージをみんなが言葉で使い出すようになった。

最初はなんか使わないんです。だから、なんかやなのか、とか、ちょっとあんまり好きじゃないのかな、とか思いながら。どう思ってんだろうって話で、ちょっとあんまり聞きもせず黙ってたんですけど。なんかだんだんみんながおもむろに使い始めてきて。観山さんが取締役会なんかで、「これをもとにやっていきますから」みたいなこと言ってくれた時に、認知してくれてるんだと思って、「ああ、そっか」っていうの感じて。

今ではもう、ほんとにそこら辺のマクドナルド行くみたいな感じにみんな「あなたしかできないことなのか、それは」みたいな感じになってきて。

大関:言ってますよね。

髙砂:言ってます。

小林:言ってます。

大関:チェックになってますよね。

髙砂:そうですね。それだんだんもう、僕の手に負えないところに言葉が行き。どんどん進化を続けていって、その言葉が。

小林:生みの親としてはうれしい限りですね。

髙砂:そうですね。

大関:相当難産でしたよね、でもね。

髙砂:難産でしたね。

大関:全ての原因、僕にもあります。

髙砂:でもWantedlyの記事で13文字って書いてくれた時に「ああ」って言って。ちょうど鎌倉殿がやった13人なんですけど。それもそうなんだけど、やっぱ13って、すごい理屈っぽいけど素数だから。これ以上割り切れないぐらいまでの本質まで、とことんまで絞りきったんだっていう。そういううまい着地点が最終。

小林:シグマアイっぽいですね。

髙砂:ぽい。これができてよかったなっていう。
でもやっぱりみんなが何かやる時に大事だなと思うのは、それがないとやっぱり他と一緒になっちゃうっていうとこもそうだし。一番やっぱ嫌だったのは、どの会社っつったら変ですね、いろんな会社見て、会社のミッションとか、何か掲げてるじゃないですか。でも結構それ別に主語変えたってみんな同じじゃない、と。それってそもそも事業活動そのものじゃんとか、思ったりとかで。これ聞いたからっていって、どうなるんだろうっていうのも、いっぱいやっぱあるなと思ってた時に。自分がつくった時はこれは必ず行動につながる意味のある言葉にしなきゃいけないと思って。

でも、行動につながるんだけど抽象化しなきゃいけない、みたいな話のせめぎあいで、今に至ったっていうふうな話なので。

シグマアイをどうするかっていう話そのものの話だし。当然、戦略みたいな、少し具体化したような、どこでわれわれなりの色を出してお客さんをひいきにするの?みたいな話も考えるし。そのためにどういう体制を組織で整えなきゃいけないですか、みたいな話って、結構会社入ってそういうことずっとやってたんです。そのやっぱ最上段にあるのがコアメッセージだし。やっぱ全てに血流を流すような、そういう営みにはなったかなと。

大関:多くの会社さんのミッション。バリューもそうだし、ビジョンもいろいろと聞く機会あるじゃないですか。もちろん優れたものというか、「ああ、なるほど」って分かるものもあれば、全部足し算したようなやつとか。

それは仕方ないことなんだと思うんです。てことはやっぱり、ある意味多いほうがいいし。やりたい、から始まったとは思うんです。そうすると、あれもこれもってなるのもあって、あの時のシグマアイはそうだったんです。

でもやっぱり仕事っていうのは決断が重要で、やってはいけないことを決めようっていうのがあの頃言われていて。もちろん経験ある方々だったら納得すると思うんですけど、そぎ落とす作業だったんです。

だから13文字ってのは、ほんとに素数っていうのも冗談でもなんでもなくて、そのとおりだなって今思って。あれのおかげで、やらないようにしよう、何かをしてはいけないというか、行動規範につながってって、すっきりした部分はあります。

「あなたとしかできないことを」の最後の手前、2個前ぐらいは、「あなたにしかできないことを」だったんですね。

髙砂:そうです。そのとおりです。

大関:確かあれは、僕らのスタンスが、お客さんがいらっしゃってそれを後押しするような存在でありたいからっていう。

それも正しいんですけど、「後押しだけだっけ?」ってちょっと思ったんです。多分一緒だよね。隣にいるよね。あちら、お客さんも飛び立つかもしんないし、なんなら僕らも「じゃ、ありがとうございます」っていう部分も含め、飛び出して次のお客さんのところにも行くだろうし。でもその関係性はきっと離れないよねっていうので、つながっていくイメージを持とうっていうことで「に」を「と」に変えたんです。

髙砂:そうですね。覚えてます。あの時の文章が、正確にちょっと何を言ってるか分かんなくて。何を言ってる? ちょっと分からないって、聞くの失礼かなって。ここ変えるのねっていうの分かってパッとつくったんで。

