「地域に雇用を生み出し、地域に愛される企業へ」エリア採用に込めたナリコマの想い|コーポレート本部 本部長 北窓 佐和子
食事を通して人々に生きる喜びを届けるべく、高齢者福祉施設や医療機関向けに食事サービスを提供する、株式会社ナリコマホールディングス(以下、ナリコマ)。大阪府大阪市に本社を構え、関西を中心に成長を続け、この春からは東京拠点にも力を入れ、全国にサービスを拡大してきました。
今回はコーポレート本部 本部長の北窓 佐和子にインタビュー。2024年4月から本格始動したエリア採用体制について、その背景にある想い、地域との関わり方、そして目指す未来について、詳しく語ってもらいました。
なお記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。
中央集権型採用の限界![]()
実はエリア採用自体は、2024年4月以前から部分的に行っていました。
パート採用の面接は各エリアで行っていましたし、新卒についても高卒採用はエリアごとに行っていました。ただ、パート採用の応募受付や面接調整は大阪本社の採用課が行うという、中途半端な分業体制になっていました。
採用課は、各地の営業所や工場から「新しく人材が必要だから、求人を出してほしい」と相談されたら、人材紹介会社に依頼したり、媒体に掲載したりする。しかし、採用面接や合否判断については各営業所や工場で行っていたため、採用課は社内代理店のような立ち位置になっており、ノウハウが蓄積されている状態ではありませんでした。
つまり採用課として、各エリアの採用の戦略を立て、コンサルティングしながら支援していくという体制にはなっておらず、単なるオペレーショナルな流れ作業となっていた。そんな状況に対して、私は「これでいいのかな?」と危機感を感じていました。
さらに、全国各地に工場や営業所が増えていく中で、大阪にある採用課が全国の採用戦略を考え、それぞれのエリアに特化した採用を進めていくこと自体が難しいと思いました。
大阪にいる採用課のメンバーが、たとえば鹿児島県の状況や特性を正確に把握できるかというと、そうは思えません。
だからこそ、各エリアに工場や営業所があるのと同じように、採用担当者も各エリアに設置する必要があると考えました。
本社の採用課の中央集権には限界がある。各エリアの現状や課題を理解した上で、コンサルテーションできる採用課にしたい。
そのために、エリア採用を強化する方針へと舵を切ったのです。
エリア採用にはマーケター視点が不可欠
エリア採用を進める中で重要になってくるのは、「現場を知るメンバーが戦略を考えること」です。
採用市場は各エリアで状況が異なります。だからこそ、そのエリアの課題を正しく捉えたうえで、そのエリアのマーケットに合ったツールや採用手法を選び、成果につなげていく必要がある。
当社の採用活動全体についてはこれからも本社の採用課が俯瞰して見ていきますが、各エリアでマーケティングをしっかり行いながら、これまでオペレーション中心で行っていた採用活動を、戦略を考えて実行する形へと変えていく。
つまり、エリア採用担当はそのエリアの採用市場を分析し、戦略を立てるマーケターでもあるのです。マーケティング視点を持たなければ、工場や営業所のメンバーに寄り添うことができず、良い成果を出すことはできません。
マーケティングには、特に重要な2つの視点があります。1つは「社内クライアントのニーズを正確に理解すること」。もう1つは、「採用市場など外部のマーケットを正しく捉えること」です。この両軸があって初めて採用活動がうまく進むのです。
しかし、当社の採用課はこれまで、流れ作業で採用活動を行ってきた側面があります。
それでも成り立っていた時代もあったかもしれませんが、今はそうではありません。
これからは全てのメンバーではなくとも、少なくともリーダーはマーケティング視点と戦略を持つ必要があるのです。
マクロとミクロの両方の視点を持った採用体制
さらに採用活動は、マクロとミクロの両方の視点が必要です。
本社の採用課では、マクロの視点から当社の採用活動全体を設計します。たとえば、どの求人媒体に出稿するのかや、どのようにコーポレートイメージを向上させていくのかといった全国共通の施策を担います。
一方で、エリア採用はミクロの視点を持ち、本社がつくったコーポレートブランディングをベースにしながら、各エリアに合わせて落とし込んでいきます。たとえば、駅に広告を出したり、電車に中吊り広告を出すなど、エリアごとの特性に合わせた施策を展開していきます。
そして、当社が最終的に目指しているのが、人材紹介を介さない「自社完結型採用」です。
マクロとミクロの視点の両方を組み合わせ、戦略から実行までを一貫して行う。
そのように自社で採用活動が完結する形を目指しています。
採用は「地域に雇用を生み出す」という社会貢献![]()
エリア採用に力を入れだしてから、「地域に雇用を生み出すこと」の意義を強く感じるようになりました。
地方に行けば行くほど、企業の数は少なくなる。企業の数が少ないということは、その分企業の利益や個人の収入が生まれず、その地域の税収も少なくなります。
そんな中、当社が地方で新たな人材を採用する場合、工場などの施設を新設するという前提があります。そして、それらの施設は何十年、何百年とその地域に存在し、人材を雇用するため、その地域の税収を生み出し続けることになります。
つまり、地方で雇用を生み出すことは、そのままその地域の活性化につながるんです。
さらに当社の事業は、その地域に長く携わり続けることで、食のインフラを支える役割をも担うかもしれません。
もし当社がその地域から事業撤退すれば、その地域の食のインフラに影響が出る可能性もある。そういった意味でも、事業と地域との関係は切り離せないものだと感じています。
食のインフラを守ること。そして、雇用を生み出し、地域を活性化していくこと。
この2つの社会貢献ができる企業でありたいですね。
「暮らす」と「働く」が一体化しているのが地方の特徴
様々な地域の方のお話をお聞きしていると、UターンやIターンで就職・転職する方もやはり多くいらっしゃるようです。
