こんにちは。クラウン情報テクノロジーの増井です。
「現役エンジニア社長シリーズ」第13回です。
クラウン情報テクノロジーでは、金融ITを中心にシステム開発・支援を行っています。
「なぜ金融ITなのですか?」
そう聞かれることがあります。
理由はいくつかありますが、一番大きいのは、金融ITは経験を積み重ねることで、技術だけではない専門性を身につけられる分野だからです。
最近は、フロントエンドからバックエンド、インフラまで幅広い技術を扱える「フルスタックエンジニア」というキャリアもあります。幅広い技術を身につけることは、もちろん大きな強みです。
一方、私たちが目指している方向は、ある意味ではその逆かもしれません。
金融ITという領域を、狭く、深く。
今回は、なぜ私たちが金融ITにこだわっているのかについてお話しします。
金融システムは、技術だけでは分からない
システムエンジニアというと、プログラミング言語、データベース、クラウドなど、まず技術的なスキルが思い浮かぶかもしれません。
もちろん、技術は大切です。
ただ、金融ITの仕事をしていると、技術だけでは理解できないことがたくさんあります。
例えば、株式、債券、先物、オプション。
それぞれの商品には特徴があり、取引の仕組みも違います。当然、それを扱うシステムにも金融商品や業務の考え方が反映されています。
「このデータは何を表しているのか」
「なぜこの計算が必要なのか」
「なぜこのタイミングで処理するのか」。
プログラムだけを見ていても、その理由が分からないことがあります。
株式や債券、先物、オプションがどのような商品なのかを知らないまま、それを扱うシステムを本当の意味で理解するのは難しいと私は思っています。
システムを理解するためには、その先にある金融商品や業務を理解する必要がある。
ここが、金融ITの難しさでもあり、面白さでもあります。
「広く」だけではなく、「深く」も大切にしたい
ITの世界では、新しい技術が次々と登場します。
一人のエンジニアが幅広い技術領域を扱う機会も増えています。
そうした変化に対応し、新しい技術を学び続けることは必要です。
一方で、私たちは一つの分野を深く知ることにも、大きな価値があると考えています。
例えば「債券」という言葉を知っていることと、実際の金融業務やシステムの中で債券を扱った経験があることは違います。
商品について調べる。業務を理解する。実際のデータを見る。そしてシステムの処理と結びつける。
そうした経験を積み重ねることで、少しずつ、
「なぜ、このシステムがこうなっているのか」
まで考えられるようになります。
技術の幅を横に広げていくキャリアがある一方で、一つの業務領域を縦に深く掘っていくキャリアもある。
私たちは、その「深さ」を大切にしたいと考えています。
経験した金融知識は、次の仕事でも生きてくる
金融ITのもう一つの特徴は、身につけた業務知識が次の仕事でも生きることです。
もちろん、銀行、証券、保険では業務が違います。
同じ証券でも、株式と債券では違いますし、会社やシステムによっても違います。
それでも、これまで身につけた知識がすべてゼロになるわけではありません。
一つの金融商品を理解すると、それと関連する商品や業務を理解するときの土台になります。
一つのシステムで業務の流れを理解すると、別のシステムを調べるときにも「ここは以前経験した業務と関係がありそうだ」と考えられるようになります。
経験を積めば積むほど、自分の中に知識が蓄積されていく。
金融ITは、時間をかけて経験すること自体が専門性につながる分野だと思っています。
「金融ITの経験者」が求められる案件がある
そしてこれは、SESという仕事を考えるうえでも重要です。
SESの案件では、求められる条件として、プログラミング言語や担当工程だけではなく、「金融ITの経験」や特定の金融業務の経験が挙げられることがあります。
なぜなら、金融商品や業務を知っていることで、お客様との会話や仕様の理解がしやすくなるからです。
同じ技術を使えるエンジニアでも、金融システムを経験している人であれば、業務用語を理解し、その背景まで考えながら仕事を進められる場合があります。
特に上流工程になるほど、その違いは大きくなります。
つまり、一つの金融IT案件で積んだ経験が、その案件だけで終わるわけではありません。
「金融ITを経験してきたこと」そのものが、次の案件で求められる経験になることがある。
これも、私たちが金融ITにこだわる理由の一つです。
業務を知らなければ、上流工程は難しい
前回のストーリーでは、「次は上流工程へ」というテーマで書きました。
要件定義や基本設計では、お客様から言われたことをそのまま設計書に書けばいいわけではありません。
例えば債券を扱うシステムについて話をしているのに、債券という商品そのものを理解していなければ、お客様が何を実現したいのかを正確に理解することは難しくなります。
株式、債券、先物、オプション。それぞれの商品や業務の背景を理解したうえで、
「なぜ、この変更が必要なのか」
「どの業務に影響するのか」
「システムでは、どのように実現するのか」を考えていく。
金融ITの上流工程では、技術力と同じように業務知識も重要です。
だから私は、上流工程を目指すエンジニアには、技術だけではなく業務にも興味を持ってほしいと思っています。
