1
/
5

「地域を象徴する物件をカタチにする」-quodが一級建築士事務所に

2023年6月、一級建築士である瀬川がquodにジョイン。
ドバイで培った国際的な視点とquodの地域の本質を捉えたアプローチが融合し、建築から「体験」を生み出していきます。
物件開発・建築設計チームを一緒に作っていく新しいメンバーも募集しています。

ドバイでの国際経験、印象に残っている仕事

―瀬川さんのご経歴を教えてください

1983年静岡県伊豆に生まれ、大学で上京しました。建築事務所に1年従事した後、X-Architects(アラブ首長国連邦ドバイ)からスカウトを受けドバイへ。国際色豊かな環境で、様々な建築・都市開発の仕事に携わり、5年後に帰国。日本の建築設計事務所で宿泊施設やインテリアの設計で経験を積んだ後、2020年に地元である静岡県で独立しました。

―ドバイの建築設計事務所で経験を積む方は、めずらしいイメージがあります。なぜドバイだったのですか?

そうですね。海外へ行かれる方は、ヨーロッパは建築の歴史があるので、ヨーロッパの事務所で働くことが王道でもあるかと思います。特に当時、中東のドバイに行くのは特殊だったかもしれません。
大学時の卒業制作や、世界中の学生が集まる建築設計のコンクールなどで、ありがたいことにいくつかアワードをいただきまして、その時にドバイの設計事務所が私に興味を持ってくれました。そして、ぜひドバイにきて一緒に働かないか、とオファーをくれまして、割と迷わずにドバイ行きを決めましたね。
当時(2009年)のドバイは、世界一高いタワー、ブルジュ・ハリファが建設中で都市開発の真っ只中という感じ。現在みなさんが持たれているドバイのイメージとはまた違うと思います。
事務所は、ボスが大学出てすぐに立ち上げた若い事務所で、ボスで当時の私より3-4歳上くらい。アジア、インド、ヨーロッパなどからデザイン、建築ができる人を集めていて、様々な人種や文化を持った仲間たち15-20人でした。
ドバイでの経験は、言葉を超えたコミュニケーションと、多様な文化を理解する力が磨かれました。デザイン、建築の共通言語が、言葉の壁を越えてチームを結びつけていましたね。世界中の才能が集まる事務所で、国際的なプロジェクトに関わる中で自分の可能性はかなり広がったと思います。


              X-Architects(アラブ首長国連邦ドバイ)の仲間達


―今までで一番印象に残っている仕事は何ですか?

ドバイで一番最後にやった仕事ですね。サウジアラビアにある都市メッカというイスラム教の聖地のマスタープランのコンセプト、デザインを手掛けました。


                   イスラム教の聖地メッカ

複数社でのコンペでしたが、私たちのチームが最優秀賞をいただくことができました。
メッカは、イスラム教を創始した預言者ムハンマドが生誕した地であり、イスラム教発祥の地でもあり、世界中からイスラム教の信者(ムスリム)が巡礼に訪れる場所です。
聖地に巡礼にくる人が爆発的に増えているので、人が多すぎて倒れて死者が出るくらい深刻な課題となっていました。
その場所に複合施設作るというかなり大きな仕事でした。コンセプト開発、環状道路を作るなどのエリア全体の構想から、建築物のディテールに至るまで私たちのチームで行いました。
王族の方にプレゼンを行うことも貴重な経験でしたね。最優秀賞もらったことは光栄でしたが、私がドバイにいた時に着工までに至りませんでした。
コンセプト、デザインまでの仕事が多かったので、その先に関して携わることができないことは、もどかしくもありました。
そういった経験も経て、ドバイで得た知見と観点で、日本で活かせることがあると思い、帰国を決めました。


                 同僚とアラビックレストランにて

―帰国してから印象に残っている仕事はどのようなものですか?

帰国後は、生まれ育った場所である静岡県の建築設計事務所で、旅館などの宿泊施設や観光に関わる施設の建築設計に携わっていました。事務所は静岡県にありましたが、全国各地のプロジェクトを担当していて、色々な地域へ行っていましたね。
印象に残っているのは、三重県賢島の崖と海の間につくった客室の仕事ですね。


                三重県賢島、崖と海の間の客室施工中

―崖と海の間の客室ですか!?

