プロフィール
- 所属: Client Success 本部
- 肩書: 執行役員本部長
- 氏名: 小川 修平
アクセンチュア株式会社にて約11年間、エンジニアからコンサルタントへとキャリアを転換。マネージャー、シニアマネージャーを経て、最大400人月規模のPMを担当。2024年にGLに入社し、現在は執行役員としてコンサルティング事業の組織構築と成長を牽引している。
プロジェクトにも参画しながらマネジメントも行なっている。
慶應義塾大学卒。4歳と1歳の二児の父。
アクセンチュアでの11年間:エンジニアからコンサルタントへの転身
神田社長(以下、神田):まず、アクセンチュアでのキャリアについて教えてください。
小川さん(以下、小川):2013年に新卒でアクセンチュアに入社しました。最初はシステムエンジニアとしてJava研修を受けた後、保守案件にアサインされ、簡単な改修およびテストからスタートしました。基本設計からテストまで一通り経験した後、入社2年目の終わりにコンサル職へ移りました。
神田:エンジニアからコンサルへの転換は大きな決断だったと思いますが、きっかけは何だったのでしょうか?
小川:正直に言うと、一番はお金ですね(笑)。同じ仕事をしていても、テーブルが違うだけで給料が3分の2くらい違っていたんです。上がるスピードもコンサルの方が圧倒的に速かった。
ただ、それだけではありません。入社直後のJava研修で印象的な出来事がありました。経験者の同期が書いたコードが3行しかなくて、私が10行書いていたものと同じ動作をしたんです。動かしてみると確かに想定通りに動く。でも、コードをよく分からない人が見て理解できないコードを書いたらダメだなと、その時に思ったんですよね。
ビジネスとして実現したいことと実装を繋ぐ役割が絶対に必要だと感じました。そういうところに自分が入り込めるといいのではないかと考えました。
神田:その後、マネージャーへの昇進も早かったですね。
小川:2017年12月、入社5年目でマネージャーに昇進しました。マネージャーになってからはRPAの案件を中心に、よりお客さんの業務に近いところで仕事をするようになりました。業務理解、BPR的な要素も入れながら、メンバーのコントロールもしながら進めていく。そういう経験を積みました。
マネージャーの後半からはSalesforceの案件も担当するようになり、当時トータル1000人月規模まで膨れ上がった案件の要件定義のリードを20代最後の年で行いました。プロジェクト開始時にお客さんには「こんな若造でいいのか」と言われましたけど、最終的にリリースまでこぎつけることができました。
神田:その後、シニアマネージャー、そしてPMへと順調にキャリアを積まれていますね。
小川:シニアマネージャーにはストレートで3年で上がりました。自分自身で400人月規模、ピーク時50人体制のPMまで経験し、オンスケ、オンクオリティ、オンバジェットで、むしろお釣りがいっぱい出る感じで終えることができました。これが2022年頃です。でも、そこで「やりきった感」があったんですよね。
「飽き」が訪れた理由:現場との距離が遠くなる違和感
神田:シニアマネージャーとして大きな成果を上げられたとのことですが、その時の感覚について教えてください。
小川:私のキャリアのイメージでは、まずマネージャーを目指し、その後PMをやるというのが漠然とした目標としてありました。PMを経験した後は、アクセンチュアの中では同じような仕事の数を増やすか、規模をより大きくするかという方向になってきます。
50人がやっていることの一個一個は当然見られないですし、見ちゃいけない立場になっていく。お客さんからの距離がどんどん遠くなり、現場の距離が遠くなる。考えることはメンバーの育成や、案件を広げるための営業活動にシフトしていく。
それはそれで会社としてビジネスとして必要だと理解はしていますが、自分のキャリアのイメージとして、まだ早いんじゃないかという感覚がありました。それで、辞めてもいいかなと考え始めたのが3年前くらいですね。
神田:その時点で、次のステップとしてベンチャーを考えていたのでしょうか?
小川:一番の理由は、自分のコンサルとしての力をもうちょっと伸ばしたかった。現場に近いところでやりたかったんです。大きい会社にいるとやっぱり役割も上にならざるを得なくて、規模も大きいところにならざるを得ない。どんどん「働かなく」なると思ったんですよね。働く内容が変わるというか。
それよりは、中身にもっと踏み込んでやりたいという思いがありました。
GLを選んだ理由:「何もない」環境での組織づくりという挑戦
神田:なぜGLだったのでしょうか?
