「長所特化戦略」が生み出す、強い会社の秘密
人材育成や組織づくりの分野で活動されている、株式会社Momentor代表の坂井風太氏をお迎えし、日本コンピューター(略して日コン)の採用担当者との対談を実施しました。
坂井氏は2024年から、日コンの管理職から若手まで幅広い社員を対象にしたマネジメント研修を担当していただいており、約2年間で累計約50名が受講しました。
研修を通じて社員の働く姿勢や考え方を知る坂井氏に、今度は人材育成のプロとして「外から見た日コン」を語っていただきました。
「長所特化」「損得より善悪」「強い会社」——ここで働く人たちが自然と大切にしてきた文化が、60分の対談で次々と言語化されていきました。ぜひ最後までお読みください!
ゲスト:坂井風太氏
株式会社Momentor 代表取締役。元DeNA人材育成責任者。
「ピープルマネジメント」を専門とし、多くの企業の組織開発・人材育成に携わる。
ホスト(採用担当):写真左から、白岩、大久保、増住
—日コンって、ぶっちゃけどんな会社?
増住:今日は、普段からさまざまな企業の組織を見ていらっしゃる坂井さんの目に、日コンはどんな会社として映っているのか、ぜひ聞かせていただければと思っています。
坂井氏:ありがとうございます。ただ、その前にぜひ皆さんにも聞いてみたくて。白岩さん、一言で言うと日コンってどんな会社ですか?
白岩:一言で言うと……「人間力が強い会社」だと思います。
坂井氏:いいですね。経営理念である「人間性豊かな高技術者集団」ともつながりますね。
白岩:日コンは、みんなが「長所特化」という考えをもとに動いていて、自分の得意なスキルを伸ばしていこうという意識が根付いています。
坂井氏:なるほど。実は私が御社を見ていて感じた特徴が、その「長所特化」でした。どの企業も「人の強みを活かしましょう」とは言うんですが、実際は「これもできていない、あれもできていない」という話になりがち。それがちゃんと生きているのは珍しいんですよ。
—長所特化が「本物」である理由
坂井氏:長所特化って、裏を返せば「短所には目をつむる」ということでもありますよね。なぜそれが上辺だけにならず、ちゃんと文化として根付いているんだと思いますか?
大久保:私、実はシステムエンジニア採用で入社したのに、プログラミングができないんです。でも十数年ここにいて、不快に思われたと感じたことが一度もないですね。「私はプログラミングができない人」ということをみんながなんとなく理解してくれていて、でもそれで終わりじゃなくて、私が得意なことを伸ばしながら、凸凹な自分をそのまま認めてもらえた。そういう経験が自信につながっています。
坂井氏:それが積み重なることで「自分も誰かの得意なことを見つけて、任せていこう」という連鎖が生まれているんですよね。長所特化という言葉ではなく、何年もの経験が熟成されている。いつからそういう文化があるんですか?
白岩:もう随分と昔からですね。
坂井氏:つまり長所特化と言っても単なる施策ではなく、何十年もかけて人から人へ受け継がれてきた文化だということですね。それはそう簡単に真似できないですよね。
—すべての判断の根っこにある「損得より善悪」
坂井氏:もう一つ印象的だったのが「損得より善悪」という考え方です。これが御社の基盤になっているように感じました。
白岩:そうですね。私たちは「損得より善悪」を行動の軸にしています。お金を稼ぐことよりも、どれだけ社会に貢献できるかを重きに置いて事業を展開しています。
大久保:「損得より善悪」の考え方については中途採用も同じです。IT業界は即戦力のニーズが高いですが、私たちは現職がエンジニアかどうかよりも、経営理念や社会貢献性に共感してくれる方かどうかを重視しています。
坂井氏:「インテグリティ(誠実さ・倫理観)」という概念がまさにそれで、短期的な損得主義は倫理観を崩してしまうんです。御社では「損得より善悪」が意思決定の基準になっているから、社員の行動指針がぶれない。それが日頃の雰囲気の良さにつながっているんだと思いますよ。
増住:そうですね。日コンは儲かって大きい会社になりたいわけではなく、「強い会社」を目指しています。
—「大きい会社」より「強い会社」を目指す
坂井氏:「大きい会社より強い会社になりたい」という言葉が印象的ですね。「強い会社」の要素って何だと思いますか?
大久保:うちの会社は、自治体系システムという一つの領域を何十年も深掘りし続けています。他にもっと儲かる選択肢があったかもしれないのに、「保健所に精通したプロのエンジニア集団としてやっていく」という軸をずっとブレずに続けてきた。それがある意味「強さ」だと思います。
坂井氏:これは私が最近ずっと考えているテーマで、研究者の世界で言う「運・鈍・根(うんどんこん)」という話と同じです。「鈍(どん)」は、市場の流行や他者評価に流されない鈍感さ。「根(こん)」は、一つの領域を根強くやり続ける根性。この「鈍」と「根」があるからこそ、「運」が向いてくる。
大久保:まさにコロナ禍がそうでした。私たちは自治体の予防接種管理システムを手がけていたので、コロナワクチンの接種管理で特需が生まれました。準備し続けてきたところに、運が来た感じです。
坂井氏:それが「強い会社」の正体ですよね。急いで大きくなろうとするのではなく、深く根を張ることが事業基盤の盤石性につながる。
—人をじっくり育てる文化
坂井氏:「運・鈍・根」の話をしましたが、じっくり待つという姿勢は事業だけじゃなくて、人の育て方にも同じことが言えますよね。御社では採用についても長い目で見ているんですか?
