今回は、当社が提供する新規事業コンサルティングや各種サービスの内容をもとに、日本企業において新規事業が難しい理由やサービスの特徴と強み、今後の展望についてお話しします。
私自身、インターン時代を含めると10年以上、新規事業の現場に立ち続けてきました。大手製造業の研究開発本部長や役員の方々と向き合い、100を超えるプロジェクトに携わってきた中で、日本企業の新規事業には共通する「構造的な壁」があると感じています。
一方で、その壁を乗り越え、事業として形にしていく手応えも同時に持っています。何が難しさを生み、どうすれば前に進められるのか。これまでの支援経験を踏まえて、私なりの考えをお伝えします。
ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
―なぜ新規事業はうまくいかないのか
新規事業の世界には「千三つ」という言葉があります。1,000のアイデアのうち、事業として成功するのはわずか3つ。それほどに、新規事業とは成功しないのが当たり前の世界です。
その中で、日本企業において新規事業が難しい理由は、大きく2つあると考えています。
1つは、投資判断のアンバランスさです。
大企業の新規事業では、3年後や5年後に100億円規模の売上を目指すような高い目標が設定される一方で、実際の投資予算は数千万円、担当者は1人か2人というケースも少なくありません。目標と手段の規模が見合っておらず、しかも結果を急ぐあまり、芽が出る可能性のある事業を途中で止めてしまうことも多いと感じています。
例えば今でこそ世界的大企業になっているAmazonでも、今の状態になるまで長い赤字期間を経てきました。PayPayも、利用者側はもちろん加盟店からも長らく手数料を取らず、大規模なキャンペーンでコストを投じ続けた末に、今の圧倒的なポジションを築いています。本来、新規事業は先行投資を前提に時間をかけて育てるものです。しかし日本の大企業では、短期間で大きなリターンを求める、いわばローリスク・ハイリターンを前提とした構造になってしまっていると感じます。これでは、大きな利益を生む新規事業はなかなか生まれません。
もう1つは、人材と役割のミスマッチです。
研究開発部門では、大学院や博士課程で専門性を磨いてきた研究者の方々が、自分たちの技術を事業化することを求められます。技術に対する知識や洞察は深い一方、事業づくりの経験はほとんどない。それにもかかわらず「顧客を見つけ、事業のかたちにせよ」というミッションが課されているのが実態です。これも私がコンサルタントになったときは違っていてもっとメーカーは基礎研究に力を入れており研究者が営業活動をするようなことは珍しかったです。研究だけしていればいいよという状態でした。
それが年々研究者も出口戦略を求められるようになり、マーケティング部門や営業部門がやるような仕事が業務に入ってきているのが現場で起きていることです。これは今後企業の研究職を目指す理系の方には知ってほしいことですね。
「マーケティングなんて知らない」「営業はしたくない」という人には合わないと思います。純粋なR&Dをできる会社が減ってしまった、日本の景気や日本企業のプレゼンス低下が原因です。
出口を求められている、つまり外部企業と商談をする必要がありますが社内の営業が協力してくれることはありません。大企業ほど縦割り組織ですし、そもそも研究所と営業部門の事務所は別の場所にあることがほとんどなので関わり自体がありません。企業として見れば数千社、数万社とのつながりがあったとしてもアカウントを持っている営業のお客様先に自由にアクセスできるわけではないということです。
仮に協力してもらうにしても社内調整が必須なので時間がかかります。ということで研究者自身が慣れない営業活動をしないといけない、これがR&Dの実情です。
これは研究開発部門に限った話ではありません。既存商材を売ってきた営業担当者が、ゼロから顧客を開拓する新規事業を任され、進め方に悩むケースもよく目にします。営業から新規事業を担当する方はその会社で出世している方、営業成績が良い優秀な方ですがそれでも通常の営業とは全く違う動き方になるので適応は難しい。
「これをこのぐらい売ってきてくれ、とノルマを課してもらう方が楽」と営業上がりの新規事業担当の方はよく言います。物を売ることも簡単ではありませんが、売るよりも難しいということです。