小川:GLの状況が、いい意味で「何もない」環境だったんです(笑)。もともと整った基盤があるわけではなく、この数年で急成長を遂げてきたからこそ、これから組織化と再現性の構築が求められるフェーズにあると感じました。
そうした中で、組織をつくり、事業の再現性を高めながら上場を目指していく経験は、なかなか得られるものではありません。
「何もないからこそ、自分たちで全部つくれる」。そこに大きな魅力を感じました。
加えて、他のベンチャーでは、経営陣のことをよく知らないまま入社を決めるケースもあると思います。一方でGLについては、もともとインターン時代からのつながりがあり、神田さんのことも長く知っていました。人柄も含めて信頼できると感じていたため、安心して意思決定ができました。
そうした背景もあり、他社を検討するというより、GL一本で移ることを決めました。
神田:入社当初、最も課題だと感じたことは何でしたか?
小川:課題は本当にあらゆる領域にありました。
人材育成だけでなく、育成の機会となる案件を獲得すること、その案件を担う即戦力人材を採用することまで含めて、すべてが同時に必要な状態でした。正直、どこから手をつけるべきか分からなかったです。
最初の数カ月は、たまたま受注できていた案件を進めながら社内の状況を見ていましたが、途中からははっきりと「案件を取りに行く」ことに注力するようになりました。去年の夏頃からですね。
結局、仕事が取れなければ何も言えません。営業に頼りきりのままでは何も変わらない。少なくとも案件獲得の部分は、自分たちで自走できるようにならなければ話にならないと考えました。
神田:具体的にどのような行動を取られたのですか?
小川:まず取り組んだのは、過去のつながりを徹底的に活用することでした。
昔からの知人や関係者に連絡を取り、「何か案件はないか」と一つひとつ声をかけて回った結果、比較的早い段階で仕事を立ち上げることができました。もちろん、そこには運の要素もあったと思います。
当時の目標は、2024年12月末時点で自分が見ている案件の売上を月次で一定の規模まで伸ばして自身の配下で組織化することでした。実際には目標としていたところの70%ほどでしたが、2025年1月からはグループ制導入による組織化を開始できました。
2025年上期で一定の達成見込みが見えてきたことで、ようやく育成や採用といったテーマにも本格的に向き合えるようになってきたと感じています。
大企業とベンチャーの最大の違い:「看板がない」ということ
神田:アクセンチュア時代と今とで、仕事の中身で一番大きく違ったと思うことは?
小川:一番大きかったのは、やはり看板がないことですね。
加えて、周りのメンバーがそれぞれどこまでできるのかも、最初はまだ見えませんでした。アクセンチュアの時はクラスの定義があって、「このレベルならこのくらいできる」というイメージを持ちやすかったのですが、今はそれがない。
だから、仕事を取りに行くとしても、どうしても自分が責任を持てる範囲でしか取れないんです。
新規で広げていく話はもちろんですが、特に知り合いから仕事をいただく場面では、自分が確実に対応できると思える範囲でないと提案しづらい。その意味で、組織をどうつくっていくかというテーマは、案件獲得の広がりそのものに直結していると考えています。
神田:働く時間としてはどうですか?ベンチャーでコンサルというと激務のイメージもありますが、ワークライフバランスについても聞かせてください。
小川:働く時間という意味では、今の方がむしろ抑えられています。
アクセンチュアで最も忙しかった頃は、まだ子どもが生まれておらず、家庭面での制約も少なかったです。一方で、今は子どもと過ごす時間を大切にしたいという思いがあり、仕事に対する優先順位も以前とは変わっています。
平日で言うと、夕食の時間である18時頃から、寝かしつけを終える20時〜21時頃までは、できる限り子どもと向き合う時間にしたいと考えています。もちろん、毎日時間をとれているわけではないですが。
どうしても対応が必要な仕事がある時は、寝かしつけ後の時間帯に対応する、という働き方をしています。
GLが目指すダイバーシティの実現:シニア、外国籍、そして多様な人材の活躍
神田:昨年7月より執行役員に就任されているかと思います。GLとして、コンサルティングファームとしてどういう方向に持っていきたいとお考えですか?
