今回は、一休で新たなAIプロジェクトを推進されているデータサイエンス部の平田さんに、お客様一人ひとりの細かなニーズを汲み取り、まるで専属コンシェルジュのように最適な宿を提案する、そんな「未来の宿探し体験」の最前線についてお話を伺いました!
AIが拓く「理想の宿探し」体験〜プロダクト開発責任者が語る未来のコンシェルジュ〜
インタビュアー: 平田さんが現在取り組んでいらっしゃるというAIを活用した新しいチャレンジについて、どのようなものか教えていただけますか?
平田さん: 「一休エージェント」というものを進めています。これは、チャットで宿を探し、予約までできるサービスです。
インタビュアー: なるほど、チャットで宿探しができるようになるということですね!具体的に、ユーザーはどのような形で利用されるイメージでしょうか?
平田さん: そうですね。たとえば、「東京で家族旅行に行くんだけど、子供も楽しめるホテルはない?」といった、従来のキーワード検索では難しいような、より自然な対話形式で宿を探せるようになります。
さらに、検索結果として表示された宿についても、「この宿の朝食はどんな感じ?ビュッフェなの?いくら?」といった詳細な質問にもチャットでピンポイントに答えられるようにしたいと考えています。これまでは、わざわざ詳細ページを探しに行ったり、別途検索したりする手間がありましたが、それがチャットで完結できるようになるイメージですね。
インタビュアー: それはすごいですね!まさに未来のサービスです。宿を探すだけでなく、詳細情報までチャットで確認できるのは画期的です。
平田さん: はい。宿を探すのはもちろん、気になる宿同士の比較もできるようになります。「この宿とこの宿で迷ってるんだけど、どんな違いがある?」と聞けば、写真を表示したり、それぞれの特徴を比較してくれたり、ユーザーが宿を探す際に、普段行っているあらゆる行動を、チャットでフォローできるようなものにしたいと思っています。
チャット形式であれば、ユーザーは自由に質問をインプットできますし、こちらもそれに対して柔軟にアウトプットできる。この自由度の高さが、ユーザーの多様な宿探しの行動にとても向いていると感じています。
インタビュアー: AIを活用したチャット形式だからこそ、その自由な検索が実現できるということですね!
プロジェクト発足の背景と一休ならではの価値
インタビュアー: この「一休エージェント」を開発しようというアイデアは、どのように思いつかれたんですか?
平田さん: きっかけは、「宿探しって、実はけっこう大変だよね」という話からでした。これまでキーワード検索の精度向上に取り組んできましたが、検索結果をより高精度にするためには、どうしてもある程度の処理時間が必要になります。検索結果のスピードを求められる中で、ユーザーの多様なニーズに応える高精度な回答を出すことには限界があると感じていました。
一方で、チャット形式であれば、ユーザーは「会話」という認識があるので、多少時間がかかっても待ってくれるだろう、と。であれば、精度を上げるために時間をかけることができる。そういった発想から、私の中で「チャットなら可能なのでは」という考えが生まれ、チーム内でもその方向性で合意に至りました。ちょうどその頃、ChatGPTをはじめとしたLLM(大規模言語モデル)の精度が上がり、コストも現実的に使える範囲になってきたという世の中の情勢も後押しとなりましたね。
インタビュアー: なるほど、キーワード検索の限界と、AI技術の進化、そしてユーザーの行動変容が背景にあったのですね。たしかにチャットだと、相手が頑張ってくれているような感覚があって、待ってしまいますね(笑)。
平田さん: そうなんです(笑)。従来のウェブサイトでチェックボックスをポチポチ押して5秒待つのは長く感じても、チャットであれば「対応してくれている」と感じていただける。
インタビュアー: この壮大なプロジェクト、いつ頃の実現を目指していらっしゃるんですか?