そう考えると「その地域が魅力的である」ということは、そこに住むための前提条件なのだと思います。求職者がIターンやUターンをして「住んでみたい」と思う背景には、その土地に住環境としての魅力があるはずです。
だからこそ、私たちとしても、その地域の魅力を伝えていきたいと考えています。
魅力的だからこそ、その地域に住み、ナリコマで働く。当社の給与や福利厚生などの採用条件面だけでなく、地域そのものの魅力も伝えていくことが大切だと感じています。
また、地方では「暮らすこと」と「働くこと」が一体となっている感覚があります。その感覚は、都市部で働いている私たちとは大きく異なるものです。
たとえば当社の大阪本社では、オフィスのある新大阪付近に住んでいる従業員は少なく、大阪府外など遠方から通勤しているメンバーも少なくありません。このように都市部にいると、「住む」と「働く」は切り離されたものという感覚があります。
一方、地方ではその地域にある、家から通いやすい範囲にある場所で働く方が多い。つまり、人生という長いスパンの中で、地域と深く関わりながら、そこで働き、家族とともに人生を重ねていくんです。
地方で暮らすことは、働くことと切り離せないものであり、ひいては「生きること」にもつながっているのだと思います。
地域のメディアを持つ強さ
さて、それでは各地域でどのようにナリコマを知っていただき、地域の方々に「働いてみたい!」と思っていただくのか。
その1つの手段として、その地域のメディアを持つことができれば、非常に影響力が強まると思います。
地域のフリーペーパーは、これほどインターネットが普及した今でもなくならず、つい手に取ってしまう存在ですよね。このように、地域の方々が「そこに私たちの情報を載せてほしい!」と思ってくださるような地域メディアをつくることが理想です。
ただ現実的に、これから当社発の地域メディアを確立させるには年月がかかります。なのでまずは、すでに地域に根付いている地域メディアで当社の情報を発信できたらいいなと、社内で話し合っています。
一例として、当社の工場がある大阪・茨木市の地域誌に、市内の企業を取り上げる不定期連載があるんです。「そこに当社の情報をぜひ載せていただきたいよね」と社内で話し合っています。
地域とつながり、なじみのある企業へ![]()
地域メディアの発信以外にも、より地域と密接につながるリアルでのタッチポイントをつくっていきたいと考えています。
たとえば自治体のコミュニティイベントに参画したり、地域のコミュニティスペースをお貸しして、そこに集まる方々の交流の場づくりに関わったり。小学生の放課後の居場所のような場をつくるのもいいですね。
また、茨木市では市役所の横にある広場でさまざまなイベントが開催されており、そこに企業が出店や協賛をしているのをよく見かけます。
先日、ふとイベントに訪れてみると、地域の会社の社名と事業紹介が簡単に記載されたシールが配られていました。そういったイベントで配布物があると、何の気なしについもらってしまいますよね。そうした自然な接点の中で、企業の存在が少しずつ認知されていくのだと感じました。
このように地域との関係性ができていくことで、その地域の方々にとって当社がなじみの企業になっていく。そして、仕事先を探すときに、「ナリコマって会社があったな」と当社を思い出していただけるようになると思うんです。
特に、小さい頃からなじみのある企業になることができれば、「将来ナリコマで働く」という選択もごく自然なものになるはずです。お子さんにとってなじみのある会社であると同時に、親御さんも「ナリコマで働いたらいいよ」と勧める。そうして、家族の人生とともに当社が在り続けるような関係性になれたらいいですね。
なお地方では、親子代々同じ企業で働くことも珍しくありません。たとえば「お父さんが工場であの車をつくってたから、自分も同じ会社に就職した」というような話もよく聞きますよね。
そうした積み重ねが企業の歴史をつくり、地域との結びつきを強くしていく。特定の地域に根ざし続けている企業は、そうした原点を大切にしているのだと思います。
当社にとっての原点は、東大阪や茨木市。これらの原点を大切にしながらも、各地域ごとの基盤をつくっていきたいです。
なお、こうした地域への取り組みは、「採用のため」「ナリコマの認知拡大のため」といった目的を第一義として行うべきではないとも感じています。
それを第一義としてしまうと、地域の方々から「結局ナリコマは採用のために色んなことをしている」と受け取られてしまい、かえって距離が生まれてしまうからです。
そうではなく、「ナリコマでなら働いてみようかな」「ナリコマで働くと、自分の人生にプラスがありそう」と自然に思っていただける存在でありたい。
そのような感覚の中で働いてもらうことが、理想的な形だと考えています。
地域に愛される企業であるために
都市部と地方では状況が異なり、各地域ごとにも特性があります。 そんな中で、お客様に愛される工場や営業所、サービスであるためには、採用も営業もサービスも、それぞれの地域に合わせてローカライズしていく必要があります。
こうした考え方は、当社の理念とも重なっています。
会長の竹内は「たとえ1つの施設であっても、それがどれだけ遠方にあっても、何か当社にご用命いただいた際には必ずお応えしたい」という想いを持っています。つまり「全国のお客様にしっかりと価値を届け、愛される企業でありたい」という考え方が根底にあるんです。
採用においても同じことです。
身近な存在として地域の方々と関係を築いていくこと。
地域の方々に愛され、働く場として選ばれる存在であること。
そのような採用の形をつくっていくことが、エリア採用の役割です。
この想いを胸に、今後もエリア採用の体制をしっかり構築しながら、地域ファーストの採用を進めていきます。
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[執筆・校正]株式会社ストーリーテラーズ 平澤 歩
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