“もっと自分を成長させたい”という想いで挑み続ける起業家。
株式会社アジア資源インターナショナルは、日本国内で廃棄されるプラスチックや規格外品を再活用し、アジア圏での資源循環を目指す貿易商社です。
創業者の池田真由子は、家業のプラスチックリサイクル会社で経験を積み、その後、創業。「自分の可能性を信じた」選択をした理由とは何だったのか。これまでのキャリアと、今の想いを聞きました。
こんな方におすすめ:
・リサイクル業界や国際貿易ビジネスに関心がある方
・主体的に業務改善や新しい挑戦を楽しみたい方
・「自己成長」や「社会貢献」を軸にキャリアを考えている方
まず、学生時代からファーストキャリアについて教えてください。
私は静岡県浜松市の出身で、高校と大学時代にそれぞれ約1年間、交換留学生としてアメリカで学びました。そこで英語力を鍛えたことが、後々大きな意味を持つことになります。
その後、大学を出て最初は料理教室の運営会社で働いていました。そこにいたのは半年程度だったと思います。
そこからお父様の会社(現在の株式会社中部日本プラスチック)に入った経緯を教えてください。
両親と友人
父が香港への商談に行くのに「英通訳として来てほしい」と声をかけてくれて、当時は海外いける!とテンションが上がっていましたが、いつの間にかこの同行が入社の大きなきっかけになりました。
入社後、本格的に貿易事業部を立ち上げ、妹たちも入社し、家族で協力しながら事業を拡大していきました。
海外のお客様との信頼関係を一つずつ築きながら、事業は年々拡大していきました。
妹と香港出張
転機は、私が妊娠をし、長期で会社を空けていた時のことです。
紆余曲折あり、父が会長になることが決まり、妹が社長、私が専務として新たなスタートを切ることになりました。
そんな時に、母から経営の勉強をするようにとのことで、お世話になっていたオーストラリアのコンサルの方をご紹介いただきました。
「経営のTOPが頑張れるように良いパワーを送ることが大切だ」
頭では分かっていました。
事業は年々想定通りの成長をしていましたが、実態は違っていて、そのように振る舞うことの難しさを痛感したのが、まさにその時でした。
そんな中、コンサルの方にコミュニケーション論を学べる施設がアメリカ(フロリダ)にあるから、行ってみないか?と言われて、父の会社を退職し、息子と一緒に飛び立ちました。
印象的な出来事はありましたか?
2年ほど行きましたが、特に現地の教育には衝撃を受けました。
幼稚園では、お腹が空いたら不機嫌になるから、スナック、フルーツを持たせたり。
幼稚園から小学生に上がる時に、アルファベットの発音、曜日、月を覚えているか、靴紐が自分で結べるかのテストがあったり。
Show&tellという授業があって、自分のおもちゃを持って行って、みんなに紹介して、一緒に遊ぶ時間があったり。
特に幸せとお金の関係については、どのような考え方を持つかが非常に重要であることを学びました。
お金をたくさん持っていても、お金が幸せにしてくれるわけではなく、お金はしたいことをするためのツールであること。
そんな中、美しい景色などを見て美しいと思える心や、気持ちなど、世の中の沢山の物はお金で買えないものだらけであることも学びました。
そんな毎日発見のある日々を送り、今振り返ると、人生で大切なものを学んだ期間だったように思います。
帰国後、すぐ独立をされたのですか?
いいえ、アメリカから帰国した後は再び父の会社に席を置きました。
でも、心の中では「いつか自分の力で事業を興したい」という想いが消えずに残っていたんです。
海外で培ったものを活かして、自分自身の力でどこまでできるか試してみたいという気持ちが日に日に強まりました。
それで思い切って2017年に独立を決意し、アジア資源インターナショナルを設立しました。
独立すると決めたときも、もちろん不安はありました。
しかしそれ以上に「やってみよう」というワクワク感が勝っていたように思います。
家業で培った経験や業界の繋がりがあったとはいえ、一から自分の看板で勝負するプレッシャーは相当なものでした。それでも、「可能性がある限りチャレンジし続けたい」という思いが強かったんです。
振り返れば、留学から戻った後も心のどこかで「いつか自分の会社を」と温めてきた夢でしたから、ようやくそれを形にできるんだという高揚感がありました。
事業を始めたばかりの頃は、どのような思いで日々を過ごしていましたか?
起業当初は何もかも手探りで、実際大変でしたよ。(笑)
取引先を開拓したり、海外輸出となると、為替をある程度予測した価格設定が必要になったり、資金繰りを考えたり、一人何役もこなさなければならず、毎日があっという間でした。でも不思議と大きなストレスはなく、「自分の力で事業を動かしている」という充実感の方が勝っていた気がします。
家族も「やってみれば」と背中を押してくれましたし、以前の会社で築いたご縁が助けになった部分も多々あります。
そういった周りの協力に感謝しつつ、「絶対に成功させるぞ」という強い覚悟で走り抜けました。
アジア資源インターナショナルの具体的な事業について改めて教えてください。
弊社は端的に言うと、プラスチックに特化した貿易商社です。
日本国内で不要になった廃プラスチックや工場から出る端材、規格外品などを買い取り、それを再利用可能な資源として選別し、アジア各国へ輸出しています。
(左)規格外品の荷姿
(右)規格外品の中身
現在、輸出先は中国をはじめ東南アジアの国々が中心で、現地のニーズに合わせたリサイクル原料の提案を行っています。特に近年は中国の廃プラスチック輸入規制強化もあり、インド、ベトナムやマレーシアなど他の国への出荷も増えています。
(左)中国出張
(右)インド出張
例えば、日本で廃棄予定だったプラスチックが粉砕・再加工され、東南アジアの工場で新たな製品の材料として生まれ変わる——そんな風に、プラスチックにもう一度命を吹き込むお手伝いをしています。
東南アジアのプラスチック製品メーカーなどは、安価で良質なリサイクル原料を求めていますので、そうしたお客様に日本から材料を届けるイメージですね。
国と国との間で資源が循環するよう橋渡しをするのが私たちの役割です。 日本では「行き場のないモノ」として扱われているものが、視点を変えれば海外では立派な資源になります。
どのような点でやりがいを感じるか教えてください。
お手伝いをすることで、廃棄物の削減や環境保全にも貢献できる点ですね。
お客様にとっても安価な材料を調達でき、こちらとしても廃材に価値を見出せる。単なる商取引に留まらず、社会的にも意義のあるビジネスだと誇りを持って取り組んでいます。
お客様に対して、大事にしているスタンスはありますか?
