18歳での起業・事業売却、そしてイギリスでの体験を経て、自らの原点に辿り着いた株式会社KANNON代表取締役CEO・山下青夏。
本記事では山下へのインタビューを通じ、なぜ彼が「情報格差をなくす」というミッションを掲げ、AI×アクセシビリティ事業を立ち上げたのか、そのリアルな軌跡を紐解きます。
株式会社KANNON 代表取締役CEO / 山下 青夏(Sena Yamashita)
2002年名古屋生まれ。南山大学 総合政策学部。18歳で若年層向けSNSコンサル事業を立ち上げ、約1年で売却。その後、メタバース領域のスタートアップで資金調達を経験するも事業はクローズ。1年間の海外生活を経て、2023年11月に株式会社KANNONを設立(名古屋大学発ベンチャー称号が授与される)。現在はアクセシビリティ×AIの3事業を展開し、累計300社以上のAI・DX支援を手がける。
── 18歳での学生起業からキャリアをスタートされていますが、企業への就職ではなく起業を選んだ理由は?
一言でいうと「自分にしかできないこと=自分の市場価値」を常に考え、行動し続けた結果でした。高校生の頃から就活系のYouTubeチャンネルの立ち上げに関わるなど、発信やマーケティングの面白さには早くから熱中していました。
大学に入学してからは、自立して生活費を稼がないといけないという現実的な必要性もあり、さまざまな事業に挑戦しました。キャンプ用品のレンタルや、学生と経営者のマッチングなど、アイデアを泥臭く形にしていく中で、SNSのデータ分析を軸にしたコンサルティング事業が軌道に乗り、約1年で事業売却(譲渡)を経験しました。
その後、仮想空間の特許技術を活用したメタバース領域のディープテックスタートアップを設立し、数千万円の資金調達も実施しました。が、クローズしてしまいました。
── 順調なキャリアに見えますが、事業売却をしてイギリスに行かれていますね。
当時はスタートアップが流行っていた時期で、テック系に興味があったんです。今振り返ると、難易度の高いことにいきなり挑戦しすぎたなという反省もあります。
イギリスに行ったのは、「移動距離はイノベーションの距離。どれだけ遠くまで移動したかが、自分の価値観を壊すカギになる」と言われたことがきっかけです。
「遠ければ遠い方がいい」と考え、約1年間日本とイギリスを行き来する生活を始めました。海外で日本とは全く異なる価値観や、最新テクノロジーが人々の生活にどう溶け込んでいるかを肌で感じる中で、自分の偏った視点が壊され、視野が一気に広がったんです。
同時に、テクノロジーを「本当に必要としている人」に届ける仕組み、つまり「情報の届き方」を変える事業にこそ、次の勝機があると確信しました。
── その気づきが、現在の「株式会社KANNON」の設立へと繋がるのですね。「情報格差をなくす」というミッションはどこから生まれたのでしょうか?
実は、私が大学入試の小論文に書いたテーマが「情報格差をなくしたい」でした。学問として社会課題や政策を学ぶ中で抱いていた問題意識と、自分の起業家としての経験が、海外生活を経て一本の線に繋がったんです。
次の事業を模索する中で、障がいのある方や高齢者の方など、50名以上の「情報の取得や移動に困難を抱える当事者」の方々に直接ヒアリングを行いました。「自分の足に合う靴のサイズがネットで探せない」「目が悪くなって新聞を読むのを諦めた」「行きたいけれど、行けるルートが分からなくてディズニーランドに行けない」。
世の中にはこれだけデジタル技術が溢れているのに、必要な情報が必要な人に届いていない。この「情報格差」をなくすことは、一人ひとりの人生における「選べる未来」を増やすことだと確信しました。
社名の「KANNON(かんのん)」は、千手観音に由来しています。まだ世の中に届いていない、当事者たちの小さな声をしっかりと聴き届け、テクノロジーの力で解決の手を差し伸べる。その決意を込めて、2023年11月に株式会社KANNONを設立しました。
── 3度目の起業となるKANNON。創業期の苦労や、それをどう乗り越えたのか教えてください。
KANNONは、私ともう2人の創業メンバー、そして外部の専門家という、わずか3人の超少数体制でスタートしました。私はデザインもプログラミングもできません。だからこそ、「自分がやるべきこと=ビジョンを描き、泥臭く現場を回ること」に集中し、創る部分はプロフェッショナルやAIの力を信じて任せるというスタンスを徹底しました。
自己資金(ノンエクイティ)でスタートしたため、初期の資金繰りは非常に厳しかったです。さらに、リリース直後にプロダクトを代理店にそのまま模倣され、直後に「2,000万円で会社を買い取りたい」という提案を受けたこともありました。悔しさはありましたが、私たちは「当事者の困りごとへの解像度」で勝負しているという絶対の自負があったため、誘惑に負けず自分たちの足元を見つめ直しました。
まず立ち上げたのが、障がいや年齢に関わらず、すべての人が平等に情報へアクセスできるようにとウェブのバリアフリー化を目指した「フェアナビ」です。
諦めずに当事者の声に向き合い続けた結果、「フェアナビ」はリリースからわずか半年で月間500万ユーザーを突破。現在ではアクセシビリティ×AIの3事業を展開し、名古屋大学発ベンチャーの称号も授与され、累計300社以上のAI・DX支援をお手伝いするまでに成長しました。
── 現場の課題解決に向き合う中で、山下さんが一番「面白い」と感じる瞬間はどこですか?
私たちが関わったことで、クライアントの現場や当事者の日常が「実際に変わる瞬間」を目撃するときです。
「AIを導入して終わり」ではなく、現場のメンバーが「本当に業務が楽になった」「これまで諦めていたことができるようになった」と変化を実感してくれる。私たちの仕事は、最先端のAIという武器を使いながら、最も泥臭く、人間らしい温かみのある社会課題に向き合う仕事です。その社会的意義と手触り感に、この上ないやりがいを感じています。
── 最後に、これからKANNONに加わる未来の仲間や、挑戦を志す同世代に向けてメッセージをお願いします。
KANNONはこれから、2035年問題や事業承継といった日本の構造課題のど真ん中に切り込み、複数の事業を掛け合わせた「コンパウンド(複合的)な経済圏」を創りにいきます。「情報格差をなくす」という軸をブラさず、世界中を驚かせるような多角的な事業展開をしていく予定です。
私たちが一緒に働きたいのは、このビジョンに本気で共鳴し、「正解のない問い」に対して自ら頭を使い、泥臭く動き切れる人です。
私自身、多くの失敗を経験してきました。しかし、失敗を恐れて打席に立たないことこそが最大の損失です。
情報格差をなくし、誰かの「選べる未来」を増やす。その挑戦に少しでも心が動いたなら、ぜひ一度フラットにお話ししましょう。あなたの挑戦を、心からお待ちしています!
KANNONは一緒に働く仲間を募集しています。詳しくは以下の募集をご覧ください。
まず話だけ聞いてみたい、という方も大歓迎です!