隠岐汽船のフェリーを毎日動かすために、欠かすことのできない「船員」の存在。
その船員たちを陸上から支えているのが、隠岐汽船の海務課です。
採用活動をはじめ、給与計算や各種申請などのバックオフィス業務を担い、船員が安心して働ける環境を支えています。
今回は、2003年に入社し、営業所・会計課・観光課などさまざまな部署を経験してきた海務課の長田さんに、これまでのキャリアや海務課の仕事、そして現在隠岐汽船が向き合っている「船員不足」について率直に聞きました。
<プロフィール>
長田 直之(おさだ なおゆき)
出身:島根県隠岐郡隠岐の島町
社歴:2003年入社
所属:海務課 係長
趣味:剣道(五段)、野球観戦
──まずは、隠岐汽船に入社したきっかけを教えてください。
長田:
大学時代は京都で過ごして、その後はフリーターをしていました。
ちょうどその頃、一緒に京都に出ていた隠岐の仲間がUターンで島に戻ることになって、心細くなって自分も隠岐へ戻ろうと考えていました。その際、地元のフェリー会社でもある隠岐汽船の七類営業所(島根県松江市)の切符売り場で人手が足りないという話があり、25歳のときに七類港の配属で隠岐汽船に入社いたしました。
最初は七類営業所で「2〜3年ぐらい働くのかな」というイメージだったのですが、気づけば七類営業所だけで10年くらい働いていました!
──七類営業所ではどんな仕事をしていたんですか?
長田:
切符売り場での接客だけではなく、係船作業や観光案内、お客様対応、駐車場警備など、本当に色々な仕事を経験しました。
七類営業所は本土側の玄関口なので人も多く、色々なお客様と接する仕事でした。その分、接客やクレーム対応も含めて、人と関わる経験はかなり積めたと思います。
ちなみに、当時は船員さんとの距離感も近くて、一緒に飲みに行ったり、ソフトボールチームを作って大会に出ることもありました。
──その後は、社内で様々な部署を経験されていますよね。
長田:
七類営業所で10年ほど働いたあと、地元・隠岐の島の西郷営業所の切符売り場へ異動しました。その頃から「このまま隠岐で働いていこう」と考えるようになりましたね。
その後は本社に配属されて会計課で3年ほど経理の仕事に従事して、観光課には5年ほど。観光課では、隠岐に来られる団体旅行のツアー造成や企画、手配などを担当していました。
そこから人手の関係でもう一度七類営業所に1年間勤務して、現在の海務課に異動しました。営業所、会計、観光、海務と、振り返ると社内でもかなり色々な仕事を経験してきたと思います。
──現在所属している「海務課」は、どんな仕事をする部署ですか?
長田:
船員さんを陸上から支えるバックオフィスのような役割ですね。
私は船員さんの採用活動に関わったり、給与計算をしたり、傷病手当などの各種申請を担当したりしています。
船を安全に運航するためには、当然ですが実際に船に乗る船員さんの存在が欠かせません。その船員の皆さんが安心して働けるように支えていくのが海務課の仕事だと思っています。
──海務課の仕事で、やりがいを感じるのはどんなときですか?
長田:
やっぱり、採用した人が実際に一人前の船員として頑張ってくれている姿を見ると嬉しいですね。
新しく入った人が既存の船員さんとしっかり馴染んで働いているのを見ると、「入ってくれてよかったな」と思います。
また、船員さんと接するときは、年下の人であっても、対等に接することを意識しています。今も船員さんとお酒の席を共にすることはありますが、適度な距離感は大切にしていますね。
──現在、隠岐汽船では船員不足が大きな課題になっていますが、採用に関わる海務課の立場としてどのようなことをお考えでしょうか。
長田:
会社として、船員不足の解消は最優先で取り組まなければならない課題だと思っています。
隠岐汽船は、島民の生活を支えている会社です。船員が不足すれば船を動かすことが難しくなり、減便にもつながります。特に島前地域では、便が減ることで生活にも影響が出ています。
候補者の方にも、「島民の生活を支える重要な仕事なので責任感はある」と伝えるようにしています。ただ、その責任がある分、大きなやりがいもあります。
この船がなくなれば、島での生活そのものを持続していくことが難しくなる。そのくらい重要な仕事だと思っています。
──これから、どんな方に隠岐汽船へ入っていただきたいですか?
