こんにちは!インヴァスト株式会社の子会社「ボーディングスクールコンサルティング株式会社(以下、BSC)」の大木 美波です。
本記事は、ボーディングスクールコンサルティング株式会社(以下:BSC)の横山社長と共に、5日間にわたりアメリカのボーディングスクール12校を訪問した際のレポートです。
私は2025年5月にBSCへ入社し、ボーディングスクール留学に関する業務に携わっております。アメリカへの留学経験はあるものの、ボーディングスクールを実際に目にしたことはこれまで一度もありませんでした。
今回の学校訪問にあたっては、各校の設備やプログラムといった客観的な情報だけでなく、キャンパスを歩き、生徒や教職員と接する中で感じた「学校の気風」を、できる限り言葉にすることを一つの目標としていました。皆さまが進学先を検討するうえで、学校の気風は、その環境の中で自分が自然に溶け込み、力を発揮できるかどうかを判断するための重要な要素だと考えているためです。
この11月、アメリカのボーディングスクールの現地視察へと行って参りましたので、本記事を通して、私が訪問した12校についてご紹介をさせていただきます。
目次
1校目:Brooks School
2校目:Phillips Exeter Academy
3校目:Brewster Academy
4校目:St. Paul's School
5校目:Kimball Union Academy
6校目:Northfield Mount Hermon
1校目:Brooks School
早朝にホテルを出発し、車で40分程走った末に、最初の訪問校であるBrooks School(以下:Brooks)に到着しました。私にとって初めて足を踏み入れるボーディングスクールとなります。そこには白色に統一された学校の施設や寮がまとまっていて、小さな美しい町のように統一されたコミュニティが形成されていました。この仕事に携わるようになり、それまで抱いていた学校のイメージとボーディングスクールが大きく異なることは理解していました。しかし、実際に学校を目にすると、その設備の充実ぶりには改めて圧倒されます。
Brooksはボストンにある共学校で、全校生徒数は340人程、そのうちの35人程が留学生であり、240人程の生徒が寮で生活を送っています。留学生率は生徒全体の約10%と、アメリカ人学生が大々的に中心となった環境です。Brooksは、英語を母語としない学生に向けた英語支援プログラムは提供しておらず、国籍もアメリカである生徒がほとんどを占めるため、入学には高い英語力が必要となります。したがって、アメリカで本格的に英語を使いながら更にスキルを伸ばしていきたいとお考えのご家庭にはおすすめの学校と言えます。
Brooksは、キリスト教・エピスコパル派のミッションスクールです。学校名は19世紀のエピスコパル司教であるPhillips Brooks氏に由来し、学校は1926年の創立以来エピスコパルと歴史的なつながりを持っています。ただし、学校の宗教色は強制的なものではなく、比較的オープンな形で行事等が行われています。例えば、礼拝堂で行われる全校集会の「チャペル」では、生徒や教員、外部のゲストが自身の経験や価値観を共有し、道徳的成長や人格形成について考える機会が提供されます。宗教的背景に関わらずすべての生徒に開かれた空間であり、コミュニティの精神的な中心としての役割を担っています。
このBrooksの特徴的な施設のひとつとして、Henry Luce III Libraryをご紹介いたします。この図書館は生徒たちの学びの中心であり、授業と連携したリサーチ指導が行われる重要な学習拠点です。館内には3万点以上の資料や学術データベースが整備されており、生徒はグループ学習や静かな自習など、目的に応じた環境の中で調査研究を進めることができます。また、司書のサポートを受けながら資料の探し方や引用方法を学ぶことで、大学でも必要となるリサーチスキルを身につけることができます。この図書館は、知的好奇心を深めながら主体的に学ぶためのコミュニティの中心的な場となっています。
小規模なコミュニティの中で、異なるバックグラウンドを持つ仲間たちと日々を共に過ごすことができ、日常生活や授業を通して英語を実践的に伸ばしたい生徒にとって非常に良い環境が整っています。静かで落ち着いた白の雰囲気の中にも温かいコミュニティがあり、生徒にとって人生で最も意味のある教育経験を提供することを大きな使命として掲げている学校です。
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2校目:Phillips Exeter Academy
Brooksを出て、次に向かった先は超名門共学校のPhillips Exeter Academy(以下:Exeter)です。Exeterは、アメリカ国内でも特に長い歴史を有し学術水準の高いボーディングスクール10校群を指す「Ten Schools」の一校になります。
アドミッションオフィスで受付を済ませたのち、在校生に校内を案内していただきました。キャンパスを歩くと、高校とはとても思えない一流の設備が立ち並び、それに見合う優秀な学生達の姿が至る所で見られました。
