「今のまま働き続けて、10年後、20年後の自分にワクワクできるだろうか?」損害保険会社のカスタマー部門で14年。50名のマネジメントを任され、社内でもトップクラスの成果を出し続けてきた小川さんは、ある日自らにそう問いかけました。
安定した地位も、積み上げたキャリアも、すべてをリセットして選んだのは、未経験の「福祉」という世界。入社から半年、ニューロリワーク 所沢センターのマネージャーとして奔走する小川さんに、その真意を語ってもらいました。
小川 純平 ニューロリワーク 所沢センター マネージャー
音楽活動を経て損害保険会社のカスタマー部門に入社し、14年間にわたり勤務。オペレーターからマネージャーへ昇進し、50名規模の組織マネジメントや研修体制の構築を通じて、人材育成と離職率改善に取り組む。
認知科学コーチングとの出会いをきっかけに「すべての人に可能性がある」という理念を自ら体現したいと考え、2025年10月にインクルード株式会社へ入社。現在はマネージャーとして事業所の運営管理を統括し、通所人数や定着率などの数値分析に基づく戦略立案を担いながら、スタッフ面談や業務フォロー、利用者の面談・見学対応など現場業務にも携わっている。
「安定」から「未知」へ。14年間のキャリアをリセットした理由
――前職では14年もの間、大企業でマネジメントをされていたそうですね。なぜ、すべてをリセットしてインクルードに来たのでしょうか?
前職では14年間、がむしゃらに働いてきました。直属の部長から「最も成果を出した」と評価され、半期でトップの成績を収めたこともあります。客観的に見れば、いわゆる“安定した成功”を手にしていたのかもしれません。
しかし、心のどこかはいつも冷めていました。「何のためにこの仕事をしているのだろう」「自分の能力は本当に誰かの役に立っているのだろうか」そんなモヤモヤが消えなかったんです。毎日がただのルーティンのように感じられ、人生がまるでモノクローム(白黒)の世界のように思えていました。
そんな日常が変わるきっかけになったのが、「認知科学コーチング」との出会いでした。コーチングを通して“働く意味”を深く見つめ直したとき、「自分の能力を使って、人の可能性を広げる支援がしたい」という本来の願いに気づいたんです。その瞬間、今の場所に居続けるという選択肢は自然となくなっていました。
ちょうどその頃、Wantedlyでインクルードのミッションである 「ソーシャルインクルージョンを実現し、すべての人が活躍する社会を創る」 という言葉が目に留まりました。
コーチングの理念である「すべての人に可能性がある」という考え方とインクルードのミッションが、まるでパズルのピースがはまるように重なったんです。
「あ、もうこれだ!」そう直感し、すぐに応募ボタンを押しました。
――大企業からの転身に、ご家族の反対はありませんでしたか?
それが、まったくありませんでした。むしろ妻は「あなたがやりたいことならいいよ」と、全面的に応援してくれました。
実は、コーチングに出会ってから、私自身の「生き方」が変わっていく様子を、妻が一番近くで見ていました。
前職時代の私は、正直に言って心身ともに余裕がありませんでした。朝はギリギリまで寝て、朝食も取らずに駅へ向かう。帰宅しても、妻が話しかけてくれているのにスマホを見ながら生返事をしてしまう…。そんな「心ここにあらず」の状態が続いていたんです。
それが、コーチングに出会い、自分の「本当にやりたいこと」と向き合い始めてから、生活が大きく変わりました。毎朝5時台に起き、ストレッチや筋トレで体を動かし、ジャーナリングで思考を整理してから、余裕を持って家を出ています。何より変わったのは、妻との対話の質でした。スマホを置き、相手の目を見て、今この瞬間の会話に向き合う。そんな当たり前のことを、大切にできるようになったんです。
そうした変化を間近で見ていたからこそ、妻も背中を押してくれたのだと思います。「人は変わることができる」その可能性を、私自身が誰よりも実感できた経験でした。
飛び込んで見えた可能性と、次の課題
――実際にインクルードで働き始めてみて、どのように感じていますか?
インクルードは想像以上に「熱量の高い場所」だと感じました。特に経営層やマネージャー陣の想いの強さは印象的で、研修などでGMの話を聞くたびに、その視点や言葉の端々から情熱が伝わってきます。「変化を恐れない」空気があり、これからの可能性を強く感じています。
一方で、入社して5ヶ月ほど経った頃、組織としての伸びしろにも気づきました。それは、会社のミッションやビジョンが、現場の一人ひとりの日々の業務と、 まだ十分に結びついていない部分があるのではないかという点です。
現場のスタッフは、それぞれ高い専門性や支援への想いを持ち、日々真摯に利用者さんと向き合っています。ただ、業務の忙しさの中で、目の前の支援に集中するあまり、組織全体の方向性と自分の役割を重ねて考える余裕が持ちにくい場面もあるのではないかと感じました。
マネージャーとして掲げるビジョンと、現場で積み重ねられている実践。その両者を丁寧につなぎ、「自分たちの仕事がどこにつながっているのか」を実感できる状態をつくることが、今の自分にとっての大切なミッションだと考えています。
――その溝を埋めるために、取り組まれていることはありますか?