白岩:そうですね、長い目で人を見ていて、採用もポテンシャルと人間性重視を重視しています。入社後の成長も長期スパンで考えています。「共に育つ」と書いて「共育」という考え方があって、会社は人の集合体だという社長の言葉が浸透しています。自分が成長すれば会社も成長するという意識でみんなが動いていますね。
坂井氏:「共に育つ」と捉えると、「まだできていない」じゃなくて「ここから一緒に育っていく」という目で人を見られますよね。その眼差しがあるから、長所特化もちゃんと機能するんだと思います。
大久保:中途入社した社員が「私30歳手前なのにこんなにフォローしてもらえるんですか」と驚いていました。私たちには当たり前すぎて気づいていなかったです(笑)。
—長所特化から「長所貢献」へ——伸びる人の共通点
坂井氏:御社で伸びる人の共通点って何だと思いますか?
大久保:長所を認めてほしいというよりも、「この長所を伸ばして会社に絶対貢献します」という姿勢を持っている人、ではないでしょうか。
坂井氏:「長所特化」というよりも「長所貢献」の方がしっくりくるかもしれないですね。1点を3点にするより、5点を20点にした方が会社のためになる——という考えで、自分の長所をどう活かすかを自分で主張できる人が伸びていく。
大久保:うちの昇級制度では、「総合職」「技術職」「専門職」というコースがあって、自分でどの強みでどう貢献するかを主張して昇級するスタイルがあります。
坂井氏:大切なのは、苦手なことから逃げているわけではないということだと思います。まずチャレンジして、しっかり努力もする。そのうえで「苦手なことを伸ばすより、得意なことを伸ばした方が会社のためになる」と自分で考えて動いている。できないからやらないではなく、「自分の強みでこう貢献したい」という主体性がある。それが御社らしさですよね。
—思い出を笑い話に変える「明るさ」の正体
坂井氏:皆さんと話していて感じるのが、とても明るいということ。大変な仕事を乗り越えてきた場面も多いと思うのですが、それをどうやって消化してきたんですか?
白岩:しんどいことも、最終的には全部笑い話になるんですよね。「あの時は大変だったね」って話せる人が多くて。
大久保:私の会社説明デビューは、いきなりのハプニングでした。自分は当時、採用担当見習いでした。会社説明会を担当している先輩がとても忙しい時期で、説明会前日の夜にフラフラで帰宅していったのは見ていたのですが…、当日の朝に説明会の会場に来たら、先輩社員が来ていないんです。開始10分前になっても学生は来ているのに、説明する社員がいない(笑)。「これはもう自分がやるしかない」と、一人で会社説明会を始めました。
坂井氏:それは強烈なデビュー戦ですね(笑)。
大久保:でも今では一生のネタです。「誰も会社の人が見ていない中で一人でやり遂げた」という経験が、自分の自信になっていて。大変だったことも、こうやって笑い話にして語り合える仲間がいるのが、うちの会社らしいなと思います。
坂井氏:最近、ある経営者への最高の褒め言葉として「この人といると、どんな思い出もいい思い出に変えてくれる」という言葉を聞きました。流れとしては、研修受講者の方に、「(御社の)社長の最も良い点はどこですか?」と聞いたら、この言葉が出てきたんです。御社の文化も同じようなところがあると思います。思い出を一緒に語り合えるのは、長い目でちゃんと人と付き合おうとしているからこそですよね。
—日コンの弱み、それは"知られていないこと"
増住:坂井さんから見て、日コンの弱みは何だと思いますか?
坂井氏:率直に申し上げると、これだけ素晴らしい文化があるのに、あまり学生認知度が高くないことかもしれません。ただ、あまり知られていない企業のほうが、じっくりと良い組織文化を熟成させている場合が多いです。おそらく、採用広報を含めて、無理に背伸びをしないからだと思います。
白岩:確かに弱みかもしれません。学生からの認知度があまりないことが正直なところで。ただ、インターンシップや会社説明会で実際に社員と話してもらうと、「この会社の人間性に惹かれて入社を決めた」という学生さんが多いんですよね。
増住:とは言え、採用人数にもこだわっていなくて、日コンにマッチした人を見つけることを大切にしています。
坂井氏:それでいいと思いますよ。大きさより強さを求めているなら、むやみに広げる必要はないですね。「親戚や家族に勧めたい会社ナンバーワン」を独自の指標にするくらいでちょうどいいんじゃないですか。とにかく、1回接触してもらえれば絶対に伝わりますから。
まとめ
今回の対談で坂井氏が語った日コンの強みを整理すると、こうなります。
「じっくり関係性を待つことが当たり前になっているからこそ、長所特化が生まれる。長所を見てもらった経験があるから、自分も長所を見よう、長所で貢献しようということが自然にできる。そしてそれが事業の盤石性にもつながっている。すべての強みがネットワークでつながっている。」(坂井氏)
採用・育成・事業——それぞれが独立した施策ではなく、何十年もかけて積み重なった文化として有機的につながっている。それが「日コンの強さ」の正体かもしれません。
日コンでは、共に成長していける仲間を募集しています。ご興味のある方は、ぜひエントリーをお待ちしています。
エントリーはこちら!