一番大切にしているのは信頼とホスピタリティです。
以前、私が海外から荷物を日本へ送ろうとした際、現地の物流会社のサービスが融通が利かず、価格も高く、嫌な思いをしたことがありました。
その後、日本の別の会社を紹介してもらって依頼したところ、非常に親身で丁寧に対応してくれて、無事に荷物を届けることができたんです。対応次第でこんなにも印象が違うのかと驚きましたね。
それ以来、日本の貿易商社としてきめ細やかなサービスを提供しようというのが自分の中の揺るがぬ軸になりました。
海外のお客様にも「やっぱり真由子の会社は安心だね」と感じていただけるような、おもてなしの心を込めた取引を常に心掛けています。
チームに対して大事にしているスタンスはありますか?
「できない」と決めつけず可能性を追求する姿勢も、弊社のチーム全員で共有している大事なマインドです。
私は社員にも「とりあえずやってみよう!」とよく声を掛けるんです。最初から無理だと決めずに、まずは動いてみる。
うまくいかないことももちろんありますが、そこから学べばいい。失敗を恐れて何もしないより、挑戦して得られるものの方がずっと大きいと思うんです。
実は経営理念にも「可能性がある限りチャレンジし続けます」と掲げていまして、メンバーにもその精神が根付いています。
社員は少数精鋭ですが、皆が前向きにチャレンジを楽しんでくれていて、本当に頼もしい限りです。社内はとても風通しが良く、役職に関係なくフラットに意見を言い合える雰囲気ですね。
皆が当事者意識を持って仕事に取り組んでくれているので、私も学ぶことが多いです。自分や仲間の可能性を信じて、勇気を持って挑戦する——そんな文化をこれからも大事に育んでいきたいですね。
会社のロゴに描かれている“象”のマークには、どのような意味や想いが込められているのでしょうか?
実はこの象には私自身の強い想いを込めています。
象はとても大きくて力強いのに、温厚で賢い生き物ですよね。
アジアでは古くから幸運の象徴ともされていて、インドでは鼻を上げているのは歓迎の証なので、鼻をあげてもらっています。
会社を立ち上げるにあたって、自分の決意や目標を象徴する存在として何かを選びたいと思ったとき、そんな象の姿が浮かびました。
私も象のようにどっしりと軸を据えて、一歩一歩着実に前に進んでいきたい――そう自分に言い聞かせる意味でロゴに象を採用したんです。
博愛の精神を忘れず、戦わなくても強い存在でありたいという、自分自身への戒めと願いも込めています。
象が持つ温厚さや家族思いの面影は、私たちが大切にしたい「信頼・安定・包容力」と重なります。
ロゴを見るたびに「人を大切にする」「安心して任せてもらえる」会社であるかを自分たちに問い直す合図にもなっています。
鼻を上げて“上を向く”姿は、社員やお客様に前向きでポジティブな空気を届けたいというメッセージでもあります。
さらに、この“象”には繁栄や発展への願いも込めています。
パワフルで忍耐強い象が鼻を高く上げる姿には、「未来に向かって力強く進む」「企業として上昇し続ける」という意思を重ねています。
風水やアジアの文化では、鼻を上げた象は幸運を呼び込む存在ともされます。
事業の成功や拡大への祈りを、さりげなくロゴに託しました。
そしてもうひとつ。
象はインドや東南アジアなどで神聖視される存在です。
多様な文化への敬意を忘れず、世界に開かれた企業でありたい――その姿勢も、このロゴから静かに伝わればうれしいですね。
アジア資源インターナショナルのロゴ
今後チャレンジしたいことがあれば教えてください。
まず事業の目標としては、これからもアジア各国との繋がりをさらに広げていきたいです。
ゆくゆくはアジア全体での循環型社会づくりに貢献できる存在になれたらと願っています。取り扱う資源の種類もプラスチックに限らず拡大し、より多くの「もったいない」を「ありがとう」に変えていければと考えています。
そして何より、私自身がずっと成長し続ける姿を社員や子どもたちに見せていきたいですね。 年齢に関係なく新しいことに挑戦し学び続ける姿勢を貫くことで、「自分も頑張れば何かできるかも」と誰かの勇気につながったら嬉しいです。
最後に、求職者メッセージがあればお願いします。
私がいつもエネルギッシュでいられるのは、今いるメンバーが前向きであることはもちろんですが、海外の方と日々仕事をさせていただいているからだと思っています。
そんな日々の環境に本当に感謝をしています。
もしかすると「新しい一歩を踏み出してみたいけど迷っている」という方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、挑戦するのに遅すぎるということはないと身をもって実感しています。
大切なのは自分の可能性を信じること。そして一歩踏み出す勇気です。
私もまだまだ途中ですので、共に様々なことにチャレンジをしながら、それも含めて人生を楽しみながら、一緒に前に進んでいきましょう!