株式会社Nexadata代表取締役の槍田です。
積算とは、図面や仕様書から必要な材料、数量、手間を読み取り、工事にかかる費用を積み上げる仕事です。その見通しをもとに、利益と取引条件を考えて、お客様に出す見積をつくります。
私はこの工程を、建設会社の「数字の入口」だと捉えています。Nexadataが最初に取り組む場所として積算を選んだ理由を、代表の槍田が書きます。
夜、床に図書一式が広げられていました
電気工事の現場に見習いとして入っていた頃、夜な夜な床に図書一式を広げ、一つひとつ確かめている光景を見ました。現場監督が図面の記号を数えながら、ケーブルを実際に通せるか、照明の配置に無理がないかを気にしていました。
そこで行われていたのは、数を拾うだけではなく、工事を成立させるための判断です。見落とせば後から費用と手間が増えるから、確かめなければならない。非効率だと片づけられる仕事ではありません。
ただ、確認が必要であることと、そのために毎晩時間を使い続けなければならないことは、分けて考えたいと思いました。
入口の5%が、粗利の半分になります
単純化した仮の話です。1,000万円で受注する工事の原価を900万円と見込めば、粗利益は100万円です。拾い漏れで原価が50万円増えれば、粗利益は50万円になります。
受注金額の5%にあたる差が、見込んでいた粗利益の半分に相当します。入口の数字の違いは、会社に残る利益にとって大きな違いです。
一人の担当者が抱える夜の負担と、会社がどのような仕事を引き受けるかという経営の問題が、同じ場所につながっています。ここに、積算から始める意味があると考えました。
技術で解けるのは「数える」で、解けないのは「判断」です
図面から記号を見つけ、数える。この部分には、AIが担える仕事があります。ただ、同じ設備が複数の図面に描かれていれば、すべて足すと重複します。既存の設備と新設の設備が描かれていれば、今回の工事に含めるものを区別しなければなりません。
機械が何かを検出できることと、見積に使える数量を出せることの間には、こうした違いがあります。
SAKUJIは、AIが数量の候補を拾い出し、人が根拠を確認・補正して、見積に使うデータへつなぐ。この役割分担を基本にしています。どこを拾ったのかを見て、必要なものを足し、違うものを直せる。その確認まで含めて、積算の仕事として成立させたいと考えています。
経験のある人が判断しなければならないところに、時間を使えるようにする。その判断の根拠が残れば、次の担当者もそこから始められる。私たちが技術で支えたいのは、この部分です。
SAKUJIを、積算で終わらせるつもりはありません
積算を選んだのは、数字の入口だからです。入口である以上、その先があります。最初に何を見込み、結果として何が違ったのか。数量か、単価か、工事範囲か。それが分かれば、次の積算と受注判断が変わります。
建設会社が、自分たちの仕事にいくらかかり、どこに利益が残り、何を見直すべきかを、根拠のある数字で判断できるようにする。そのためのデータインフラを、積算からつくっていきます。
夜に数を拾っていた時間を、工事の内容を考えることや、若い人に仕事を教えることに使えるようにする。優秀な若手が入りたいと思える建設業にするための、最初の一歩が積算です。
積算以外に検討した事業テーマと、それでも積算を選んだ理由の全文は、noteに書きました。