中でも印象的だった施設は、全米でも屈指の規模を誇る図書館です。洗練された9階建ての図書館は、38万冊という膨大な蔵書数を誇るそうです。大学のリサーチライブラリーに近い様相で、静かに学びに向かう生徒の姿も相俟って、この学校の知的な空気を象徴する場所だと感じられました。また、陸上トラック、バスケットボール、スカッシュ、フットボールスタジアム、フィールドホッケー用グラウンドなど、学校の一施設とは思えないほどに本格的に整えられた競技施設が多数存在し、学業とスポーツのどちらも「一流を当たり前に目指す」姿勢が、日常の風景として共存していました。
ツアーガイドの生徒は、競争的な学校では『自分は場違いなのではないか』というインポスター症候群が起きがちですが、校長先生が毎年開会式で『あなたはここにいていい、その理由が正しく存在する』と伝えてくれます。その言葉が安心感につながっています、と語ってくれました。更に、「この学校にいる人はみんな学びたいからここにいるのです。みんな共通のDrive(成長したいという意欲)があるから、共に過ごしていても気が散ることがありません」と、Exeterの特に気に入っている部分についても話してくれました。私が実際に見学して感じたのは、まるで名門大学の学生のように大人びた生徒達の佇まいと高い自立心です。誰かに急かされるのではなく、自分の意思で学び、進んでいる。そんな空気が、この誇り高いExeter全体を形づくっているように感じられました。
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3校目:Brewster Academy
この日の最後訪問校として、ニューハンプシャー州ウルフボロにキャンパスを構える共学校のBrewster Academy(以下:Brewster)に赴きました。この訪問では、まずKristy Kerin校長とお会いしました。校長先生との対話の中で、「この学校に最もフィットする学生像というものは掲げていない」という言葉がありました。それは、生徒が特定の理想像に自分自身を寄せるのではなく、一人ひとりがありのままの自分を大切にし、尊重されながら成長していくことを重視しているからこその考え方だと感じました。
また、この学校では、“Brewster will be better because of me, and I will be better because of Brewster.(Brewsterが自分によってより良い存在になり、自分がBrewsterによってより良い存在になる)”という価値観を学校の基盤として掲げている点が、私個人として非常に印象的な学校です。この考え方は学校訪問前から目にしていましたが、実際に訪問してみて、その理念が言葉だけでなく日常の行動として根付いていることを実感しました。当日は、校内ツアー組織の中心的役割を担う日本人の生徒が案内を担当し、来訪者の関心に寄り添いながら学校生活を丁寧に紹介してくれました。その中で見受けられた上級生と下級生の関係性もごく自然で、学年や性別を超えた温かなつながりや、先輩が後輩を気にかける面倒見の良さが随所に感じられ、コミュニティをより良い環境に導いている姿を目にしました。
先述した校長先生のお話と学校の基盤となっている価値観から、Brewsterには、「こうあるべき生徒像」は存在しない一方で、生徒一人ひとりが自分の在り方を大切にしながら、学校というコミュニティにどう関わるかについては明確な価値観が共有されています。ありのままの姿を尊重し、尊重される環境の中で、先輩から様々なことを学び、言語や学力面でも着実に成長していけるBrewsterは、特に海外留学が初めての学生が安心してスクールライフを送る上でとても理想的な学校です。
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4校目:St. Paul's School
この日のニューハンプシャー州コンコードは早朝から晴れやかな青空が広がっており、学校のエントランスに広がる紅葉がとても美しく、訪れる人をやさしく迎え入れてくれる印象を抱きました。
キャンパスに一歩足を踏み入れると、外の世界とは切り離されたような静けさと秩序があり、ここ名門共学校のSt. Paul's School(以下:SPS)には「学びと生活のために完結した別の空間」が広がっているようでした。学校全体からは、長い歴史に裏打ちされた誇りが自然ににじみ出ている一方で、科学棟やアート施設、3Dプリンターなどのあらゆる設備から見て取れるように、教育内容や学習環境は非常に先進的です。伝統と最先端が無理なく共存している点に、この学校ならではの優れたバランス感覚を識ることができます。
今回は、特にSPSにおける「チャペル」についてご紹介させていただきます。チャペルについては、1校目のBrooksでも記載いたしましたが、SPSのチャペルは週に4回全校生徒が集う場です。オルガンの生演奏が響く厳かな雰囲気の中、心を落ち着けて一日を始める大切な時間として位置づけられています。私達も実際に参加させていただきましたが、式そのものは静謐で緊張感がある一方、式後の生徒による全体アナウンスでは茶番を交えたユーモアが見られ、その対比が非常に印象的でした。厳粛さと遊び心の両立により、生徒が無理なく自分らしくいられる環境が自然に育まれていると感じました。
