『次の現場、運ですよね』に、創業1年目の経営者が本気で答えてみた
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御社に入ったら、どんな現場に行くんですか。
転職を考えているエンジニアと話していると、ほとんどの人がこの質問をします。そして、もう少し正直な人はこう付け足します。配属って、結局は運ですよね、と。
その気持ちはよくわかります。SESという働き方には「配属ガチャ」という言葉までついて回っていて、入ってみないとどんな現場かわからない、外れを引いたら数年そこで足踏みする、という話は実際にあります。私自身、エンジニアとして現場に出ていた頃に、近い感覚を持っていました。次の現場が決まるまで、自分では何も動かせない時間があるのは、けっこう落ち着かないものです。
ただ、経営する側にまわってみて、見え方が変わりました。現場の決まり方は、思っているほど運まかせではありません。少なくとも、運にしないための判断が会社の側にあります。今日はその中身を、隠さずに書いてみます。読んでいる人が、次に会社を選ぶときの材料になればうれしいです。
「配属ガチャ」が生まれる理由
なぜ配属が運に見えるのか。理由はシンプルで、決まり方が本人に見えていないからです。
会社が案件を取ってきて、エンジニアに割り当てる。この流れだけが見えていると、自分の意思とは関係ないところで現場が決まっているように感じます。実際、そういう割り当て方をしている会社もあります。とにかく人を空けたくないから、空いた人を空いた案件に入れる。中身の相性は後回し。これだと、確かにガチャです。
背景には、間に入る会社が増えるほど現場の情報が薄まっていく、という構造もあります。元請けから二次、三次とたどっていくと、末端に届く頃には「人手が要る」という事実だけが残って、どんなチームでどんな進め方をしているのかが伝わってこない。情報が落ちた状態で人を動かせば、入る側からはどうしても運に見えます。
でも、案件を受けるかどうかの段階で、会社は必ず何かを判断しているはずなんです。その判断を本人に開示するかどうかで、同じ働き方でも景色がまったく変わります。私はここを開けておきたいと思っています。
私が案件を見るとき、最初に確認すること
うちに案件の話が来たとき、私が最初に見るのは金額ではありません。何を作る現場で、どの工程を任されるのか。そこをまず確認します。
要件定義や設計から関われるのか、テストや保守が中心なのか。どちらが良い悪いという話ではなくて、入る人がそこで何を得られるかが変わります。設計を経験したい人をテスト専任の現場に入れたら、半年経っても本人の手応えは薄いままになりがちです。逆に、まず現場の流れを掴みたい人には、保守から入る現場が合うこともあります。要は、人と工程の組み合わせの問題です。
次に見るのが、現場の体制と契約のかたちです。指揮命令が誰にあるのか、わからないことを聞ける相手が近くにいるのか、残業が常態化していないか。このあたりは案件の説明資料には書かれていないことが多いので、商談の場で遠慮なく聞きます。聞いて言葉を濁される案件は、入ってからも情報が出てこないことが多い。だから、その時点でいったん引きます。
「人が足りないので、すぐ誰か出してください」とだけ言ってくる案件も、基本的には受けません。誰でもいい、という前提で募集されている現場に、名前のある一人を送り込みたくないからです。これは効率だけ見れば遠回りかもしれませんが、入ってもらう人のキャリアを預かっている以上、譲りたくない部分です。
金額を最初に見ない、と書きましたが、もちろん事業として数字を無視できるわけではありません。ただ、目先の条件だけで現場を決めると、そこで身につくものが薄くなり、結果として次の現場の選択肢を狭めてしまうことがあります。今いる現場で何を経験できるかが、その人の一年後、二年後の幅を作っていく。だから私は、短期の条件より、その現場で積み上がるものの方を先に見ます。順番の問題だと思っています。
スキルと希望を、どう案件に結びつけるか
案件を選ぶのと同じくらい、誰に入ってもらうかを考えます。
一人ひとり、書いてきたコードも、得意な領域も、これから伸ばしたい方向も違います。Javaを長くやってきた人もいれば、C#で業務システムを作ってきた人もいる。インフラ寄りに進みたい人もいます。その人が次に何を経験したいかを、案件の中身と突き合わせていきます。スキルシートに並んだ言語名だけでなく、本人がどこに行きたいのかを聞かないと、この突き合わせはできません。
ここを雑にやると、両方が損をします。本人は望まない作業を続けることになり、現場は熱量の乗らない人を抱えることになる。逆に、本人の希望と現場の必要がうまく重なると、最初の立ち上がりから動きが違います。聞かれていないことまで自分で調べてくる、という状態は、合っている現場でしか起きません。これは何度か目にしてきたことです。
