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海外顧客80%のラーメン店がコロナ禍でどうやって生き延びたか

2020年世界が変わった。

私達の会社の80%の顧客は海外からのインバウンド客。コロナ前は全事業が絶好調でまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで売上を伸ばしていた時期でした。2019年末に中国でコロナが発生。2020年はじめあたりでRamen Factoryの中国からの予約が全てキャンセルになりました。まだこの頃は「あ〜今年の春節はちょっと厳しそう。まぁでも桜シーズンの欧米系は大丈夫だろうから春に向けて準備しよう」なんて話をしていました。するとあれよあれよと言う間に世界的大流行となり桜シーズンには初の緊急事態宣言となり国境は閉じられ私達はほとんどのお客様を失ったわけです。

灰色に見える桜。止まっていられない現実。

毎年桜のシーズンというのは最繁忙期でとにかく忙しく、会社としては大きく売上を作れるシーズンでもあります。それが2020年の春は国境も閉じられ緊急事態宣言で店舗も休業を余儀なくされました。前年にめん馬鹿も大改装し、Ramen Factoryも過去最多の予約が入っており勝負の年と行っても過言ではありませんでした。それが全てなくなり、きれいなはずの桜は私には灰色にしか見えませんでした。

まず取り掛からなければならなかったのは従業員の給料の補償、国の支援の情報収集、そして食いつなぐための借り入れでした。従業員には一旦休んでもらう他なくその間の給料を補償、そして雇用調整助成金の手続きをやるしかありません。しかしその頃の雇用調整助成金の制度というのはこういった全国的な休業などを想定していなかったので制度の申請や補助率などの情報が毎週変わっていきました。その情報収集と書類作成に明け暮れていました。

一旦助成金関係は落ち着いたものの、さぁここからどうしようかと思案を重ねました。当時10名の正社員、30名のアルバイトがいました。みんな休んでもらっているもののこのまま止まっていてはみんな離れて行ってしまう。止まっていはいられない。なにか動かないと、と。

未知の世界ベーカリー事業への参入

とにかく今はお客さんが海外からはもちろん、国内のお客様も出歩かない状態です。そこで思いついたのがベーカリー事業の展開でした。ラーメンでテイクアウトはかなり厳しい。であればテイクアウトがしっかりできる業態を作らねば。京都はパンの商品量が高く、マーケットとしてのポテンシャルがある。でも個店が乱立する京都で大衆パン屋になったのでは価格競争に巻き込まれてしまう。何かに特化したパン屋でなければ、と。私はクロワッサン専門店を推しに推しました。しかしクロワッサンは技術が必要だ。誰もその技術を持ち合わせていない。ならば習得すればいいではないかと推しに推しましたが会議で私の意見は一切通りませんでした。(社長の鶴の一声が響かないのもある意味いい会社だと今では思います) かくして出来上がったのがベーグル専門店KAMOGAWA BAKERYでした。

未経験だからこそできる常識破り

コロナ禍においてはパン屋さんもテイクアウト業態でありながら少なからず影響を受けていました。その一つは共有トングトレーの使用です。接触によって感染するとわかり始めたコロナウィルス。人々はドアノブを持つことを嫌がり、パン屋のトングトレーも例外ではありませんでした。ならばバイキング形式はやめてオーダースタイルにしてやろうとオーダー制のパン屋にしました。お客様はタブレットで注文して店員が取り揃えるという日本初のベーカリーのスタイルです。

他にも朝早く起きるのが嫌だから生地はすべて冷凍して翌日出勤したら焼くだけにする、無名にも関わらず百貨店に猛営業をかけて業販を取ってくる、2年で5店舗に拡大するなど、未経験だからこそできる発想で数々の常識破りをやってきました。

コロナ後の夜明けを見ながら思うこと

2023年5月感染症法上の5類への移行を持ってコロナが明けました。2022年10月から入国緩和され長かった鎖国がようやく解かれ、インバウンド事業部の売上も2023年5月をもって完全に回復しました。

異常、異例の三年間が終わり、この三年間の答え合わせをふとした時にしてしまいます。従業員は一人も解雇することなく3年間雇用し続けました。そのために多額の借り入れをしてきました。もしかしたらコロナが始まった時点で全員に転職してもらって休業補償だけもらって3年間耐えていれば身軽な状態でインバウンドの復活を迎えられたんじゃないか、とか、ベーカリー事業をしっかりやって働き口を作ったからこそ残った従業員がRamen Factoryをしっかり復活させてくれたからこれで大正解じゃないか、とか。

とはいえタラレバを言っても始まらないのでとにかく今与えられた環境で一生懸命みんなと頑張るまでです。苦しい中に残って一緒頑張ってくれた従業員は本当に宝物です。みんなと一緒に、コロナがあったから今があるんだね、と早く言えるように頑張っていきたいと思います。

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