隠岐諸島の島々を結ぶフェリーは、観光だけのためにあるわけではありません。
島の暮らしそのものを支える「生活インフラ」です。
郵便物、商店の荷物、生活物資。
島の暮らしは、船が動くことを前提に成り立っています。
その港で船を迎え、荷物を扱い、人と人をつないでいるのが営業所の労務員です。
今回は、西ノ島営業所で働く但馬宗一郎さんに、仕事のリアルと島で働く魅力について聞きました。
<プロフィール>
但馬 宗一郎(たじま そういちろう)
出身:島根県隠岐郡西ノ島町
社歴:2019年4月入社
所属:西ノ島営業所 労務員
趣味:ダイビング、釣り
──まずは自己紹介をお願いします。
但馬:
西ノ島出身で、2019年4月に隠岐汽船へ入社しました。現在は西ノ島営業所で労務員として働いています。
趣味はダイビングや釣りです。
素潜りで魚を採ることもあります。金属のフックのような道具を使って岩場から引っ掛けて採るんですが、昔から海に潜るのが好きでした。
大学は島根県浜田市で4年間過ごして、その後は地元に戻って西ノ島役場で2年ほど働いていました。
──隠岐汽船に入社したきっかけは?
但馬:
実は父が隠岐汽船と関わりがあって、高速船の専属ダイバーをしていました。
自分は役場を辞めて別の仕事を探していたんですが、気づいたら父が自分の履歴書を隠岐汽船に出していたんです(笑)。
その頃ちょうど営業所の他の労務員が辞めるタイミングだったこともあり、まずは試用期間として働き始めました。
母からも「できれば島に残ってほしい」と言われていたこともあって、最初はパートとして入社しましたが、働く中で職場の雰囲気にも魅力を感じて正社員になりました。
──役場から転職してみてどうでしたか?
但馬:
隠岐汽船に来てから、島民との接点はかなり増えたと感じます。
港には商店の方や宿泊施設の方など、色々な人が荷物を持って来ます。
直接話をする機会も多いので、役場にいたときよりも島の暮らしを身近に感じるようになりました。
──現在の主な仕事内容を教えてください。
但馬:
大きく分けると3つあります。
郵便物の集配、貨物の受付・事務作業、そして係船作業です。
郵便物の集配では、船の入港の20〜30分ほど前に別府郵便局へ行き、発送する荷物を受け取って船へ引き渡します。最近はAmazonや楽天などの通販の荷物も多く、船の接続のタイミングに合わせて何度か往復します。
貨物の受付では、お客様に申込用紙を書いてもらい、荷物の行き先を確認してデータ入力をしたり、料金を受け取ったりします。商店などの場合は請求書の処理も行います。
個人のお客様だと1日6〜7人くらいですが、漁協や商店などから荷物が出ると、一度に20〜30個くらい扱うこともあります。
──係船作業は難しいですか?
但馬:
最初は結構失敗しました(笑)。
船から投げられてくるロープは重さがバラバラで、軽いものもあればかなり重いものもあります。慣れないうちは腕を痛めたりすることもありました。
数ヶ月くらいで慣れてきましたが、大きなフェリーがゆっくり港に近づいてくる瞬間は、今でも少し緊張します。
船が離れているときにロープを投げすぎてしまうと、係船機(ロープを巻き取るための港の機械)に当たることもあるので、そこは気をつけています。
──仕事のやりがいはどんなところですか?
但馬:
島民の生活を支えている実感を得られるところです。
商店の荷物や生活物資など、自分たちが動かないと島の暮らしが回らない部分があります。港にはいろいろな人が来るので、自然と顔見知りも増えていきます。
「いつもありがとう」と飲み物を差し入れてもらうこともあって、そういうときにやりがいを感じますね。
──港で働いていて印象に残っている瞬間はありますか?
但馬:
やっぱり船が入ってくる瞬間ですね。
大きなフェリーが港に近づいてきて、係船をして、荷物の積み下ろしが始まって。その一連の流れを皆で動かしていると、「港が動いているな」と感じます。
商店の荷物だったり、島の生活物資だったり、色々なものが船で届きます。それを見ていると、自分たちの仕事が島の暮らしにつながっているんだなと思いますね。
──西ノ島営業所の雰囲気はどうですか?
但馬:
雰囲気は和気あいあいとしていますが、仕事のときは皆で協力して動いており、メリハリのある環境だなと感じます。
船が着くと、
・係船
・ギャングウェイ(船と岸壁をつなぐ乗降用の橋の設置)
・切符
・貨物
それぞれ役割を分担して動いていきます。
特定の人だけ仕事が集中するということはなく、皆で協力して回している感じですね。
上下関係を気にして動かないといけないような雰囲気もありません。何か問題があれば、全員で話し合って解決しています。
──西ノ島の暮らしの魅力は?
但馬:
自然が豊かなところですね。国賀(くにが)海岸など、景色のいい場所がたくさんあります。港では釣りもできます。アオリイカ、青物、ヒラメ、タイ、クエ、カサゴなど。
仕事終わりに皆で釣りをして、そのまま魚をさばいて食べたりすることもあります!
島は行事も多いですが、参加しないからといって村八分になるようなことはありません。人見知りの人や人混みが苦手な人でも馴染みやすいと思います。
人との距離感を適度に楽しみながら過ごせる島だと思います。
──最後に、隠岐汽船の営業所での働き方について教えてください。
但馬:
専門的なスキルが求められる仕事ではありませんが、営業所では労務員が事務作業をしたり、事務スタッフが係船をしたり、役割が交代することもあります。
なので、周りを見ながら臨機応変に動ける人が合うと思います。
船の時間はしっかり決まっているので、仕事のリズムは整えやすいです。
集中するときは集中して、休憩も交代でしっかり取る。メリハリをつけて働ける仕事だと思います。
港には、島の暮らしが集まります。
その最前線で船を迎えるのが、西ノ島営業所の仕事です。
もし海のそばで働くことや、島の暮らしに関わる仕事に興味があれば、ぜひ一度この仕事を知ってもらえたら嬉しいですね!
港の仕事は、船が来る時間に合わせて動きます。
荷物を運び、ロープを取り、乗客を迎える。
一見すると日々同じことの繰り返しのようですが、その一つひとつが島の暮らしにつながっています。
西ノ島営業所では、それぞれが役割を持ちながら、状況に応じて助け合いながら仕事をしています。
海のそばで体を動かしながら働きたい人。
島の暮らしを支える仕事に関わってみたい人。
そんな人にとって、営業所の仕事はきっと面白い仕事だと思います。