大関:ふっと来ましたね。あん時。

髙砂:「ああ、そういうことか」ってなって。そうでしたね。

大関:あの長い駄目出しやり取りは……。一瞬間違えたら「辞めたろか」ですよね。ほんと作家さんの気持ちで(笑)。

髙砂:そうそう。

大関:気持ちで。

髙砂:会社入って最初にやったのがそれで。それも結構長く続いたので。やっぱ何をしに来たんだっけ感みたいなのは(笑)。

大関:そうそう。俺こんなことするためじゃねえんだよって言うのは簡単で。言えたかもしれないけれども、いやよく設計に携わっていただいて。今ではもう、ほんとにかかせない13文字で。

髙砂:それがさらに進化を続け、歩いているので。

大関:こんな感じでスタートアップ。実はそうスタートアップって、僕も当たり前ですけど初めてなので。つくり方なんて、教科書があるようでないわけだから。やってってなんとかなるだろうだったんです。そしたら、うまくいかないとは違うんだけれども、納まり、しっくりくるとか、多分違うのをなくしたいっていう。言い切りたいんです。俺は俺だ。私たちは私たちと。それを言うために、やっぱり必要なことなんだなってのが、改めて。

自分たちでやってたんです。自分たちでやればやるほど、やっぱり足し算になっちゃう。他人と言うべきか、外から来た人も納得するような。で、進化ができるような余地があるとか、みんなが使いたくなるようなものにするためにはっていうことで、いったん創業者メンバーが話していますよね。そしたら、合うか合わないかももちろんそうだし、納得するかしないか、今後の自分たちとも整合するかっていうんで、だいぶ踏み鳴らしたというか、ありましたけども。

シグマアイは、プロダクトよりもビジョンが先にある会社

髙砂:本によっては、まずスタートアップはプロダクトを作り込むっていう柱があって。ビジョンとか何とかよりもそっちを最初につくりましょって考え方がある中で、うちは逆ですよね。そこから行くっていうやり方にチャレンジしてみて。何かこういうプロダクトっていうのを、ないと言うか、それをつくり出すようなことを僕らはやってて。

でもやっぱり課題を見つけるというか、やっぱそういうのが生きる場を自らつくるっていう営みをやっぱりなりわいにしている以上は、そこにやっぱりなんか、混じりっけがあんまりあると……。

ここの場づくりをどうすんだっていった時に、やっぱり「あなたとしかできないこと」のような指針がないと結構アンバランスになっちゃって。

別にこんな技術いらないじゃんとか、今でもできるじゃんみたいな話。ちょっとなんか視座が低くなっちゃう話になっちゃうかなと思って。だからそういう思いも持ってちょっとつくってありました。

大関:実際にプロダクトからっていうのは、いろんな人にも言われたし、悩んだことも。そのほうが分かりやすいし、売り上げが立てやすいとかも含め。売り上げが立てば、その意味で安心するので、みんなが。ある意味やりやすいってのもあったんですけど。何ぶん気が多いんです。あれもこれもやりたいって思うし。

集めてる人たちも、それぞれがやりたいことを持ってる、個性があるからそれを生かす会社にしたいと。もしくは羽ばたいてもらうような会社にしたいっていうのは、もやもやした時からもうあったので。そういう意味では、プロダクトがあるはずがなかろうがっていうのはそのとおりで。多分あったら13個あるんでしょうね。

それを今目指して、一つ一つでき始めてて。まあよかった、これでいいんだっていうのが。やっと4年目過ぎて実感になってきたんかなっていうのはあります。

そうやって集まったメンバーが、「あなたとしかできないこと」をつくっていき、達成感に包まれていくわけです。達成感に包まれたら、それはそれなりに俺の仕事を認めてくれるもそうだし、お客さんからはいいサービスだとかいう意味では認めてもらっていくわけですけれども。

社内であったりとか、次のステップに踏むために、どういう方向性でやったらいいかはもう迷ってないわけだから、それをちゃんと見てく。いうことで評価制度が次にできたわけです。

「評価されない評価制度」で、クリエイティビティを大切にする会社にしたい

大関:どんな評価制度がシグマアイでは搭載される予定なんでしょうか。

小林:今ちょっとテスト導入っていう形で、この下半期からやってますけれども。一言で言うと、評価されない評価制度っていう、矛盾した、頓知のような話なんですけど。
シグマアイって、さっき言ったようにプロダクトがまだない、ということに関して言えば、何か物を売りに行くとかっていうことを、いろんなとこに営業の電話かけたりとか、訪問したりみたいなことをする会社ではないので。いわゆる、俗に言う、KPI管理とかKGIを設定するだとかみたいな、ノルマがあるみたいなこととかっていうのが当然現状ない段階で。