はい、こんなの無理じゃないかと思ったのですが、地元の施工者さんたちとの関係性が出来上がっていたので、プロジェクトが始まる前から一緒に現場へ行ってアイディアをもらったり、一緒に考えていったりして形にしていきました。職人さんたちに「瀬川さんだからこの案件やるよ」と言ってもらえたことは本当に嬉しかったですね。このように、建築士と大工さん、職人さんがチームとなって一緒に作っていく働き方っていいなと思いました。地域、人との繋がりを大事にして働いていきたいと改めて思った仕事です。


                三重県賢島、崖と海の間の客室完成


              三重県賢島、崖と海の間の客室から

独立、quodとの出会い と ジョインの決め手

―独立のきっかけを教えてください

先ほど話した仕事が、独立を考えるきっかけにもなりました。
建築設計事務所は、他の業界に比べてトップに立つ人の影響が大きいと思います。その人の思想、考え方が反映されていきます。
私は、挑戦したい、その地域・場所ならではのものを作りたい、自分が主になってみたいと思うようになり独立をしました。

―quodとの出会いを教えてください

2年ほど前に、「福岡県糸島に土地買ったから、quodハウスのデザインしてくれない?」とquod共同代表の中川から連絡をもらったのがきっかけです。
実は、中川とは1社目の建築事務所で1年ほど一緒に働いていたんですよ。なので、知り合ってからは15年以上経ってます。
quodを立ち上げたことはもちろん知っていましたが、PRや経営企画を主にしている会社だと思っていたので「え?土地買った?quodハウス作るってどういうこと?」とびっくりしました。
その後、富山でお弁当屋するからデザインして!と連絡をもらいましたが、それがありえないほどタイトスケジュールで、、、(笑)
そしたら、quodに入社したばかりの人とか、インターン生、若手メンバーとかすごく人数が増えてて、みんな個性強くて、タイトスケジュールの中みんなで色々やっているんですよ。「弁当の開発までやってんだ!」というのも驚きました。多分裏側では色々と大変なことが起こっていたのだと思うのですが、私は短期間でチームでやりきったのがすごい楽しかったなと。quodって面白いなと思った仕事でした。

            富山県 氷見を感じる専門店『氷見のうみと』


―建築設計事務所として独立して3年、なぜquodにジョインしようと思ったのですか
きっかけは先ほどお話しした、短期間でメンバー全員で作り上げた富山のお弁当屋プロジェクトですかね。あともうすぐオープンするquodハウスも自社事業として、つくるだけではなく運営的なところまで自分たちでできるというのがすごく楽しそうだなと思いました。
それが終わった頃に長野県蓼科の道の駅の基本構想についてのお話しをいただきました。
quodが参画している白樺湖レイクリゾートプロジェクトのような感じで、立科町のビジョンや地域計画の策定をやっていると聞いてとてもワクワクしました。

個人事務所を開設して3年、地元静岡や、その他の地域でも設計デザインを任せていただきました。このまま個人でやっていくのか、法人にするのか考え始めていたところにquodと様々な案件を通して、自分のやりたいことと合致していると思いました。

quodは地方ならどこでもやる、単発でやるという考え方ではなくて、地方拠点の数を絞っています。実際に自分たちが住み、地域に住んでいる一員として内側の視点と外側からの視点との両方を持っています。

そして建築だけではなく、エリアリサーチ、事業企画・マーケティング、ファイナンス、ブランディング・PRまで包括する、新しい価値観を具現化するメンバーがいます。物件開発に着手する前のふわっとした状態からあらゆるメンバーがミーティングに参加してくれるので多角的な視点での設計が可能になります。

そこが、普通の設計事務所ではなかなか実現することができない面白さだと思って、ジョインすることに決めました。自由な発想、熱意を共有する仲間たちと共に、地域を象徴する建築物をカタチにしていきたいと思っています。

建築設計をする上で大切にしていること

―どのような建築が好きですか

いわゆる建築とは少し違うかもしれませんが、風景と一体になった集落のような建築のあり方に憧れます。

土地の風土や、営みに寄り添うように創り上げられた集落は、単なる建物ではなく、その土地ならではの暮らしを反映して、自然の一部のようになっていますよね。

最初は旅先で地方を訪れることが好きで、集落の魅力に惹かれていきました。これまでにヨーロッパやアフリカ、中東、アジアなどいくつかの集落を訪れてきました。その場所の気候や地形、文化と調和する合理性を持ちつつ、そこで暮らす人々の知恵や工夫、創造力でその場所独自の建築形態が生まれていることがとても興味深いです。

                 ギリシャ サントリーニ島の集落にて

                ギリシャ サントリーニ島の集落

                   ネパール 棚田と集落

             モロッコ 砂漠の集落からベドウィンのテントへ


大学時代に出会った恩師と自然発生的計画理論に関する研究として集落のモデル化を行ったことも集落が好きになったきっかけとなりました。こちらの論文は恩師との共著で2021年の日本建築学会計画系論文集に掲載されていますので、興味ある方は是非手にとって見て下さい。

集落が魅力的な理由の1つは建築があって暮らしがあるのではなく、そこで暮らす人々が長い年月の中で試行錯誤を繰り返し、建築と暮らしが一体となっているからではないかと思います。quodでは建築設計を単独で考えるのではなく、地域とより密接な関係を築きながら、時間を掛けてその土地の魅力を引き出していくことが出来るのではないかと考えています。

