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『個の時代』と新しい世界地図 | FISMが見つめる社会課題とソリューション【前編】

FISM株式会社は2015年に設立して以来、データとテクノロジーを活用したソリューションによって、国内外のインフルエンサーを活用したマーケティング事業、アプリ事業を展開してきました。

当社はインフルエンサーの黎明期から彼らとともに成長を続けてきましたが、現在はある一つの大きな課題に直面しています。既存事業が抱える課題とは何なのか、当社はどのように解決を図ろうとしているのか。今回はCOO白枝に、前編・後編の2本立てでインタビューしました!

当社オフィスでインタビューに答える COO 白枝

インフルエンサーを起点にSNSマーケティングやアプリ事業を展開

― 現在FISMが手掛ける事業について、概要を教えていただけますか?

白枝:当社は、これまで築き上げてきた日本最大級のインフルエンサーネットワークと、インフルエンス・データを活用して、「ソーシャルコミュニケーション」という事業を展開しています。

インフルエンス・データというのは当社が作った造語で、簡単に言えば「誰が誰にどのような影響を与えているのか」を可視化する独自のデータ解析基盤です。インフルエンサーが発信する情報をフォロワーが受け取るわけですが、その人たちがどのような価値観や趣味嗜好を持っているのか、SNSを中心に解析しています。現在解析対象のインフルエンサーは約2万人、フォロワーは延べ約5億人規模です。

また、当社が取引き可能なインフルエンサーは国内外で1万5000人を超え、それを支えているのが「SPAD」というアプリです。

それぞれを強みとして、インフルエンサーやSNS領域におけるマーケティングソリューションを提供しています。

具体的には、インフルエンサーによるPR投稿やSNSマーケティングに適したクリエイティブの制作、データ解析などを中心にクライアント毎にオーダーメイドでプランニングしています。時には企業のCMO(Chief Marketing Officer)のような役割を担うこともあります。

顧客へのヒアリングから施策の提案・実施まで、ワンストップで行えるのが当社の特徴です。また代理店を通さず大手企業と直接取引をしている点や、優秀なプランナーによる企画推進力も強みとしています。インフルエンサーマーケティングにおける市場規模は、世界的にみて30%以上の成長率を記録しています。日本においても、市場は2025年までに400億円を超えると予想されるほど順調な成長環境にあります。FISMはこのような業界において市場黎明期から事業を展開し、業界トップクラスの実績やノウハウを保有しております。

―「SPAD」についても教えてください。

白枝:SPADはインフルエンサー専用のマッチングプラットフォームアプリです。インフルエンサーにPRを依頼したい企業、企業からPRの仕事を受けたいインフルエンサーを公募型でマッチングします。企業がPRしたい商品情報などを公開すると、大体1回の掲載で300 ~ 1000件ほどの応募が来るので、そこから実際に案件を依頼するインフルエンサーを選定してもらう流れです。登録しているインフルエンサーは当社の独自審査を通った方々で、通過者は1万2000名にのぼります。

本質を突き詰めてテクノロジーでバリューを最大化する

FISMは「ソーシャルコミュニケーション事業」「SPAD事業」それぞれが、クライアントとの直接取引を行っています。従来の広告業界の考え方を覆すアプローチには理由があります。

― 代理店を挟まずに大手企業から案件を受注するのは難易度が高いイメージもありますが、どのように開拓を行ったのでしょうか?

白枝:開拓手段よりも前に、まず私たちにしかない強みを持っていることに起因していると考えています。具体的には、先ほどご紹介したデータ解析基盤やSPADユーザーを中心としたインフルエンサーネットワークがそれにあたりますが、いずれもそう簡単には代替できない独自性や優位性を持っていると自負しています。やっていることの価値が認められ、それを私たちしか出来ないのであれば、わざわざ代理店を通す必要性は感じられません。

また、私たちの業界に限らず、代理店的な立ち回りの存在意義が次第に陳腐化しているようにも感じています。インターネット、とくにSNSの普及以降はあらゆる情報へのアクセシビリティが高まり、単純な媒介者としての代理店は言うまでもなく、事例やノウハウのナレッジシェアも円滑になってきました。直接取引きしたほうがお互いコストも下がりますし、スピードもアップする。残されたニーズに企画力や推進力がありそうですが、これらは属人的なスキルセットで、代理店のような会社組織に紐づいたものではないと思っています。

