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第7話 ハノイへの事業展開

創業2期目を終える頃には日本人社員第一号も加わり、社員数も10名弱まで増えてきた。
2期目も相変わらず必死に自ら動き案件を回す日々が続いていた。社長とは名ばかりで、営業担当兼キャリアアドバイザー兼営業マネージャー兼経理担当兼責任者であった。損益計算書で黒字にするために如何に経費をかけない体制を整えるかの典型的なパターン。1人で多くの役割をこなし続けていると問題に対しての対処が弱くなるのであった。

記憶に残りかつ伝えられるような話で辛い事件がこの頃はじめて発生した。1人何役もやっていたが故の問題である。人材紹介ビジネスは典型的なBtoBtoCのビジネスである。転職希望者(C)を企業(B)に紹介し企業(B)から料金を受取る。

日本人の転職希望者は当然のことながら自分自身が相談にのる。
企業側にも採用に成功するための各種営業活動を行う。
業界用語でいうと一気通貫型の転職支援体制をひいているのである。

この頃自分はまだ27-8歳。

ある日本人候補者を対応させていただく中で、情報の掛け違いでご迷惑をおかけすることがあった。詳細の記憶は曖昧だが、誤って確認を取りそびれていた企業へその候補者様をご紹介してしまった。転職支援者としてはやってはならないことで、ミスを真摯に謝罪しその企業への紹介を取り下げさせていただいた。

そこから執拗な嫌がらせが続くようになったのだ。
何度謝罪しても許さないと、一日に何度も携帯電話が鳴り響く日々。
土日もベトナム国外からも怒号と罵詈雑言が飛んできた。

何百回と電話がかかり続けた。1ヶ月近く続いたのを覚えている。
内容はもはや支離滅裂、おおよそ理解に苦しむものである。
その中には、若くてベトナムで事業やってちゃらちゃしているお前が気に食わない(笑)といった関係のない内容に変わっていった事を覚えている。
あまりにひどいため、知人を交えて直接謝罪する場を設けることになった。

その場で彼は、最終的に土下座を要求してきたのだった。

この場で皆さんならどうされましたでしょうか?

事業をはじめて2年目。
場所は法整備が弱いベトナム。
日本人同士。
資金もない。
相手は非論理的で、会話も全く成立していない。

自分は迷わず土下座を選んだ。

こんな所で事業を止めるわけに行かない。土下座で話が終わるのであれば、その方の怒りが収まるのであれば、いくらでもしてやろうと。つまらないプライドが邪魔して損をするより、理を取ったのである。恐らくだが、気に食わない若者が自分に屈服したという状態を彼は満足したんだろうと思う。

それ以降は一切の連絡が無くなった。

自分の中で悔しさがなかったといえば嘘になるが、良い経験になったと思った。プライドは自分に対して持つのではなく、物事に迎うべきだ。自分は、我々の事業に対してプライドを持っているのであれば、この事業を続けるためにはいくらでも自分は恥をかいて良い。ご迷惑をおかけしたことは事実であり、謝罪する誠意は相手に伝わらなければならない。彼の執拗な嫌がらせは犯罪レベルだが、事業を継続する為に如何にコストを下げることができれば、我々のサービスはより良くなる。

自分自身へのプライドなんてくそくらえだ。
土下座なんて何万回でもしてやる。
もはや俳優になった気持ちで、土下座を演じれば良い。

そう思うようにし、葛藤を乗り越え2期目の売上が、前期の3倍程成長していったのだった。

3期目、ハノイへの事業展開を意思決定した。
定石であれば一気にホーチミンを拡大するべきだったと思う。
しかし、経営チームもなければアドバイザーもない自分は攻めるといえば多拠点展開だった(笑)

2010年6月ハノイへ出店するために1人降り立った。6月のハノイは雨季のホーチミンとはうって変わり40度を超える日が続く酷暑だった。うだるような暑さの中レンタルバイクでオフィスを見て廻った。

<酷暑の中ボロオフィスを見て廻った>

引き続き資金に余裕があるわけではない。とにかく小さな初期投資もかからない安いオフィスを探していた。土地勘もない知り合いもいない状態だったが、最終的には20平方メートルほどの小さなオフィスを見つけることが出来た。同時にハノイのローカルスタッフも採用にかけ一名内定の応諾をもらうことが出来た。

問題は、誰が責任者を担うかあまり考えていなかったことだった。
行けるとすればホーチミンにいる若手日本人営業担当者のみ。
選択肢がなかった為、彼にハノイ責任者として異動してもらい、スタートすることになったのである。

今から考えるとアホな選択だった。
ホーチミンの唯一の営業専任者が異動するということは、ホーチミンで営業を出来る人間が自分ひとりになるため圧倒的に案件獲得が減る。
エリアを拡大する前に組織を作るべきタイミングであった。
しかし、こういった勢いが大事なのもまた事実。
このエリア拡大の魂こそがICONICの強みになっていくのであった。

現在のICONICの強みを整理すると
 1.アジア・グローバル展開する企業へ
 2.人事課題の解決をする
これらは、エリアのカバレッジがあるからこそなせる技だ。

ホーチミンだけ、ベトナムだけでやっていては末端のローカル企業で終わる。

その後、インドネシアに展開し、日本へ逆輸入してくICONICの強みを形成する上で非常に重要な転換点だったのかもしれない。

(第8話へ続くhttps://www.wantedly.com/companies/iconic/post_articles/278423 )

※カバー写真
伊丹高等学校の生徒さんへの卒業旅行にて

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