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理学療法士の私が、TRAPEから学んだ“対話”の価値【インターン体験記#1】

理学療法士の南本健吾さんによるTRAPEインターン体験記です(こちらのインターン体験記は2022年3月現在のものです)

きっかけは尊敬する先輩

私は大学院に通いながら通所リハビリテーションに勤務する6年目の理学療法士でした。

インターンを始めたきっかけは、2021年の8月頃、私の大学の先輩で、すでにTRAPEでインターンをしていた橋本康太さんから紹介してもらったことです。

私は2022年4月から橋本さんが立ち上げるデイサービスで管理者としての勤務が決まっており、何度かTRAPEの話を聞く機会がありました。面白い取り組みをしている企業だと興味は持ちつつも、「自分とは別次元の話だな」程度にしか考えておらず、当時はまさか自分がTRAPEに関わることになるとは思ってもいませんでした。

ところがある日、仕事帰りの車の運転中に橋本さんから突然電話があり、「TRAPEでインターンの募集があったから、ぜひチャレンジしてほしい」と話をいただいたのです。

「尊敬する先輩と同じ経験ができるのだから、思い切ってチャレンジするしかない……!」と心躍った私はその勢いでインターン応募のシートを記入し、早速代表の鎌田さんとzoomで面談。

直接会ったことのない鎌田さんとの対話はやはり緊張し、TRAPEの印象を聞かれた際には、「介護保険分野の生産性向上のセミナーなど、最先端の企業と認識しています!」などと変な事を言っていた気がします(笑)


TRAPEのメンバーとしての活動は、想像していたよりもずっと大変でした。例えば、入社当初に苦労したのは業務で使用するツールです。

TRAPEで主に使用していたのはGoogle Drive、Slack、Notion、oViceなどで、基本的にWordやExcelのようなMicrosoft系ツールの使用が基本だった私にとっては初めての連続でした。

ただ、TRAPEでは社内議事や現在開発中の事業など、様々な情報がインターンを含めたメンバーにも開示されており、自ら掴みに行こうとしさえすれば、自分の業務範囲を超えた幅広い情報にアクセスできます。

加入したての私は、当然ながら社内で一番何も知らない状態でしたので、当時は少しでも知識で他のメンバーに追いつき、対等に対話したいという思いで、慣れないツールに苦労しながら必死に情報へアクセスし、インプットを重ねていました。

私のインターンとしての主な仕事は、厚生労働省と協働開催された「介護分野の生産性向上セミナー」でグループワークのファシリテーターを務めることでした。

最初は前年度のセミナーを経験した方たちとファシリテーションの練習をするところから始まりました。インターンのみで練習は行われ、練習のスケジュールを立て、練習で出てきた改善点や疑問点を話し合っては、練習会を欠席した人や他のメンバーがいつでも最新の情報にアクセスできるよう、担当者がNotionに記入してブラッシュアップしていきます。多いときには週に3回練習会を行っていました。

セミナーでは各グループ内の複数の参加者とごく限られた時間でセッションを進行する必要がありました。事業所の運営で深く悩んでいる参加者にどのようなアプローチをすれば課題解決に近づくか。年間を通して計10回以上ファシリテーションをしましたが、今でも「あの問いかけは正しかったのか」と悩むほど、難しかったと感じています。

(「厚生労働省 介護現場における生産性向上 全国セミナー」にてファシリテーション中の南本さん)


すべての人間関係は対話から

約1年のインターンを通じ、最も学んだのは、人間関係構築における「対話」の意義です。

日頃から対話を重んじるTRAPEでは、どんな些細な悩みでもメンバーで共有し、チームで解決を図ろうとする文化があります。これまでの人生で対話を意識してこなかった私にとって、TRAPEのカルチャーはとても新鮮に映りました。

そして何より、インターンでファシリテーターを経験するうちに、対話のあるべき姿とは何かを実感することができました。

セミナーで参加者に介護現場の課題を聞くと、「人手が足りない」「職員同士のコミュニケーションが少ない」などが挙げられます。

そこで、私たちファシリテーターは、「なぜ、人手が足りないと感じるのか」「職員同士のコミュニケーションが減ってしまうのはなぜと思うか」と参加者の答えをさらに深く掘っていきます。そうすると、例えば同じ「人手不足」という課題でも、元を辿った結果、転記業務に追われ、本来注力すべきケアに集中できず人が定着しないことが原因の場合があれば、既存の職員で新人が馴染みづらい雰囲気が形成されていることが原因の場合もあります。