小川:GLが目指しているのは、ダイバーシティの実現です。
社内において多様な人材を活かし、さまざまなバックグラウンドを持つコンサルタントが活躍できる組織をつくること。そして、その取り組みを通じて、社会全体でも多様な人たちが活躍できる状態につなげていきたいと考えています。
その中で、今特に重要だと考えているのが、マチュア世代と弊社では呼んでいる、主に50代〜60代の人たちが、実際の案件で活躍し、お客さまから評価されることです。
その実現に向けて、どのような仕組みがあれば、より力を発揮しやすくなるのか。まさに今、具体的に考えているところです。
神田:シニア・ミドル世代のリスキリングによる人材活用は他のコンサルティングファームにはない取り組みですが、難しさもあると思います。
小川:一番大きな難しさは、偏見やアンコンシャスバイアスだと感じています。
それはお客さま側だけでなく、コンサルタント本人の中にもあると思っています。お客さまからすると、年齢の高い人材は社内でも役職者であるケースが多く、どう接すればよいか分かりにくい、扱いづらいといったイメージを持たれやすい面があります。
一方で、コンサルタント本人も「もう50代、60代だから」と、自分の成長に対してどこか線を引いてしまっている部分があるのではないかと感じています。
ただ、実際にはそうではない事例が少なからずあります。だからこそ、そうした事例をきちんと伝え、発信していくことが大切だと思っています。
どのような考え方で、どのように行動し、どのような成果につなげているのか。それを発信し続けることが、偏見を乗り越えるために欠かせないと考えています。
神田:具体的な成功事例はありますか?
小川:実際に、60代のコンサルタントがAIを活用して案件の中で成果を出した事例があります。
あるPMO案件では、Backlogを使って進捗管理や課題管理を行っていたのですが、もともとは期限が過ぎた課題を手作業で抽出し、個別にリマインドしていました。そこで、Geminiなどの生成AIを活用し、「こういうことをしたい」という内容を自然言語で入力しながらコードを生成し、試行錯誤を重ねて、自動で期限切れの課題を抽出し、チャットでリマインドを送る仕組みを自らつくり上げました。
その結果、週20時間かかっていた作業が30分で終わるようになり、工数は40分の1にまで削減されました。
クライアントからも高く評価いただき、現場全体としても「さらに新しいことに取り組んでいこう」という前向きな空気が生まれています。
こうした取り組みを、60代で新たに学びながら形にしたというのは、まさにGLらしい事例だと思っています。
神田:新卒の43%が外国籍、社員全体の14.6%が外国籍というGLの多国籍な組織構成も大きな特徴ですよね。
小川:社内全体で見ると、外国籍メンバーは14.6%程度を占めています。
その中で大事だと考えているのは、語学力そのもの以上に、日本の商習慣を理解してもらうことです。
GLでは社内にJapan Wingというサービスを持っているので、そのプログラムを応用しながら、実際のビジネスの現場で使える実践的な日本語やコミュニケーションを身につけてもらっています。
その学びを土台に、実際に案件へ入り、活躍していくところまでを会社として支援しています。
これからGLに入る人へ:求められるマインドセット
神田:GLには起業家精神を大切にする文化や、リスキリングを通じて社員の成長を後押しする風土があります。そんなGLに新たに加わる方には、どのようなマインドセットを期待していますか?
小川:コンサルタントに必要なマインドセットは、素直さだと思っています。
コンサルタントの仕事は、自分の考えを一方的に押し付けることではありません。まず大切なのは、お客さまが何を求めているのかを丁寧に聞き、その背景まで含めて理解することです。そのうえで、適切な示唆や解決策を提示し、伴走していくことが求められます。
そのベースにあるのは、やはり相手の話をきちんと聞くこと、傾聴することだと思います。
もちろん、相手の話をそのまま受け入れるだけではなく、聞いた内容を自分の中でしっかり腹落ちさせたうえで、違うと感じる部分があれば、きちんと軌道修正していくコミュニケーションも必要です。ただ、そのためにも、まずは一度しっかり受け止める姿勢が欠かせません。
コンサルタントというと、専門性を武器に助言する仕事というイメージを持たれることが多いかもしれません。もちろん専門知識は重要です。ただ、お客さまが本当にお金を払っているのは、知識そのものではなく、課題を解決すること、物事を前に進めること、状況を改善することだと思っています。
だからこそ、求められるのは、そうした意味での素直さであり、傾聴できる力です。そこが、コンサルタントとして最も大切なポイントだと考えています。
以上
小川さん
ありがとうございました