長田:
地元の人に入ってもらいたいという思いはもちろんあります。
ただ、若い世代の母数自体が減っているので、水産高校などで船について学んできた人だけではなく、県外の方にも広く興味を持ってもらいたいですね。
一番は、やる気のある人です。自分から仕事について調べて来てくれたり、物おじせずに自分の意見を言えたりする人。その一方で、周りの話を聞ける謙虚さや素直さも大切だと思います。
また、4級以上の海技士免状資格を持っている方はかなり貴重になっています。
経験や資格を持っている方には、将来的な幹部候補として入ってもらうことも考えていきたいです。経験によっては航海士などの役職を早い段階から目指すこともできますし、超高速船「レインボージェット」の一等航海士など、様々なキャリアがあります。
──長田さんが思う、隠岐汽船で働く魅力について教えてください。
長田:
一つは、基本的に1日の運航を終えれば帰宅できるところですね。
船員というと何日も家を空けるイメージがあるかもしれませんが、隠岐汽船では日帰りの乗船サイクルで働くことができます。
最近は20〜30代の若い船員さんも少しずつ増えてきました。皆親しみやすくて優しいですし、アットホームな環境だと思っています。
また、当社の場合は海技免状資格(航海士・機関士)を取得しながらキャリアアップしていくこともできます。資格に応じた手当もあるので、船員として長く働きながらステップアップしていける会社だと思います。
──船員不足解消に向けて、今後どんなことに取り組んでいきたいですか?
長田:
まずは学校訪問を続けていきたいですね。
水産高校や海技短大などへ直接足を運んで、隠岐汽船という会社や、ここで船員として働く選択肢を知ってもらう活動は来年度以降も続けていきたいと思っています。
それと同時に、県外からも幅広く応募してもらえるような採用活動をしていきたいです。さらに、小中学生などもっと若い世代にも、体験乗船などを通して船員の仕事を知ってもらいたいと思っています。すぐに採用につながらなくても、「将来、船員になる」という選択肢を持ってもらうことが大切です。
できれば最短で3年くらいを目標に、船員不足の状況を変えていきたいですね。
──最後に、仕事以外でのプライベートの長田さんについても教えていただけますでしょうか!
長田:
普段は剣道一筋でやっています!五段です!
高校までやっていて一度は離れていたんですが、30代後半くらいからまた始めました。今は近所の子どもたちに教えたり、年に1〜2回くらいは大会に出たりもしています。
剣道は常に一対一なので、自分が主役になっている感じがするのがいいんです(笑)。
中学生までは野球をやっていて、ポジションはセカンドだったのですが、一度もボールが飛んでこない試合もありました。
プロ野球を見るのも好きで、昔のオリックス・ブルーウェーブの「ブルーサンダー打線」が特に好きでした。松永、福良、ブーマー、門田、石嶺の時代ですね!
──そして、Uターンしたくなるほどの地元・隠岐の魅力についてもぜひ最後に教えてください。
長田:
隠岐は、新しいことを始めようと思ったときに人が集まれる場所もありますし、何かに挑戦しやすい環境だと思います。
あとは、やっぱり海がきれいですね。
京都にいた頃は近くに海がなかったので目的もなく鴨川を散策したりしていましたが、隠岐では日常の中に海があります。
ずっといると当たり前になってしまいますが、改めて隠岐の海を見ると「やっぱりきれいだな」と思います!
隠岐汽船に入社して20年強。
長田さんのキャリアは、営業所の切符の仕事から経理、観光、そして船員を支える海務課へとつながってきました。
現在、隠岐汽船が直面している大きな課題の一つが船員不足です。
船員がいなければ、船を動かすことはできない。
そして船が動かなければ、島の暮らしそのものに影響が出ます。
これまで様々な立場から隠岐汽船と島の暮らしを見てきた長田さんだからこそ、いま「人を採用し、育て、定着してもらうこと」に向き合っています。
船を動かす人を支えることは、島のこれからを支えること。
海務課では今日も、隠岐の航路を未来につないでいくためのミッションが続いています。