現役のトレーダーやファンドマネージャーと話せるエンジニアへ
そして、その先に私が目指してほしいと思っている姿があります。
それは、現役のトレーダーやファンドマネージャーと、金融業務について会話しながら要件定義ができるエンジニアです。
お客様から「こういう機能が欲しい」と言われたものを、そのままシステムにするだけではありません。
どのような商品を扱っているのか。どのような取引や運用をしているのか。なぜその機能が必要なのか。現在の業務のどこに課題があるのか。
そうした背景を理解したうえで、お客様と一緒に考え、それをシステムの要件へ落とし込んでいく。
そこまで仕事をするためには、ITの知識だけでは足りません。
金融商品を学ぶ。業務を学ぶ。システムを学ぶ。そして、現場で経験する。
簡単に身につく力ではありません。
だからこそ、そこまで到達できれば、その人にしかない大きな専門性になります。
「金融のことなら、この人に聞けば分かる。」
さらには、
「この人なら、私たちの業務を理解したうえでシステムの話ができる。」
お客様からそう思っていただけるエンジニアを、クラウン情報テクノロジーから一人でも多く育てていきたいと思っています。
すべての金融商品に詳しくなる必要はない
もちろん、一人のエンジニアが金融のすべてを知る必要はありません。
株式に強い。
債券に強い。
先物やオプションに詳しい。
特定の業務に詳しい。
あるシステムを深く理解している。
それぞれに得意分野があっていいと思っています。
分からないことがあれば調べ、新しい業務を経験するたびに知識を増やし、少しずつ自分の専門領域をつくっていく。
技術を幅広く扱えることが一つの市場価値なら、特定の金融商品や業務について深く理解していることも、エンジニアの市場価値の一つだと私は考えています。
AI時代だからこそ、専門知識を持つ
生成AIによって、エンジニアの仕事も変わり始めています。
私自身も現在のプロジェクトでCopilotを活用しています。調査や整理、ドキュメント作成など、AIを活用することで仕事を効率化できる場面は確実に増えています。
これから、コードを書くことや情報を調べることの一部は、さらにAIが支援してくれるようになるでしょう。
だからこそ私は、AIを使って何を作るのか、何を確認するのか、そして出てきた答えが正しいのかを判断するための知識が重要になると考えています。
「この金融商品では、この処理で本当にいいのか」
「この変更によって、どの業務に影響が出るのか」
「お客様が本当に求めているものは何なのか」
AIを使うとしても、その答えを業務の文脈で判断するためには知識が必要です。
新しい技術を取り入れながら、自分が積み上げてきた専門知識を使って考える。
技術と業務知識の両方を持つこと。
これはAI時代でも、金融ITエンジニアの大きな強みになると考えています。
「何でもできる会社」より、強みのある会社へ
クラウン情報テクノロジーは、まだまだ小さな会社です。
だからこそ、最初からあらゆる分野を広く手掛けるのではなく、「この分野なら強い」と言えるものを持つことが大切だと考えています。
その軸が、金融ITです。
社員が金融ITの現場で経験を積む。金融商品や業務を学ぶ。
開発から設計へ、設計から要件定義へと仕事の幅を広げていく。
そこで身につけた金融ITの経験が、次の金融案件につながる。そして、さらに専門性を深めていく。
社員一人ひとりが積み上げた専門性が、会社としての専門性にもなっていく。
社員の経験が会社の強みになり、会社の強みが社員に新しい経験の機会をつくる。
そんな循環をつくっていきたいと思っています。
最後に
私たちが金融ITにこだわる理由は、単に金融案件が多いからではありません。
金融ITでは、技術だけではなく、金融商品や業務についての知識を積み上げることができます。
その知識は、上流工程へ進むときの力になります。
そしてSESの世界では、金融ITの経験そのものがお客様から求められることがあります。
一つの金融ITプロジェクトで経験を積む。その経験を生かして、次の仕事へ進む。そこでさらに深い業務や、新しい工程を経験する。
その繰り返しによって、自分にしかない専門性が少しずつできていく。
最近は、幅広い技術を扱えるエンジニアが注目されることも多くなりました。それも一つのキャリアです。
一方、私たちは、
金融ITという領域を、狭く、深く。
金融商品や業務を理解し、やがては現役のトレーダーやファンドマネージャーと同じテーブルで業務について話し、システムの要件を一緒に考えられる。
そんなエンジニアを、一人でも多く育てていきたいと考えています。
そして、そうしたエンジニアが集まることで、「金融ITならクラウン情報テクノロジー」と言っていただける会社を目指す。
それが、私たちが金融ITにこだわる理由です。
すでに金融ITの経験をお持ちの方はもちろん、「これから金融ITを学んで専門性を身につけたい」「将来は金融業務を理解した上流エンジニアを目指したい」という方とも、ぜひお話ししたいと思っています。
クラウン情報テクノロジーに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう。
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