人材獲得はゴールではなく、スタートライン。新しい採用活動への挑戦|株式会社ナリコマホールディングス コーポレート本部 採用課 尾崎 智恵
「“ALL for ONE SPOON” 食の可能性をデジタルで広げ、『一さじの喜び』を届け続ける」
食事を通して人々に生きる喜びを届けるべく、高齢者福祉施設や医療機関向けに食事サービスを提供する、株式会社ナリコマホールディングス(以下、ナリコマ)。大阪府大阪市に本社を構え、関西を中心に成長を続け、この春からは東京拠点にも力を入れ、全国にサービスを拡大してきました。
今回はナリコマ コーポレート本部 採用課 アセットリクルーティングマネージャーの尾崎 智恵にインタビュー。2022年にナリコマに入社し、中途採用を担当。現在は「アセットリクルーティング」という独自のポジションで、従業員の再配置や定着率向上など、「採用のその先」に挑戦しています。
そんな尾崎に、ナリコマの採用への考え方、「アセットリクルーティング」の重要性、ナリコマならではの魅力などについて、詳しく語ってもらいました。
なお記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
驚きの採用環境だったナリコマ![]()
私は2001年、新卒でリユース業界のベンチャー企業に入社しました。ベンチャー企業らしく、新卒1年目にしていきなり店長ポジションからスタート。良くも悪くもとてつもないスピード感があり、社長との距離が近く、手を上げれば何でも挑戦させてくれる会社でした。
その後、エリアマネージャー、スーパーバイザーと経験を積み、最終的には採用や人材育成にも携わりました。この時の経験が今の「やりたいこと」の基盤になっています。
1社目で約15年間働いた後、2社目は大手人材紹介会社の営業として約8年間勤務しました。未経験職種への転職であり、さらに当時は下の子供が小さかったので、本当に必死の毎日でした。それでも素敵な同僚や上司に恵まれ、やりがいや面白さも感じられるようになり、自分が成長した実感もありました。
しかし、40代に差し掛かり「この働き方でいつまで続けられるんだろうか…」という漠然とした不安を抱き始めたんです。
そんな時に出会ったのがナリコマでした。実は当時、ナリコマは私の働いていた会社の顧客企業の一つだったんです。
あるとき、ナリコマで開催された「採用課または教育研修課への配属」という人材紹介会社向けの求人説明会に、担当者として参加する機会がありました。そこで話を聞くと、ナリコマは関西本社の会社には珍しく「採用課」が独立していて、しかもその課は10名以上と大人数で運営されている。
また、多くの企業が「いかに低コストで採用するか」を重視する中、ナリコマは「採用企画ができる方を募集したい」「新しい採用活動にチャレンジしたい」という採用に積極的な姿勢がある。
私は「そんな企業が関西にあったの?」と衝撃を受け、すぐに「私、応募してもいいですか?」と当時のナリコマの中途採用担当の方に相談した次第です(笑)。
幸い、「受けてOKですよ!」と言っていただけたので、すぐに応募。面接を通じて、スピード感、意思決定者との距離の近さ、手を上げれば挑戦させてもらえる環境がありつつ、1社目・2社目での懸念点であった業績の不安定さ、ワークライフバランスの欠如が払拭されている企業だと確認でき、迷うことなく入社を決意。こうして2022年1月、ナリコマに入社しました。
「採用は採ることがゴール」ではない。本質に向き合う挑戦![]()
私の現在の業務内容は、一般的な採用担当とは少し違います。外部から新しい人材を採用するのではなく、社内にすでに存在する「人材資産(アセット)」、つまり従業員に着目した人事活動を行っています。
具体的には、リファラル採用(社員から自社に友人や知人を紹介してもらう採用手法)の推進、定着率向上のための各種オンボ―ディング施策の検討や社内公募制度の運用などです。
私は今年4月までは中途採用を担当しており、年間200名程度の方の採用に関わっていました。多くの方にご入社いただく一方で、残念ながら数ヶ月で退職を選択される方もいらっしゃいました。せっかくのご縁があったにも関わらず、早期離職となってしまうことは非常に悲しいことです。
そうしたこともあり、事業が拡大し、採用数が増加してくるとともに「もっと本質的な採用活動をしなければならない」と強く感じるようになってきたんです。
採用は組織が成長するための一つの手段であり、目的ではありません。
組織として成し遂げたい何かのために、「採用」という手段を用いて、必要なリソースを確保する。採用は決してゴールではなく、入社された方の「入社後の活躍」が本来のゴールであり、しっかり活躍してもらいたい。
こう考えた時に、「当社にマッチする方をどのように応募につなげるのか」「活躍できそうな方をどうやって採用するのか」という応募の前段階と、「会社として新しい方をどう受け入れるのか」「活躍できる風土をどのように醸成するのか」という入社後の体制づくりが非常に大切だと改めて思いました。
ただ、中途採用担当として面接の調整や対応を行っていると、こういった応募の前段階と入社後のフォローに取り組みたいと思っても、時間を割くことが難しかった。
そこで上司と話し合い、今年4月から中途採用の業務から外れ、「アセットリクルーティングマネージャー」という形で、今まで取り組めなかった領域に注力することになりました。
ナリコマには「自分で役割を作っていく面白さ」がある![]()
ナリコマでは「自分で自分の役割を作っていく」面白さがあります。私はもともと教育研修に興味があり、入社時は教育研修課に応募したんです。ただ、前職が人材紹介会社勤務だったので、結果的に中途採用担当として採用課で採用されました。でもその時も、「当社は社内の異動が柔軟だから、ゆくゆくは教育研修を行うチャンスもあるよ」と言われたんです。
実際、教育研修と採用活動は連動しています。今では教育研修課とも、プロジェクトを一緒に立ち上げて進めています。「こんなことに取り組んでみたい」と言えば、どんどん挑戦できる環境です。