もちろん大手代理店にいる優秀な人材もいますが、ベンチャー企業にもフリーランスにも同様のニーズに対応できる人はたくさんいます。むしろクライアント側にそういった方がいることも珍しくありません。

もともと私自身、「プロや専門家、大企業に任せておけば安心」というのは幻想だと感じていましたが、ようやくそれが言語化できるようになり、これらのことが伝われば大手企業でも快く取引きしてもらえます。

開拓手段は、それを上手く伝えるだけです。そしてその方法は至って泥臭いですね。基本的にテレアポやメール、展示会でのアポイント獲得などを気合と根性でやってます。


『インフルエンサーのジレンマ』とは

― 既存事業を展開する中では、どのような課題があるのでしょうか?

白枝:市場規模もそこそこあり、業界的にも成長傾向なので、しばらくは成長できると思っていますが、この業界全体が抱えている根深い問題があると思っています。私たちは「インフルエンサーのジレンマ」と呼んでいるもので、簡単に言えば「企業のPR案件を受ければ受けるほど、インフルエンサーの市場価値が低下する傾向にある」という問題です。例えば芸能人やモデル、タレントがテレビCMに出れば彼らの市場価値は高まり、企業も売上が伸びますが、インフルエンサーの場合は真逆の現象が起きてしまうのです。

これは、インフルエンサーが「消費者の代表」としてフォロワーから支持をされて成長してきたことに起因していると考えています。インフルエンサーはもともと自分の気に入った商品を能動的に体験して、「生の声」を発信することで支持されてきました。そんな人たちが企業からお金と引き換えに案件を受けてしまうと、「消費者の代表」から企業の言いたいことを発信する「企業の代表」へと変わってしまいます。その結果フォロワーからの共感を得られず、フォロワーから共感されないインフルエンサーには企業も仕事を依頼しなくなるため、市場価値が下がってしまうわけです。

今なおインフルエンサーの数は増えていく一方で、「インフルエンサーのジレンマ」に飲み込まれてしまう方々も多く存在します。そのサイクルは年々早まっているように感じています。

私たちはインフルエンサーと一緒に仕事をしてきた立場として現状に違和感を覚え、現状を打破できる打ち手について検討してきました。

アパレルブランドの展示会に着想を得て、新しい構造の事業を考案

― 課題解決に向けて、具体的にはどのような構想があるのでしょうか?

白枝:ヒントになったのは、アパレルブランドの展示会です。アパレルブランドは多くの場合、新作発表のタイミングなどでレンタルスペースや小さな店舗でクローズドな展示会を行います。参加できるのはプレス関係者やバイヤー、インフルエンサーなど招待された関係者のみです。

展示会では、まだ発売されていないブランドの新作を特別価格で購入できます。私もプライベートでご招待いただく機会があり、仲の良いインフルエンサーを連れて何度か参加させてもらいました。ここで興味深いのが、連れていったインフルエンサーの人たちが自分でお金を払って欲しい洋服を買うんですよね。そして、購入した商品を自らSNSに投稿していることに驚きました。冷静に考えると、ごく普通のことで驚くことでもないのですが、普段ギャランティを振り込んで商品も無料送付してようやくSNSに投稿してもらっている私には、特別価格とはいえ、インフルエンサー自身がお金を出して購入し、ノーギャラで投稿するというのは新鮮な光景でした。

この現象について考察した時、この関係こそ、消費者の代表として発展したインフルエンサーと企業の正しい関係なのではないかと思いました。

インフルエンサーは消費者として優待され、企業もインフルエンサーをお客さん(消費者)として扱う。そして、この構造には再現性があると考え、現在新規事業を準備中です。

もともとはSPADアプリをリニューアルしようと考えていたんです。ただ、いろいろと考案するうちにコンセプトが大幅に変わったため、課題解決に向けた完全に新しい別のアプリを立ち上げることになりました。

― ありがとうございました。後編では、新規事業の内容についてさらに詳しくお伺いしていきます!

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