漠然として事業部側は、こんだけ売り上げつくろうよみたいなことは当然ありましたけど。その中で評価制度は、私が入った時点で全くゼロの状態で。やっぱ必要だよね、つくっていきたいよねっていう中で。私が最初に思ったのは、やっぱクリエイティブな会社なんですよ。技術会社なんだけれども、クリエイティブさっていうのが一番大事だと思ったので。

ちょうど私がこのシグマアイの前の会社の時に、私は新規事業開発っていうところでのクリエイティブな仕事をしてる部署だったんですけど、評価制度自体は全社共通の評価制度だったので。

母体が営業会社だったので、いわゆる営業会社的なKGI、KPI管理っていうところがあって。それをなんとしても必達するぞ!っていうのが一番重要なことっていうふうな社内のカルチャーなんで。それに対して、そこの評価制度ができてるので、KPIとかでいけば月何を何件行きますみたいなそんな数字がありながらの、半期で必ずこんだけの売り上げをつくるみたいなところに目標があったりするんですけど。

新規事業開発なんで、何もないところから事業つくっていって、いろいろ試したり、失敗したりを繰り返しながら、ピボットしていって事業をつくっていくっていう営みの中で、そんな評価制度で評価できるわけじゃないじゃないですか。半期に1回目標決めるんですけど、そのKGIを基本的に変えちゃ駄目なんです。でも新規事業開発なんで、いざやってみたけど、1カ月でやっぱこれ駄目だと。こっちに切り替えようとなったらKPIもKGIも全部ガラッと部内的には変わっちゃうわけです。

そうなると、その時点でもう目標未達成になるんで。給料は下がることは確定するみたいな、そんな感じの世界でクリエイティブの仕事をやらなきゃいけないというところが、すごく矛盾もあるしストレスも感じるしっていうのがあって。

そうなってくると、結果的にみんな会社内ってどうなってたかって言うと、評価されるためにどうしよう、評価につながるのかとか。逆に言うと、評価されやすい目標の立て方だったりみたいな、そんなネゴみたいなものあったりとか、ていうそういう思考にどうしてもなってくんです。

やっぱシグマアイがそんなふうになってしまったら、もう死んだも同然だというところも思ったので。できるだけ管理されてない状態で。特にみんなに自分のやりたいことがあるんで。自分のやりたいことに実直に向き合ってれば評価されるみたいな、そんな評価制度つくりたいなっていうのをベースにあって。

ていう形で、基本的にみんな……。今回シグマアイが導入してるのは、いわゆるOKR(Objectives and key results:個人や組織の目標設定のためのフレームワーク)っていう、会社の向いてる方向と自分の向いてる方向、ベクトルさえ合ってれば、自分がやりたいようなおっきな目標、夢みたいなものを掲げて、そこに向かって行くっていうことをひたすらやってれば、会社も成長するし自分も成長していくよねっていう、そういった思想の下、OKRをベースにした評価制度っていうのを入れてるんですけど。

基本的にOKRに書いてるシートとかも長期目標と短期目標みたいなもので。目標って言っても自分が、例えば僕で言えば教育とかそういった領域で、キャリア教育においてこんなことを成し遂げたい、みたいなおっきな結構目標です。ていうものがあって。それに対して、こんなことをやっていきたいです、みたいなところの短期目標があって、っていうようなところなので。

基本的にはみんな自分がやりたいことを掲げてて。それに対して目先半年とかのスパンではこういうことをやっていこうと思ってる、みたいな目標です。それに対して、最初一応、上司であるマネージャー的な存在の方が、その目標を許可する、承認するみたいな作業はあるんですけど。

これに、あなたこうだったから評価はこうね、みたいなマイナス……。あなたができてる、できてない、じゃなくて。この自分が立てたOKRに対して、自分がどれぐらいできたかっていう自己評価をして、それを上司が承認するっていうプロセスなんです。

自分はこうだったと思うんですけど、あなたの評価どうですかって上司に持って行くと、当然評価されちゃうので。評価されやすいような自己保身だったりも入るだろうし、目標設定もやっぱり置きに行くような目標になっちゃうんです。

そうじゃなくて、クリエイティビティを全開にみんな持ってほしいので、おっきな目標立てて自分で振り返る、自己評価をする。その自己評価が妥当かどうかを上司なりに。一応、社員全員が見れるようになってるので、そこが過小評価しすぎてないかとか。自己評価しようとすると、日本人ってちょっと過小評価する傾向があったりするので、「いやいや、もっとできてたよ」っていうフィードバックが今後どんどん、そういうのが増えていく。