希望は技術だけの話でもありません。たとえば、日本語にまだ不安があると話してくれたメンバーがいます。その人にとっては、技術的な難易度より、わからないことをその場で聞ける雰囲気があるかどうかの方が、現場の働きやすさを大きく左右します。だから案件を見るときも、チームが質問を歓迎する空気かどうかを気にかけます。条件票には出てこない情報ですが、本人にとっては死活的に重要です。
もちろん、希望が一度で通るとは限りません。それでも、なぜこの現場を勧めるのかを本人に話すようにしています。理由が共有されていれば、たとえ第一希望そのものでなくても、納得して入れます。理由を伏せたまま「ここに行って」とだけ言うのが、いちばん信頼を削ると思っています。
それでも全部は選べない、という話
きれいごとだけ書いても仕方ないので、正直なところも書きます。
創業してまだ一年に満たない会社で、選べる案件の数はそれほど多くありません。理想の現場ばかりが並んでいるわけではないし、タイミングが合わずに見送る案件もあります。やりたい工程の案件が、今この瞬間に必ず用意できるとも言えません。そこを大きく見せるつもりはないです。
だからこそ、入る前にどこまで現場のことを話せるか、を私は大事にしています。良いところも、しんどいかもしれないところも、わかっている範囲で先に伝える。期待を持ち上げすぎないことが、結果として長く働いてもらうことにつながると感じています。入ってから「聞いていた話と違う」が起きるのが、いちばん避けたい事態だからです。一度それが起きると、その人との関係はなかなか元に戻りません。
小さい会社なりに、案件が増えれば選択肢も広がります。今いるメンバーの実績が次の案件を呼んでくる、という積み上げの途中にいます。だから、今の数の少なさをごまかすより、これからどう増やしていくかを一緒に見てもらえる人と組みたいと思っています。
現場が決まったあとも、置いていかない
配属は、決めて終わりではありません。むしろ、入ってからの方が長い。
現場に出ると、エンジニアは会社から物理的に離れます。毎日となりの席にいるわけではないので、困っていても気づかれにくい。前職の頃、別の現場に出ているあいだに会社との距離をだんだん感じて、評価されているのかもわからないまま時間が過ぎていく、という心細さがありました。あの感覚は、わりとよく覚えています。
だから今は、現場に入ってもらったあとも、定期的に話す時間を持つようにしています。うまくいっていることだけでなく、しんどいこと、合わないと感じ始めていること。早めに聞けていれば、現場側に体制を相談したり、次の動きを一緒に考えたりできます。手遅れになってから相談されるのが、いちばんつらい。だから、聞きにいく側でいようと決めています。
ここまでやって、ようやく配属が点ではなく線になります。どの現場に入るかと同じくらい、入ったあとをどう支えるかが、結局はその人がその会社で続けられるかを決めていくのだと思います。
面談で、現場の決まり方を聞いてみてほしい
ここまで会社の中の話を書いてきましたが、最後は読んでいるあなたの側の話です。
転職活動でカジュアル面談をするとき、案件はどうやって決まりますか、と聞いてみてください。希望は通りますか、合わない案件は断れますか、と続けてもいい。この質問への答え方に、会社の姿勢がかなり出ます。
具体的に答えられる会社は、ふだんから一人ひとりの配属を考えている可能性が高いです。だれが、何を見て、どう決めているのか。そこをすらすら話せるなら、実際にもそうしているのでしょう。逆に、ケースバイケースですね、で終わってしまう会社は、その場しのぎで人を動かしているかもしれません。答えの中身そのものより、答えの具体度を見てください。
もうひとつ、聞いてみてほしいことがあります。入った人が、その後どんな現場に移っていったか。一人目はこういう案件で、二年目にこう変わって、という話が出てくる会社は、配属を通り過ぎる点ではなく、つながった線として考えています。そこまで踏み込んで聞けると、自分がその会社で数年後にどうなっていそうか、輪郭が見えてきます。
現場が運で決まるのか、それとも誰かがちゃんと考えて決めているのか。その違いは、入る前のひとつの質問でだいたい見抜けます。配属ガチャという言葉に身構える前に、まず聞いてみる。それだけで、見える情報はずいぶん変わるはずです。
私たちは、エンジニアとして現場に入ってもらいながら、受託開発の立ち上げも一緒に進めてくれる人を探しています。案件の決まり方や日々の働き方を、もっと具体的に聞いてみたい方がいたら、まずは気軽に話せたらうれしいです。よければ、こちらの募集ものぞいてみてください。