2050年、世界の食べ物は今の1.7倍必要になる
日本にいると、人口が減っていく話ばかり耳に入ってきます。
秋田は特にそうで、町を歩いていても、それを肌で感じることがあります。
でも、少し視点を世界に広げると、まったく逆の景色が見えてきました。
世界の人口は、まだ増え続ける
国連の推計では、2024年の世界の人口はおよそ82億人。
これが増え続けて、2080年代の半ばに103億人ほどでピークを迎える見込みだそうです。日本の人口が減っている間も、世界全体ではまだ20億人以上増えるということになります。
食べ物は1.7倍必要になる
人が増えれば、当然、食べ物も必要になります。
農林水産省が2019年に出した見通しでは、2050年の世界の食料需要は、2010年と比べて1.7倍になるとされています。
地域ごとの見通しも示されていて、たとえばアフリカでは、生産量は増えるものの需要の伸びに追いつかず、輸入が大きく増えるとされています。
作る量を増やしても、まだ足りない地域が出てくるということです。
日本の中だけを見ていると、農業は「縮んでいく産業」に見えるかもしれません。
でも世界で見れば、農業はこれから必要とされる量が増えていく、数少ない産業の一つです。
増やすだけでは、追いつかない
ただ、単純に畑を広げればいい、という話でもありません。
土地も水もエネルギーも限られている中で、どうやって多く作るか。
世界の農業が向き合っているのは、そこだと思います。
この話を読んで思い浮かんだのは、うちが今取り組んでいる、廃菌床を使ったいちごの栽培でした。
椎茸を育て終わった菌床は、これまで処分にお金がかかる「ゴミ」でした。
それを次の作物の土台として使い直す。
一つの資源を、二度使う発想です。
廃菌床は、椎茸を作れば作るほど出てきます。
きのこ農家から出る廃菌床は、収穫量の2〜3倍にもなると言われていて、うちでも置き場所や処分の方法は毎年の課題でした。
それが次の作物の土台になれば、捨てるためにかけていたお金が、作るための資源に変わる。
椎茸を育てる仕事と、いちごを育てる仕事が、一本の流れでつながることになります。
日本は、食べ物の多くを海外から買っている国です。
世界で食べ物が足りなくなっていけば、今までのように買えるとは限らない。
自分たちの手元にある資源から、どれだけ作れるか。
その問いは、遠い国の話ではなく、日本の農業にもそのまま返ってきます。
伊勢社長がこのアイデアを思いついたときのことを、こう話していました。
「成功したら、いいモデルになるんじゃないかって」
椎茸農家の一つの工夫が、限られた資源で多く作る方法の一例になるかもしれない。
そう考えると、八峰町の小さなハウスでやっていることが、少しだけ世界とつながって見えてきます。
まだ、試している途中
もちろん、いちごの栽培はまだ試験の段階です。
廃菌床がいちごの培地としてどこまで安定するのか、収量や味にどう影響するのか。
分からないことの方が多く、正解を知っている人は社内に一人もいません。
試しては記録して、また試す日々が、しばらく続くと思います。
それでも、世界で食べ物が足りなくなっていく流れの中で、「捨てていたものから作る」挑戦には意味があると思っています。
縮む市場ではなく、必要とされる量が増えていく仕事に関わりたい。
そう思う人に、この挑戦の途中から加わってもらえたら嬉しいです。