実は社内公募制度も、中途採用の担当をしていた入社1年目の時に私が立ち上げた制度。社員が「こんな風に成長していきたい」「この職種に挑戦してみたい」と思った時に、その希望になるべく応えられるような仕組みを提供したい。その想いから、この制度の運用をイチからスタートさせました。
当社は「あなたの職務範囲はこの範囲だから、この仕事だけをしてくれ」とトップダウンで言われることがない。むしろボトムアップで自分の職務範囲をどんどん広げていく提案ができる。役割を自分で作っていける。そこがナリコマらしくて面白いと思います。
「常に先行すること」を大切にする社風
当社は業界に先駆けてセントラルキッチンを導入することで、多くのお客様に喜んでいただき、事業を成長させてきたという歴史があります。
「人がやっていないことをやる」「先行することが大切」
この考え方は入社以来、本当にたくさんの先輩や上司から伝えられてきました。この考え方があるからこそ、実際に会社がここまで大きくなってきたのだと感じます。
そして、「人がやっていないことをやる」ために、社員も皆「常に変化していかなければいけない」と思っています。去年と今年では全く違う。私自身、入社して丸4年経つという実感はなく、「ついこの間入社したのではないか」と新鮮な気持ちのままです。
このような社風なので、ルーティンワークが好きな方には合わないかもしれません。でも、変化を楽しめる方、自分で仕事を作ることに魅力を感じる方にとっては、とても面白い環境だと思います。
現場主導の採用、だから面白い
他社さんでは、人事が書類選考や1次面接官を担当しているケースも多いと思います。
一方、当社では書類選考や面接を全て現場の採用担当が担っています。採用についての決裁も、「現場から幹部層へ稟議を上げて採用承認を取るという流れ」で、現場が主体性をもって採用活動に関与してくれています。
そうした環境ですので、採用課が一方的に「こうした方がいい」と伝えたしても、現場の理解が得られなければ、何も導入させることはできません。
採用課は採用の専門家として、時にはすぐに現場の方には理解が得られにくい提案だったとしても、根気強くアドバイスや提案を行い、納得いただくことが必要となります。現場には現場の採用に対する思いや考え方があるので、その気持ちを尊重しながら対話を重ねて、理解を得られたときはすごく嬉しいですね。
「採用活動が不要な世界」をめざして![]()
採用課では現在、人材紹介会社を介さない、自社完結型の採用をめざしています。
私が前職の人材紹介会社で営業をしていた時に感じていたのは、多忙のあまり手が回らず、採用を人材紹介会社に任せきりになっていたり、「とにかくお金をなるべくかけずに人を採用しろ」と上から言われ、苦労している人事担当者が世の中にはたくさんいることでした。
しかし、自社採用において、人材紹介会社に頼ったままでは、いつまでも現場の採用力は上がりません。そして、必要なことにお金をしっかり投じることも、自社採用力の強化にとって重要です。
私は、究極は採用活動をしなくても、自然と人が集まる会社にしたいと思っています。ですから、ナリコマを知ってもらうための広報活動のみを行い、「採用」のための活動はなくすことが最終目標です。
ナリコマを知るきっかけが「人材紹介会社で紹介されたから」「スカウトが届いたから」などではなく、自然に会社の情報が外に発信されていて、その中でナリコマのことを知り、興味を持ってくれた方が仲間になってくれると嬉しいです。
そして仲間になってくださった方が「ナリコマいいよ。転職を考えているならどう?」と友人を誘ったりすることで、また仲間が増えていくといいな、と思っています。
私はそんな「採用活動が不要な世界」をずっとめざしています。こうした考え方ができる会社は、なかなかないのではないでしょうか。
今後も「採用した人がどうすればより早く活躍できるのか」「どんな制度があれば社員がもっと力を発揮できるのか」「ナリコマを『入りたい』と思ってもらえる会社にするにはどうしたらいいのか」といったことを、採用課だけでなくコーポレート本部全体で一緒に考えていけたら嬉しいです。
大規模なのにベンチャーのよう。それがナリコマの魅力
当社の魅力を一言で表すと「大きな規模の会社なのにベンチャー企業のよう」。どの部署の社員も口を揃えてこう言いますが、本当にその通りなんです。
「この会社の規模感で、こんなことまで任せてもらえるの?」と思うくらい、チャレンジの機会があります。自分で能動的に仕事をつくり、デザインしていける環境です。
もちろん、思い描いた通りにいかないことの方が多い。それでも、採用に関して会社が理解を示してくれるというのは、本当に嬉しい限りです。
「自分の成長のために、会社を使ってやろう」といった気持ちでも構わないと思うんです。「このフィールドで自分の力を試したい」という人にぴったりの環境です。
そして、ナリコマには「失敗」という概念があまりありません。「これは失敗でしたね」というよりも、「新たな学びがありましたね」という感覚です。「失敗を乗り越えた経験はありますか?」とよく聞かれますが、失敗と思っていないので、思い当たる経験がないんです(笑)。
とはいえ、大変なことや悩むこともたくさんあります。そういった時には、周りのメンバーが必ず助けてくれます。コーポレート本部には人事領域の専門家が多く、困ったことやわからないことがあれば、誰かしらがディスカッションしてくれたり、壁打ち相手になってくれたりする。対話を通じて考えを整理させてくれるメンバーがたくさんいるんです。ありがたい環境ですね。
このワクワクする環境で、新しい採用の形を作り上げていく。その新たなステップに一緒に挑戦してくれる方と出会えることを、心から楽しみにしています。
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[執筆・校正・取材]株式会社ストーリーテラーズ 平澤 歩
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