SACYA(さくや)は、日本発のグローバルカフェチェーンの構築を目指すスタートアップ企業です。「日本から世界的カフェチェーンを作る」という壮大なビジョンを掲げ、抹茶を主軸としたカフェ事業を展開しています。
今回は、代表である添田さんにインタビューし、創業の経緯から事業に込めた熱い想い、そして共に未来を創る仲間への期待を語ってもらいました。
添田 勝衣 / 代表取締役 CEO
高校時代、ハンドボールでU-16日本代表への選出や全国大会3位といった実績を残す。大学中退後、独学でWebマーケティングを習得。Instagramでは「カフェの人」として活動し、フォロワー12万人超のアカウントへと成長させる。その知見を活かして株式会社SACYAを創業し、現在はSACYA渋谷店を運営しながら、新たな店舗展開を推進している。
自分で稼ぐ経験を通じて、資本主義の本質を知る
ーーまずは添田さんのこれまでのご経験について教えてください。
私の人生の前半はスポーツ一色でした。高校まではハンドボールに打ち込み、日本代表ユースに選ばれたり、全国3位になったりと、それなりの結果を残してきました。
当然のように大学の体育学部に進学し、将来は体育教師やトレーナーになるのだろうと考えていましたね。しかし、大学に入って一人暮らしを始め、自由な時間が増えた途端に、「本当にこれでいいのか?」という疑問が湧いてきたのです。自分はプレーヤーとしてスポーツをするのが好きなだけで、人に教えることが特段好きなわけではない。そう気づいた時、大学に行く意味を見失ってしまいました。
そんな悶々とした日々の中で、本を読み漁るようになり、ある時、矢沢永吉さんの『成り上がり』という本に出会ったんです。何の後ろ盾もない人間が、情熱だけで人生を切り拓いていく姿に、「これこそが“生きる”ということだ!」と衝撃を受け、その日の夜、親に電話して「大学を辞める」と伝えました。次のレールなんて何も決まっていませんでしたが、自分の内側から湧き上がる衝動に従いました。今もそのときのことはハッキリ覚えていて、熱量は当時と変わっていません。生き方そのものになっています。
ーーすごい行動力ですね...!大学中退後は、どのように過ごされていたのでしょうか?
そこからは、いわゆる「社会のレール」から完全に外れた生活を送りました。哲学、宗教、美術、芸術...といった分野の本ばかりを読み、「生きるとは何か」「社会とは何か」という問いと向き合い続けました。当時の私は、資本主義というシステムをどこか冷めた目で見ていて。「お金のために、やりたくもない仕事をして時間を切り売りするなんて馬鹿げている」と本気で思っていたんです。
誰とも会わず、友人も作らず、ひたすら部屋に籠もって本を読む。コンビニの店員さんと言葉を交わすのが唯一の会話、というくらい孤独で、閉鎖的で、尖った生活でした(笑)。
自分は哲学者か芸術家になるんだ、という漠然とした思いだけを抱えていましたが、現実は甘くありません。お金が底を尽きかけ、生活していくためには、自分でお金を稼ぐ必要がありました。
ーーある種、強制的に資本主義と向き合うことになったんですね。そこからWebビジネスの世界へ転身されたきっかけは何だったのですか?
きっかけは、中古で買ったMacBook Airでした。当時、私は現代の情報社会から隔絶された生活を送っていたので、Googleという言葉すら聞いたことないレベルでした(笑)。
ただ、YouTubeでも見ようかなという軽い気持ちで、型落ちの安いMacBook Airを手に入れたんです。
実際に手に取ってみると、そのプロダクトの美しさに魅了されました。かつて哲学や芸術に没頭していた私の感性に、Appleの洗練されたデザインが強く響いたんです。「これは芸術作品だ」と思いましたね。そこからスティーブ・ジョブズやAppleの歴史に興味を持ち、PCを触ること自体が好きになりました。そして、YouTubeで偶然見かけた情報を頼りに、Webの世界へ足を踏み入れていきます。
ーーMacBookが原点というのは意外でした!Webビジネスでの経験を通じて、仕事に対する価値観は変わりましたか?
