“この仕事なら、自分にもできるかもしれない”——そう思えた一つの出会い
国連UNHCR協会の求人と出会ったことがきっかけで、一歩を踏み出した岸上さんにお話を伺いました。支援の現場に立ちたいという想いはあっても、なかなか踏み出せなかった自分がいた。そんな中で、「資格や語学力を始めとする経験・スキルではなく、一人ひとりの想いや姿勢を大切にしてくれる」職場に出会い、自分にもできるかもしれないと前向きな気持ちになれたといいます。今回は、そんな転機となった出会いや、今の仕事で感じているやりがいについて語っていただきました。
これまでのキャリアの流れや、転職の背景についてお伺いできますか?
接客業からスタートして、IT業界でサポートエンジニアの仕事をしていました。パソコンを使った業務も経験できたのは自分にとって良い学びだったものの、働いている中で、「やっぱり自分は“人と直接関わること”を大切にしたい」と感じるようになりました。そこから、改めて“対人コミュニケーション”を軸にキャリアをシフトしていきました。
国際支援の分野に興味を持つようになったのは、どんなきっかけがあったんですか?
学生時代から、国際支援や紛争地域の現場を伝えるメディアに触れる中で、援助の現場(フィールド)で活躍している人たちに強い憧れを抱いていました。ただ、実際にその道に進むには、公用語としての英語はもちろんのこと、現地の言葉の習得が必要ですし、特に国際機関では高い学歴なども求められることが多く、自分にはハードルが高いと感じていたんです。さらに、体調を崩してしまった時期もあり、国際協力や人道支援の分野とは距離を置きながら過ごしていました。
“想い”と“仕事”がつながったと感じたのは、どんなタイミングだったんでしょう?
ずっと国際協力や人道支援の分野に「何かしら関わりたい」という想いは心の中に残っていました。そんな中で、援助の現場(フィールド)を続けるためには、広く知ってもらう広報活動だったり、援助活動には絶対的に資金が足りない現状を踏まえると、資金を調達しなければならない、援助の現場(フィールド)を誰かが“裏方”で支えること不可欠だということに気づいたんです。特にファンドレイジング(寄付活動)という手法を知ったことで、自分なりに援助活動と関われる道があるのではと感じるようになりました。そこから5年間、ファンドレイジング(寄付活動)に携わってきて、ようやく“想い”と“仕事”が繋がったように感じています。
“ここで働きたい”と思った決め手って何だったんでしょう?
たまたまJICA Partnerを見ていたとき、国連UNHCR協会のファンドレイザー募集が目に留まりました。学生時代から国際協力や人道支援の分野には強い関心があったものの、語学力や学歴など、自分には“満たせていない条件”が多いと感じていて、実際に関わるのは難しいのではないかと、なかなか一歩を踏み出せずにいたんです。
でも、そのとき目にした求人にはそういった表面的な経験や・スキルよりも、
「人としてどうありたいか」
「どんな想いを持っているか」
を大切にしていることが、文章の端々から伝わってきました。そこで初めて“自分にも挑戦できるかもしれない”と自然に思えて、心が動いたのを覚えています。
最終的に“応募しよう”と決めた理由を教えてください。
求められる経験やスキルのハードルが高すぎなかったことはとても大きなポイントでした。決して「誰でもいい」というわけではなく、むしろ「気持ちがあればチャレンジを歓迎してもらえる」という雰囲気が感じられたことが、私にとっては後押しととなりました。
ファンドレイザーの仕事は、人と直接コミュニケーションをとることが中心のため、学歴や資格よりも「これまでどのように生きてきたか」「人とどう向き合ってきたか」といった経験がより大切だと考えています。まさに、学歴や職歴だけでは表せない自分の強みを活かせる環境だと実感できたことが、この仕事に惹かれた大きな理由のひとつです。
この仕事で活躍されている方の特徴やポイントはどんなところですか?
目の前のお相手と向き合うことは、一見シンプルに見えるかもしれません。しかし、その中に自分なりの楽しさや伸びしろを見つけて、常に歩みを止めずに行動し続けられる人が活躍している傾向にあります。決して無理をして頑張り続けるというよりは、どんな状況でも立ち止まらずに前に進み続ける姿勢が大切なんです。
私自身もそういったメンバーと一緒に働く中で、「歩みを止めない」「行動し続ける」力が、この仕事で成果を出すための大きな共通点だと感じています。
実際のキャンペーン活動では、どのくらいの人数の方に声をかけて、どのくらいの方と話ができて、支援に繋がるのか、ざっくりと教えていただけますか?