どの部門だとしても大企業全般に通じるのが基本的に大企業を希望する方も受け入れ側もオペレーションを確実に回してくれる人材になります。従業員数万人、年商数千億~数兆という規模の会社で重要なのはイノベーション、変化ではなく「今ある事業をいかに守るか、滞りなく回すか」です。
そういう人材を求め、本人もそういう仕事をしたくて入社しています。
これは新卒採用とも似ているなと思っており、日本の義務教育は個性や自主性ではなく皆等しく画一的な答えを求める教育ですが、就活になった瞬間に「自分の個性」を唐突に求められます。そこで学生は苦しむわけですが、場所は違えど大企業の新規事業も構造が同じです。そもそも変化を起こそうと思っていない組織の中で変化を起こさないといけない。会社の中でも異質な存在であり、それが難しさを加速させています。
こうした構造的な問題が大企業の新規事業を難しくしている要因だと考えています。
―ステラアソシエの強み
この難しい領域で企業を支えるために、当社には大きく2つの強みがあります。
1つは、実務まで担うアウトソース型の支援であることです。簡単に言えば我々がやることは「大企業の新規事業担当者が行う業務全ての代行」です。それを質良く、速く提供することがバリューです。
コンサルティング会社でよくある、「アイデア出しだけ」「市場規模や競合分析のレポートを出すだけ」に留まらず、事業立ち上げに必要な業務は全て引き受けます。
例えば、その商材がどの業界に求められているのかを仮説として立て、それを検証するために実際にその業界企業にアポイントを取り、クライアントと共にお客様回りをします。
このような泥臭い活動を一つひとつ積み上げていくことで、最終的には「どこに、どう売るか」が明確になり、営業に引き渡せる状態まで持っていきます。
「あとはそのままレールに乗って進めてください」と言える状態まで伴走する点が、他社との大きな違いです。
もう1つは、大手製造業の新規事業領域に特化してきたことで培われた、実践的な知見の深さです。
新規事業を専門に扱うコンサルティング会社は多くありません。他領域と並行して扱う企業も少なくない中、当社はこの領域に絞って支援を積み重ねてきました。大手製造業のクライアントが多いのは研究開発予算が大きく、先端技術から生まれる商材も多いため、事業化支援のニーズが絶えないからです。
こうした環境で多くの場数を踏んできた結果として現れているのが、リピート率です。1度お仕事をいただいたクライアントのうち、6〜7割のお客さまから2度目以降のご依頼をいただいています。研究者から共有される高度な技術の本質を捉え、それをビジネスとして成立させるノウハウが、信頼というかたちになっているのだと受け止めています。
―新規事業を「形にする」3つのサービス
当社では、大手製造業を中心に新規事業コンサルティングを提供しています。サービスは大きく3つ。それぞれ異なるフェーズや課題に応じて使い分けていただいています。
「新規事業コンサルティング」と「キーマンアクセス」は、いずれも仮説構築とユーザーヒアリングを軸としたサービスですが、クライアントが今どのフェーズにいるかによって役割が異なります。
1.新規事業コンサルティング
「技術シーズやサービス案はあるが、どの業界に価値提供できるのか、どの企業に受け入れられるのかが見えていない」——構想段階のご相談がもっとも多く寄せられるサービスです。
特に大企業では、技術やプロダクトが先に存在する“プロダクトアウト”のケースが多く、それをどう事業として成立させるかが課題となります。
実際のプロジェクトでは、まずデスクリサーチを通じて業界構造や課題を整理し、有望な市場の仮説を立てます。その上で、顧客候補へのヒアリングやユーザーインタビューを通じて仮説の精度を高めていく。この検証サイクルを3〜4ヶ月かけて繰り返します。
特徴的なのは、そこで終わらず、泥臭く企業へのアプローチまで踏み込む点です。自らアポイントを取り、クライアントとともに顧客候補を訪問しながら、関係構築と仮説検証を進めていきます。最終的なゴールは、実証実験(PoC)や共同研究につながる企業を見つけること。「どこに売ればいいか分からない」状態から、有望な市場と顧客の両方が見えた状態まで引き上げ、次のフェーズに進める土台をつくります。
この仕事の醍醐味は、自分たちが立てた仮説がお客さまに繋がった瞬間にあります。以前担当したプロジェクトでは、ある商材の実証実験先を探すために「この業界にきっと可能性がある」と仮説を立て、強く推してアポイントを取りにいきました。