校内を案内してくれた学生は、「生徒全員が寮に住んでおり、いつも仲間と過ごすことで強いつながりや『特別なコミュニティ』が生まれる点が一番好きです」と話してくれました。同時に、学校側が誰も孤立しないよう様々な工夫をしており、全員と親友でなくても互いに顔見知りで挨拶や会話ができる安心感があるところを魅力として挙げています。まさしくその通りで、私が見た限りでも、この学校の生徒はみんな必ず友達と共に行動していました。同じTen Schoolsでも、Exeterとは大きく異なっていたため印象に残っています。また、生徒のみならず教職員も学校の敷地内に住むことが必須となっており、そのような環境は数あるアメリカのボーディングスクールの中でも大変稀であると言え、きめ細かなサポートが届きやすいコミュニティを形成しています。
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5校目:Kimball Union Academy
SPSから車で1時間ほど走り、5校目の訪問校Kimball Union Academy(以下:KUA)に向かいました。KUAを訪問して、特に印象に残ったのは二つの取り組みです。一つは、Tyler Lewis校長が主導する、神経科学に基づいた教職員への指導です。KUAでは、学習科学の知見を授業設計や評価方法に反映させており、頻繁なアセスメントを通じて生徒の理解を深めることを重視しています。こうした方針は理念にとどまらず、教職員全体で共有され、日々の教育実践にしっかりと根付いていると感じました。
もう一つは、KUA独自の食育プログラムです。食堂から出る食品廃棄物を豚の飼料として再利用する「ポーク・プロジェクト」では、年間最大15トンの二酸化炭素排出削減に貢献しているとのことです。また、生徒たちは豚や羊の世話に携わりながら、食がどこから来るのか、命をいただくとはどういうことか、という人として極めて大切な命への敬意を体験的に学んでいます。
知識はもちろんのこと、責任や倫理観、持続可能な食料生産に対する地域社会の理解と関心を高めるこの取り組みは、現代において非常に意義深いものです。KUAの教育は、科学的な思考と実体験を結びつけ、生徒のその先の人生まで見据えた学びを提供していると強く感じました。
学校訪問後、弊社で担当している学生が、現地にお住まいのご友人とそのご家族と交流している様子を拝見しました。食事や会話の中で、学生の話に丁寧に耳を傾けたり、自然に気遣いを示されたりする姿が印象的で、思いやりに満ちた温かな雰囲気が感じられました。このような人々が形成するコミュニティの中で過ごす数年間の経験が、学生の人生全体に与える影響はどんなに大きいことだろうかと大いに感激いたしました。
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6校目:Northfield Mount Hermon
折り返しの6校目として訪問した先は、マサチューセッツ州ギルにある共学校Northfield Mount Hermon(以下:NMH)です。この学校の大きな魅力は、生徒が無理をすることなく「自分らしくいられる」環境が整っている点です。今回の訪問では、弊社がサポートしている在校生と、校内ツアーを担当してくれた生徒の2人と話す機会がありましたが、タイプの異なる2人がそれぞれ自然体で学校生活を送っている様子がとても印象的でした。学校の雰囲気に合わせて自分を変えるのではなく、個性そのものが尊重されていることが、会話の端々から伝わってきました。
実際に、Ten Schools に合格しながらも、最終的にNMHを進学先として選ぶ生徒がいるとのことです。その背景には、超名門校で埋もれてしまう可能性よりも、学業・課外活動・リーダーシップのいずれにおいても、自分らしく力を発揮できる環境を重視する考え方があります。
上記の通りNMHは進学一辺倒の学校ではありませんが、同時に大学進学実績も非常に優れており、結果とプロセスの双方が高いレベルでバランスよく両立している点が大きな特徴です。大学進学の結果だけにとらわれず、子どもが安心して過ごし、自分の居場所を見つけながら主体的に成長できるかを重視するご家庭にとって、NMHは非常に相性の良い学校だと感じました。
最後に、NMHのアート教育と、それを象徴する印象的な施設についてご紹介いたします。NMHでは視覚芸術、音楽、舞台芸術を重視した教育が行われており、芸術は学校教育の重要な柱の一つとして位置づけられています。生徒は授業や制作活動を通して創造力や表現力を育みながら、自分のアイデアを形にする経験を積んでいきます。その中心となる施設が、2008年に開館したRhodes Arts Center内にあるThe Galleryです。このギャラリーでは学生や教員の作品に加え、プロのアーティストの作品も展示され、学生は質の高い芸術作品を間近で鑑賞することができます。展示は授業とも連携しており、作品からインスピレーションを得たり、自分の制作活動に活かしたりする学びの場となっています。このギャラリーはコミュニティ内の文化的交流拠点として機能しています。
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【BSC】アメリカ出張レポート(後編)に続きます。