日によって状況は変わりますし、現場の人の数や自分のスタイルもそれぞれなので、あくまで私の一例としてお話ししますね。
毎回、キャンペーン活動では朝礼と終礼を行っています。朝、「今日は1日〇人に声をかけて〇人の人とお話をして、〇人の人からご支援をいただく」目標をたてます。そして、1日の終わりには、実際に何人に声をかけて、何人と話せて、どれくらい支援につながったかを集計・記録していて、その日一緒に活動したメンバーと一緒に振り返りも行います。
例えば、1日キャンペーン活動を終えて、その日は138名の方に声をかけたとします。138名に声をかけて5名と話すことができ、そのうち2名の方が継続的な支援「国連難民サポーター」に参加申し込みをしてくださった。今日は、朝たてた目標よりも少ない人数とお話したけれど、ご支援くださった方は多かったな、など。
最初はなかなか人が立ち止まってくれず、壁にぶつかることも多いですが、根気強く続けることが大切だと思います。先輩たちもサポートしてくれて、「こういう言い方はどう?」といった具体的なアドバイスをもらえるのでとても心強いです。
入職時には2日間の座学トレーニングがあり、そこで自分なりのスクリプトを作って話せるように準備します。トライアル期間でチームリーダーと一緒に現場に入り、OJTで本番前後の練習を行います。手厚いサポートがあるので、経験やスキルがなくても安心して働ける環境です。
仕事中の休憩の取り方や、昼休憩などについて教えてください。
毎日2~3名のメンバーと一緒にキャンペーン活動を行います。昼休憩は交代で、そのときどきの状況に合わせて調整しています。また、昼休憩とは別途でとる小休憩は、好きなタイミングで飲みものを飲むなど、お互いに声をかけあって、自由に取ることができます。
お弁当を持参する方は半々くらいで、気候の良い時期は自分もお弁当を持っていくことが多いです。施設内の休憩室を利用できる場合もあり、その時はお弁当持参の方が多く見られます。
また、外に昼食を買いに行くなど比較的自由度は高いですが、商業施設で活動している場合はキャンペーンブースに最低1人は残っている必要があるため、メンバー同士で休憩のタイミングを調整しながら休んでいます。
キャンペーンブースでは何名体制で行われていますか?また、メンバーは固定ですか?
基本的には2名体制で動くことが多いですが、場合によっては3〜4名で活動することもあります。駅前といった街頭、商業施設、イベント会場など、ブースの広さやその他の条件によって人数は異なりますね。
また、トライアル期間を終えるとチームに所属し、そのチームのメンバーと一緒に動く形になります。ひとチームの人数はおよそ10名弱で、同じメンバーと続けて活動することもあれば、メンバーが入れ替わることもあります。
チーム替えは基本的に年に1回見直しを行っていますが、入退職などで人数に変動がある場合は、その都度、適宜調整が行われます。ただし、毎年大規模なシャッフルがあるわけではありません。その時々の状況によって編成は変わります。
最後に、働くうえで大切だと感じることを教えてください。
面接官をつとめる拠点責任者(私たちはリージョナルリーダーと呼んでいます)がよく話しているのは、「自分の持っているフィルターを外してみる」ということです。たとえば、見た目で「この人は難民問題に興味がなさそう」と決めつけてしまうと、その人に声をかけることなく終わってしまい、何も始まらないまま通り過ぎてしまいます。私たちも、そのフィルターを外して声をかける勇気を持ったからこそ、相手の興味や熱意に気づくことができ、支援の輪が広がったと感じています。
そのため、内定受諾した人には、任意で、入職前に職場見学に来ていただき、実際に一緒に働くチームリーダーと顔合わせをする機会を設けています。見学を通してキャンペーン活動の雰囲気を感じてもらうことで、入職後も安心してスタートできる環境です。
「見た目や先入観にとらわれず、まずは声をかけてみること」――この姿勢が、この仕事にはとても大切なことなのだと改めて感じました。
私たちは、見た目や第一印象だけで人を判断せず、一人ひとりの可能性を大切にしています。あなたらしく働ける環境で、ぜひ一緒に歩んでいきませんか?
新しい仲間との出会いを、心よりお待ちしています。
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