結果として筑波大学や大手企業での試験導入が決まり、クライアントの事業が次のフェーズに進んでいきました。売上になる手前の、ただ可能性を提示するだけの段階ではなく、実際にお客さまと繋がる取っ掛かりを作れたときの手応えは、この仕事ならではのものです。
2.キーマンアクセス
新規事業コンサルティングが「どこに売るか」を探すところから始まるのに対し、キーマンアクセスは、ある程度方向性が見えた段階で活用されるサービスです。
新規事業の意思決定において、ウェブや有料レポートを通じてマクロな情報は取得できても、「自分たちの構想や技術が本当に刺さるのか」「実際に課題を感じている人がいるのか」は、直接人に聞かなければ分かりません。こうした情報は、いくらインターネットを調べても手に入らないものです。
当社では、話を聞きたい企業の部署や役職にピンポイントでアプローチし、世界中のキーマンから一次情報を取得する支援を行っています。特徴は、キーマンを探すだけでなく、実際にアポイントを取り、直接ヒアリングまで行う点。競合が持っていない一次情報をもとに、事業判断の精度を高めていく。それがこのサービスの価値です。
3.No.1調査
「○○でNo.1」「日本初・世界初」といった表記の根拠を、客観的な調査で証明するサービスです。競合製品や市場をリサーチし、表現の妥当性を担保します。
このサービスは、はじめから「商品」として設計したものではありません。新規事業コンサルティングのお客さまから、市場調査の一環として「No.1を証明したい」というご依頼をいただいたのが始まりでした。ニーズに応えるかたちで提供を続けるうちに、独立したサービスとして育っていったものです。
企業が扱う商材の中には、無形のものや、手に取っただけでは機能や特徴が伝わりにくいものが少なくありません。そうした商材の価値を正しく伝えるのは簡単ではありません。しかし「日本で初めての○○です」と客観的な根拠をもとに示すことができれば、状況は大きく変わります。
<具体的なリサーチフロー>
一方で、世の中には根拠が曖昧なままNo.1や日本初を謳う表記も少なくありません。その結果、No.1表記そのものへの信頼が揺らぎ、消費者が正しい判断ができない問題があります。本当に優れた商品であっても「どうせ根拠がないのでは」と疑われてしまえば、正当な評価を受けられず、逆に消費者が損をしてしまうこともあります。
だからこそ、客観的な調査に基づいて事実を証明することに意味があります。メディアに対しては、難しいスペックを説明するよりも「他にはない唯一無二の商品である」ことが一目で伝わるほうが取り上げてもらいやすくなります。実際、大手通信会社のテレビCMに掲載するNo.1表記の調査を当社が担当し、CM内の注釈に「ステラアソシエ調べ」と表記された実績もあります。調査結果はその後も、HPや店頭のパンフレットなどで継続的に活用されています。
正しい根拠があることで、メディアでの訴求力が生まれ、営業の現場でも自信を持ってお客さまに価値を伝えやすくなります。さらに技術者にとっては、自分がつくったものが「日本で唯一」「世界で唯一」であると証明されること自体が、大きな誇りやモチベーションにつながります。
本当に優れた技術やサービスだけが、正しい根拠に基づいてその価値を表現できる状態をつくること。それがこのサービスの目指す姿です。今後は一企業としての支援にとどまらず、行政や業界団体との連携も視野に入れながら、No.1表記の信頼そのものを取り戻していきたいと考えています。
今後の展望:主力2事業でトップを目指して
目指しているのは、新規事業コンサルティングとファーストテックサーチの2つの領域でトップになることです。「新規事業コンサルティングならステラアソシエ」「No.1調査ならステラアソシエ」——そう言っていただける状態をつくり、この分野でのポジションを確立していきます。
さらに、クライアントの新規事業を支援するだけでなく、自分たち自身でも新しい事業を生み出していける組織へ。既存事業を磨きながら、その挑戦を一緒につくっていける仲間を求めています。
日本を代表する大企業が、次の時代に向けて動き出す瞬間がある。その瞬間に、私たちは全力をかけています。新規事業コンサルタントとして、まだ世にない事業やプロダクトを企業と共につくるこの仕事は、日本の産業の未来に直接手を加える仕事です。
その挑戦に加わりたいと思った方の応募を、お待ちしています。