「あの時出会った方が、今も支援を続けてくださっている——」
入職からこれまでの時間を振り返ると、思い出すのは“人との出会い”だと臼井さんは話します。初めての寄付のご案内、再会を重ねて深まった信頼関係。一つひとつの関わりが確かな成果となり、自信へと変わっていきました。
今では、自分の経験をもとに仲間を支えることが新たな目標に。
支援する人・される人、そして共に働く仲間。
それぞれの想いが交わる場所で、臼井さんは今日も歩みを続けています。
チームで成果を上げるために、どのような工夫や取り組みをされていますか?
また、具体的な仕事内容について教えてください。
私はファンドレーザーとして、街頭やイベント会場などで街ゆく方に声をかけ、UNHCRの活動を説明しています。そして、その場で継続的にご支援いただける「国連難民サポーター」になっていただけるようお願いすることが主な役割です。
加えて、チームリーダーとしてメンバーが成果を出せるようトレーニングを行ったり、働きやすい環境づくりにも努めています。最終的には、チームとして成果を上げることが求められる仕事です。
なぜ、あえて“数字にシビア”な世界を選んだのか?
「厳しさ」よりも、「挑戦できる環境」に惹かれました。この職種は、成果に対して非常にシビアな世界です。掲げる数値目標やそれに対する成果が、支援の輪を広げ続けることで、救われる難民の命に繋がっていくからです。数字に対する意識も高く、「自分の役割だけを果たせばいい」という考えでは立ち行かないのが現実です。
それでも私がこの環境を選んだのは、そうした厳しさの中にこそ大きなやりがいがあると感じたからです。結果を出すことはもちろん、その先にある「+α」の価値をどう生み出すかを常に考えられる環境は、自分自身を成長させてくれる場でもあります。
ただ守りに入るのではなく、より良い支援の形を追求していける。この挑戦しがいのある環境に、私は前向きな魅力を感じています。
プレッシャーのある環境の中で、モチベーションの源になっているものは何ですか?
厳しい環境の中で、私の背中を押してくれているのは、やはり支援者の方々の存在です。特に、直接いただく言葉は何よりの励みになります。
ある時、「自分の生活も決して余裕はないけれど、1000円からなら支援を始めたい」とおっしゃってくれた方がいました。私は「あと2人の方が支援してくだされば、あなたの1000円と合わせて3000円になります。だから、私も頑張りますね」とお伝えしました。するとその方は、「私も絶対に辞めないから、あなたも頑張ってね」嬉しい言葉をかけてくれたのです。
こうしたやりとりができるのは、顔が見える距離感だからこそ。支援してくださる方の思いや勇気に直接触れられることが、私にとって一番のモチベーションになっています。
ファンドレイザーを目指す学生さんへ。今、やっておくといいことは?
この仕事は、すぐにできるようになるものではありません。でも、だからといって今から専門知識を詰め込んでおく必要があるかというと、実はそうでもないんです。
それよりも大切なのは、自分が「楽しい」「面白い」と思えることに、積極的に関わっていくこと。営業スキルやプレゼンテーション力といった実務的なスキルは、入職してからしっかり身につけることができます。
「国際協力に関わりたいから」といって、最初から経験を絞る必要はありません。学生のうちは興味のあることを幅広く体験しておくと、それが後々、人との共通点や会話のきっかけになることも多いんです。
自分自身の“好き”や“夢中になれること”を大事にしてほしいなと思います。
具体的にはどのような経験が役に立ったのでしょうか?
私自身の経験で言うと、「猫が好き」という話題で支援者の方と意気投合したことがあります。ほかにも、舞台や劇場の話で盛り上がったり、「納豆はどの種類が好きか?」という会話で距離がぐっと縮まったり。新聞の小さなコラムをきっかけに、意外な共通点が見つかることもありました。
こうした一見何気ない話題が、実は支援者との信頼関係づくりにとても役立っています。「この人とは話しやすい」「なんだか分かり合えるかも」と思ってもらえることが、関係の第一歩になるんです。
仕事では、相手の関心ごとや経験に、自分の体験を重ねていく力がとても大切。その意味でも、日常のなかで得た小さな経験が、思いがけず大きな武器になると実感しています。
学生時代にやることは「何が役立つか」ではなく「自分が楽しいと思うことに挑戦すること」です。どんな些細な経験でも、将来の活動の中で「共感のきっかけ」になる可能性があります。ですから、興味の幅を広げておくことが、一番の準備になると思います。
「個人のスタイル」が大切だとおっしゃっていましたが、それはどんな場面で感じますか?
