アメリカで、ブルーカラーの人気が戻ってきている
大学を出たのに、溶接工や電気工を目指す。
最近、アメリカの若い世代のそんな話がバズってるのをみました。
少し前なら「せっかく大学に行ったのに」と言われていた選択です。
それが今、わりと前向きな理由で選ばれているらしい。
常識が変わってきているのか…?
大卒の4割近くが、手を動かす仕事へ
アメリカの調査会社Resume Builderが2025年5月に18〜28歳の約1,400人に聞いたところ、大学を出たZ世代の37%が、ブルーカラーや技能職で働いているか、これから目指していると答えました。
理由で多かったのは「長い目で見て将来性がある」が30%、「AIに置き換えられにくい」が25%。
職業系の2年制プログラムに通う学生も、2020年から2025年にかけて2割近く増えたという報道がありました。
電気工や空調の技術者には、年収が10万ドルを超える例もあるそうです。
現在の為替で言ったら年収1500万円以上ですね。
AIが来て、見方が変わった
背景にあるのは、やっぱりAIです。
資料を作る、データをまとめる。若手が最初に任されていた事務の仕事ほど、AIに代わりやすくなってきた。
その一方で、配線をつなぐ、配管を直す、現場で判断する。
こういう仕事は、まだ人の手と目が必要です。
ただ、日本経済新聞には「『ブルーカラービリオネア』という幻想」という見出しの記事も出ていました。
誰もが高収入になれるわけではないし、体を使う仕事には年齢とともにきつくなる面もある。
ブームに乗るだけでは続かない、というのも本当だと思います。
椎茸も、手と目で育てる
この話を読んで思い浮かんだのは、うちの椎茸の現場でした。
レンチナスの椎茸は、菌床を作るところから自分たちでやっています。
ハウスの中は湿度85〜90%を保ち、24時間換気を止めません。
数字で管理はしていても、同じ品種、同じ設定でも、季節や天気で育ち方は毎回変わる。
最後に頼りになるのは、毎日ハウスに入っている人の目です。
しかもうちは、夏の暑い時期も止めずに一年中出荷しています。
外が35度の日も、雪の日も、ハウスの中の椎茸は待ってくれません。
朝、ハウスの扉を開けると、湿った空気と椎茸の匂いがする。
昨日より傘が開いているもの、まだ早いもの。
それを見分けて、手で一つずつ採っていく。
最初は全部同じに見えても、続けているうちに違いが分かるようになる。
その「分かるようになる」感覚が、手に職がつくということなんだと思います。
うちの黒椎茸も、その感覚の積み重ねから生まれました。
焼いたときに出汁があふれる椎茸を作りたくて、水分を保てる品種を選び、水の与え方を何度も試した。
今でも、黑椎茸として出せるのは収穫できた椎茸のほんの一部です。
その見極めも、結局は人の目でやっています。
ただ、全部を人の手に頼っていればいい、という話でもありません。
伊勢社長はこう話していました。
「まず今は、人力のみで全てをやっちゃってるから」
人が減っても回る仕組みを作らないと、規模も給料も上がっていかない。
手と目でしかできない仕事を大事にしながら、機械やデータで楽にできるところは楽にする。
そのバランスは、これから時間を重ねるごとに洗練されていくでしょう。
アメリカの若者が溶接や配管を選ぶのは、手に職をつけることが、AIの時代の一つの安心になっているからだと思います。
椎茸の現場も、手に職がつく仕事です。
画面の外で働くことに少しでも惹かれているなら、その選択肢の一つとして、うちのハウスを思い出してもらえたら嬉しいです。