【社長が語る】「正解を求める人」ではなく、「問いを立て、周囲を動かす人」へ。 「評論」で終わる仕事なら、AIに任せればいい。
代表取締役社長 / 渡辺 悟
「正解」を他者に求める時代は、もう終わりだ
私はこれまで、大学や大学院での講義、組織でのインターンシップ、日々の採用や育成の場を通じて、多くの学生と対話してきました。そこで一貫して見てきたのは、優秀な人ほど「正解」を探しにいってしまう、ということです。
しかし、AIが急速に進化する今、解法暗記と正解探しが得意な人の価値は、すでに相対的に下がっています。2026年初頭、アンソロピックが公開した業務用AIエージェント「Claude CoWork」は、ブラウザを自律的に操作し、法務・財務・人事といった専門業務をプラグインで担うプラットフォームです。週刊エコノミストはこれを「ソフトウエア3.0」の到来と位置づけ、SaaSの死を意味する「SaaSpocalypse」という造語まで登場したと報じました。データ分析やレポート作成といった、かつてデータサイエンティストやコンサルタントの専門領域だった仕事が、AIによって急速に塗り替えられようとしています。
これは、遠い未来の話ではありません。IT業界ではすでに起きている現実です。2025年初頭に「Claude Code」などのAIコーディングツールが急速に普及し、MicrosoftのCEO・サティア・ナデラは「社内コードの30%がAI生成になった」と公言しました。同社はその後6,500人規模のレイオフを実施し、削減対象の40%以上がソフトウェアエンジニアでした。IBMは8,000人のHR部門スタッフをAIエージェントに置き換え、Amazonは2026年だけで最大3万人規模の企業部門削減を進めています。2025年に世界で削減されたIT人材は約24万5,000人。そのうちアメリカだけで5万5,000人がAIを直接原因とするリストラを経験しました。
特に深刻なのが、若い世代への影響です。スタンフォード大学の調査によれば、2025年7月時点で22〜25歳のソフトウェア開発者の雇用は2022年のピークから約20%減少しています。アメリカの新卒コンピュータエンジニアの失業率は7.5%に達し、これは美術史専攻の卒業生(3%)や看護師(1.4%)を大きく上回る水準です。2026年に入っても波は止まらず、第1四半期のテック企業レイオフのうち23%が、AIによる自動化を明示的な理由として記載しています。ゴールドマン・サックスのアナリストは「労働代替の話は、もはや仮説ではなく現実の事象となった」と言い切りました。
だが、ここで声を大にして伝えたいことがあります。D5Cはこの変化を、3年前から予測して動いてきました。データサイエンスを核としながらも、単なる分析会社に留まらず、AIトランスフォーメーション(AIX)を軸に据えた会社へのシフトを、業界内でも先頭集団であるように進めてきました。AIガイドラインの策定、AI実装の人材開発投資、社内でのAIユースケース開発の活性化、顧客へのAIソリューション提案の推進、そして幹部や顧客をAIエージェント化した壁打ちプロセスで業務を回す——そういった働き方を、すでに実践しています。だから私たちは、今この変化に慌てていません。むしろ、これを好機と捉えています。
これから必要なのは、与えられた問いに速く答える人ではありません。何を解くべきか、自ら問いを立て、その問いに基づいて動ける人です。D5Cが求めているのは、用意された正解を当てる人でも、既存の役割にきれいに収まる人でもありません。まだ世の中に十分な前例がないものを、一緒につくり、一緒に動かし、一緒に広げる人です。
変革の本質は、「技術の導入」ではなく「組織と人のOSの入れ替え」にある
D5CはAIXを掲げていますが、私たちがやっているのは単なるAI導入ではありません。AI時代の本質的な課題は、ツールの性能そのものよりも、それを受け止める組織や現場の構造にあります。どれだけ優れた技術を入れても、目的が曖昧で、役割分担が不明確で、期待値調整やフィードバック設計が弱ければ、変革は前に進みません。
私がこの壁を説明するときによく使うのが、「木こりのジレンマ」という話です。疲れ果てながら斧を振り続ける木こりに「少し休んで斧を研いだらどうか」と声をかけると、「研いでいる暇などない、木を切るのに忙しい」と返ってくる。現場に追われるほど、仕事の質を根本から上げる行動が後回しになる。この罠に、多くの組織がはまっています。そしてAI時代において、この罠は以前にも増して致命的になりました。ツールを導入するだけでは変わらない。「忙しい」を理由に、組織と人のOSの更新を先送りした会社が、真っ先に取り残されていきます。
私たちが起こそうとしているのは、「技術の導入」ではなく「組織と人のOSの入れ替え」です。ものの見方、仕事の進め方、周囲との関わり方、意思決定の仕方。その前提そのものを更新しない限り、AIは本当の意味で機能しません。人のOSを変え、組織のOSを変える。そこまでやって、はじめて変革は実装されます。
