こんにちは、mui Lab採用チームです。mui Labでは現在、くらしに寄り添う次世代プロダクトの開発に挑む、開発リーダーおよびエンジニアを募集しています。
今回お話を伺ったのは、ハードウェア領域の責任者としてプロダクトマネジメントを担う赤塚さんです。セイコーインスツル、ソニー、セイコーエプソンといった大手メーカーで、プロジェクトリーダー、エンジニア、企画設計、事業戦略のセグメントリーダーなど、製品開発をめぐる多様な役割を担ってきました。直近では、事業の中長期方針の策定から戦略の実行までを担い、市場調査や戦略立案、事業の将来像の構想と可視化、新規プロダクトの企画に至るまで、幅広い領域に携わってきました。
その赤塚さんがmui Labへの参画を決めた背景には、「くらしを変えるものづくりに携わりたい」という一貫した想いがありました。これまでの歩みと、mui Labに見いだした可能性について、じっくりと語っていただきました。
プロダクトマーケティング部 赤塚 雄平(Akatsuka Yuhei)
ソニー、セイコーエプソン、セイコーインスツルといった国内電機メーカーにて、事業戦略や商品企画、開発設計に携わる。電子辞書や入力デバイス、自動車のコックピットUI/UXなどのインターフェース製品に加え、プロジェクターをはじめとする映像音響機器の企画・デザインリサーチに従事。その後、長野県松本市を拠点とするプロダクトブランド「PEBLWEAR」を創業し、2022年度グッドデザイン賞を受賞。2024年にmui Labに参画。
会社選びの軸は「プロダクト全体を見渡せるか」
――はじめに、これまでのキャリアについてお聞かせください。それぞれの会社で、どのような役割を担ってこられたのでしょうか。
大学卒業後、セイコーインスツル株式会社(以下、セイコー)、ソニー株式会社(以下、ソニー)、セイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)を経て、2022年に自ら事業を立ち上げました。その後、2024年にmui Labに参画しています。
社会人になってから10年以上、プロジェクトリーダーとしてさまざまなプロダクトに向き合ってきました。構想から量産までを通して担当することが多く、並行して、次のプロダクトをどう描くかという構想やアイデア出し、プロトタイピングなど、R&Dに近い仕事にも取り組んでいました。
直近のエプソンでは、事業の中長期方針の決定から戦略の実行まで、上流から下流を一気通貫で担っていました。まず市場調査を行い、中長期の事業方針を定める。そのうえで、デザイン部門や開発メンバー、営業部門、販売会社までを巻き込みながら複数の先行開発やリサーチを主導し、実行フェーズでは商品企画として、つくったものをお客さまにどう購入し、どう活用していただくのかまでを綿密に検討し、商品化へと導いていきました。
――ソニーやエプソンのような大手企業では、業務が細かく分業されている印象があります。そのなかで、プロジェクト全体を見渡すような働き方をされていたのですね。
振り返ると、プロダクト全体に関われる環境を自ら選んできたように思います。
最初にセイコーを選んだのも、ここならプロダクト全体に関われそうだと感じたからでした。実際、入社直後から使い勝手に直結する部分を任せていただき、さらに少しずつ担当範囲をプロダクト全体へと広げていくことができました。
ソニーへ移った決め手は「挑戦の自由度」です。在籍中も規模の小さなチームを希望していたこともあり、多様なことに挑戦させていただきました。いま思えば、私の企業選びの軸は「裁量を持って、自由に取り組めるかどうか」だったのだと思います。
ソニーからエプソンへの転職は、「自然の豊かな環境で暮らしたい」という生活面の理由が大きかったのですが、「プロダクト全体に関わりたい」という軸は変わりませんでした。設計職として応募したものの、面談のなかで企画も任せていただけることになり、高揚感とともに入社したことをよく覚えています。
主体的に、製品全体に関われる仕事を選ぶ。それが、私のキャリアを貫く方向性なのだと思います。
――各社での経験は、ご自身にとってどのような意味を持っていますか。