すなわち、どの介護事業所でも類似した課題が挙げられますが、その解決に必要な行動は三者三様だといえます。

まさに、対話とは物事の背景を探るための手段。相手がなぜその発言に至ったのか、ある問題がなぜ発生したのかなどのように、「なぜ」を他者と共有し、深く掘り下げていくことで、最適解を見つけ、物事を前に進めることができるのです。

私も過去に自分の職場においてリハビリテーション課スタッフのリーダーとして他職種とのやりとりをしていましたが、職種間で業務方針がずれ、事業所内で人間関係に問題が出ることもありました。振り返ると、相手の背景に対する想像が互いに足りていなかったこと、すなわち対話の不足が原因だったと思っています。

ですが、今では些細な悩みや疑問も互いに尋ねあう雰囲気が出てきており、メンバーと協働できる関係になってきています。

セミナーが始まる前にも、一度鎌田さんからファシリテーションにおける対話の重要性について聞いていましたが、当時はそのメッセージの深さがあまり理解できていなかったように思います。実際に自分の職場で問題の改善を体験し、対話の大切さを心から実感しました。

(理学療法士として働いている職場での南本さん)

短期集中サービスで、用者の社会加を

先にも述べた通り、私は4月から橋本さんが立ち上げるデイサービスに管理者として勤務します。新しいデイサービスでは3つの目標を掲げています。

まず一つ目は、職員がやりがいを感じながら仕事ができ、素直に自分の意見が言える環境の整備です。これからはセミナーで対話していた参加者の方と同じ境遇で仕事をすることになるので、ファシリテーターとしての学びを活かしつつ、対話を通じて現場での最適解を見つけていきたいです。特に、来年度、自分が困り果ててセミナーに参加することがないように頑張りたいです。笑

二つ目は、理学療法士や作業療法士がいないデイサービスでも活用できる個別機能訓練やリハビリテーションマネジメントの開発および普及です。

私は理学療法士という職種に誇りを持っています。なので、利用者さんと関わるうえでやはりリハビリテーションの結果にはこだわっていきたいですが、現状のデイサービスでは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は配置義務がありません。配置に関しては国の方針に左右されますし、雇用単価が高いなどの理由で事業所側も積極的に採用できないかもしれません。なので、リハビリテーション専門職が不在でも活用できる個別機能訓練やリハビリテーションマネジメントの仕組みの開発・普及が必要だと考えています。自分の職場だけでなく、様々な事業所が取り組める内容で実践することで、より多くの利用者に質の高いサービスが提供できるようになると信じています。

そして三つ目は、利用者の状態に合わせた短期集中サービスの選択とその考え方の開発および普及です。

私は介護予防・日常生活支援総合事業の短期集中サービスを実践していきたいと思っています。私が4月から勤務するデイサービスがある市では、短期集中サービスを実践できていません。これは全国的に見ても同様で、マネジメントのノウハウの浸透が不十分、事業所に対してのインセンティブが未設定などの問題があります。

しかし、介護保険制度を今後も持続させるうえでは短期集中サービスから社会参加までつなげ、安易にサービスに依存しないマネジメントが必要であると認識しています。

幸いにもTRAPEは大阪の寝屋川市で短期集中サービスのモデル事業開発に参画した実績があるため、運営方法などをいつでも聞ける環境にあります。私は今後多くの場面で壁にぶつかることになると思うので、TRAPEのみなさんの力も借りながら、短期集中サービスの成果を出し、少しでも多くの自治体が取り組めるように活動していきたいです。

最後に、TRAPEは事業では成果にストイックでありながらも、メンバー同士はとても仲がいいです。昨年の秋にはメンバーのみんなで集まって運動会をするという行事もありました。全員が直接集まったのはその時が初めてだったらしく、このタイミングでインターンとして関われたのは幸運でした。

メンバーみんなが気さくで、よく笑い、そして何らか自分の信念と役割を持って行動するような、まさしくwell-beingを体現している方たちです。もしTRAPEの価値観に共感し、インターンに興味を持った方がいましたら、ぜひ、チャレンジしてみてください。

(文:南本健吾、編集:小原由子)

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