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エンジニアにインタビュー「ECサイト開発の現状と課題」前編

スイッチサイエンスの採用広報担当、平山です。

ECサイトの自社開発に取り組むスイッチサイエンスでは、お客様にとってより良いショッピング体験を提供するため、またショップ運営スタッフの業務効率アップのため、日々システムの改善に努めています。今津さんはその中で重要な役割を担っている開発者の一人です。今回は、当社のECシステムの現状と課題、チームメンバーそれぞれの役割や求める人材についてお話しいただきました!

今津 充正

1972年、大阪府生まれ。ソフトウェアエンジニアとして、スイッチサイエンスでECシステムの開発と運用を担当。自分の手で何かを作ることが好きで、レザークラフトや工作が趣味。モノを作ることがライフワークであり、仕事においてもその志を大切にしている。

自社のECシステムで、認識されている問題点を教えてください

まず、現行のシステムが現在の事業規模に適応しきれていないというのが一番大きな問題ですね。創業当時は、無料のECサイト構築プラットフォームである「EC-CUBE」を利用してショップを立ち上げましたが、比較的早い段階で自社開発のシステムに切り替えたんですよ。10年くらい前でしょうか。

最近、フロントエンドの部分(ショップ側)はShopifyに移行しましたが、それに連携している受注や在庫管理、仕入れチームの活動記録、出荷状況などを計算するための自社開発システムは、最初に導入したものを追加開発し続けて利用しているんですね。でも事業の規模は当初と比べてかなり大きくなっているので、商品やお金に関わる部分では、小規模の時とは機能や設計の面で根本的な部分で異なるものが求められるんです。


事業規模に合っていないシステムを使っている?

私は5年くらい前にスイッチサイエンスのECシステム開発チームに参加しました。以前の会社では、業務システムの受託開発を担当していて、お客様からの要望に応じながら開発を進めることを長い間経験してきました。その経験から、事業の規模によって必要とされる機能が異なることを実感しました。だから、ある程度の感覚を持っているつもりです。

チームに参加しシステムの内容を把握していくにつれ、ビジネスの規模や求められているものとのギャップが大きい印象を持ちました。このギャップを埋めるために今、チーム一丸となって開発を進めているわけです。本来なら人的リソースを集中的に投入し、全面的にシステムを刷新する必要がありますが、適切なタイミングを見つけられないまま、ずるずると初めに開発したシステムに機能を継ぎ足して対応してきました。その結果、現在の規模では、正確な記録が必要な会計関連の情報をちゃんと提供できていないという課題があるんですよ。今でもその課題は完全には解決されていません。


詳しく教えていただけますか?

当社の事業は、単に商品を仕入れて販売するだけではありません。自社で製造した商品を販売する場合もあり、そのためには在庫管理だけでなく、材料の資産管理も必要です。さらに、創業時よりも出荷拠点が増えています。それに伴い、各拠点ごとの在庫管理が必要となりました。また、個人のお客様だけでなく、法人のお客様や販売店のお客様にも販売するようになり、数量値引きや卸値での販売機能が必要となりました。さらに、インボイスや電子帳簿保存法などのさまざまな法律にも適切に対応しなければなりません。規模の拡大に伴い、それまで問題なくできていた情報管理が困難になり、新たな機能が必要になってくるんです。先ほどお話した「規模によって必要な機能が変わる」というのは、そうしたことを指しています。

どの商品をいくつ、いくらで、どこから仕入れてきたのか、いくつ売れたのか、どの拠点から誰にいつ出荷されたのかといった情報を正確に記録することは、正しい会計情報を得る上で欠かせません。また、正確な記録をもとに、情報をさまざまな視点から分析することも、会社を経営する上で重要な要素です。経営者は、これらの数字をもとに今後の戦略を検討する必要があるでしょうし、仕入れ担当者は、時期によって商品の売れ行きが変動することを把握できたり、在庫の欠品予測が可能になれば、仕入れ計画を立てやすくなるでしょう。私たちのECシステム開発は、そうした非常に重要な役割を担っています。


フロント部分をShopifyに移行したのは、そういった課題解決のため?