大関:他のメンバーからっていう。

小林:といいなっていう思いもありますけれども。そういった評価制度を今導入をし始めてるという形です。

「その仕事、お金にはなるかもしんないけど、やってて面白いの?」と経営陣に言われる会社

大関:評価制度は、どっから発想したんですか。

小林:そこは一つちょっと、そのOKRっていう指標で管理をしててうまくいってるよっていうベンチャーがあったんです。そこをちょっと参考にはしてるんですけど。そこのをちょっとアレンジしたような形です。

髙砂:あれですよね、やっぱり無機質な数字そのものに評価するかって言ったら、やっぱり社内的にはそれはよしとしないですよね。資本主義的にはきれい事に聞こえるのかもしれないけれども。

でもやっぱり、変な言い方するとその数字になんか魂が宿ったじゃないけど、こういうプロセスなり、こういう営みなり、こういう協調があって生まれたこの数字だねっていうものが伴わないと、数字そのものはやっぱりあんまりみんないいと思わないって言うか。

究極変な、つまらんっつったら変ですね。でも、例えば1億円稼ぎましたっつって1億円が……。でもそこがあんまり、それは稼いだけれども、みたいに残っちゃうような……。やっぱそういう営みもあるんじゃないかなと思うんですけど。あんまそこはみんな、目指さないっていうか。

小林:ほんとはそれ、シグマアイのいいところだなと思うのは、特に経営陣3名が数字に全くこだわらないと言うか。ほんとこだわらなきゃいけないですよね。投資家目線からするとそうなんですけど。売り上げ立てろっていう方向に通常であれば行くはずなんです。特にスタートアップなんていう、どんだけ売り上げ立てなきゃいけないかってすごい重要なことなんで。

そういうことで、だんだん管理体制と言うか、「あれをやれ、これをやれ」「こんだけやって、なんでこれ売り上げあがんないの」みたいな話になるんですけど。シグマアイの場合は、「それ別にお金にはなるかもしんないけど、やってて面白いの?」みたいな話がちゃんと経営陣から出していただけるというか、そういうカルチャーなので。

僕たちも本気でやりたいことに集中できるし、やりたくない、この人と合わないなっていう人とは仕事しなくてもいいし、みたいなことが地でてきてるっていうのは、ほんとすごいことだと思います。

髙砂:殺伐とした変な競争みたいなのなくて。「これ、彼やりたいって言ってたから、これどう?」とか言って聞きに行ったり。「あの人、入れてやろうか」、「入れたほうが良くなるからね」みたいな話は普通にあって。パスみたいな話も普通にあるので。「彼がやったほうが良くない? それ」って。

小林:「お客さんがやりたいですって言ってきたの、正直、僕興味ないんでちょっとどう?」みたいなの、普通にそういうことがある。普通、数字負ってる会社だったら絶対取りに行きまますね。

大関:数の問題ですからね。

小林:数字を取って結果に対してはおざなりと言うか、なんですけど、シグマアイは逆じゃないですか。ほんとに、そのお客さんに対して何ができるか。自分がやるべきなのかとか、自分がやりたいかみたいなものがない限り、いい仕事ができないから。そうじゃない限りは受けないほうがいいぐらいの感じなので。

髙砂:逆に、やりたいことがないとつらいかもしれないですね。

小林:逆にそうですね。

大関:それはそうなんです。このシグマアイっていう大船に自分を乗せるわけですから。乗せた時にどこを、帆を支えるのか、ハンドリングするのかとか、それとも料理を作るのかとか。いろんな役割がある中で、俺はこれをやりに来た。やりたいからここにいますっていうのがないと、確かに、つらいと言うべきか。

多分、採用する時もそうですし、仕事のプロジェクトを、やっぱり僕もリーダーとしてある種の営業と言うか、お客さんに今後なるだろうなって人とおしゃべりをするわけです。そうした時に、新しいプロジェクトができそうだと。そん時に最初に思うのは、誰を入れたら面白いかな、なんです。もしくは、これをやったらこいつ化けるなとか。そればっかり考えてんです。

だから、これが1億のプロジェクトなんですよって言われても、その1億って数字はあんまり聞いてなくて。でかいということは認識した。そのでかいものを、例えば、若い人に。初めての大型案件だから緊張するかもしんないけどいい経験になるだろうから、じゃあちょっと支えつつ。支えるメンバーはこれとこれでっていうふうに考えるので。