ここで重要になるのが、ダニエル・キム(MIT組織学習センター共同創設者)が提唱した成功の循環モデルです。関係の質が高まると思考の質が上がり、行動の質が上がり、結果の質が上がる。そしてその成果がさらに関係の質を高める。逆に、結果だけを追い求めることを起点にすると、思考・行動・関係の質が順に劣化し、成果もついには失われるバッドサイクルに陥ります。新卒の皆さんにまず身につけてほしいのは、チームのパフォーマンスを高める具体的な行動量です。
1年目から「実質1,000万円級」の投資を上回る価値を、どう創出するか
私たちは、新卒の皆さんに本気で投資します。入社後の研修は以前、コンサルティングとデータサイエンスの2本柱で3か月でした。しかし今年から、AI実装を第3の柱として加え、4か月へと拡充しました。ビジネスを構造で捉え、データで考え、AIを実装する——この3つを一人の人間が担える「両利き」のプロフェッショナルの土台をつくる時間です。給与も含めれば、1人あたり実質1,000万円級の投資になります。
ここで伝えたいのは、AIを「自分の補助ツール」として使うだけでは不十分だということです。プロジェクトのリソースは、もはや人間だけではありません。AIに業務を割り振り、目的を定義し、期待値を伝え、フィードバックを返す。HI(human intelligence=人間の知性)とAI(artificial intelligence)を両利きで使い倒すマネジメント力——それが、D5Cで求められる新しいプロフェッショナルの姿です。感覚としては、新人の時代から優秀な部下を持つようなものです。その部下(AI)をどう使いこなすかが、仕事の質と速度を決定的に左右します。
今ある自分の強みに、さらに別の強みを重ねていく人であってほしい。構造で捉える思考力が強みの人は、技術や実装の力をさらに重ねる。専門性に強みがある人は、それを顧客価値に結びつける力を重ねる。周囲を巻き込む力がある人は、目的定義や期待値設計の力を重ねる。そうやって、自分の可能性を拡張していく人に来てほしいのです。
投資を受けること自体に満足するのではなく、その投資を上回る価値を、自分はどう顧客やチームや会社に対して創出するか。そこを自分の頭で定義し、主体的に動けるかどうかが重要です。
新卒採用に期待しているのは、「関係の質を受け入れる人」ではなく、「関係の質を主体的に創る人」
私たちが新卒の皆さんに求めているのは、優秀なメンバーでとどまることではありません。早い段階からリーダーとして覚醒し、周囲を前進させることです。
その起点になるのが、フォロワーシップです。ただし、それは受け身であることではありません。上司や先輩、チーム、クライアントがよりよく動けるように、自分から一歩踏み込む。確認を先回りする。認識のズレを減らす。言われずとも動く。そうした行動を積み重ねる人ほど、リーダーとしての覚醒が早い。
AIを活用して思考の質と行動の質を高め、成功の循環を回す。そこで生まれた余力を、次のタスクの処理ではなく、チームの関係の質を高めることに振り向ける。認識のズレを減らし、対話を前に進め、周囲が動きやすい段取りをつくる。しかもそれを、前向きに楽しめる。D5Cが仲間として迎えたいのは、そういう人です。
10年後の経営の中核へ
私が大切にしている言葉があります。「三流は金を残し、二流は事業を残し、一流はヒトを残す」。これからのAI時代に、最後まで価値を持ち続けるのは、この“ヒトを残す力“です。
自分一人が成果を出すだけなら、AIが代替できる領域はこれから増えていきます。それでも残るのは、誰かの可能性に火を灯し、周囲の力を引き出し、チームの成果を高められる人です。
立派な分析レポートも、壮大なDX戦略も、挑戦的なAI構想も、それらがビジネスの現場で浸透し、確かな成果を生み出さなければ意味がありません。変革とは「評論」ではなく「行動」であり、「手触り感のある変革」をお客様と共に実現すること——それがD5Cの使命です。「アナリティクスを武器に社会に貢献する」というこの会社の原点を、AIXという新たな次元へ引き上げていく。今入社する皆さんには、10年後、その中核を担う存在になっていてほしいと願っています。D5Cには、早い段階から仕事を設計し、任され、周囲を巻き込みながら形にしていく機会があります。そこで行動し、チームに価値を生み出し、リーダーとして早く立ち上がる人と、一緒に働きたいと思います。
選考の前後に、参考にしていただきたいこと
D5Cがどんな未来を目指しているのか、私自身がどんな問題意識で人材育成や経営に向き合っているのかは、D5C公式noteでも発信しています。就職活動やその先のキャリア選択、入社後にどう活躍していくかのヒントとして、ぜひ活用してください。
私の自己紹介や思想の背景はこちら: ワタサトの自己紹介 ─ 私はこんな人間です
https://note.com/d5c/n/n0f5df7fc5f1b?magazine_key=m528698cee395
AIXが社会をどう変えるかを攻殻機動隊を通じて読み解いた連載も書いています: 【AIX連載・第0回】攻殻機動隊の世界は、もうすぐそこまで来ている。
https://note.com/d5c/m/m528698cee395