北海道・帯広駅前にある老舗ホテル「ふく井ホテル」
実は以前、このホテルのレストランは、閉店を検討するほど厳しい状況にありました。
ところが、あることを見直した結果、年間売上は約40%アップ。
新しい料理を開発したわけでも、大きな設備投資をしたわけでもありません。
変えたのは、料理そのものではなく、その魅力の伝え方でした。
今回は、ふく井ホテルのレストランが大きく変わるきっかけとなったエピソードをご紹介します。
経営を引き継いだ僕が、最初に向き合ったこと
2022年3月、帯広駅前にある「ふく井ホテル」の経営を引き継ぎました。
客室は101室あり、帯広駅前唯一の天然モール温泉を備える老舗ホテルです。
とはいえ、僕にはホテル経営の経験がありませんでした。
また当時はコロナ禍の影響で売上が大きく落ち込み、レストランは赤字。営業を続けるべきか、撤退すべきかという厳しい状況にありました。
経営的に考えれば、撤退も一つの選択肢です。
ただ、僕には少し引っかかることがありました。
「ここの朝食、美味しいんだよな。」
実際に食べてみると、朝食もランチも美味しい。
「だったら、ディナーはどうなんだろう?」
そうしてディナーを確認したことが、レストランを変える第一歩になりました。
今では1番人気のランチメニュー|生姜焼き+空飛ぶメンチカツコンビ定食
「そこら辺の牛」が、実はすごかった。
当時のディナーメニューには、ステーキや枝豆、オムレツ、フライドポテトなどが並んでいました。
どこにでもありそうな料理の名前です。
ところが、実際に食べてみると、どれも美味しい。
そこで僕は、料理長に食材について聞いてみました。
「どちらの牛を使っているんですか?」
「そこら辺にいる牛です。」
なんと「そこら辺の牛」と料理長が教えてくれたのは、清水町産の「十勝若牛」。
さらに、枝豆も、卵も、チーズも、ジャガイモも、十勝産の食材が使われていました。
地元の人にとっては、身近で当たり前の食材かもしれません。
けれど、遠くから十勝を訪れた観光客にとっては、ここでしか味わえない地域の魅力です。
こんなに魅力的な食材を使っているのに、メニューには「ステーキ」「枝豆」としか書かれていない。
料理そのものに問題があったわけではありませんでした。
足りなかったのは、その料理が持つ価値をお客様に伝える工夫だったのです。
十勝清水町産 十勝若牛使用|サーロイン・カットステーキ定食
変えたのは料理だけではなく「伝え方」
そこでレストランのメニューの見直しを行いました。
食材の産地や特徴をメニューに明記し、料理の写真を掲載。メニューの種類や構成も見直しました。
お客様が料理を選ぶときに、味だけでなく、食材の背景や地域の魅力まで想像できるようにしたのです。
その結果、レストランの年間売上は約40%増加しました。
閉店も検討されていたレストランが、売上を大きく伸ばすことになりました。
大きな設備投資をしたわけでも、まったく新しい料理を開発したわけでもありません。
今あるものを見つめ直し、その価値が伝わる方法を考えた。
それが、レストランの未来を変えることにつながりました。
レストラン Biplane(バイプレーン)
十勝には、まだまだ知られていない魅力がある。
この経験から、僕が得た気づきがあります。
それは、「価値がないこと」と「価値が伝わっていないこと」は、まったく違うということ。
十勝には、美味しい食材、豊かな自然、温泉、そして地域で暮らす人たちの魅力があります。
地元では当たり前になっているものが、外から来た人にとっては特別な体験になることもあります。
食事を通して地域の食文化を知ったり、温泉で旅の疲れを癒やしたり、スタッフとの会話から街の魅力に気づいたり、お客様が十勝を好きになるきっかけをつくれる場所です。
十勝には、まだ知られていない魅力がたくさんあります。
そして、地元の人にとっての「当たり前」が、外から来た人にとっては、とんでもない価値を持っていることがあります。
これが、僕が十勝で事業を続ける上で大切にしている考え方の一つです。
少しでも興味を持っていただけたら、ふく井ホテルのことを知ってもらえるとうれしいです。
ふく井ホテルについてはこちらのストーリーもご覧ください!