UNHCRでは、もちろん組織としての信頼感も非常に大切です。ただ、それ以上に現場で大きな力を持つのが、アドバイザー一人ひとりの人間的な魅力や、対人スキルなんです。
「この言い回しをすれば必ず伝わる」といった“魔法の言葉”は正直ありません。マニュアル通りに話して終わり、というような仕事ではないんですよね。
だからこそ、私たちは一人ひとりが自分なりのスタイルで、目の前の方と丁寧に向き合い、信頼関係を築いていくことを大切にしています。型にとらわれず、自分の言葉で話す。そんなコミュニケーションの積み重ねが、活動への共感や協力につながっていくと感じています。
「スタイルは人それぞれ。自分らしいコミュニケーションが、信頼を生む鍵になる。」
では実際に、どんなスタイルで信頼を築いているのか。それは本当に人それぞれです。
たとえばあるスタッフは、共通点を見つけることから会話を始めます。趣味の話、最近ハマっていること、ちょっとした日常のエピソード。こうした身近な話題から少しずつ距離を縮めていって、自然な流れで支援の話につなげていくんです。
若い学生スタッフは、同世代との会話の中で自然と共感を生み出すのが得意ですし、30代・40代の社会人経験者であれば、これまでの人生経験や知識を活かして、幅広い層の方と深いつながりを築いています。
つまり、「こうしなきゃいけない」という正解はありません。大切なのは、自分に合ったやり方で、目の前の相手としっかり向き合うこと。自分らしいスタイルこそが、信頼を育てる一番の近道だと思っています。
「最初は誰だって不安。でも、現場での経験が自信に変わっていきます。」
最初から完璧にできる人なんていません。むしろ、最初は「ちゃんと話せるかな…」と不安に感じる方のほうが多いと思います。
でも実際に現場に立って、人と会話を重ねていくうちに、少しずつ自分なりのスタイルが見えてきて、自然と力を発揮できるようになっていくんです。
専門的な知識は、入職後にしっかり学べる体制が整っています。だからこそ大事なのは、「人と接することが好き」「誰とでも対話するのが苦じゃない」という基本的なスタンス。これがあるかどうかで、成長のスピードも、やりがいの感じ方も変わってきます。
逆に、対面でのコミュニケーションに強い苦手意識がある方にとっては、少しハードルの高い仕事かもしれません。でも、人と話すことに前向きな気持ちさえあれば、きっと成長できる環境があります。
どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?
「自分に向いているのか不安です」と言って入ってきた方が、実は現場に出てみたら意外と馴染んで、どんどん力を伸ばしていく。そんなケースは実際によくあります。 最近では、週4日から無理のないペースでスタートして、経験を重ねながら少しずつ自信をつけていく方も増えています。
入職前の性格や経験が思わぬ場面で活きることも多く、最初はシンプルな会話からでも十分。知識は後から身につけられるので、まずは「誰かのために話を届けたい」という想いを持って向き合うことが大切です。 徐々に、自分の言葉で伝えられるようになってくると、自然とスタイルができてきて、目の前の支援者の方との信頼関係も深まっていきます。
この仕事をする上で、どんな能力や資質が求められますか?
資格や特別な経験が絶対に必要、というわけではありません。でも、活躍している人には共通点があって、それは「人と話すのが好き」なこと。そして、相手に合わせて柔軟にコミュニケーションが取れる力があることです。
特に大事なのが「謙調力」。これは、相手の気持ちをしっかり汲み取りつつ、自分の伝えたいこともちゃんと伝えられる力のことです。
ただ成果だけを追いかけるのではなく、相手の興味や気持ちに寄り添いながら話すことが求められるので、相手を理解しようとする姿勢が何よりも大切だと思います。
どんなスキルや得意分野が、この仕事で活かせますか?
専門的な知識がなくても、今までの経験や得意なことがしっかり活かせる仕事です。
たとえば、人と話すのが得意だったり、相手の気持ちに寄り添って会話を深めるのが好きだったり。そういった「共感力」や「観察力」が、実はすごく大切なんです。
語学についても、日本語でしっかりコミュニケーションが取れれば十分ですが、英語やスペイン語などが話せる方は、それを活かせる場面もあります。
何より大事なのは、これまでの人生で積み重ねてきた“自分ならではの引き出し”を活かすこと。特別なスキルよりも、「人と向き合いたい」という気持ちと、それを支えるあなた自身の個性が、一番の強みになります。
入職前のどんな経験が、実際の仕事で活きていますか?
入職までの経験は本当に人それぞれですが、共通して役立っているのは、「社会課題に関心を持っていたこと」や「異なる文化や価値観に触れた経験」です。
たとえば、シリアの難民支援に関する話を聞いたことがきっかけだった方もいれば、子どもの頃に身近で社会課題に触れる機会があったという方もいます。そうした体験が、現場で支援者の方と向き合うときの“共感の深さ”や“言葉の重み”に自然と表れてくるんです。
また、一見小さなことのように思える経験でも、会話の中で共通点としてつながることがあります。だからこそ、どんなバックグラウンドであっても、それがこの仕事の強みになると思います。
これまでのキャリアで、特に印象に残っている瞬間はありますか?
私のチームにも、最初は人前で明るく話すのが苦手だったメンバーがいました。しかし、現場での経験を積むうちに、自分の思いをしっかり伝えられるようになり、支援者の方と深い信頼関係を築けるようになったんです。
最初は情報をただ伝えるだけの会話だったのが、共感を呼ぶ話し方に変わった瞬間、彼女自身の成長をはっきり感じました。その変化を見るのは、本当に嬉しい経験でした。
これまでの活動で、一番嬉しかった成功体験は何ですか?
特に印象的だったのは、ある女性の方と1年後、2年後と再会できたこと。入職して間もないトライアル期間中に出会った方が、その後もずっと支援を続けてくださっていることが、何よりも嬉しい成功体験です。
寄付を通じて信頼関係が築けたのを実感できて、とても感慨深かったです。こうした小さな積み重ねが、確かな成果となって形になる瞬間に、この仕事のやりがいを強く感じます。
今、目指している次の目標は何ですか?
私が今目指しているのは、パフォーマンスが伸び悩んで挫折しそうなメンバーを支えることです。
誰にでも失敗や挫折の経験がありますが、その時に自分の仕事の意味や価値を見失ってしまう方も少なくありません。そうした方たちに寄り添い、一緒に乗り越えられる環境を作ることが、自分の次の大きな目標です。
応募を迷っている方に伝えたいことはありますか?
経験や資格がなくても大丈夫です。
「誰かと話すのが好き」「共感したり相手の気持ちを察するのが得意」という方なら、きっと活躍できます。
日々の小さな経験や興味を大切にして、自分なりの「引き出し」を増やしていくことが、この仕事で成長し、成果を感じるポイントです。
あなたらしさを活かして、一緒に頑張りましょう!
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