こんにちは!SSIP弁理士法人、人事担当です。
今回は、当事務所の所長でありながら、自らPythonとReactでフルスタック開発もこなしてしまう代表弁理士の石橋克之さんにお話を伺いました。「特許事務所のOSを書き換える」と本気でDXを推進する石橋所長。
メーカーの開発職から弁理士へと転身し、異例のスピードで事務所を引き継いだ所長が、なぜ外注に頼らず「内製」にこだわるのか。そして、これから入社するエンジニアに託したい「大ナタを振るう」ミッションとは何なのか。今の環境に物足りなさを感じているエンジニアの方、必見のストーリーです!
プロフィール
- 名前: 石橋 克之(いしばし かつゆき)
- 役職: 代表弁理士 / 所長
- 経歴:
- 大学院で化学工学を専攻後、住友ベークライト株式会社にて新規材料開発に従事。
- 2006年、1年間の猛勉強の末に弁理士試験に合格し特許事務所へ。
- 2009年、SSIP弁理士法人の前身に入所し、34歳で代表弁理士に就任。
- 独自の「グローバル明細書®」を武器に事務所を拡大。現在は自らプログラミング(Python, React等)を駆使し、所内のDX化を牽引している。
メーカーの研究員から弁理士へ。そして「DX」への目覚め
――石橋所長、本日はよろしくお願いします!そもそも所長は、メーカーの研究開発職から弁理士に転身されたんですよね。全く異なる業界への挑戦だったと思うのですが、どんなきっかけがあったのでしょうか?
石橋: 前職のメーカー時代、優秀な先輩たちに囲まれて仕事のやりがいは感じていたんですが、「自分がやったことが社会にどう貢献しているか」が少し見えにくかったんです。そんな時、自分が関わっていたプロジェクトの発明について、弁理士の方にヒアリングをしてもらう機会があって。直接発明者の顔を見て、人の役に立てる仕事があるんだと衝撃を受けました。思い立ったら即行動のタイプなので、会社を辞めて1年間試験勉強に集中し、なんとか合格してこの業界に飛び込みました。
――そこから前の所長に将来性を見込まれ、異例のスピードで代表に就任されました。就任後は「グローバル明細書®」など弁理士業務の差別化を進めてこられましたが、事務所の「IT化・DX化」に本気で取り組み始めた原体験は何だったんでしょうか?
石橋: 大きなきっかけはコロナ禍でしたね。当時、当事務所では紙の必要資料を綴じた「案件ファイル」を事務から弁理士に手渡しすることでタスクを依頼していました。机に積んであるファイルの量で自分の仕事を把握していたんです(笑)。
――特許事務所あるあるですよね(笑)。
石橋: そうなんです。でも、これではリモートワークなんて絶対にできない。そこでペーパーレス化のために、まずは私がMicrosoftの「Power Apps」というローコード開発ツールを一から勉強して、2〜3ヶ月で所内のタスク依頼システムを構築したんです。これが私のDX推進の第一歩でしたね。
「外注」の限界を知り、手探りで挑んだフルスタック開発
――そこから所長ご自身のIT熱が加速した印象があります。今では「Python」や「React」までご自身で書かれていますが、ローコードツールから本格的なプログラミング言語へ踏み込んだのはなぜですか?
石橋: Power Appsは便利でしたが、やはり仕様上の限界があって、「もっと軽量で柔軟な所内の内製Webアプリを作りたい」と考えるようになったんです。
最初に着手したのは、図面データ(aiファイル)をPDFファイルへ結合・変換するアプリでした。他にも、インボイス制度に対応するための請求書アップロードアプリや、請求書消込、外国為替送金消込などの機能を実装した所内会計アプリも、PythonとReactを使って手探り状態でフルスタック開発しました。
――代表業務でお忙しい中、ご自身でフルスタック開発までされたのは凄すぎます……!当時は生成AIも今ほど普及していませんでしたよね?
石橋: そうなんですよ。今は生成AIの支援を受ければコーディングは比較的簡単にできますが、当時はドキュメントやインターネットで必死に情報収集しながらだったので、本当に大変でしたね。
――そこまで苦労されてでも、外部のシステム開発会社に「外注」しなかったのはなぜでしょうか?