劇的に変わりましたね。最初は1日15時間パソコンに向かっても全く稼げない日々が続きました。そこで痛感したのは、「作業量(投下した時間)そのものがお金になるわけではない」ということです。
お金とは、誰かに価値を提供し、その対価として得られるもの。つまり、自分本位ではなく、画面の向こうにいる相手が何を求めているのか、何に価値を感じるのかを徹底的に考えなければなりません。
かつて毛嫌いしていた仕事の正体は、実は「他者への価値提供」という非常にシンプルな営みだとこの時に気づいたんです。その本質を踏まえ、「相手が欲しいものを与える」ことに徹した結果、徐々に成果が出るようになっていきました。仕事とは、我慢の対価として給料をもらうことではありません。自分のスキルやアイデアで誰かを喜ばせ、その循環の中で自分も豊かになる。この「価値提供と享受の循環」の充実感は、今の私のビジネスの原動力にもなっています。
Instagramでフォロワー12万人超。発信を通じて気づいたリアルな空間の可能性
ーーその後、Instagramで「カフェの人」として知られるようになりましたが、どのような戦略があったのでしょうか?
Webマーケティングで培ったSEO(検索エンジン最適化)の知見を、Instagramに応用しました。当時、Instagramは「キラキラした日常」や「自撮り」を発信する場だと思われていましたが、私は「ユーザーはどんな情報を求めてカフェを検索しているのか?」を徹底的に考え、発信内容に反映していきました。
例えば、カフェの机に電源はあるのか、席数はどれくらいか、混雑状況はどうか、メニューの価格帯といった実用的な情報を、綺麗な写真と共に雑誌のように整理して発信しました。自分の写真や主観的な感想よりも、見る人にとっての「有益性」を最優先したのです。この戦略が当たり、1年でフォロワーは10万人を超えました。東京のカフェに行けば「あ、カフェの人だ」と声をかけられるほどになりましたね。
ーー発信者として成功しながら、なぜご自身でカフェを経営しようと思ったのですか?
多くのカフェを巡り、その魅力を発信する中で、よりカフェという空間が好きになっていきました。また、情報発信の仕方をマネして頂くことも増え、私の発信と同じようなものが増えていく中で、私自身が発信者として情報を流すだけではどこか物足りなさを感じていました。
そこで、私が本当にやりたいのは、情報の媒介者になることではなく、自分自身が価値を生み出す源泉になることなんじゃないかと思ったんです。Webの中だけでなく、リアルの場で人が集い、感情が動く空間を作りたい。そして、かつて私が感じた「価値提供の喜び」を、組織として最大化したい。それを広める手段やスキルはもう持っている。
そう考え、実業の世界へ飛び込むことを決意しました。
コーヒーではなく抹茶。日本から世界へ挑むための勝算
ーー創業当初から「日本から世界的カフェチェーンを作る」という目標を掲げていたそうですが、なぜそこまで高い目標を設定されたのでしょうか?
起業する際に『ビジョナリー・カンパニー』という本を読み、深く感銘を受けたことが大きいです。単にお金を稼ぐための事業ではなく、理念やビジョンを持ち、社会に永続的な価値を残す企業を作りたい。かつて私が哲学や芸術に求めていた「普遍的な価値」を、ビジネスを通じて表現したいと考えていました。
カフェ業界には、単にコーヒーを売るのではなく、空間や体験そのものを文化として根付かせている世界的なリーディングカンパニーが存在します。日本発のブランドとして、そうしたグローバルチェーンと肩を並べ、世界中で愛されるカフェを作りたい。その挑戦こそが、私の人生を賭けるに値するテーマだと思いました。
ーー当初はコーヒーを提供していましたが、途中から「抹茶」へピボットしています。ここの理由についても教えてください。
理由は大きく分けて2つあります。1つはビジネス的な勝算、もう1つは日本人としてのアイデンティティです。
ビジネス的な観点で言えば、コーヒー市場は完全なレッドオーシャンです。スターバックスをはじめとする巨人がひしめく中で、後発の個人店がコーヒーの味だけで勝負するのは限界があります。
一方で、カフェの本質を「カフェインという常習性のあるドリンクを媒介とした空間提供ビジネス」と定義した時、必ずしもコーヒーである必要はないと考えました。抹茶にもカフェインは含まれていますし、実際に日本では古来より”ライフドリンク”として、今のコーヒーのように日常的に常飲されていました。何より市場において圧倒的な競合がいません。「抹茶×カフェチェーン」という領域は、まだ誰も覇権を握っていないブルーオーシャンだったんです。
ーーなるほど!もう1つの理由である「日本人としてのアイデンティティ」についても詳しく教えてください。
私はかつてアメリカ映画に憧れ、海外文化を素晴らしいと思っていましたが、同時に「なぜ日本人は自国の文化にもっと誇りを持たないのか」という憤りも感じていました。戦後の日本には、どこか欧米文化を崇拝し、自分たちの文化を卑下するような空気があるように感じます。
だからこそ、日本人が世界に向けて勝負するなら、欧米の模倣ではなく、確固たる日本の精神性が宿るもので戦うべきではないかと考えました。その観点で見ると、「抹茶」はこれ以上ない選択肢でした。茶道には「茶禅一味」という言葉があるように、お茶を点てる行為そのものが、精神統一や空間づくりの芸術です。抹茶を通じて、日本人の精神性を世界に証明する。それが私の使命だと感じました。
AI時代だからこそ際立つ人間力。マニュアルを超えた「対話」が、最強の差別化戦略になる
ーー添田さんが経営を行う上で、最も大切にしていることは何ですか?
