多様なバックグラウンドを持つメンバーが働くつむぎ株式会社。価値観も働き方も異なる3名が、「つむぎのしゃべり場」で本音を語ります。
第1回のテーマは『いい違和感』って何?
▣パネリスト
カケハシ事業部 マネジャー くにみつあんな
インターン 齊藤拓巳
代表取締役 前田亮
▣モデレーター
カケハシ事業部 紡ぎ手 大川祥子
見守りあう環境が築かれているからこそ「違和感」について発信できた
「『いい違和感』って何?」というテーマから最初に思い浮かべたのは、以前、國光さんがnoteに書いた『“自分でなんとかするものだ”と思わされてきた私たちへ。ケアという関係について考える』です。國光さんは家族の問題を社会構造の問題として捉え「家族のケアは家庭のなかで行われるべきものだ」という考え方に疑問を投げかけました。

"自分でなんとかするものだ"と思わされてきた私たちへ。ケアという関係について考える|つむぎ株式会社
大川:このエッセイのなかで、國光さんは優しい語り口ながら、鋭い視点で問題提起を行いました。まさに「違和感」に気づいたからこそこのような指摘ができたのだと思いますが、なぜこのような問題に気づけたのでしょう?
國光:うまく説明することが難しいのですが、私自身がマイノリティな立場に置かれることがあり、違和感を覚えやすくなっていたのかもしれません。文学紹介者・頭木弘樹さんが「その水になじめない魚だけが、その水について考え続ける」と表現されたように、その環境にすぐに馴染める人は違和に気づきにくい。私もモヤモヤする気持ちを捉えるまでに長い時間が掛かったのですが、自分が置かれている環境について友人に話したところ、彼女がとても怒ってくれて「これは問題として捉えていいのかも」と思えたんです。
大川:どうして、それをつむぎという会社が発信する媒体で表現したのですか?
國光:パーソナルVMVワーク※を実施したことで、つむぎのなかの活動にケアの可能性を感じたのかもしれません。
※パーソナルVMVワーク……個人のビジョン、ミッション、価値観を言語化するつむぎの社内ワーク。大川:個人の価値観を掘り下げるワークが、なぜケアに?
國光:以前から「ケアが家族やパートナーによりすぎているのではないか?」と感じていました。参加メンバーの生き方や考え方を知るうちに「会社」というコミュニティも依存先の分散として機能するのではないか?と考えるようになったんです。
例えば、地域のなかには緩やかに見守るという関係が発生します。何かをしてあげる、してもらうだけでなく、ただ見守っている関係です。このような関係性を結べる場所が増えていけば、その人は家庭のなかだけでなく、外部に頼れる場所を分散することができると感じたんです。
見守りあい、緩やかにつながることで、特定の誰かが大きな荷物を背負わずに互いをケアできるのかもしれません。
踏み込めば深くつながることもできる。「緩いつながり」があるからこそ、そっと心に触れられる
「自立は、依存先を増やすこと」という考え方は、東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎教授の提言によって広く知られるようになりました。会社も依存先の一つになりえます。つむぎでは、居住地も勤務形態もばらばらなメンバーが緩やかに見守りあえる関係を築いています。その関係を支えているのは社内の仕組みです。
前田:仕事以外の面でも関係性を補完する必要があると考え、プロジェクト※や「つむぎコネクト」※を始めました。「つむぎコネクト」は、複数拠点を持つお客様のコミュニケーションを補うために考えたツールです。「うちも同じ状況だ」と気づき、社内に導入しました。
※プロジェクト……メンバーが自発的に参加する社内横断型の活動。
※つむぎコネクト……感謝や激励のメッセージを贈り合える社内用Webアプリ。

つむぎコネクト|感謝を伝える習慣から理念を浸透、あなたの組織を強くする。
プロジェクトも「つむぎコネクト」も、メンバー同士が個人的な面を支え合うことを目的にした手段やツールではありません。しかしそれらは「緩いつながり」を生み、見守りあう環境を築いてきたのです。
前田:「緩いつながり」を作ることは強く意識しています。無理して強固につながろうとするとお互いに負担がかかる。まずは小さくつながりをつくり、一歩踏み出せば深くつながることができる環境を作ろうとしてきたんです。踏み込むか、踏み込まないかは本人に委ねる。けれど、踏み込んできた人を迎え入れる場所はきちんと作ろうと考えてきました。
齊藤:インターンとして入ってきて感じた正直な所感は、つむぎの皆さんは「みんながものすごく仲が良い」わけではないことです。でも自分の人生を整理して、価値観を自分の言葉で言語化できるようにしてくれる場所だと感じています。
月1回のオフィスデー※で國光さんが青空の下で研修をしてくれたことがありました。そのときに自分の過去のことや、そこからどのような価値観が生まれたのかといった話をしたんです。大学ではほとんどしてこなかった話ですね。この経験から、つむぎはインターンとして経験を積む場所以上のものになりました。
※オフィスデー……つむぎでは、月1回シェアラウンジに希望者が集まり共に仕事をする「オフィスデー」がある。コーヒーを楽しみながらミーティングをすることもある。
強すぎるつながりではないからこそ、また強制された関係ではないからこそ、それまで発生することのなかった対話が生まれ、自分の価値観に気づくことができるのかもしれません。
世界のおかしさに気づかぬまま飛び込んだ先で、ギャップを発見することもある
早稲田大学4年生の齊藤さんは、別の会社から内定を得た後、社会をより深く学ぶためにつむぎに参画しました。noteに執筆した入社エントリでは、自身のなかに生じたギャップに向き合っています。
大川:大学1年生のときにフィリピンへ渡航したのは、「自分は世界を知らない」という違和感や、取り組みたいテーマを探すためだったのですか?
