こんにちは。TechSuite株式会社の畠山です。
先日のシルバーウィークに、生成AIを使って漫画をつくってみました。
台風の影響で自宅で過ごす時間ができ、「せっかくなら、何かクリエイティブなことをしてみよう」と思ったのがきっかけです。
つくったのは、『マンガでわかるAI検索対策』というビジネス漫画。漫画制作の経験はありませんでしたが、気づけば解説コラムを含めて全106ページになりました。
生成AIを活用して制作した 全106ページのビジネス漫画
弊社では、AI検索対策の支援サービス「AI検索パートナーズ」を提供しています。AI検索対策には、マーケティングやブランディング、Web制作など、さまざまな知識が関わります。実際に進めるには、社内の複数の部署との連携も必要です。
その全体像を、もう少しわかりやすく伝えられないか。担当者の悩みや社内でのやり取りも含めて、物語にしたら伝わることがあるのではないか。そんな考えから、漫画という形を選びました。
今回は、漫画制作の経験がなかった私が生成AIを使って、どのように漫画をつくったのかをご紹介します。
① テーマとテイストを決める
まずは、AIと壁打ちをしながら、ストーリーの方向性を決めました。
企画の素案としてAIから出てきたのは、仕事を題材にした話ばかりではありません。ファンタジーの世界を舞台にする案や、少年漫画のようにバトルを繰り広げる案など、結構突飛なものもありました。
自分だけでは思いつかない方向の案が出てくるのは、AIと壁打ちする面白さだと思います。いろいろな可能性を検討したうえで、今回は企業の担当者に読んでいただくことを想定し、身近な仕事の課題から始まるシンプルな物語にしました。
舞台は、老舗の会計ソフト企業「明成会計」。マーケティング担当者の三田村が、問い合わせ数の減少という課題に向き合い、周囲の人たちと協力しながらAI検索対策に取り組んでいきます。
「自分の会社でも、こういう会話をしているかもしれない」と思ってもらえるような話を目指しました。
② 一度、小説のような形で文章にする
方向性が決まったら、まずはストーリー全体を文章にしました。
ここで考えたのが、AI検索対策の説明と並行して、どんな物語を読んでもらうか、ということです。
今回、裏のテーマにしたのは、「主人公の成長」と「上司からの承認」でした。
仕事で壁にぶつかり、指摘を受け、周囲の力も借りながら少しずつ前に進む。その過程を通じて、主人公が認められていく。そうした流れがあると、専門的な内容にも興味を持って読み進めてもらえるのではないかと考えました。
何を説明するかと同時に、主人公がどう変わるかも決めておく。この段階で文章にしておくと、話のつながりや登場人物の気持ちを確認しやすくなりました。
③ キャラクターを設計する
次に、画像生成AIを使ってキャラクターを決めていきました。Anifusionというツールも使いながら、見た目を具体化しています。
正面だけでなく、横や後ろなど、複数の角度から設定画像を用意しました。漫画では同じ人物をさまざまな構図で描くので、見た目の基準を先に決めておきたかったためです。
三田村ススムと九条レイのキャラクター設定例
見た目に加えて、性格や役割、主人公との関係も整理しました。どんな場面で、どんな反応をする人なのか。ここを考えておくことは、後からセリフや表情を修正するときにも役立ちました。
④ コマをつくる前に、読みやすさのルールを決める
キャラクターができたら、ストーリーをコマに落とし込んでいきます。
私は漫画制作の経験がないので、まずAIに、Webで漫画制作の一般的なノウハウを調べ、それを参考にするよう指示しました。そのうえで、自分からは次のような条件を追加しました。
1. 新しいキャラクターは、大きな1コマで紹介する。
名前や役割を伝え、「この人は誰だろう」と読者が迷わないようにする。
2. 上から下への視線の流れを意識する。
WEBTOONも参考にしつつ、同じコマ割りばかりにならないようにする。
3. 吹き出しを読む順番がわかるようにする。
誰の発言を先に読むのか、誤解が生まれない配置にする。
4. 場面の説明をこまめに入れる。
場所や時間、状況が変わったときは、ナレーションで補う。
自分では話の流れがわかっていても、初めて読む人には伝わらないことがあります。「読者を迷子にしない」ということを、かなり意識しました。
⑤ AIに生成してもらい、人間がフィードバックする
ここまで準備したら、AIエージェントに順番に生成してもらい、確認しては修正を依頼する、という作業を繰り返しました。今回はGPTを使って進めています。
特に難しかったのは、キャラクターの印象です。
たとえば、最初に生成した場面には、主人公の三田村が上司から指摘を受けた後、お礼を言わずに黙々と作業を続けるものがありました。
三田村は、仕事で課題に直面している主人公です。そこで、助言を受けても感謝を示さないとなると、読者には「仕事で苦戦しているうえに、人の話にもお礼を言わない、ちょっと感じの悪い人」に見えてしまうかもしれません。
それでは、成長を応援してもらいにくい。
そこで、指摘を受け止めていることや、相手への感謝が伝わるように修正しました。
同じ出来事を描いていても、一言のセリフや小さな反応で、人物の印象は変わります。
画像として不自然なところがないかに加えて、「この主人公に感情移入できるか」「この場面で、この反応をするのは自然か」も確認する必要があると感じました。
普段、何気なく読んでいる漫画にも、こうした工夫が積み重なっているのだと思います。漫画家の先生方や編集者の方々の知見には、あらためて頭が下がりました。
本書から10ページをご紹介します
ここからは、冒頭の場面に加えて、AI検索への気づきや具体的な対策を描いた場面を、全編から10ページ抜粋してご紹介します。途中のページを省略しているので、場面が飛ぶ箇所があります。
『マンガでわかるAI検索対策』より P1
『マンガでわかるAI検索対策』より P2
『マンガでわかるAI検索対策』より P3
『マンガでわかるAI検索対策』より P6
『マンガでわかるAI検索対策』より P7
『マンガでわかるAI検索対策』より P10
『マンガでわかるAI検索対策』より P17
『マンガでわかるAI検索対策』より P41
『マンガでわかるAI検索対策』より P47
『マンガでわかるAI検索対策』より P51
最初から100ページを超えるつもりだったわけではないのですが、伝えたいことや必要な場面を足していくうちに、全106ページになりました。
AI検索対策について知りたい方はもちろん、「生成AIでどんな漫画がつくれるのか」という視点でも、気軽に見ていただけるとうれしいです。
全編は、無料でダウンロードできます
本書は、以下のフォームから無料でダウンロードいただけます。
なお、ダウンロードにはフォームへの入力をお願いしています。弊社の取り組みを知っていただくきっかけにもなればと思っていますので、少しお手数ですが、ご協力いただけますと幸いです。
Kindleでも公開していますが、まずは無料のPDF版で気軽に読んでいただければと思います。
漫画を描いた経験のない私でも、こうして一冊を形にできたことに、生成AIの面白さを感じています。実際にやってみると、想像していた以上に、考えることも、直すところもありました。それも含めて、面白い制作体験でした。
読んでいただいた感想なども、ぜひお聞かせください。
TechSuite株式会社 代表取締役
畠山夏輝