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多様性あるチームづくりに尽力 遠回りして気づいた仲間の大切さ 私はひとりではない

中途入社から約3年という期間に、紆余曲折を乗り越え急成長を遂げたシニアヒューマンキャピタリスト沼本敦士。前職で転職エージェンシーでリクルーティングアドバイザーの職についていたので、業界経験者と言っても良いだろう。しかし、経験者だからといって活躍が約束されていたわけではない。沼本がなぜフォースタートアップスでは伸び悩んだのか。そして何をきっかけに壁を乗り越え、個人からチームへ、スキルマッチから価値観の共有へ至る変遷を聞いた。

【プロフィール】

沼本 敦士 Atsushi Numamoto
フォースタートアップス株式会社
タレントエージェンシー本部 シニアヒューマンキャピタリスト
近畿大学卒業後、管理部門特化の人材紹介会社MS-Japanに入社。法人営業担当として企業開拓を行い、プライム市場〜スタートアップ・ベンチャーと幅広い企業の採用支援に携わる傍ら、プロジェクトメンバーに抜擢され、メガバンク・独立系VC、銀行系VC・PEファンドとのリレーション構築、投資先であるスタートアップの経営層、CFO、管理部長をはじめ管理部門全般の支援を行う。1年目には新人賞を、在籍期間中に複数回の社長賞を受賞。2020年からフォースタートアップスに入社し、ヒューマンキャピタリストとして、成長産業に向けた人材紹介及び採用コンサルタントとして従事。2023年1月、シニアヒューマンキャピタリストに就任。
LinkedIn Profile

スタートアップに刺激と衝撃を受けた大手エージェンシーからスタートアップの進化の中心であるフォースタートアップスへ

沼本は新卒で転職エージェンシーに入社。大学では経済学部に所属し、簿記の資格を取得したり、学部を超え経営学部の授業にも出席するなど自らの可能性を探るが、就職活動に入っても「これがやりたい」との明確なキャリアビジョンは持てなかった。銀行などさまざまな業種の企業へ応募するなどトライするも、最終的には管理部門特化型の転職エージェンシーへの就職を決めることになるのだが、決め手となったのは業界や会社名ではなく、企業代表からの言葉だったという。


『日本全国の企業にアプローチし、管理部門にかかわることで企業経営を垣間見ることができる。』この言葉を受けて、沼本は、人材の支援を行うことで、間接的に経営に携わってみるという意味合いの言葉を受け、決め手になった。


「経営者に対して提言を行える仕事は魅力だと思い、入社を決めました」


そして入社から約2年半にわたり、リクルーティングアドバイザーとして管理部門の人材支援を行い、成果を出してきた。

「業務が仕組み化されており、決められたことをきちんとこなせば成果につなげることができました。待遇にも満足し、裁量も与えられていましたね。また、週末は中学時代から続けているバドミントンなど趣味に没頭することもできました。この時期は、それなりに満足できる社会人生活でした」


ワークライフバランスのとれた生活を楽しんでいた。
そんな矢先に転機が訪れた。入社2年目にあるプロジェクトに参画した時だ。


「新規分野へアプローチするプロジェクトでした。大手メガバンクをはじめとする金融領域の開拓を自社内データベースから洗い出し、架電を行う。架電先には銀行系のVCやPEファンドなども含まれていたこともあり、自社の採用ではなく投資先企業の採用依頼を受けることがあったのです。当時、クライアントは大手企業ばかりであったので、クライアントを通してにはなりますが、その時初めてスタートアップの世界に触れたのです。大企業の目利き基準とは異なる世界。スタートアップは、自身の興味関心や、やりがいを軸に仕事に取り組む人たちがいる。私には新たな発見でした」


沼本がスタートアップにかかわる世界のドアが開きかけたところへ、さらに一歩を踏み込ませるきっかけが訪れたという。


「外の世界を見て、さらなる挑戦をしてみてはどうかとの言葉をかけてもらったんです。前職でのキャリアに満足はしていましたが、一方でスタートアップから受けた刺激は自身の人生の中でも忘れることのできないものだったんです。」

沼本は続けて言葉を発した。


「話を聞いてスタートアップの魅力に再度熱が高まったというか、20代半ばのタイミングで、自分に負荷をかけてみるのも良いのではないかと思いました。チャレンジしてみたい。と」