平田さん: スケジュールはまだ明確に決めていませんが、現在はヘビーユーザーの方に実際に使っていただき、フィードバックをいただくフェーズに入っています。社内でもテストを行い、多くのフィードバックを反映してきました。今後は、さらにクローズドな環境で検証を重ねながら、段階的に全てのユーザーに公開していきたいと考えています。
「一休エージェント」が提供する「唯一無二の価値」
インタビュアー: 汎用的なAIサービスでも宿を探せる時代ですが、あえて一休が「一休エージェント」を開発する「優位性」とは何だと思われますか?
平田さん: それは、いくつかあります。まず、汎用LLM(大規模言語モデル)ではリアルタイムな情報、たとえば宿泊料金や空室状況といった「鮮度の高い情報」は取得できません。しかし、「一休エージェント」は、最新の料金情報やユーザーの予約情報といった、一休が持つ詳細なデータを活用できます。これにより、ユーザー一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされた宿の提案が可能になります。
さらに、過去の予約履歴から「アレルギーがあるので食事内容を変えてほしい」といった情報も覚えておき、「この宿だと、これこれのアレルギー対応ができますよ」といった提案までできるようになるのは、まさに「専用のコンシェルジュ」のような体験を提供できると考えています。
インタビュアー: まさに「人」のようなコンシェルジュですね!情報の鮮度、パーソナライズ、そして個々のユーザーに合わせたきめ細やかな提案。これらは、一休だからこそ提供できる価値ですね。
平田さん: もう一つ、一休独自のアルゴリズムも考慮した検索結果を提供できる点も、AIサービスに変わる優位性です。ユーザーのニーズに完璧に合致する宿が必ずしも「ユーザーが求めている宿」であるとは限りません。しかし、そこに一休独自のアルゴリズムという要素を加味して表示することで、ユーザーにとって「ピンとくる」宿、より魅力的な宿のラインナップを提案できると考えています。これは、他社では絶対に真似できない、一休独自の価値になるはずです。
実現に向けた課題と未来
インタビュアー: 素晴らしいですね!私も早く使ってみたいです。この画期的なサービスを実現する上で、現在直面している課題などはありますか?
平田さん: 一番の課題は、シンプルに「処理速度」ですね。LLMは精度を上げようとすると、どうしても処理に時間がかかります。AIが人間のように思考を積み重ねていくような「推論」を行うため速度が遅くなります。この遅さをいかに改善していくかが、現在の大きな課題です。理想は、ユーザーがチャットで入力している途中で「あ、そういうことですね」とAIが先回りして、求めている宿を提案できるようなレベルが実現できれば、ユーザーの感動体験はさらに大きくなるはずです。
インタビュアー: それはすごい!感動しますね!!まさに理想のコンシェルジュです。では最後に、平田さんがこのプロジェクトを通じて実現したい一番の体験を教えていただけますか?
平田さん: やはり、ユーザーのあらゆる「自由な」宿探しのニーズをすべて捉え、最適な宿を提案できるようになることを目指しています。将来的には、ユーザーの細かいニーズに合わせた特集ページをAIが自動生成したり、一般的な検索エンジンからも一休の質の高い情報にたどり着けるようにすることで、より多くのユーザーに最高の宿探し体験を提供したいですね。
インタビュアー: 一休のプラットフォームに来なくても、ユーザーのピンとくる宿を提案できる世界。感動して鳥肌がたちました!
平田さん: ユーザーの行動が多様化している中で、その変化に対応していくことが重要だと考えています。一休はこれまでも高品質な情報を提供してきましたが、それをより多くのユーザーに寄り添う形で届けられるようになれば、宿探し体験は大きく変わるはずです。
インタビュアー: 素晴らしいですね!平田さんの、そして一休の「ユーザーファースト」の熱意がひしひしと伝わってきました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
この対談を通して、当社のカルチャーや目指す方向性について、より深く理解していただけたでしょうか? インタビューをした私自身もワクワク・ドキドキと胸の高鳴りを抑えることが出来ませんでした。
「ユーザーファースト」の想いに共感し、共に宿泊業界やレストランの未来を創っていく仲間を心待ちにしています!