―建築設計をする上で大切にしていることは何ですか

設計において大切にしているのは、土地の力引き出すことです。
先ずはその土地の気候や地形、歴史を良く知り受け入れること、その中でどのような建築が生まれるかを考えます。その結果、その場所だからこそ成り立つ唯一の建築ができるではないかと考えています。

今度オープンする糸島のquodハウスの設計でも土地の力を引き出すことを大切にしています。

二丈岳という山の麓、ちょうど人が暮らす里エリアと自然が豊かな山エリアの境目に位置していて、敷地内に3m近くの高低差があったため、自然を感じられることと、地形をいかして風景と調和することが重要なポイントとなりました。


                 糸島のquodハウス 最終模型

                糸島のquodハウス スタディ模型

―quodの物件開発チームをどんなチームにしたいですか

「地域を象徴する物件をカタチにする」ことがquodの物件開発チームです。
自然資本、文化資本、地域の暮らしを価値にして、世界に価値を提供していきたいと思っています。メンバーが多いわけではないので、プロジェクトの数としては少ないですが、インパクトは「大」となるものを作っていきたいですね。

「場」をつくるというのは、「物理的な場」の意味と、「ソーシャルコミュニティとしての場」の意味がありますよね。物理的な場をつくるのはもちろん、でもそれだけじゃなくて、ソーシャルな意味としての場も作れるのがquodです。

建てたら終わり、ではなくそこから生み出す。そこから始まる。建築から「体験」を生み出しています。この価値観に共感してくれるメンバーと一緒にチームを作っていきたいですね。

―quodにジョインして1ヶ月、どんな感じですか?

6月から本格的にジョインして、といっても私は三島と東京を行ったり来たりで、他のメンバーも東京、富山、長野、神戸、福岡にいるので実際全員のメンバーに対面であったのは7月のquod合宿の時でした。
一言でいうと、みんなキャラが濃い笑。一人一人独立した感じ、一人一人個性がある。でもうまくまとまっていて、楽しさはあるっていう印象です。

それぞれの分野でのプロフェッショナルがいるので、広がりを持たせられることが面白いですね。今まで歯痒かったことが、クライアントに提案できるようにもなったことも含めて設計単発の仕事よりさらに面白みを感じています。

                    2023年7月 quod合宿


―瀬川さんが仕事をする上で大切にしていることは何ですか?

信頼されることを大事にしています。建築設計は、世界に一つのものをつくります。それは、自分を信じてもらってそこからスタートするのだと考えています。
そのために、「聴くこと」をすごく大事にしていますね。相手がチラっと言ったことがすごい重要だったりするんですよ。人の思いを形にする仕事なので会話は大事です。会話の中からアイデアが生まれてくることも良くあります。言葉の奥にある意図は、その言葉はどういうことか、というのを常に意識しています。

建築設計チーム、新たなメンバー募集中

―どのような方がquodに合っていると思いますか?

自由な人、やりたい!という思いがある人がquodに合っていると思いますね。
言われた通りにこなす人ではなくて、自分の考えがあり、意見をちゃんと言える人が多い印象です。
quodは割と自由な働き方。出張も多いので、色んな土地に行きたい、知りたいと楽しめる人、自走できる人が合っているのかと思います。
あと、私はわりとシャイで人見知りな方なんですが、明るい人が多いです笑

―興味を持ってくれた方に対して最後にメッセージお願いします!

建築設計チームは今から作っていきます。採用される、というスタンスではなく、一緒に作っていきましょう。
どう思う?と、たくさん聞きますので、色々話していきましょう。
少しでもご興味を持ってくださった方、下記よりご応募お待ちしています。

                 図面描くのが好きな方、大歓迎です!

募集要項をみる


プロフィール
瀬川 幸太 Kota Segawa
合同会社quod一級建築士事務所
Principal Architect / 管理建築士

略歴
1983 静岡県伊豆の国市生まれ
2008 工学院大学大学院工学研究科建築学専攻 修士課程修了
2009-13 X-Architects(アラブ首長国連邦ドバイ)勤務
2013-20 石井建築事務所(静岡県熱海市)勤務
2020 瀬川建築設計事務所開設
2021- 工学院大学非常勤講師
2023- 合同会社quod一級建築士事務所開設

受賞歴
2016 三重県建築賞 (石井建築事務所在籍時担当)
2013 Darb Al Mashaer Masterplan Competition Winner (X-Architects在籍時担当)
2007 Archiprix International 2007 Participants Favorites
2006 AR Awards For Emerging Architecture 2006 Honourable Mention (工学院大学藤木研究室在籍時担当)
2006 第15回JIA東京都学生卒業設計コンクール 金賞
2006 仙台デザインリーグ2006 卒業設計日本一決定戦 日本二
2004 Solar Energy in Architecture 2004 Grand Prize (工学院大学藤木研究室在籍時担当)

quod, LLCでは一緒に働く仲間を募集しています
2 いいね!
2 いいね!
同じタグの記事
今週のランキング