スタートアップ領域に興味を持つ方々が集い、社内メンバーとの会話を通じ、スタートアップの一次情報を知ってもらう機会を作り、また、参加者同士の交流によりスタートアップコミュニティを構築するために定期的にイベントを開催している。このイベントで沼本は大きく心を揺さぶられる。


「これまで自分が見てきた世界とは明らかに違う視点、そして視座のレベルの高さに圧倒されました。お会いするまでは同業界であると高をくくっていました。同世代でも圧倒的にフォースタートアップスのメンバーは優秀な人が多いと感じましたね。ここならスタートアップの刺激を全身で浴び、チャレンジする場所として最高の環境なのかもしれないと期待が高まり入社することを決めました。ここで活躍しようと」


ここから沼本のヒューマンキャピタリストとしての道が始まったのだ。

「目の前の人の役に立ちたい」自身の変化 個人主義から仲間への感謝が原動力に

入社後わずか3ヶ月。スタートアップに興味を持つきっかけとなった起業家に会う機会が巡ってきたのだ。その名は、孫 泰蔵氏。


「前職で何度もアプローチさせていただいたのですが、海外でも活動され、メディアなどにも出られていることもあり、お会いすること自体難しいと感じていました。それがフォースタートアップスに入社して、叶ってしまったんです。自社運営するラジオにご出演されることを耳にして、挙手したところ同席の機会をいただきました。出演前の控室でご挨拶させていただいたのですが、御本人を目の前にできた瞬間、衝撃が走りましたね」


沼本はフォースタートアップスが持つ”つながりの強さ”を感じ、自らの選択に確信を持ったことを興奮を抑えながらも話してくれた。


ここから順風満帆なキャリアへと歩み始めるのかとおもうのだが、現実は厳しい。


「1年半はなかなか成果につなげることができなかったのでつらいことのほうが多かった」と沼本は言う。スタートアップ環境でのフォースタートアップスの優位性と仕事の難易度は比例するものではなかったのだ。


「人材業界という括りでは、経験者だと言えるかもしれません。しかしフォースタートアップスのヒューマンキャピタリストという仕事は人材エージェンシーの動き方とは大きく異なると経験者だからこそ痛感してしまったんです。前職の人材エージェンシーの業務は丁寧に業務が仕組み化されており、スキルマッチングを行うことができれば成果につながりました。一方のヒューマンキャピタリストの仕事は、転職を検討される方の想いと起業家の想いを紐づけて、事業成長を牽引するためにお引き合わせすることが仕事です。起業家という存在は、当時の自分とは思考も環境もあまりにも違い、想いを理解することやこの仕事を自分ごと化させることができませんでした。」

「ヒューマンキャピタリストの仕事は依頼に対して答えるだけでけでなく、事業成長を中長期で捉え、起業家と共に検討をしたり、タイミングやお引き合わせの質を高めるなど介在価値の発揮が重要です。起業家は事業のプロフェッショナルかもしれませんが、採用のプロフェッショナルではないことが多くある。ポジションの想定やスキル、人物像など理想高くリクエストをいただくこともある」と沼本は教えてくれた。

あえてこの話をする背景には、伸び悩んできた沼本自身の経験と葛藤があった。有給休暇を全て取得しモチベーションを維持させ、なんとか踏みとどまってきた経験があるのだ。「ヒューマンキャピタリストの仕事の本質を理解した深い行動やインプットができていなかったんだと今振り返ってみるとわかります。根本から姿勢を変えなければ結果につなげることができないことをこのときは理解できていなかったんだと思います」

そんな沼本に、上司の神宮司が寄り添う。

「親身になってサポートしてくれました。目の前の数字管理の仕方からスケジュールの設定のコツなど本当に細かくそして粘り強く教えてくださいました。この期待に応えたいと思えた時、奮い立つことができたんです。漠然として定まらなかったベクトルが定まった瞬間だったんです。今、目の前にいる人の目を見て貢献したいと。そのためにどうしたら良いかを考えるようになれました」

最初はだれでも初心者から始まり練習を重ねていく先に少しずつできることが増え、上達していく。この小さな成功体験が次の頑張りにつながり、はじめはなかなかうまくいかなくとも、継続することはできるのだと気づいたそうだ。

また転機が訪れる。とあるスタートアップ企業の支援プロジェクトメンバーのひとりに選ばれたのだ。成長を加速させるため、採用を強化していくタイミングで、採用にまつわるあらゆる課題を抽出し、人材の紹介に留まらず組織づくりなどを一気通貫で戦略的に支援する全社的に取り組む規模のプロジェクトだ。

