このストーリーは、unnameの代表・宮脇がnoteにて発信している読み物を、Wantedlyのストーリーとして再編集したものです。「読むと成長に効く」ような、仕事術やキャリアについて思考したテーマがメインとなっています。
今回は、「本は“読むタイミング”で吸収率が変わる」こと=“本の読み頃”について深掘りしたnoteをご紹介。読書効率を上げ、成長につなげるためのヒントが詰まった記事となっています。
入社したての新卒社員の頃、上司に3回激怒された。
怒られたり、詰められたり、コテンパンにされたことは数え切れないですが、文字通り激怒されたのは3回です。
1回目は初めての部署での飲み会の予約です。いわゆる幹事業務ですね。ちょっと変わったところを予約しようという謎のバリューを出すメンタリティで火鍋のお店を予約しました。しかし、その上司は火鍋が嫌いでした。「なぜみんなに確認しなかったのか?」と激怒されました。今思うと火鍋を予約したことではなく、「ちゃんと確認もせずに適当な仕事してんじゃねえ」ということを教えてくれたんだと思います。
2回目は、大阪出張で一泊して、翌日普通に昼頃に出社したら「なぜ始業時間に戻らなかったのか?」と怒られたこと。大阪からの帰りでも始業時間に間に合わないといけないのか、と内心少し不満に思いながらも怒られたこと。
3回目は、毎日日報を書くという約束を守らなかったこと。
これがとんでもなく激怒されました。
約束したので毎日日報を書いていたのですが、一回だけ書いていない日があり、それを指摘されました。(意外と細かくチェックされていたようです)
一日くらい良いのでは?と思いながらも、この出来事で2時間くらい激しく叱責されました。
「俺がお前と約束したのは、毎日日報をしっかり書くことと、毎朝時間通り出社して朝会の司会進行を行うこと。この二つだけだ。誰でもできる約束しかしていない。決してスキルがないとできない業務じゃない。こんな簡単な約束も守れない奴とは、一生仕事しない。舐めてんじゃねぇ」
この内容だけで本当に2時間くらい怒られました。同じ話を多分4周くらい言われました。
「あ、小さな約束でもちゃんと守らないと、本当に一生に仕事してくれないかも。やってできないと、やっていないは雲泥の差だ。」
真剣に激怒してくださったおかげて、そんな当たり前のことに気づくことができました。
激怒は伝達の手段である
当時はわからなかったのですが、「激怒が伝達のための手段であること」は、今だと理解できます。
「お前は大したことないと思っているが、これはめっちゃ重要やぞ。この先どこかでやってしまうのは勿体無いから、ここで肝に銘じておけ」
ということは、激怒じゃないと伝わらないと思ったし、激怒しても大丈夫だと思われていたんだと思います。(後日そうだったことをその上司から聞かされました)
しかし、流石に2時間も激怒されると効果はテキメンです。効果がありすぎて、その上司に対してとんでもなく萎縮するようになりました。何を話しかけるのも、その時の恐怖から普通に振る舞えない。話しかける時は話し方を整理し、想定される質問を洗い出し、頭の中で何回もシミュレーションしてようやく話しかける、くらいに萎縮していました。
そんな自分の姿を見かねた当時のトレーナーが、これを読むといいと言って送ってくれたAmazonのリンクがこちらです。
自分の小さな「箱」から脱出する方法
正直に言うと、11年前に読んだ本なのであんまり詳しく内容は覚えていない。上記のサマリを読んでも正直ピンと来ていない。しかし、その当時最も必要なタイミングで読むべき情報に触れることができた感覚は覚えている。
「ああ、この本に書いている内容が実体験と紐づいて、血肉化していく気がする」
今まさに「人間関係で困っていて、それを早く解決したい」という緊急性の高さと関連性の深さが読書効率を上げていることに気づいたのです。
元々活字を読むことが苦手だと思っていた自分ですが、それは読解力のなさではなく、必要性に駆られていない情報に対する渇望度が低いことが原因だったのです。情報への渇望度が低いと、吸収率も低くなるのです。
それ以来、読書する時は「今その書籍の吸収率はどうだろうか?」と考えるようになりました。
本は、読むべきタイミングが9割
能力開発には「知る」「わかる」「できる」「教える」という4ステップが存在しています。
▲ 知る、わかる、できる、教える(能力開発の4つのステップ) | GLOBIS学び放題×知見録
若い頃は、「知っている」だけで「できる」気になっていたりしますが、それぞれの学習ステップには格段の差があります。そんな中、読書の役割は知る(知識の習得)ことと、わかる(理解を深める)ことだと思っています。