齊藤:深く考えず、サークルの活動として新しい環境に飛び込んでみたかったんです。実際に行くと、想像以上の貧富の差に衝撃を受けました。マニラ中心部には日本より先進的な建物がある一方、隣の駅では物乞いをする人がいる。二次情報と一次情報のギャップを知り、自分の目で確かめるまでは信じ切らないようになりました。
大川:そのときの経験は今のご自身にどのように影響していますか?
齊藤:日本のいろいろな地域に行って将来のキャリアを考えるようになりました。つむぎに参画したのも、現場を重視して活動している会社だと感じたからです。
齊藤さんは、違和感をきっかけに動いたのではなく、異なる環境に飛び込むことでギャップを発見しました。
現状を変えられないときには、視野を広げ自分を開くことで前に進める
齊藤さんについてはもう一つエピソードがあります。中学生時代、走り幅跳びで表彰台の常連でしたが、高校では成績が伸び悩みました。理想と現実にギャップが生まれたとき、どう対処したのでしょう。
大川:自分が思い描いていたところとは違う状況に置かれる中で、状況を変えようとしたり、考え方を変えようとしたりしたことはありますか?
齊藤:勝つことを目指して頑張っていたので、練習方法を変えるなどして常に状況を変えようと努力していました。それでも結果は出なかった。でもすごく落ち込んでいたわけではないんです。僕は走り幅跳びという競技自体がすごく好きでした。だからトップに立つことを絶対的な目標にせず、自分の記録との勝負や、後輩の育成に目を向けたんです。自分が「やり切った」と言うことができれば大丈夫かな、と考えるようになりました。
大川:目標を少し変えることで折り合いをつけた、ということですね。
齊藤:文化祭の実行委員を務めたり、古着回収のボランティアをしたこともありました。陸上以外の活動をすることで、自分の存在価値を証明していったのかもしれません。「いろいろな世界を知りたい」という好奇心のおかげで自分の関心の幅を広げることができました。
「違和感」は感情に目を向けることで見つかる
最後に、前田さんに「違和感」の見つけ方を訊ねました。経営者にとって、違和感は課題を発見するための情報源になると考えたためです。
大川:國光さんは長年感じていたモヤモヤに向き合い続けることで「違和感」の言語化・構造化に成功しました。一方で、齊藤さんは大きく外へ飛び出すことでギャップをあぶり出しています。前田さんは情報の宝庫である「違和感」をどのように発掘していますか?
前田:まず感情に目を向けます。むっとしたら「何に、なぜイライラしたのか」を考える。うれしい、楽しいという感情に対しても同じです。理由をたどることで、自分が実は期待していたことや描いていたゴール、大切にしていることに気づけます。
大川:その違和感は、問題を解決したり、喜びの種を育てたりするための、指標や目印のようなものですか?
前田:違和感は、自分を知るためのヒントだと感じています。違和感があるのは、自分がまだ分かっていないことなんです。そこに目を向け、理由をいったん言語化することで、より自分自身が形成されていくイメージがあります。
感情を放置せず、納得できる理由が見つかるまで考える。自分の中で着地すると、次に進めるんです。
常に「次に何ができるか」を考える
確かに、違和感の正体がわかればモヤモヤする気持ちは落ち着かせることができます。では浮き彫りになった課題に対してはどのように対処すれば良いのでしょう?
前田:最終的に解決に至るかどうかはあまり気にせず「自分にできることは何か」に目を向けて行動しています。起きたことは事実として捉え、そこから何をするかは自分で決める。問題を100%解消できなくても、アプローチはできます。後悔しないよう、自分が動くかどうかを大切にしています。
「違和感」をきっかけに浮き彫りになった事象があれば、それを起点に行動していくというのが前田さんの考え方のようです。
違和感は行動のトリガーになる
3人の話から「違和感」は、次の行動を促したり、考え方を変えたりする「トリガー」として機能していることがわかりました。では「いい違和感」とはどのようなものなのでしょうか。
齊藤:違和感自体に、「良い」「悪い」はないのかなと思いました。モヤモヤは向き合い続けることで「いい違和感」になる。自分はモヤモヤに向き合い続けながらも、自分の考え方を変えることで「違和感」を消化しているのだと感じました。
前田:確かに。違和感に対して、常に自分にプラスになるように向き合ってきた経験から、「悪い違和感」はあまりないのではないかと感じています。違和感って基本的に良いものしかないんじゃないかな。
いかがでしたか?
違和感は、ときに見ないふりをしたくなるものです。しかし、言語化したり、自分を開いたり、できることから行動したりすれば、現状から踏み出すきっかけになります。
違和感は、ときに見ないふりをしたくなるものです。けれど、それを言葉にしたり、自分を少し開いてみたり、できることから行動に移したりすることで、今いる場所から一歩踏み出すきっかけになることがあります。
「いい違和感」とは、違和感そのものではなく、その先の行動につなげることで生まれるものなのかもしれません。
違和感の見つけ方も、向き合い方も人それぞれ。その違いを否定せず、互いの言葉に耳を傾ける時間となった、「つむぎのしゃべり場」第1回でした。
カジュアル面談しませんか?
この記事を通して、つむぎの人や考え方、働き方に少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひ一度カジュアルにお話ししませんか?
カジュアル面談では、つむぎでの仕事や働き方はもちろん、気になっていることや、今感じているモヤモヤも含めて、ざっくばらんにお話しできたらと思っています。