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スタートはアルバイト!今では姉妹蔵の取締役!姉妹蔵・奥羽自慢を牽引する若き努力家

広報課の北山です。

楯の川酒造では、姉妹蔵として奥羽自慢(おううじまん)という日本酒蔵があります。
奥羽自慢は、後継者不足のため廃業寸前の酒蔵でしたが、当社が再建に乗り出して、現在は「吾有事(わがうじ)」という日本酒の他、「HOCCA(ホッカ)」という日本ワイン事業も開始いたしました。

今回は、楯の川酒造へアルバイトとして入社後めきめきと力をつけて、現在は奥羽自慢の取締役を務めるまでになった阿部さんにインタビューをしてきました!

阿部 龍弥さん
奥羽自慢 取締役
30歳にして、酒造り歴は既に約10年のベテラン。まわりからは「りゅうやん」の愛称で親しまれている。プライベートでは、三児のパパで子育てに奮闘中。大の甘党。

-20歳のときに楯の川酒造にアルバイトで入社したと聞いていますが、どのようなキッカケがあったのでしょうか?

阿部さん:前職を辞めてから、何か他のことに挑戦しようと思い、その間の繋ぎとして短期で働けるアルバイトを探していた時に楯の川酒造の求人を紹介してもらいました。1月~5月までの季節雇用で、午前中だけの求人だったので、自分が探していた条件にあてはまっていたので面接を受けに行きました。
ちょうど前年に東日本大震災が発生して「何か変えなければいけない」と思っていたのですが、当時、自分自身やりたいと思えることは何もなくて、楯の川酒造のアルバイトも次にやりたいことが見つかるまでの腰掛けのつもりでした。
アルバイト面接の際に、佐藤社長からは「社員ではどうだ?」とお誘いも受けたのですが、他が見つかれば直ぐに辞めるつもりでいたので、実はそれも断っていて…これは、今でも社長にいじられています(苦笑)

-社内でも有名なエピソードのひとつですよね(笑)酒造りは体力仕事ですが、体力的にしんどいな、
やめたいな、と思ったことはなかったですか?

阿部さん:午前勤務のみのアルバイトで、やっていたことも瓶を洗う作業やリキュールの火入れ作業だったので、体力的にしんどいということは全くなかったです。酒造りも仕込みの人数が足りないとき、たまに手伝う程度でした。最初の二ヵ月くらいは、ずっとそのような働き方だったので特に苦ではなかったです。

-腰掛けのつもりでアルバイトとして入社したという話がありましたが、なぜ正社員として働こうと思ったのでしょうか?

阿部さん:仕込みを手伝っている中で「日本酒造りをしているんだな~」というのはわかっていたのですが、実は全く興味はなかったんです。当時は日本酒が特に好きでもなかったですし、飲みたいとも思っていませんでした。
そんなあるときに、絞りたての日本酒を味見させてもらう機会がありました。「なんだこれ!美味い!」と衝撃的な出会いでしたね。原料が米と水なのに、こんなにも豊かな味わいになるのか不思議でたまりませんでした。そこから日本酒造りに対する興味や疑問が湧き始め、当時の社員の方に色々と聞いていくうちに段々と日本酒にハマっていきました。
社員になったきっかけは、当時の先輩社員に「社員として働かないか?」とお誘いを受けたんです。ちょうど日本酒について知識を深めたいと思い始めていたので、とても嬉しいお誘いだったのですが、社長には面接の際に一度断っている手前なかなか言い出しづらく…。タイミングを見計らって、かなり勇気を振り絞って社員として雇ってもらえないか直談判をしにいきました。そうしたら「あ、いいよ」とあっさりとした返事で…かなり緊張していたこともあり、社長の返事を受けて拍子抜けしてしまったのですが、晴れて社員として雇っていただけることになりました。

-その後、楯の川酒造でのポジションもどんどん上がっていき、2017年に姉妹蔵・奥羽自慢の再建を託されました。社長からは、どのようなことを期待されていましたか?

阿部さん:とにかくなんでもいいから何か変えてくれと言われていたので、まずは根本的な酒造りの業務フローを見直していくことから着手しました。当時の奥羽自慢は、製造社員が1名、事務社員が1名、あとは冬期の季節雇用のパートさんにきていただいて酒造りをしていました。
本当に人が少なかったので、しっかりと手をかけるべきところと効率化していくところを見極めて、実際のお酒造りの現場に落とし込んでいきました。

-楯の川酒造とは設備が違う中で難しさはありませんでしたか?

阿部さん:正直、初年度はかなり難しかったです。新ブランドの「吾有事」を立ち上げましたが、味わい的にも納得いくものができませんでしたし、売上もずっこけてしまいました。
出向の際、社長からは「とりあえず3年」と言われていたのですが、全くうまくいかなかったので『来年は、このまま楯の川酒造に戻るのかなぁ』と思うこともあったくらいです。ただ、自分の中では『このままで終わりたくない』という気持ちが芽生えており、それなら奥羽自慢にずっと居続けられることができるようにもっと成長するために努力しようと決意を新たにしました。
今となっては自信をもって送り出せる味わいものができてきましたし、経営面でも少しずつ利益を出せるようになってきたので、地道にコツコツと積み重ねてきてよかったと感じています。

-理想とする酒質を求めて、どのようなことに取り組んだのでしょうか?

