「会社の定義」を、改めて考える。
ある会社が、社会における役割をこう定義している。
「 私たちの会社は人々の命を守る最後の砦」 ――実はこれ、電車のホームドアを造っている企業。ものすごく分かりやすいし、腹に落ちる。
そう定義されているから、「ドアを造りたい人」ではなく「命を守りたい人」が集まるし、それが社員にとっての大きなモチベーションになる。
うちの会社にも「ひらめきから世界を変える」という理念がある。言葉としてはかっこいいんだけど、正直ちょっと分かりづらい。
美容も、ボクシングも、アニメも、ライブやフェスも、お酒のイベントも、行政のイベントもやっているけれど、「じゃあ、どうやって世界を変えるの?」という解釈が聞き手によってバラバラになってしまう。
「KBPI は何をしている会社なのか」「その仕事は何のためにやっているのか」――要するに、社員が、自分の親から「あんたの会社、何やってるの?」と聞かれたときに説明できる「会社の定義」、核心を突いた一言をつくる必要がある。「この思いがあるから、私はこの会社にいる」という確固たる軸の必要性を強く感じている。
僕たちが届けているのは、誰かの人生を変えるインスピレーション。
自分のことを振り返ってみる。僕が 30 年間、この会社で働いてきた中で何を生み出してきたのかを考えた。「KBPIさんが演出したヘアショーを見て、美容師になることを決めました!」と言われることがある。これって、ものすごいことだと思う。誰かの一生を左右する決定打を、自分たちが放っているんだから。
僕自身、映画やアートやファッションが大好きで、「あの人の作品は素晴らしいな」と刺激を受けてきた。その根底にあるのは、「人生のモチベーションやインスピレーションを与える」ということ。ダヴィンチの絵を見て「画家になろう」と思った人がその思いを一生涯抱き続けていくように、僕らが創ったクリエイティブを発信することで、それを受け取った人たちの心に火をつけ、人生のインスピレーションを与えることができる。それはヘアショーかもしれないし、ボクシングかもしれないし、フェスやPOP UPかもしれない。ジャンルは何でもいい。僕たちの仕事の本質は、クリエイティブで人間の感情を刺激して、その人が持つ可能性を広げること。KBPI が一番得意なのは、まさに、この「今までの概念を新しくアップグレードすること」なんだと思う。
クラシック音楽をバックに静かにアップスタイルをつくるのが当たり前だったヘアショーを、アンダーグラウンドのクラブサウンドをかけながらカットをするという”リズム”をもたらして、それまでの概念をひっくり返した。今ではあたり前の話だ。
ボクシングにエンタメ要素をより強く取り込んだり、お堅い学会の仕事にビューティの感性を反映したり…。そうやって、KBPI は常識をアップグレードして、新しい市場を生み出してきた。だからこそ、美容、ボクシング、アニメ、音楽、お酒、ファッション、行政、出版社、授賞式、カンファレンス…と、一見バラバラに見えるジャンルでもすべてトップクオリティで成功させることができている。
「KBPI は何をしてる会社なのか」と思われがちだけど、実は美容もエンタメもやっていることは全部同じ。あらゆるジャンルの常識をアップグレードして、新しい文化を創り出しているだけ。
新しい仲間とともに、人々の可能性を広げ、世界を豊かにしていく。
今や、KBPIは美容業界において高い認知度を確立できている。さらにエンタメをはじめとした他の分野との売上比率は50:50 になり、過去40年の歴史の中で最高売上・最高益を達成した。インスピレーションを与えるのが僕らの仕事だから、求められる知見があるのは嬉しいし、ありがたいことだと思う。
じゃあ、なぜさらに拡大路線、企業化路線を進めるのか。その答えは、「僕たちが人々に与えられるインスピレーションの幅を、あらゆるチャンネルにおいてもっともっと広げていきたいから」。
今、うちの会社の業務内容がこれだけ多岐にわたっているのは、社員たちの「スポーツをやりたい」「アニメをやりたい」「お酒の仕事をやりたい」「音楽の仕事をやりたい」「海外の仕事をやりたい」という社員それぞれの夢や熱量から、会社自体がインスピレーションを受けて形にしてきた結果だ。そして、そうやって生み出した利益は新たなことに投資していきたい。それは人だ。
だからこそ、会社をもっと大きくして、新しい仲間を迎えたい。
その仲間たちの夢や熱量から、僕らもまた新しいインスピレーションが欲しい。
そしてインスピレーションの連鎖を引き起こして、人々の可能性を広げ、新しい文化(カルチャー)を創り出して、世界を豊かにしていく。
これがKBPI の目指すゴールであり、僕たちがビジネスの規模を拡大していく本当の理由なんだ。