船が当たり前に動くその裏側には、エンジンと向き合い続ける人たちがいる。
客室でもデッキでもない、船の“内側”で航海を支える仕事──それが隠岐汽船の機関部だ。
今回話を聞いたのは、2025年に隠岐汽船へ入社した若手機関士・上野武暉さん。
地元・隠岐の島で育ち、再び島の海に戻ってきた23歳のリアルな日常と、機関部の仕事の魅力について伺いました。
<プロフィール>
上野 武暉(うえの いぶき)
出身:島根県隠岐郡隠岐の島町
社歴:2025年3月入社
所属:フェリーしらしま 機関部
趣味:ガンプラ作り、犬の散歩
──まずは自己紹介をお願いします。
上野:
上野武暉(うえのいぶき)です。
隠岐の島町出身の23歳で、2025年3月に隠岐汽船へ入社しました。現在はフェリーしらしまの機関部に所属しています。
趣味はプラモデル作りと実家で飼っている犬の散歩です!
──もともと船の仕事を目指していたんですか?
上野:
はい。隠岐水産高校の出身で、在学中に海技免状の資格を取得。その頃から船の仕事に就こうと思っていました。
新卒では県内のタグボート会社(大型船の入出港を補助したり、船を押したり引いたりする作業船)の機関士として約1年間働いていました。
──隠岐汽船へ転職したきっかけは?
上野:
次の会社を探しているときに、隠岐汽船の求人チラシを見つけて応募しました。
水産高校で取得した自身の海技免状の資格を活かしたかったですし、生まれ育った地域の船会社で働けることに魅力を感じたのが、一番の入社の動機ですね。
──現在の仕事内容を教えてください。
上野:
朝はまず、出航前にエンジンルームでバルブを開けて油の量を測る作業から始まります。油が減っていたら、補給をします。
その後は発電機の操作をして、船内の電気をコントロールします。出航前はエンジンを回すためのスタンバイ作業が中心ですね。
航海中は機関当直として、モニターを見ながら機械に異常がないかを点検しています。警報が鳴ったらすぐ確認します。
発電機2台、ポンプ、スラスター(船を横移動させるプロペラ装置)、空調機など、様々な機械を管理するのが機関部の役目です。
基本、2人1組で動く仕事になります。
──仕事のやりがいはどんなところですか?
上野:
前はできなかった作業ができるようになったり、作業スピードが上がったと感じるときです。「前より成長できているな」と実感できる瞬間がやりがいです。
──他の部署との連携はありますか?
上野:
業務中はあまり多くないですが、朝の航海後に点検が終わったら連絡を取り合ったり、何かしら機械に不備があれば甲板部や事務部から連絡が来たりします。
──仕事の難しさは?
上野:
とにかく機械の数が多いことです。それぞれ仕組みや役割が違うので、毎日少しずつ覚えていかないといけないところが大変ですね。
──未経験でも機関部の仕事はできますか?
上野:
全然大丈夫だと思います。
自分も最初から全部できたわけではないですし、先輩が一つひとつ丁寧に教えてくれます。分からないことがあればその場で聞ける環境なので、「見て覚えろ」という雰囲気はなく、ちゃんと教えてもらいながら仕事を覚えていけます。
──職場の雰囲気はどうですか?
上野:
自分の至らないところがあればすぐに指示も出していただけますし、皆さん優しいです。前の会社では一人で作業する時間もあって、なかなか教えてもらえる環境ではなかったので、今は自分の成長も実感できていて、すごくありがたい環境だと感じますね。
──どんな人が機関部に向いていると思いますか?
上野:
機械いじりが好きな人ですかね。
プラモデルが好きとか、ものづくりが好きな人は向いていると思います。細かい作業が苦じゃない人は楽しいんじゃないかなと。
先輩からは「人の話をしっかり聞けること」「分からなかったら聞き返せること」「挨拶やコミュニケーションができること」が大事だと教わっています。
入社後は1から10まで教えてもらえるので、未経験でも全然やっていけると思います。
──船酔いはやっぱりありますか?
上野:
ありますね(笑)。
僕だけじゃなくて、長く乗っているベテランの船員さんたちも波が高いときは酔うこともあります。
自分は船酔い対策としてミント系の飴をなめたりしてます。あとは空腹や寝不足のときは酔いやすいので、そこは気をつけています。
機関室で真顔でミント飴をなめながら作業している大人たち、っていうのがちょっと面白い光景かもしれません(笑)。 意外と“プロの現場”もそんな感じです。
──今後の目標を教えてください。
上野:
教えてもらった作業を、自信を持ってできるようになることです。
今はまだ「これで合ってるのかな」と不安になることもあるので、経験を積んで確実にできるようになりたいです。
──最後に、これから機関部で一緒に働く人へメッセージをお願いします。
上野:
機械いじりが好きな人、ものづくりが好きな人、船や海が好きな人には向いている仕事だと思います。
最初は分からないことだらけでも、ちゃんと教えてもらえる環境なので安心して来てほしいです。船酔いもみんな対策しながらやっているので、一緒に頑張りましょう!
船のエンジン音が絶えない限り、機関部の仕事も止まらない。
目立つ仕事ではないかもしれないけれど、確実に島の暮らしを支えている大切な役割だ。
「最初は分からなくて当たり前。でも、ちゃんと教えてもらえる環境がある」
そう話してくれた上野さんの言葉には、若手として一歩ずつ成長してきた実感がにじんでいた。
ものづくりが好きな人、機械に触れる仕事がしたい人、そして海のそばで働きたい人へ。
次にこのエンジンルームに立つのは、この記事を読んでいるあなたかもしれません。
隠岐の海で、あなたの挑戦を待っています!