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CourseVALUで共同創業者であり、現在副社長兼CHROをしている川原です。
代表の松本が、創業のきっかけになったビジネスコンテストのことを書いていました。あの記事は、表に出ずに裏で支えた松本の側から見た話です。今回は、実際に壇上に立った僕の側から、同じ日のことを書いてみます。
▶ 松本の記事:早稲田大学主催のビジコンから創業
https://www.wantedly.com/companies/coursevalu/post_articles/1069273
ピッチの日は、引っ越しの日だった
2023年2月21日。この日は、僕の引っ越しの日でした。
当時の僕は早稲田大学人間科学部の4年生で、4月からIBMに入社することが決まっていました。会社に通いやすいように、大学の近くから墨田区へ移る予定で、その日がよりによってビジネスコンテストの本番と重なったんです。
迷った末、引っ越しは母に任せて、僕は会場へ向かいました。
出場したのは、早稲田大学のWASEDA-EDGE人材育成プログラムが主催する「第5回WASEDA-EDGE Demo Day」。就職先も決まり、残りの学生生活をただ消費して終わらせたくない。そんな「学生最後の思い出」でもありました。
2020年にやっていたことを、もう一度
題材は、松本が2020年のコロナ禍に始めていた「授業の口コミサイト」です。
初めて聞くアイデアではありませんでした。ただ、いまなら、もう一度ちゃんとやればいけるんじゃないか。そんなイメージがありました。オンライン授業の時期を経て、大学の授業に真面目に向き合う学生が増えていると感じていたからです。
実際に動き出したのは、2022年の秋ごろです。松本に「あのサービスを、もう一度立ち上げよう」と声をかけ、2人で友達から授業の口コミを集めるところから始めました。
ただ、口コミを一つひとつ集めていくのは、想像以上に大変でした。このペースでは広がらない。それなら、ビジネスコンテストに出て、賞金を手にして、学生のあいだで一気に名前を知ってもらおう。ビジコンへの出場には、そんな狙いもありました。
ピッチで話したのは、こういう構想です。
早稲田には『Milestone』という、授業の情報誌があります。授業選びの定番ですが、どうしても「楽に単位が取れる授業探し」に使われがちです。僕たちはそれを、いい授業を取って真剣に学んだ人が、企業からのダイレクトリクルーティングにちゃんとつながる仕組みに変えたかった。大学で学んだことが、そのまま社会で活かせる仕組みです。
いまのCourseVALUの原点そのものでした。当時のプレゼン資料はいまも手元にありますが、見返してみると、軸はまったく変わっていません。
スティーブ・ジョブズを、一言一句まねた
当時、松本はTesla Japanで働いていて、表には出られません。そこで役割を分けました。壇上に立つのは僕。事業の中身と、プレゼンそのものを仕込むのは松本です。
プレゼンは、松本がいちばん得意とするところです。構成も、話す順番も、どこで間を取るかまで、本番までに徹底的に準備しました。
なかでもいちばん覚えているのは、スティーブ・ジョブズのプレゼンを一言一句まねて話す練習をしたことです。話すのは得意なほうでしたが、ビジネスのプレゼンの場にはほとんど出たことがありませんでした。だからこそ、型から入りました。
当時の発表スライド
当時のサービス画面「授業口コミサイト」食べログの授業バージョンです。
隣は、何千万人が使うアプリだった
当日、会場の空気に圧倒されました。
全24チームのなかには、位置情報共有アプリ「Zenly」がサービスを終了したあと、その代わりになるアプリを作って発表していた早稲田の学生もいました。のちに大きく広まったアプリです。グローバルで何百万、何千万というユーザーが使うものを作っている人たちです。ほかにも、AIやディープテックといった大きなテーマを掲げるチームが並んでいました。
その中で、自分たちの規模は本当に小さいなと感じたのを覚えています。
それでも、勝ち目はあると思っていました。理由は2つです。1つは、すでにプロダクトがあったこと。もう1つは、会場にいる多くの人に伝わる内容だったことです。審査員は大学の教授や大学関係者、教育関係者の方々でした。「大学で学んだことが、社会で活かされていない」という話は、間違いなく刺さると思っていました。
24チーム中、まさかの入賞
結果は、まさかの入賞でした。チーム「コースバリュー」としていただいたのは、SAP賞です。
▶ 大会結果(WASEDA-EDGE公式)
https://wasedaedge-youthinnovators.jp/past-projects/detail226
名前を呼ばれた瞬間、まず思ったのは「びっくりした」です。
スケールの大きなテーマが並ぶなかで、僕たちが選ばれた。それは、このテーマが社会にとってとても大事なものだと、審査員の方々にも受け止めてもらえたからだと思います。
副賞は、SAPの社員の方に1日メンタリングしてもらえる権利でした。1日だけのはずだったその方とのご縁は、実はいまも続いています。今日までずっと、メンターとして相談に乗っていただいています。この出会いが、本当に大きなきっかけになりました。
思い出のはずが、始まりになった
その後、口コミサイトのユーザーを増やすところでは、本当に苦労しました。うまくいかなかったこともたくさんあります。それでも、あの経験があったからこそ、いまの事業のアイデアにたどり着けた。そう思えば、素晴らしい回り道だったと思っています。
そして、ここからCourseVALUの創業期が始まります。松本はTeslaを辞め、僕は予定どおりIBMに入社しました。別々の場所に立ちながら、同じ会社をつくり始めたんです。
あの日、母に任せた引っ越しの荷物の行き先は、IBMに通うための部屋でした。会社員になる準備と、起業の始まりが、同じ1日に重なっていたことになります。
大学の4年間で学んだことを、どう社会につなげるか。あの日のピッチで話した問いは、「採用のミスマッチ・就活の早期化に立ち向かうには大学低学年からのキャリア教育ではないか」にアップデートし、僕たちはいまも取り組んでいます。同じ問いにワクワクしたら一緒に働けたらうれしいです。
次回は、CourseVALUの最初の契約の話を書きます。
『金額は、300円でした』