石橋: 実は過去に、外部のシステム開発会社に簡単なアプリ開発を依頼したことがあったんです。でも、結局「要件定義」の部分はこちらが主体となって考えなければ進みませんでした。そして上がってきたアプリも、正直なところ期待以上のものではなかったんです。
特許事務所の特殊な業務フローにおいて使い勝手を追求していくと、「自分たちで作り、自分たちで保守・改善できる『内製化』が絶対にベストだ」と痛感しました。だからこそ、小手先のRPA導入ではなく、一からコーディングできる社内SEの存在が必要不可欠なんです。
生産性向上のための「投資」は絶対に惜しまない
――今回、ついに専任のエンジニアを募集することになりました。新しく入社される方にとって、当事務所のカルチャーや働く環境の魅力はどこにあるとお考えですか?
石橋: まずお伝えしたいのは、「事務所の生産性を上げるために必要な投資は惜しまない」ということです。
例えば最近でも、セキュリティ強化とネットワーク環境改善のためにFortigateを新機種に更新し、それに伴って電子証明書も新しい製品に入れ替えました。また、今の時代のコーディングには生成AIが必須ですから、社内SEにはClaudeの有償プランを使ってもらっていますし、私自身もGeminiを有償契約してフル活用しています。
――提案すれば、本当に即座に環境がアップデートされていきますよね。
石橋: はい。これまでは私自身が「生産性アップのために何をすべきか」を考え、手を動かしてきました。でも、これからは新しく入社される方が主体となって考え、動いてほしいんです。私は代表として、その提案を全面的にバックアップします。他の役員も巻き込んで、事務所を根本から変える改革を一緒に進めていきたいですね。
自動化の先にある「人にしかできない仕事」
――いまだにアナログな作業が多い特許事務所の業務を、Python等で完全に自動化していく。その先で、所長はスタッフたちにどのような仕事に情熱を注いでほしいとお考えですか?
石橋: 結局のところ、特許事務所のコアバリューは、弁理士としての「属人的スキル」と、弁理士や事務スタッフによる「お客様へのサービス業としてのコミュニケーション」に尽きると思っています。
前者は、凄腕の弁理士による高度でクリエイティブな知財戦略の構築です。そして後者は、お客様の知識レベルやニーズに合わせて、必要な情報を迅速かつ丁寧に、分かりやすく伝える力です。電話やメールで相手の感情や状況を汲み取りながら行うコミュニケーションは、絶対に人にしかできない仕事です。
――なるほど。だからこそ、それ以外の作業は機械に任せたいと。
石橋: その通りです。書類のダウンロードやシステムへの転記など、それ以外の大部分は機械(プログラム)で代替できるはずです。人間がちまちまとパソコンを操作する時間をゼロにし、スタッフが「真のサービス提供」に没頭できる環境を作ること。それが、AI時代を生き抜く当事務所のビジョンです。
一生に一度の「大ナタ」を振るうチャンス
――最後に、この記事を読んでエントリーを迷っているエンジニアの方へ、熱いメッセージをお願いします!
石橋: 今回のポジションでは、現時点での完璧なコーディングスキルよりも、状況を打開していく「人間力」や「アルゴリズムを考える力」を重視しています。新しいツールの導入には現場との調整も必要ですから、EQ(心の知能指数)が高い方は大歓迎です。
知財業界、そして特許事務所の在り方が大きく変わろうとしている今が、最大のチャンスです。今なら、古き良き業界の慣習に対して「大ナタ」を振るうことができます。
決められた仕様書通りに動くシステムを作るのではなく、自分一人の力で会社(当事務所)、ひいては知財業界全体を変革できる。そんな一生に一度のチャンスかもしれません。「今ある不便を、自分の手でぶっ壊したい!」という気概を持った方、ぜひ一度ざっくばらんにお話ししましょう!
編集後記
国語が苦手だった学生時代から、猛勉強の末に弁理士となり、さらには独学でPythonまで習得してしまった石橋所長。その根底には常に「誰かの役に立ちたい」「もっと良くできるはず」という熱い情熱がありました。所長と肩を並べ、特許事務所の歴史を変えるアーキテクトからの挑戦をお待ちしています!