市場環境での優位性、他企業との差別化を分析するだけでなく、執行役員や事業責任者などから直接情報を取りにいったという。必ず成功させたいという思いが学び続ける源泉になっていたのだろう。その企業は、プロジェクトを開始した頃は20名程の組織だったところから、現在は50名程の組織へと成長。

「1年にわたり企業成長に伴走させていただきました。このプロジェクトを経験したことで、社内外からの自分を見る目が変わったと実感しています。"機会"が私自身を成長させてくれました。今もまだまだ成長の過程にいると感じているので、機会は積極的に取りに行こうと思っています」

また、プロジェクトを通し、沼本の内面でも大きな変化があった。それは、チームへの貢献の重要性に気づいたことだ。

「入社するまでは、仕事とは個人のスキルを高め、個人で完結して成果につなげていく、自分のスキルが高まるほど報酬も上がるものだと考えていました。フォースタートアップスでは、自分ひとりの力ですベてやり切れることはないに等しいと思います。それだけ複雑で、難易度が高く、価値観を重視し、候補者の想いと起業家の想いを紐づける壮大な仕事です。この成功には仲間の協力が必要不可欠です。これまで得てきたさまざまな刺激により、徐々に変化が訪れ、最後は採用コンサルプロジェクトがきっかけになり、主語が自分からチームに変わりました」

自身のスタンスが変わった2023年1月、沼本はシニアヒューマンキャピタリストに昇格した。

スタートアップ転職をブライトキャリアに 自身の介在価値を高め続けることがスタートアップの成長に繋がると確信

「難易度の高い仕事であるからこそ、人それぞれ成果を出せるタイミングや成長スピードが異なります。そのため自分よりも後から入社した仲間が先に昇格することもこれまでありましたから、正直心が折れそうになったこともあります。」

シニアヒューマンキャピタリストにはなれないかもしれないとも思っていた時期もあったそうだ。諦めずに3年かけて得たものとはなんだったのか。

「3年半。ようやくシニアヒューマンキャピタリストに昇格できたという経験は、今後入社してくる仲間や伸び悩む仲間には希望を与えられるかもしれないと思っています。それは、何事もあきらめずに継続することが大事であると、そこには仲間の存在が必要不可欠であると伝えたい。伸び悩んだ私だからこその考えや経験を伝えることができるでしょう」

"機会"は皆に平等であるが、常に"機会"を与えられた時に結果を出すための準備をし、自身の価値を高める必要がある。結果は自分のためではなく、私に携わる仲間、求職者、企業全てに繋がると確信しているという。そして今後はシニアヒューマンキャピタリストとしてマネジメントに力を入れていきたいと沼本は続けた。

「チームに貢献がしたい。これまで苦労した時間が長かったからこそ、仲間の存在、ありがたみを知っています。今後も仲間を増やしていきたいし、協力し合える強いチームをつくっていきたいです。さまざまな起業家の方々、候補者の方々に貢献していくためにも、出身業界問わず多様なメンバーを集め、より多様性のあるチームにしていく必要があると考えています」

ヒューマンキャピタリストに求められるのは「好奇心」

「当社はスタートアップ領域に特化し、業種業態は問いません。さらに起業家の方は、一般的には荒唐無稽にも見えるような夢を本気で実現したいと思っていらっしゃいます。その夢に共感し、深く価値観を知るには、何事にも好奇心を持つことが重要だと思います。そのような意識を持つことも重要ですが、当社に身を置くと、形成してしまった独自フィルタが広がるさまざまな刺激を得られますよね。」

自分の興味関心だけを軸に生きていると独自のフィルタが生まれ、それ以外の情報が入って来づらくなるものだ。

「スタートアップにはキラキラしたイメージがあるかもしれませんが、ビジネスがうまくいかなくなったり、人が辞めてしまったりと、つらいことももちろんあります。それでも、私自身が変わり、成長させてもらったような、チャンスに巡り会えるのがスタートアップの魅力だと感じます。転職先というと、大手、外資、コンサルティングファームなどが真っ先に候補に挙がることがありますが、是非その選択肢の中にスタートアップを入れていただきたい」

スタートアップに転職することをブライトキャリアにするのだ、と沼本が発した言葉には仲間の存在に支えられた経験や感謝により自信がみなぎっている。仲間に支えられた人間は強く輝いている。

(取材・文/倭田 須美恵)

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