インヴァスト株式会社広報担当です。今回はインヴァスト株式会社でグループを率いる川路 猛代表取締役社長に、インヴァストグループの2026年3月期について詳しく話を伺いました。
好調だった26 Degreesをはじめインヴァスト証券、アルカド、ボーディングスクールコンサルティングなど各社の現状を解説するとともに、2027年3月期に向けた抱負を語っています。
目次
26 Degreesの好調で2026年3月期は過去最高水準の決算に
-2026年3月期はどのような年でしたか。振り返りをお願いします。
前期はグループ全体で見ると営業収益が90億円を超え、税引前利益も20億円を上回るなど素晴らしい決算で終えることができたと考えています。
※海外子会社は12月期決算のため、グループ各社の対象期間を同一期間に揃えた参考値。
海外金融事業や国内金融事業、そして新規事業など、各企業が業績面でインヴァストグループを支え、全体が伸長する形が確立した年だった点が、ひとつの大きな特徴でした。
中でも、海外金融事業である26 Degrees Global Marketsの貢献が非常に大きかったです。中期経営計画をはじめとする目標をすべて達成し、力強い利益成長を見せています。
-26 Degreesが好調だった要因はどこにあったのでしょうか。
取扱商品の拡大や積極的なIT投資が好調を支えました。26 Degreesは長年為替の通貨ペアをメインで取り扱ってきましたが、現在では個別株をはじめ株価指数、それに金・銀・石油などのコモディティまで取り扱っています。
また、ディーリングシステムをはじめとするIT投資に力を入れてきたのが功を奏しています。営業活動による金融法人顧客基盤の拡大に加え、リスク管理や利幅の最大化に寄与するシステムの自動化によって利益率が劇的に改善したんです。
さらに、26 Degreesの本社があるオーストラリアでは、トップクラスの大学から数学系の優秀な学生を招き、モデリングやロジックを考えながら機械的に管理するディーリングシステムへの投資を進めてきました。これらの施策がうまく噛み合った結果、インヴァストグループ内でも際立った利益貢献につながっています。
リーマンショックから続く世界的な金融規制強化の流れも26 Degreesにとっての追い風になっています。バーゼルIIIなど銀行に対する規制強化の流れが続き、世界中の大手銀行が「Prime of Prime」と呼ばれる価格流動性供給事業を縮小・撤退する動きは継続しており、その空白となった事業領域において26 Degreesが彼らの代わりに役割を担うことで成長できています。
新しい取り組みとしては、数年前より注力しているヘッジファンド向けの金融サービスに勢いが出てきました。ヘッジファンドへの価格流動性供給もさることながら、ファンドへの出資者を紹介するキャピタルイントロダクションなども拡大しつつあります。
このような環境の中、26 Degreesはさらなる飛躍のため、シドニー、ロンドン、キプロスに続きオランダでも新たな拠点の設立準備を進めています。
インヴァスト証券は川上会長が社長を兼務し、取扱銘柄の増加で価値提供の幅を広げていくフェーズへ
-インヴァスト証券の前期振り返りと評価をお願いします。
国内金融事業であるインヴァスト証券はインヴァストグループにとっての屋台骨ですから、安定的に成長させていく必要があります。とは言え、常に順調であるわけではなく、ちょっとした戦略のズレから持ち味を発揮できない時期もないわけではありません。
2026年3月期はそんな年でした。そこで、インヴァスト証券の持ち味を再度発揮できるよう、川上 真人代表取締役会長が2026年4月から社長を兼ねる形になりました。
川上会長が社長として陣頭指揮を執りはじめてから数ヶ月、システム安定稼働やマーケティング・プロモーション活動において、自分たちの価値をしっかりと訴求していくための改善を進めた結果、単月赤字が続いていた業績も数ヶ月で黒字に転じるとともに、さらに業績を伸ばしています。
インヴァスト証券の復活によって、2027年3月期はグループ全体の営業収益も100億円に手が届くのではないでしょうか。
-復活したインヴァスト証券への期待感を、川路社長のお言葉でいただけますか。