阿部さん:他の蔵のお酒の研究は重ねたことはもちろん、とにかく横の繋がりを増やすことは意識していました。単に酒造りといっても『酒屋万流』という言葉があるくらい、各蔵によって酒造りのスタイルは様々なので、わからないことは日本酒業界の諸先輩方に貪欲に聞いて、自分の知識を深めていきました。

また、奥羽自慢に白幡さんという存在がいてくれたことも大きかったです。
知識が深まるにつ入れて、酒造りに対する疑問もどんどん増えていくと同時に挑戦したいことも増えていったのですが、白幡さんに問いかけると直ぐにアドバイスしてくれるんです。今まで踏んできた場数が違いますし、さすが大ベテランだと思っています。「吾有事」を立ち上げて4年になりますが、白幡さんがいなければ今の味わいには辿り着けていなかったかもしれません。

白幡さん
酒造り歴30年以上の大ベテラン。現在は、奥羽自慢の製造部長を務める。

-奥羽自慢へ出向してから、酒造り以外の点で大変だったことや嬉しかったことがあれば教えてください。

阿部さん:大変だったことは、初年度にうまくできたと思っていたお酒の出荷を泣く泣く断念したことです。新酒の生酒だったので、お酒を絞る前から特約店からの予約を受け付けていて、予約完売していたのですが、いざ絞って利き酒をしてみると僅かにオフフレーバーが感じられました。訓練を積んでいないとわからないくらい本当に微かなものだったのですが、少しでも疑問点の残る商品は出すべきはないという判断から出荷することをやめることにしました。出荷を楽しみにしてくださっている方ばかりだったので、本当に申し訳ないことでした。

オフフレーバーとは…
酒についた異臭のこと。よく言われるものだと「老香(ひねか)」「日光臭」などがあげられる。

嬉しかったことは色々ありますが、一緒に「吾有事」を立ち上げた北山くんが一番のファンでいてくれることですかね(笑)いいお酒ができたり、お客様が美味しいといって飲んでくださることも嬉しいのですが、一番身近で一緒に頑張ろうと言ってくれる人が一番のファンでいてくれることが最も嬉しく思います。

-そういっていただけると僕も嬉しいです。これからもたくさん買いますね(笑)さて、去年から若い社員も続々と入社してきました。彼らに期待することはどんなことでしょうか?

阿部さん:前職とは畑違いの20代半ばの社員が続々と入社してくれたので、若手ならではの感性を発揮してもらうことを期待しています。白幡さんや自分とはキャリアがかなり離れているのですが、彼らはある意味まっさらな状態で入ってきてくれています。固定概念に囚われることなく、自由な発想で新しい風を吹き込んでくれたら嬉しいですね。

みんなキャリアは1年ちょっとと浅いのですが、既に持ち場も任せていますので、これから「吾有事」をブラッシュアップしていくために力を発揮してもらいたいと思っています。

-最後に今後の目標を教えてください。

阿部さん:ひとつは「日本酒の固定概念」をぶっ壊したいと思っています。例えば、自分はビールがあまり得意ではなかったのですが、オリジナリティ溢れるクラフトビールを飲んだ時に自分の中でのビールの固定概念がぶっ壊されました。飲んだ人が衝撃を受けるような独自性の高い日本酒を造っていきたいと考えています。
もうひとつは、蔵人の価値を高めていきたいです。例えば、世の中には平均年収1,000万円を超える仕事が数多くありますが、蔵人の年収はそれよりもかなり下回っています。お酒造りは専門的な知識が求められる仕事ですが、業界全体として給与水準がなかなかあがってこない課題感があるので、会社の価値を高めることで日本酒の価値を高め、延いては蔵人の価値を高めていきたいと思っています。
そのためには会社としてもっと大きく成長していかなければいけませんし、将来、奥羽自慢の蔵人として働くことが憧れの対象となれるように試行錯誤を続けていきたいです。

-本日は、ありがとうございました!若手が大勢活躍する奥羽自慢から今後も目が離せませんね!今年の新酒も楽しみにしています。

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吾有事(わがうじ)|オフィシャルサイト|奥羽自慢
最たる魅力は、若人のセンス。良いところはグイグイ取り込み、悪いところはズバッとやめる。醸造責任者はそんな若干二六歳のはえぬき、阿部龍弥。阿部が造る酒は俺が責任者として売りたいと直願し、販売責任者に就いた同じく二六歳の北山幸輝。(二〇一七年当時) この二人に加え、二五年以上杜氏として辣腕をふるった練れ者、白幡英樹、そして、商品開発と統括は楯の川酒造蔵元、佐藤淳平が手がける。 ...
https://wagauji.jp/

それでは、また次回の更新もお楽しみに!

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