重なる部分も多いのですが、あえて言うなら、セイコーではエンジニア、そしてプロジェクトリーダーとして必要な基礎を徹底的に鍛えていただきました。ソニーでは技術者の立場から、いわば「アイデアマン」として。エプソンではよりユーザーの視点に立ち、事業や商品そのものを考える時間が増えました。
大手企業で、技術者の視点とユーザーの視点、その両方を経験できたことは、自分の幅を広げるうえでかけがえのない時間でした。
ライフスタイルの変革に携わりたい。会社が変わっても揺るがなかった想い
――関わってこられたプロダクトは実に多岐にわたります。そのなかで、「これをつくりたい」という軸はあったのでしょうか。
ライフスタイルに変化や進化をもたらすものをつくりたい。その想いは一貫しています。
原点は、初代iPodとの出会いです。私は音楽を聴かない日がないほどの音楽好きなのですが、iPodが登場する以前は、CDプレイヤーやMP3プレイヤーで音楽を聴いていました。CDはディスクの入れ替えが煩わしく、操作のたびに小さなボタンを何度も押さなければならない。MP3プレイヤーはフォルダからファイルを選ぶ、いわば“作業”のような仕様で、使っていても心が躍ることはありませんでした。
ところがiPodのインターフェースは驚くほど直感的で、その体験が本当に素晴らしかった。初めて手にしたとき、「技術とデザインの工夫で、ライフスタイルは一変する」と強く感じたのです。単に「良い製品」であるだけでなく、そのプロダクトを通じて「良い体験」が得られる。暮らしに変化をもたらしながら、気づけば自然に溶け込んでいる――そうした価値の大きさを実感した瞬間でした。
以来、テクノロジーによってライフスタイルを変えたい、良い体験を届けたいという想いを持ち続けています。
――これまでの仕事のなかで、「ライフスタイルの変化」に寄与できたと感じるものはありますか。
エプソンで手がけたキューブ型のプロジェクターです。音と映像の質の高さに加え、Android TVを内蔵し、コンテンツまでを一体化した製品でした。
従来のホームシアターは、プロジェクターを天井に設置し、スピーカーやプレイヤーを接続するなど、導入のハードルが高いものでした。それを「置くだけ」で体験できるようにしたのです。テレビよりも設置場所の自由度が高く、インテリアや家での過ごし方そのものが変わる。実際にお使いいただいた方から「テレビを持たない暮らしへ、自然に移行できた」という声をいただいたこともあり、ライフスタイルに影響を与えられたプロダクトだったと自負しています。
――その後、ご自身のブランドを立ち上げられました。そこにはどのような想いがあったのでしょうか。
理由は二つあります。一つは、より純粋な「ものづくり」の自由を求めたことです。企業の一員としてプロダクトを世に送り出すには、当然ながら事業との整合性が求められ、多くの承認プロセスと時間を要します。そのプロセスもまた重要です。ただ、個人の発想や直感を、アートのようにダイレクトに形にしてみたいという想いがずっと心の内にあり、まずは副業というかたちで自分のブランドを立ち上げることにしました。
もう一つは、もっと“身軽な”ハードウェア開発を実現したいという挑戦です。ここ数年でAIが急速に発達し、開発プロセスは大幅に短縮できるようになりました。3Dプリンティングによって「形あるもの」も手軽につくれるようになり、ものづくりの環境は大きく進化しています。個人や少人数のチームでも、かつてないスピードでユニークなものを生み出せる時代が来た。そう感じて、自分の力でどこまで挑戦できるのか、試してみたくなったのです。
――ご自身のブランドでは、どのような着想からプロダクトが生まれたのでしょうか。
手がけたのは、指先ひとつで操作できるオーディオコントローラー「PEBLWEAR Wearable Remote」です。音楽と同じくらいアウトドアも好きなのですが、屋外で音楽を聴く体験には、どうしても物足りなさを感じていました。