しかも、案件、決めてないんですよ。そのグループラインとして。必ずAさんとBさんっていうのはなくって。あいつとこいつコラボしたことないからやってみる? とか。そういうふうに、メンバーのキャラクターを意識してやってるのも、その評価制度であり。「あなたとしかできないこと」を、お客さんとも関係もそうだし、社内のメンバーとの関係でもできてる、もしくは意識していることの現れなのかなって思います。

そういった意味では、ほんとにこれから弾けるためのシグマアイの布石として、柱となるものをつくっていただいたんだなって思って、改めまして、ありがとうございます。

髙砂:恐縮です(笑)。

大関:こんなしっとりした大人な雰囲気でございますけれども。あれですよ、うっかりすると皆さん、8時は超えていまして。ご迷惑をおかけしておりますけれども。コメントも途中からすっごく来ておりまして。コアメッセージの話からワアっと沸きまして。

途中フリーズしたりとかもあったんですけど。「13文字でメッセージ伝えるっていう内容の本がありました。Yahoo!ニュースの見出しが13文字だ」とかいう。確かにすっきりしてるなっていうことでございますけども。人によっては「KPI聞くだけでも嫌です」。

小林:そういう人多いですよね。

大関:だからやっぱり、なにがしかのプレッシャーを与えすぎてしまうっていうきらいがありますので。それをなんとかして、働きやすい環境をつくるっていうこととうらはらですので、それを意識したのがうまくいってるのかなと思います。

OKRって言葉、確かにまだ浸透はしてないようで。コメント欄でもやり取りが発生しておりますけれども。

というわけで、シグマアイは評価しない評価制度。この一言を聞いただけだと、一瞬じゃ分からないんですけど。シグマアイのこの小難しさが、最初は難しいんです。それできるだけ分かりやすく、今回はこういうふうにお時間いただいて披露しましたけれども。

またこれを優ちゃんが分かりやすく、すっきり、フレージングしていくっていうのはありかもしれないですね。

あきさんから、「研究は面白くなくなったらやる意味がない」。仕事も同じですよね。情熱を燃やせるかどうかなので。お客さんのことがある意味気に入ってる、なんとかしたいってのもそうでしょうし。社内のメンバーで面白くやってるから一緒に、このある意味のお祭りをやりたいなってのはあります。

「経営者は現場に対する集中力を落とさないでいる必要も出てきますね」ってプレッシャーのかかるコメントをいただいております。「シグマアイってみんなどんなことをやりたいと思ってやっているのか」やりたいことやってるのかなって「知りたいですね」っていう、次の配信につながるようないいことが。

結構難しいんす。全員のやりたいことを聞くって言っても、なかなかね。先ほどOKRが見れるっていうので、垣間見える部分はあるかもしれないですけど。「お前、実はどんな野望持ってんの?」みたいなのは、改めて聞いても面白いのかもしれないですね。

てな感じで。こんな、前回までは若い学生さんの。

髙砂:若い若いって、何回も言われて。

大関:俺らも若いですよ。無理してますけど。エンジニア系の方々だったんです。今回は事業部からお2人出ていただいたってところも特徴的だったと思いますけれども。こんな感じでシグマアイっていうのは、ある意味、技術オタクではなくて事業部もしっかり屋台骨がございまして、お仕事をすると。

するからには、研究者である私たちがつくったのもありまして、やりたいことをやりましょうと。やりたいことは、少なくともでも世界を救うものでありましょうっていうところは外さずにやっていこうと考えたら、事業部の人でもこんな感じのユニークな方々が集まって。自己紹介と過去の履歴を流すだけで30分を超える。ありがとうございます。

やっぱり、人に歴史ありというか、やっぱり語るものが出てきますよね。なので、もう今度はそれぞれでまた、1回ずつやって。

小林:ぜひ、お願いします。

大関:お2人の並びで人生相談コーナーってのも、いつかはやっていただこうかと思います。

小林:学生の進路相談なんかも面白そうですよね。

大関:絶対面白いと思います。僕がやると、大学の先生としてのアドバイスになっちゃうじゃないですか。だけどまあ、ある意味人生酸いも甘いもいろいろなことを味わって、今ある意味、家族と過ごして楽しいよ、仕事も充実して楽しいよ。今まではこうだったけど、今そういうふうに考えてるかもしんないけど、10年20年たつとこういうことになるからねっ、というのを、身をもってお伝えできると思いますので。そういった意味では、うちの学生ももちろんですけど、こういった配信などを通してお伝えできるチャンスがあればいいかなと思います。

てわけで、改めまして、本日どうもありがとうございました!

髙砂:ありがとうございました!

小林:ありがとうございました!

大関:またねー!


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