まさに今、スタッフ全員で「所沢センター独自のビジョン」を策定しようとしています。
コーチングの視点でも、人は明確なゴールがないと、どこに向かって進めばいいのか分からなくなってしまいます。会社全体のビジョンをそのまま当てはめるのではなく、所沢センターのメンバー自身が「自分たちのセンターをこうしていきたい」と思えるゴールを、対話を重ねながら一緒に作り上げたいと考えています。
現場に立つマネージャーという選択
――小川さんはマネージャーでありながら、利用者さんの面談や見学対応にも積極的に入られていますね。
はい。現場の最前線に立たなければ、どこに課題があるのか見えないと思っているからです。マネージャーが数値管理だけをしていれば、一時的に数字は伸びるかもしれません。でも、現場の痛みや利用者さんの本当のニーズを知らなければ、いずれ組織は立ち行かなくなります。
私は前職でも、一番下のオペレーターからスタートして、スーパーバイザー、マネージャーと這い上がってきました。現場の苦労を知っているからこそできる判断がある 。その「現場感」は、インクルードでも変わらず大切にしていきたいポイントです。
――福祉業界は未経験とのことですが、現場スタッフとの関係構築で意識していることはありますか?
絶対に「ポジショントーク」をしないことです。「マネージャーだからこうしてほしい」と立場で語るのは簡単ですが、それでは信頼は生まれません。福祉の経験値では、現場スタッフの方が圧倒的に上です。だからこそ、常に学ぶ姿勢を忘れず、敬意を持って接することを大切にしています。
「マネージャー」と「スタッフ」は役割の違いに過ぎません。人としては対等で、フラットな関係でありたい。その姿勢を態度で示し続けることが、信頼への近道だと思っています。
――これまでのビジネス経験やコーチングの知見が、今の現場で活きていると感じる部分はありますか?
まずは「数値(ファクト)」を大切にする姿勢ですね。例えば、あるスタッフがブログ運営に意欲的に取り組んでくれています。私は、本人が「楽しい」と感じながら続けられることを大切にし、その気持ちを尊重しながら活動をサポートしてきました。その結果、1年前と比較して数値にも明確なポジティブな変化が表れるようになりました。
「頑張っている」という感覚だけで終わるのではなく、楽しみながら取り組んだ結果が数値という事実として見えるようになると、スタッフと一緒に心から喜べるようになります。マーケティングの視点や集客の流入経路を意識する取り組みも、前職の経験が活きている部分だと感じています。
もう一つは、コーチングで培った「問い」の立て方です。特に利用者さんやスタッフとの振り返りでは、「その時、何を感じましたか?」と、感情を言語化してもらう問いかけを意識しています。答えを与えるのではなく、対話を通して本人の中にある答えを引き出していく。そうした気付きが生まれていく瞬間を見ることが、大きなやりがいです。
ニューロリワーク 所沢センター
これからのインクルードと、自身の「可能性」
――これから、所沢センターをどんな組織にしていきたいですか?
一言で言えば、「配慮はするが、遠慮はいらない組織」です。これは、私が組織づくりにおいて大切にしている考え方です。
相手を思いやるからこそ、必要なことは誠実に伝える。その対話の積み重ねが、個人の成長にも、組織の前進にもつながると考えています。
これはスタッフ同士だけでなく、利用者さんへの関わり方にも通じます。短期的な安心だけを優先するのではなく、社会に出た先も見据えて関わることが、私たちの役割だと思っています。
もちろん、伝え方に悩む場面もあります。ただ、その根底に「相手の可能性を信じている」という姿勢があれば、対話は必ず前向きなものになるはずです。互いを尊重し合いながらも、本音で意見を交わせる。そんな信頼関係のある、温度感のある組織を所沢センターから広げていきたいですね。
――最後に、小川さんのように「異業種からの挑戦」を迷っているマネージャー層の方へメッセージをお願いします。
今の環境に納得しているのであれば、無理に変える必要はないと思います。ただ、もし心のどこかにモヤモヤが残っているなら、一度立ち止まって「この先どんなキャリアを歩みたいのか」を考えてみてほしいですね。
新しい環境に飛び込むことに不安を感じるのは自然なことです。でも、異業種での経験やこれまで培ってきた視点は、決して無駄にはなりません。むしろ、新しい価値を生み出す強みになると感じています。
インクルードには、多様なバックグラウンドを尊重しながら挑戦できる環境があります。もし一歩踏み出したいと思ったときは、その選択肢の一つとして知ってもらえたら嬉しいです。
ありがとうございました。
インクルード株式会社では、「ソーシャルインクルージョンを実現し、全ての人が活躍する社会を創る」というミッションの実現に向けて、ともに歩んでくれる仲間を募集しています。
この記事を通して、インクルードの事業や働き方に少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本インタビューの内容は、2026年3月時点のものです。