インヴァスト証券は、確実に安定的に成長していくためお客様にご提供すべき価値が何なのか、再度明確にしていくのが重要だと考えています。私たちは自動売買によるリスク管理という価値を提供していますが、それが本当にお客様のニーズにマッチしているのか。
従来の主力商品であったFXに限らず、株価指数など様々なアセットクラスで自動売買のサービスを増やしていくことが求められている可能性を検証していく必要があるでしょう。それぞれの商品が様々な相場を展開する中、どこかが暴落すれば別のアセットクラスに資金が移動します。
だからこそ、すべてのアセットクラスを同じリスク管理・資金管理で取引できる環境がさらなる価値提供につながるのかもしれません。こうした考え方が正しいのかを常に問い続け、正解に向かって人・モノ・金の投資を継続していく。
この姿勢が結果的にお客様にご提供する価値を高め、会社の成長につながっていくと思っています。そのため、現在FX以外の取扱銘柄を増やしており、価値提供の幅を広げていくフェーズに入っています。
アルカドへの期待はさらに高まり、BSCも難関校への合格者を輩出するなど順調に成長
-アルカドの前期についてもお話しいただけますか。
アルカドは2023年12月に実践的投資学習プラットフォーム「Fincs」を公開後、順調にユーザー数を伸ばし、2025年3月に「Fincs」のビジネス版を、そして12月には教育事業者向け「Fincs for School」をリリースしました。現在ではコミュニティ学習プラットフォームとして進化しておりビジネス版に続き自己啓発版とサービスを拡充しています。
鶴見 豪代表取締役社長は2026年1月からインヴァスト株式会社の専務取締役にも就任し、インヴァストグループ内での存在感を高めています。彼はしっかりと計画を立て、論理的に戦略を練って打ち手の順番を考えるタイプなので、頼もしい存在です。
「Fincs」はリリース後、早期に利益を出せる体制になっていましたが、先行投資によるシェア拡大や、将来的な布石に向けたさまざまなテストに時間とコストを費やしてきました。こうした施策が奏功し、ビジネス版や自己啓発版など取り扱いジャンルを投資以外へと広げています。
講師には有力なインフルエンサーも含まれるなど今後のさらなる発展が確実であり、インヴァストグループへの貢献はますます高まっていくと考えています。
-26 Degrees、インヴァスト証券、アルカド以外のグループ会社はいかがでしょうか。
留学支援のボーディングスクールコンサルティング(BSC)も順調に事業を拡大しています。支援する学生さんやご家族の数が増えており、米国の名門ボーディングスクールへの進学支援実績も着実に積み上がっています。
米国には、J.P.モルガンが学んだセントポールズ・スクールや、ジョン・F・ケネディが学んだチョート・ローズマリー・ホールなど、世界的なリーダーを数多く輩出してきた学校があります。BSCからも、米国の「テン・スクール」と呼ばれる名門10校の一つ、セントポールズ・スクールへの合格者が誕生しました。
2024年4月の会社設立以降、支援した受験生は全員、いずれかの志望ボーディングスクールへの合格を実現しており、安定して実績を積み重ねています。
このような取り組みが世の中に広がり、今では教育や海外留学をテーマとしたYoutubeチャネルなどにパネラーや専門家としてBSCの横山社長が招かれるまでになりました。年末にかけては横山社長にとって初の書籍販売を計画しており、これからもボーディングスクール留学という選択肢を、日本の学生達、またご家族に広めていきたいと考えています。
一方で、電子書籍配信サービスを手掛けていたファルク株式会社は3月でサービスを終了しました。LLMのAI技術を活用したスマートフォン特化型アプリの開発を2023年10月から継続してきましたが、チャレンジがうまくいかなければ気持ちよくクローズするのも大切だと考えています。
様々なことにチャレンジし、当初のニーズ想定や事業環境前提に決定的な変化や間違いが明確になった時点で、一旦整理し、次の挑戦にリソースを振り分ける。こういった判断は主に私が主導で行い、その責任も受け入れています。プロ野球でも打率3割で首位打者ですから、事業においても3割打てれば御の字、くらいの気持ちで、トライアンドエラーを真剣かつ楽観的に行っていくことが重要だと思っています。
