こんにちは!プラス・ピボット代表の山本です。
私たちは、自社サービス「+ホップ」を通じて、介護施設と派遣スタッフの最適なマッチングを支援しています。
「+ホップ」は、介護のお仕事情報に特化した求人サイトです。
スタッフの皆さんが「介護職を続けたい」と思える環境づくりを目指し、独自の7大福利厚生制度を導入しています。
たとえば、勤務時間に応じてポイントが貯まり、現金と交換できる「ポイント制度」や、ランクが上がることで獲得できるポイントが増える「会員ランク制度」など、長く働くための意欲を支える仕組みを整えています。
私たちが日々向き合っている「介護」の現場は、社会にとってなくてはならない仕事であるにもかかわらず、その重要性に見合った評価や待遇が十分に得られていないのが現実です。
そうした現場に深く関わってきたからこそ、今回は「エッセンシャルワーク」というテーマを取り上げたいと思います。
エッセンシャルワークとは、看護師、介護士、保育士、トラックドライバーといった、人の暮らしを支えるために欠かせない仕事のことです。
社会にとって重要な役割を担っているにもかかわらず、十分に報われていないという矛盾があります。
この記事では、私たちが現場で見てきたリアルな声をもとに、エッセンシャルワークの本質的な価値や、それがなぜ正当に評価されにくいのかについて、掘り下げていきます。
不可欠なのに報われない仕事
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、「エッセンシャルワーカー」という言葉が広まりました。
医療や介護、保育、物流など、私たちの暮らしを支えるために欠かせない仕事をしている人たちを指す言葉です。
この言葉が広く知られるようになったことで、普段は注目されにくい仕事の大切さが見直されるきっかけになりました。
介護職の人材サービスに関わる立場として、私もこの流れは大歓迎です。
しかし、その一方で知っておいてほしいこともあります。
それは、エッセンシャルワークの多くが「不可欠であるにもかかわらず、報われていない」という現実です。
たとえば、介護や看護、物流の現場では、今も低賃金・長時間労働が当たり前のように続いています。
一方で、テレワークができる職業の人たちは、快適な環境で高い給料を得ています。
けれど、それらの仕事が「社会にとって不可欠か」と問われると、すぐにそうとは言い切れません。
ここに、仕事の「価値」と「待遇」がかけ離れているという問題があります。
効率化では測れない「感情労働」の本質
介護や保育、看護といったケア労働は、直接的に人の生活を支える「感情労働」と呼ばれる仕事です。
相手の気持ちに寄り添い、安心感や信頼を築くことが仕事の本質であり、マニュアル通りに進められるものではありません。
そのため、「生産性を上げるにはDX(デジタル化)やAIを導入すればよい」といった単純な発想では解決できない現実があります。
たとえば、利用者のちょっとした体調の変化に気づいたり、言葉にならない不安をくみ取ったり、その人の性格や背景に応じた対応をすることは、人間の細やかな感性や経験がなければ成り立ちません。
AIには再現が難しく、代替しきれない領域が多く残されています。
もちろん、勤怠管理や記録といったルール化しやすい業務においては、DXによる効率化の余地もあります。
しかし、そうした効率化の論理を現場全体に適用してしまうと、ケアの本質である「感情のやりとり」が削がれ、サービスの価値を損なう結果につながりかねません。
さらに重要なのは、サービスを受ける側が「早さ」や「効率」を望んでいるわけではないという点です。
むしろ、多くの人が求めているのは、「丁寧さ」や「安心感」です。
このように、エッセンシャルワークには機械化や効率化が適さない側面が多く、生産性を単純に引き上げることは困難です。
その結果、社会にとって不可欠な仕事でありながら、経済的な評価や待遇が改善されにくいという構造的な問題が生まれています。
それが、エッセンシャルワーカーの「社会的価値」と「待遇」の間に、深刻なギャップをもたらしています。
本当に社会に必要な仕事とは何か?
ここで改めて問い直したいのは、 「本当に社会に必要とされている仕事とは何か?」ということです。
私たちの生活を根っこで支えている仕事──
介護・保育・看護などのケア労働は、まさにその最たる例です。
にもかかわらず、マーケティングやコンサル、金融、保険などの職業の方が 高収入で社会的にも評価されやすいのが現実です。
もちろん、どの仕事にも役割があります。
けれど、社会の持続性という観点から見れば、ケア労働のような「使用価値の高い仕事」がもっと評価されるべきだと思います。
最後に
これからの社会に求められるのは、 「機械で代替できることは徹底的に効率化する」一方で、 「人にしかできないことは無理に効率化せず、大切にする」ことだと思います。
そうした判断を一つひとつ丁寧に行っていくことで、 感情労働の価値が正しく伝わり、現場で働く人たちが報われる未来がつくれるはずです。