「人の価値を最大化する」ことですね。これはSACYAのコアバリューでもあります。
これからの時代、AIやロボットの進化によって、単純作業や効率化された業務はどんどん自動化されていくと思います。もしカフェが単に「喉を潤す場所」であれば、自動販売機や配膳ロボットで十分です。しかし、私はそういった無機質な未来に魅力を感じません。
効率化を突き詰めた先にあるのは、コモディティ化です。どこでも同じ味が、安く、早く手に入る。それはそれで便利ですが、そこに「感動」はありません。逆に言えば、テクノロジーが進化すればするほど、人間にしかできないことの価値は高まっていきます。それは、「その場の空気感を作ること」や「情緒的な価値を提供すること」であり、これからのビジネスにおける最大の競争優位性になると考えています。
ーーそれは差別化戦略としてだけでなく、添田さんが実現したい社会像にもつながっているのでしょうか?
そうですね。私自身、かつて「生活のために嫌々働く」ことに強い抵抗感を持っていました。誰かに指示されたことをただこなすだけの仕事は、ある種「ロボット的」であり、人間が本来やるべきことではないと思っています。
自分の内側から湧き上がる「これをやりたい」「相手を喜ばせたい」という内発的動機で動くこと。それこそが人間らしい営みであり、その熱量が伝播することで、働く本人も、受け取るお客様も、そして社会全体も豊かになっていく。人の価値を最大化させることで、そんな「人間らしさ」が肯定される未来を作りたいんです。
ーー現在向き合っている課題についても聞かせてください。
課題は、やはり「人」ですね。
「人の価値を最大化する」と言葉にするのは簡単ですが、それを体現できる組織を作るのは至難の業です。特に現在は、抹茶ブームという追い風もあり、店舗を増やそうと思えばいくらでも増やせる状況です。
しかし、ここで焦って「ただマニュアル通りに動く人」を大量採用して店舗を広げれば、一時的に売上は上がるかもしれませんが、私が目指すブランドには絶対になれません。求めているのは、自分の人生を自分でコントロールしたいと思っている人。会社にぶら下がるのではなく、SACYAという場所を使って、自分自身の価値を高めたい人を探していきます。
ーー最後に、記事を読んでいる求職者の方へメッセージをお願いします!
私たちは今、創業期という一番面白いフェーズにいます。何もないところから、世界を目指す。そのプロセスを当事者として経験できるのは、今入社するメンバーだけの特権です。ストックオプション制度なども含め、共にリスクを取り、共に夢を追ってくれる仲間には、しっかりと報いる仕組みも整えていきます。
私は、「仕事の報酬=我慢料」だとは考えていません。価値を提供し、感謝され、その対価として豊かになる。そしてその対価を再投資して、さらなる価値を提供し、循環させて大きくしていくことで圧倒的なブランド企業になる。この健全なサイクルを回すことが、顧客と企業とあなた自身を豊かにする一番の近道だと考えています。もしあなたが、今の日本の閉塞感に違和感を持ち、自分の可能性を試したいと思っているなら、ぜひ一度お話しましょう。応募時点で抹茶が好きかどうかはそこまで重視していません。熱量を持って、世界へ挑みたい方をお待ちしています!