大まかな意味では、そうですね。もともとはショップと、それに連携する社内業務用システム(以後、バックオフィス)の2つのシステムの開発に取り組んでいました。しかし、先ほどもお話ししましたように、お客様に商品をお届けする当社の事業においては、在庫管理や発送業務を滞りなく行うことが肝心なので、どうしても開発リソースがバックオフィスに集中してしまい、結果としてショップ側の改善がなかなか進まない状況になっていました。

ショップを運営するチームは、ショップの機能やユーザーインターフェースについて「何ができれば良いのか」「こんな機能があったら便利だ」といったアイデアを当然ながら持っています。開発メンバーもそれはよく理解していましたが、リソースの制約からなかなかそれに応えることができませんでした。それでShopifyへの移行が検討され始めたんです。


開発リソースの不足を補うためでもあったと

移行の主な目的は、Shopifyにあらかじめ用意されている管理画面や機能の提供です。Shopifyでは、システム担当者だけでなく、開発に携わらないメンバーでも利用できる様々なShopifyアプリ(プラグイン)が提供されていて、これらのアプリから必要なものを自分たちのショップに追加して利用することができます。さらに、デザインの変更も容易に行えます。こうした利点により、開発リソースを増やさずに、これまで改善が停滞していたショップを、社内のスタッフ全員で改善できるという期待がありました。

ただ、新しいシステムを導入するとなると、それに合わせた開発がやはり必要になります。システム開発って、最初からすべてを完璧に動かすことはできないんですよ。能力的な意味ではなく、そういうものなんです。だから、その点を見越して対策を立てる必要がありますし、私たちも準備をする必要があります。今回はその見込みが甘かったと感じています。実際に必要とされる開発の規模が予想以上に大きかったんですね。さらに、運用中に様々な問題が浮かび上がってきます。Shopify自体も新しいバージョンが続々とリリースされるため、それに追従する作業も増えます。一筋縄ではいかない状況です。

そんなわけで、現在はShopifyの移行自体は完了していますが、機能改善はこれからもまだまだ続いていくので、仲間を増やしてしっかり取り組んでいきたいと思っています。そしてShopifyのメリットを最大限に活かすために、バックオフィス側の刷新を必ずやり遂げたいですね。


バックオフィスの開発でかかる工数が大きいのはどの部分?

意外に思われるかもしれませんが、実はコミュニケーションなんです。自社開発システムでは、既存のソフトウェアを購入して利用する場合とは異なり、利用者の要望を聞きながらシステムを開発するため、コミュニケーションに時間を要します。特に当社のバックオフィスでは、情報を入力する人や出力結果を必要とする人(例えば会計情報など)が関係していますので、それぞれの要求や問題をヒアリングし把握しなければいけません。そして、それをシステムに反映するというサイクルを継続的に回す必要があります。

システムが完成した後も、利用者に対して「こう作りました」「こういうことに注意してください」といった説明が必要になってきます。単にシステムを提供するだけでなく、システムの説明や使い方の指導など、利用者に対する適切なサポートを行うには、思った以上に時間を費やすんですよね。その結果、開発に集中するための時間が制約されてしまうというのが実情ですね。

だから、根本的な改造が必要なのに手をつけることが難しい状況が続き、そのために既存の仕組みの中にうまく潜り込ませるような開発を進めざるを得なくなり、その結果、ますます複雑になっていったんです。後で振り返ってみると、「なぜこんなことになったのか?」という疑問を感じるような、謎の構造になっていたりします(笑)。動いているシステムを妨げないように改造するには、そうするしかなかったんですけどね。


バックオフィスの機能で、一番気になっているところは?

バックオフィスは利用する社内のユーザーのニーズに合わせて開発を行うので、とても自由度の高いシステムになっています。利用者の視点からすると、データを自由に入力できて、後から修正も可能でとても便利なのですが、裏を返せば、例えば、請求と支払いが完了した注文の内容が後から変更できてしまうというリスクが存在します。社内にそういう人はいないと思っていますが、悪用しようと思ったらできてしまうんです。だからこういったリスクを避けるために、修正された情報がチェックを行う人に正しく伝わる仕組みに変更する必要が出てきますよね。

とにかく、自由すぎて後で破綻するっていう罠がそこかしこにあるんです。それを少しでも潰していくことに日々取り組んでいる状況です。解決策が見つかったら、それをできるだけ早く実際のシステムに反映し、同時に問題が出てくる根本的な原因も把握してそれもまたシステムに反映していくっていうサイクルをなるべく早く回すことが大切です。そのためには人の手が必要だし、一緒にやってくれる仲間が増えるといいなと思っています。

続きは後編へ。ぜひこちらも合わせてご覧ください!

ソフトウェアエンジニアにインタビュー「ECサイト開発の現状と課題」後編 | 株式会社スイッチサイエンス
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