たとえばランニング中、気分に合わない曲が流れてきたとします。そのたびに鞄やポケットからスマートフォンを取り出し、画面のロックを解除し、音楽アプリを開いてスキップボタンを押さなければならない。イヤフォンを触るとせっかくセットした最適な装着位置がずれてしまったり。走りながら煩わしい操作をするのは避けたいですし、せっかくの心地よい時間が途切れてしまいます。もっと自然で心地よい体験に変えたい。その想いから開発したのが「PEBLWEAR Wearable Remote」でした。
おかげさまで、複数のクラウドファンディングサイトで多くの方にご購入いただき、2022年度グッドデザイン賞も受賞することができました。
――大手企業と起業。対照的な二つの環境を経験されて、見えてきたものは何でしたか。
大手企業では、整った体制と高い技術力のもとで、世界水準の製品づくりに携わることができました。自分が関わった製品が世に出て、本当に多くの方に使っていただける。その感動は何ものにも代えがたいものでした。大手企業のブランドとネットワークがあったからこそ、より多くの方のライフスタイルの変化に関われたのだと思います。
一方、起業してからは、方向性もスピードもすべて自分で決められる自由がありました。手を動かした分だけ形になっていく手応えには、心が躍りました。ただ同時に、小さな事業ゆえの“広がりにくさ”にもどかしさを覚え、仲間とともに何かをつくり上げる喜びを懐かしく思うようにもなっていきました。
この両極を経験して気づいたのは、自分は「自由と挑戦があり、一人でも多くの方の“くらし”に影響を与えられる場所」でこそ力を発揮できる、ということです。そうした環境で、仲間とともに事業やプロダクトをゼロからつくり上げたい。その想いが、自然と強くなっていきました。
自らの想いと重なった、mui Labという選択
――あらためて、mui Labに参画された経緯を教えてください。
mui Labを知ったきっかけは、muiボードのKickstarterプロジェクトでした。その後、Wantedlyを通じて、mui Labが生み出すプロダクトやメンバーの価値観への理解を深めるうちに、強く惹かれていきました。
もともとインテリアが好きで、椅子をデザインしたり、自宅の設計に関わったりしていたこともあり、「ライフスタイル×テクノロジー」というテーマには強い関心を持っていました。ここまでお話ししてきた「ライフスタイルに影響を与えるプロダクトをつくりたい」という想い。そして、大手企業と起業の両方を経て抱いた「テクノロジーでライフスタイルに変化を起こしたい、より良い体験をつくりたい」という想い。そのどちらにも、mui Labの方向性がぴたりと重なっていたのです。
――一方で、ご自身のブランドを大きく育てていくという選択肢もあったのではないでしょうか。
実は、自分のブランドについては“個人経営のカフェ”のように、大量生産ではなく、つくり手の手触りが喜ばれるプロダクトを届けたいと考えています。
一方でmui Labであれば「暮らし」という軸で、ライフスタイルの変革をより多くの方に届けられるのではないかと考えました。
mui LabはIPOに加え、グローバルブランドとなることも目指しています。ラスベガスで毎年開催されるCESではInnovation Awardsを4度受賞し、デザインの分野でもArchiproducts Design Awardsを受賞。2022年には世界最大の家具見本市「ミラノサローネ」にも出展するなど、海外からも高い評価を得ています。日本にとどまらず、世界へプロダクトを広げていけるポテンシャルを感じたことも、参画を決めた理由のひとつです。
――mui Labのプロダクトそのものにも、惹かれるところがあったと伺いました。
ええ。たとえばmuiボードは、木という自然素材にディスプレイとIoTを融合させた、きわめてユニークな製品です。一見すると家具のような木の佇まいで、生活空間に自然と溶け込み、穏やかなUIによって使う人の注意を“奪わない”。それでいて、スマート家電を操作したり、手書きや音声のメッセージをスマートフォンとやり取りしたりと、くらしに確かな進化をもたらしてくれる。そうしたプロダクトのあり方こそ、私にとって理想的なものでした。
――現在は、どのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか。
