今回は、新卒をサイバーエージェントのWeb広告代理事業からキャリアをスタートさせ、その後スタートアップの事業会社2社でマーケティングを経験し、unnameを創業した宮脇と、「マーケターへの未経験転職を可能にする方法」について考えます。
・何歳までなら未経験転職は可能か?
・どんな会社を選ぶとうまくいくのか?
・未経験転職の場合、年収はどうなるのか?
自身の転職経験と、現在の採用サイドの立場から、本音と取るべき戦略について深掘っていきます。
目次
中途未経験でも、マーケターになれる
「事業会社」への未経験転職が難しい理由
【まとめ】 事業会社のマーケティング部が未経験を採用できない理由
「年収を下げる」覚悟はあるか
未経験者の「知ってますアピール」は逆効果
未経験者に求められる「4つのソフトスキル」
「憧れ」は捨てて、対等なパートナーとして語れ
【最後に】 unnameでも未経験採用を始めました
中途未経験でも、マーケターになれる
私はよくキャリア面談などを受ける立場ではあるのですが、その中でよくある質問があります。それは「未経験からマーケターに転職したいと考えています。どんなスキルを身につければいいでしょうか?」というもの。
結論から言えば、未経験からマーケターになることは「可能」です。
しかも、年齢は若ければ若いほどいい。
しかし、世の中に出回っている「未経験歓迎!Webマーケター採用」のような甘い話とは裏腹に、簡単な話ではありません。これらの求人は「修行タスクのような業務をメインにマーケティング携われます。その代わり年収はかなり低いです」というのが前提条件となります。
なぜならマーケティング業務というのは、基本的にお金を使う部署です。そのお金をドブに捨てるも、レバレッジをかけるもマーケター次第だからです。そんな重要なミッションを未経験の人がいきなりできるわけ(させてもらえるわけ)ありません。なので、あなたが未経験で「事業会社のマーケティング部に行きたい」という希望を持っている場合、そのハードルは皆さんが想像している以上に高いのが現実です。
ということで今回は、「未経験からマーケターとしてキャリアをスタートさせるための、綺麗事抜きの生存戦略」について、解説していきます。
「事業会社」への未経験転職が難しい理由
まず、多くの人が目指したがる「事業会社マーケティング部」への未経験転職について。
繰り返しにはなりますが、未経験でいきなり事業会社のマーケターになるのは、ほぼ無理だと思っておいた方がいいです。
理由はシンプルで、事業会社のマーケティング部門というのは、基本的に「少人数」だからです。大手であってもベンチャーであっても、マーケティングチームは数名、下手をすれば一人で回していることも珍しくありません。彼らが求めているのは「即戦力のスペシャリスト」であって、「一から手取り足取り教えてあげる必要がある新人」ではないのです。教育コストをかける余裕がある事業会社は、現代においては極めて稀です。
さらに、BtoBマーティングではサプライチェーンの上流に立つので、マーケティング部が転けることで、セールス、カスタマーサクセスなどの後ろ工程の部署の仕事がなくなってしまいます。そういう事情があり、未経験者をより採用しづらくなるのです。
労働集約型のビジネスだと、後ろ工程の社員の稼働がだぶついてしまう
では、どうすればいいのか。
現実的なルートとして、まず「支援会社」に入ることです。 支援会社であれば、クライアントワークを通じて短期間で大量の打席に立つことができます。また社内に同じ業務を担当している先輩や上司がたくさんいるので、OJTという形で育成がしやすいのも特徴の1つです。
また、上司も後輩に仕事を教えると自分がもっとやりたいことに集中できるので、事業会社以上に育成のインセンティブが働くのです。
支援会社はチームで同じ領域の業務をしているため、育成のハードルが低い
支援会社で数年間、泥臭く実務経験を積みスキルを身につけた上で、事業会社へ転職するなり独立するなり、次のステップへ進む。これが最も再現性の高い王道ルートなのです。
【まとめ】 事業会社のマーケティング部が未経験を採用できない理由
①少人数なので、そもそも採用枠が少ない
⇒採用枠の絶対数が少ない
②お金を使う部署なので、即戦力が欲しい
⇒大切な広告宣伝費を無駄にはできない
③社員同士が背中を合わせているので教育が難しい
⇒同じ部署でも違う業務の担当をしているので、育成が困難
「年収を下げる」覚悟はあるか
「支援会社なら入りやすい」と言いましたが、それでも未経験採用の枠は狭き門です。
もしあなたが、本気でマーケターになりたいと願うのであれば、一つだけ「確実に転職できる裏技」があります。それは、「年収を新卒レベル(350万〜400万円)まで下げること」です。20代であれば、年収をこの水準まで下げる覚悟を示せば、採用してくれる会社はいくらでも見つかると思います。
逆に、
「今の営業職でマネージャーをしており、年収650万円貰っています。マーケティングは未経験ですが、同水準を維持したいです。」
というのは、よほど地頭が良いか、特別なポータブルスキルがない限り、虫が良すぎる話です。企業側からすれば、教育コストがかかる未経験者に高給を払う合理的な理由がありません。
私自身も、最初の転職が支援会社から事業会社へだったのですが、その際、年収を100万円以上下げました。同水準を維持するにはスキルの幅が不足していたのです。ここで「一時的にしゃがむ」ことができるかが重要なのです。生活レベルを落としてでも新しい領域に飛び込む覚悟があるか。 この「覚悟」こそが、未経験転職における最強のカードになります。
若ければ若い時の方が背負っているものも少ないため、このカードを切りやすくなります。
未経験者の「知ってますアピール」は逆効果
面接でよくあるアンチパターンとして、「マーケティングの本を10冊読みました」「マーケティングのフレームワークは一通り知っています」「グロービスでMBA取得しました」といった「知識アピール」です。
厳しいことを言うようですが、実務経験のない知識は、現場ではほとんど評価されません。それどころか、「頭でっかちで扱いづらそうだな」というネガティブな印象を与えてしまうことがあるので注意が必要です。
これをスポーツに例えてみましょう。
あなたは今、野球部からサッカー部に転部しようとしています。その入部テストで、監督に向かってこうアピールしたらどう思われるでしょうか?