そして読書には「読みやすいタイミング」と「理解しやすいタイミング」があります。この二つが重なるタイミングが最も本の内容を吸収しやすい、いわゆる読み頃なのです。
【読みやすいタイミング】今すぐ解決したい課題があったり、今すぐ習得すべき内容であると、学習へのモチベーションが高まりそのテーマの本が読みやすくなる
【吸収しやすいタイミング】今の自分と関連性が高いテーマの内容だと、実体験に紐づけられるので本の内容を吸収しやすくなる
▲ 自分にとってその本は、読み頃なのかどうかを見極める
今読もうとしている本が読み頃でなければ、サッと目次や重要な箇所だけ速読したり、積読しても問題ありません。一旦軽く知っておいて、必要性に駆られたタイミングで引用できればOKです。
この事実を知っていると、読書効率が格段に上がります。重要なのは読破した本の数ではなく、どれだけ血肉化できているかどうかなのです。
そういう意味では、万人におすすめの本などはなく、あるのは本のおすすめのタイミングなのであります。
よく就活生や若手社員から「おすすめの本はなんですか?」と聞かれることがありますが、その人の状況によっておすすめは変わります。なので、今の自分の状況や知りたいテーマを開示した上で、おすすめの本について聞いてみると良いでしょう。
タイミング別:新社会人におすすめの本
ここまでは、おすすめの書籍の内容というより、読むタイミングが何よりも重要というお話をさせていただきました。
ここからは、新社会人の皆様がこれから来るであろういろんなシーンに対しておすすめな書籍を7つご紹介させていただきます。(※他の方が紹介しそうな王道書籍をできるだけ避けて選んでいます)
1:まんがでわかる 地頭力を鍛える
<こんな時におすすめ>社会人になってすぐに読んでOKの本です。「地頭力を鍛える」を読みやすくしたマンガ版で、普遍的に重要な地頭力を言語化し、その鍛え方を教えてくれる本です。
2:「お金の流れ」がたった1つの図法でぜんぶわかる 会計の地図
<こんな時におすすめ>金融業界や財務・会計関連の仕事に携わる人が1冊目に読みたい本です。著者も元々会計に苦手意識を持っており、その苦手だった頃の心境も踏まえて説明をしてくれています。これを読むとIRが読めるようになるので、会社の業績を読み解けるようになります。
3:インベスターZ(全21巻)
<こんな時におすすめ>お金と資本主義について、最もわかりやすく教えてくれるマンガです。このマンガはいつ読んでも良いというか、できるだけ早く読んでおくと良いです。保険のセールスを受けたり、家の購入を検討したり、資産運用を始めたりする前に、必ず読んでください。
4:モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書
<こんな時におすすめ>「上司と働き方の価値観が違っていて困っている」という時に読むと良い本。8年前の書籍なので、そこからまた新しい世代の価値観も醸成されていると思うが、ミレニアル世代(81~96年産まれ)と氷河期世代(71~82年産まれ)の仕事に対するモチベーションの差異について書かれています。
5:新しい経営学
<こんな時におすすめ>経営という言葉について、少しでも解像度を高めたいと思った時に読むと良いです。新卒時代は読む必要がないとは思いますが、経営陣と一緒に仕事をするようになったり、経営者と会話することが多い職種の方は読むと良いでしょう。初心者でも取っ付きやすく、かなりおすすめです。
6:13歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海
<こんな時におすすめ>教養を身に付けたい、世の中のニュースを読み解きたい、と思った時はまずは地政学を知ると良いです。地政学を知ることでニュースの解像度や裏側を理解できるようになるので、圧倒的な知識の差を生むことができるでしょう。まずは、下記の動画を見るだけでも十分です。
7:海賊とよばれた男(全10巻)
<こんな時におすすめ>仕事が辛くなった時、何のために働いているかわからなかった時に読むといいです。よく自分は、「辛い時に戦争映画を見ると、自分の悩みがちっぽけに感じる」ということをメンバーに伝えていますが、このマンガはまさにその役割を果たしてくれます。小説版と映画もあるので、自分が一番馴染みのあるメディアで触れてみると良いでしょう。
シーン別のおすすめの書籍を紹介しましたが、本を読む前にもっとライトに消費できるマンガやYouTube動画に触れてみるのもおすすめです。それに触れてから「興味関心が高まった」や「もっと深く情報にアクセスしたい」という場合はぜひ書籍を手に取ってみてください!
宮脇のXでも、思考のタネや仕事のヒント、まとめを発信しています!日々のスキマにぜひ◎