ハードウェア領域の責任者としてプロダクトマネジメントを担いながら、プロダクトマーケティングも兼任しています。いわば「ブランドから届け方まで」を一気通貫で見る立場です。
――これまでのキャリアと、mui Labでの働き方には重なる部分も多そうですね。
そうですね。大企業とは異なり、mui Labはまだ小さな組織なので、一つのプロジェクトで関わる範囲が非常に広い。これは、自分のブランドを運営していたときの感覚にも近いものがあります。
いまはmuiボードの安定生産に取り組みながら、新しいプロダクトの企画・立ち上げにも携わっています。技術とマーケティングの両面を行き来しながら動いているので、これまでの経験を生かしつつ、確かな手応えのある仕事ができていると感じます。
――スタートアップならではのやりがいや自由がある一方で、制約や難しさもあるのではないでしょうか。
もちろんあります。人数が限られているため、ひとつの課題に注力すれば、どうしてもほかのことが後回しになってしまう。muiボードの生産安定化のように「いますぐ取り組まなければならないこと」と「本当に取り組みたいこと」とのバランスに悩む瞬間もあります。
それでも、大企業とは違って、「これをやろう」と決めたら、すぐに形にしていけるスピード感がある。それこそが、mui Labの大きな魅力だと思っています。
テクノロジーが“そっと寄り添う”ライフスタイルを、京都から世界へ
――あらためて、mui Labという会社やプロダクトに関わるなかで、どのような点に魅力を感じていますか。
mui Labが掲げるテーマそのものに、大きな魅力を感じています。たとえば「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」と聞くと、一見難しく感じられるかもしれません。けれどもその本質は、テクノロジーと住環境を巧みに組み合わせながら、くらしのあり方そのものを変えていこうとすることにあります。「人と自然とテクノロジーの調和」。そうした世界観に、私は深く共感しています。
なかでも共感しているのが、mui Labが大切にしている「Calm Technology」という考え方です。テクノロジーが人々の暮らしに溶け込み、ユーザーが意識することなく使える。そうした設計思想で、2010年代以降、IoTやスマートホームの普及とともに再び注目を集めてきました。muiボードも、この思想から生まれたプロダクトです。言い換えれば、くらしのなかにテクノロジーが“そっと寄り添う”かたち。そうしたmui Labの思想に、心から共感しています。
――今後の展望についてお聞かせください。
スマートホーム市場には非常に大きなポテンシャルがあります。だからこそ、さまざまなプレイヤーと協業しながら、事業や開発を進めていける可能性があると考えています。すでにユーザーのニーズを深く理解している企業や、プロダクトを持つ企業とも協働しながら、一人でも多くの方にmuiのプロダクトに触れていただきたいと思っています。
――最後に、これからmui Labに関わるかもしれない方々へ、メッセージをお願いします。
大手企業で世界水準の仕事に携われたことは、私のキャリアにとって本当に貴重な機会でした。だからこそ、同じような経験をお持ちの方にこそ、より広い裁量のもとでプロジェクト全体、製品全体を見渡す経験をしていただきたいと思っています。
mui Labでは、企画からリリースまで、すべての工程に携わることができます。自分のアイデアがそのままプロダクトとなり、世の中へと送り出されていく――その瞬間を味わえる場所です。分業の壁も、遠い意思決定もない。「ともにつくりきる」仲間と、挑戦できる自由があります。
今後は、muiボード以外のハードウェアやソフトウェアの開発も含め、さまざまなプロダクトを立ち上げていくフェーズに入ります。一つひとつのプロダクトに対して、オーナーに近い役割を担っていただく機会も生まれてくるのではないかと考えています。
mui Labの未来に少しでも関心を持っていただけたなら、ぜひ一度、気軽にお話を聞きにいらしてください。