「サッカーの戦術本を読みました。『ダイアゴナルラン』の重要性は理解しています!」
監督はきっとこう思うはずです。
「いやそんな知識いらないから、どれくらいボール蹴れるの?走れるの?」
野球部出身者がアピールすべきなのは、サッカーの戦術知識ではありません。
「野球部ではそこまで足が速くありませんでしたが、盗塁の成功率を高めるために相手投手の癖をノートに記録し、研究して成果を出しました。この『攻略するためのプロセス』はサッカーでも活かせると思います」
こう言われたらどうでしょう? 「おっ、この人は課題解決の型を持っているな。新しい競技でも同じように努力できるだろう」と期待が持てますよね。
つまり、未経験者に求められるのは、付け焼き刃の専門知識ではなく、過去の経験から抽出されたポータブルスキルなのです。さらに、身体知のない知識にあまり価値がないというメタ認知が重要なのです。
専門スキルは後で習得できればOKなので、現職でどう教訓を得たのかを知りたい
なので、未経験者がマーケティングの勉強を頑張ったことよりも、
・現職でどのようなプロセスで成果を出したか?
・どんな教訓を得たのか?
・どんなポータブルスキルを持っているのか?
ということをアピールした方が、印象は良いのです。
未経験者に求められる「4つのソフトスキル」
では、具体的にどんなソフトスキルが評価されるのでしょうか。 弊社でも未経験者を採用する際に重視しているポイントは、以下の4つです。ぜひ覚えて帰ってください。
1. 素直さと愛嬌(「こいつを育てたい」と思わせる力)
未経験者の最初の1年は「教えてもらう」立場になります。忙しい先輩社員の手を止めて教えてもらうためには、「こいつのためなら時間を使ってやろう」「見捨てずに育ててやろう」と思わせる「可愛げ」と、打てば響くという「素直さ」が不可欠です。極端な話、「土日のBBQに呼びたいと思ってもらえるか?」という基準でもいいかもしれません。一緒にいて気持ちがいい、応援したくなる人は周りが助けますので、スキルは後からついてきます。
2. 学習能力(キャッチアップの速さ)
新しい概念やツール、仕事のスタイルをどれだけ早く吸収できるか。
「1を聞いて10を知る」とまでは言いませんが、一度言われたことはメモを取り、次は自分でできるようにする。この基礎的な学習サイクルが回せるかどうかが重要です。自走だけでなく、自育ができる人材かどうかが争点になります。
3. 対人折衝力(コミュニケーションコストの低さ)
特に営業経験者であれば、ここは大きな武器になります。
クライアントとのメールのやり取り、会議でのファシリテーション、社内調整など、ビジネスの基礎となるコミュニケーションが円滑であること。これだけで現場は非常に助かります。お願いしていないのに先回りして議事録を取ってあったり、クライアントとアポを設定したり、このあたりのスキルは教えるのが大変なので、このスキルを持っている人は転職で有利になります。
4. ドキュメンテーション能力(資料作成スキル)
「マーケティングの戦略は作れませんが、議事録は完璧に取れます」「営業資料のブラッシュアップなら任せてください」。 こう言える人は強いです。資料がしっかり作れるというのは、スライドのスキルだけでなく、ロジカルシンキングやエッセンシャル思考が身についていることが多いです。そういうアウトプットができる人は、マーケターとしての成長も期待できます。
「憧れ」は捨てて、対等なパートナーとして語れ
もう一つ、面接で注意してほしいのが、「御社に憧れています」「〇〇さんのファンです」「めちゃくちゃ共感しました」というスタンスです。 WBCで大谷翔平選手も言っていましたが、憧れるのをやめましょう。お願いします。
「憧れています」というファンムーブをとった瞬間、あなたは相手よりも「下」の立場になります。
人間関係でもファンムーブをした瞬間、対等にはなれない
私の経験上、「憧れています」「ビジョンに共感しました」のような発言をした人の中で、優秀な人は一人もいませんでした。
仕事は推し活ではありません。憧れの対象と一緒に働くことになった時、思考停止して指示待ちになったり、まともに話せなくなったり、理想と現実のギャップに幻滅して潰れてしまったりするリスクがあります。
もし言うなら、「当時は憧れていました」と過去形で語るべきです。
「学生時代は御社のクリエイティブに憧れていました。しかし今は、ビジネスパートナーとして、御社の課題をこのように捉えており、自分のこの営業スキルで貢献できると考えています」
このように、「ファン」から「プロ」へと視点を切り替え、対等な目線でビジネスの話をすること。それが大人の転職活動です。たとえ憧れの気持ちがあったとしても、それが転職活動の現場で良い方向に転ぶことはあまりないので、プロとして対峙していきましょう。
【最後に】 unnameでも未経験採用を始めました
ここまで厳しいことも言いましたが、未経験からの挑戦は素晴らしいことです。 自分のキャリアを変えたい、新しいことに挑戦したいという熱量は、何物にも代えがたい武器になります。
そして、弊社unnameでも未経験マーケティング職の通年採用を始めました。
マーケティング支援会社は、クライアントからのプレッシャーもあり、決して楽な環境ではありません。 しかし、その分だけ成長の機会は無限にあります。 もし、本気でマーケターを目指していて、年収を下げてでも、泥臭く学ぶ覚悟があるなら。 ぜひ一度、カジュアルにお話ししましょう。