ファルクの責任者はインヴァスト証券に移りマーケティング面でご活躍いただくなど現在も交流が続いており、優秀な人材とのコネクションを継続できているのが、インヴァストグループにとっての財産になっています。
2027年3月期は前期を超える実績が期待できる中、攻めの姿勢を強め積極的に挑戦する1年にしていきたい
-インヴァストグループのミッションである「世界をもっと、良い場所にする。」に照らすと、2026年3月期はどんな年でしたか。
インヴァストグループでは、世界中の人々の「お金の課題」を解決することで、世界をもっと良い場所にしたい。と考えて、「学ぶ」「働く」「蓄える」から「お金の課題サークル」を解決するためのサービス提供に努めています。
2026年3月期は「蓄える」にあたる資産運用を担う26 Degreesやインヴァスト証券はもちろん、「学ぶ」フェーズを担当するアルカドやボーディングスクールコンサルティングの成長が顕著でした。とくにアルカドは創業期を経て黒字化を果たし、投資に限らずジャンルを広げるなど拡大を続けています。
お金の課題を解決するための「自分への投資」という観点が構想や夢の段階からビジネスとして現実化できてきたのが、インヴァストグループにとっての大きな価値を生み出しています。お金の課題サークルにおける「学ぶ」「蓄える」ジャンルが、それぞれ事業として成長し、将来のポテンシャルまで感じられる段階です。
その意味で、2026年3月期は大きな手応えを感じられる1年だったと考えています。
-2025年7月に、東日本橋からお台場へとオフィスを移転しました。以前からの変化について語ってください。
2025年7月に、本社を港区の「トレードピアお台場」に移転しました。本社機能の強化や業務の効率化に加え、社員同士のコミュニケーション活性化、働きがいのある職場づくりおよび組織文化の醸成を推進することが目的でした。
社員同士のコミュニケーション活性化はさっそく効果が出ており、オフィス内のORIGAMI LOUNGEではワールドカップ応援イベントが開催されるなど、社員の利用が広がっています。
日本代表を応援!インヴァストグループのワールドカップ応援イベントを開催しました | インヴァスト株式会社
また、オフィス移転には災害対策としての意味合いもありました。お台場はモデル都市としてライフラインがしっかりしており、直下型地震などへの対策も優れています。
東京都が発表している災害対応能力値でもトップクラスであり、近くには広域災害対策センターもあります。インヴァストの本社があるビルにも2,000名分の非常食が備蓄されているなど、大災害時に社員の安全を確保するという意味での安心感は相当増しました。
こうした点が、オフィス移転の効果だと考えています。
-2027年3月期はどのような年にしたいとお考えですか。
インヴァストグループにとっての金融部門である26 Degreesとインヴァスト証券には、引き続きしっかりと収益を高めていただきたいと考えています。海外は順調ですし、国内も立ち直りましたから、前期を超える実績を期待しています。
アルカドは鶴見社長が更なる進化を推し進めてくれますし、BSCもしっかりと地に足をつけた成長を続けています。そんな中、今まで以上に投資やM&Aなど新たな挑戦も積極化していきたいと考えています。攻めの姿勢を強めていく1年として位置づけています。
また、インヴァストグループの文化として、特に経営層、幹部層に対して業績や実績に対する報酬・インセンティブを大きくしていきたい、まだ生まれていない利益を生み出した経営者、幹部には、生まれた利益の相当部分を自ら受け取れる制度のようなものを確立したいと考えています。
26 Degreesではすでに、ボーナスやストックオプションを手厚くして社員に報いる体制を構築しており、会社の成長はイコール役職員の個人財産の増加に直結しています。
この制度は、26 Degreesの社長や経営幹部に、会社の株主としての意識を醸成し、会社経営を「我が事」として真剣に捉える姿勢を生み出しており、企業文化となっています。
その結果、以前業績が悪かった時期などは、私や親会社から何の要望も出していないのに、自主的にボーナスや給与額を減らしたこともありました。
このカルチャーを、インヴァスト証券やアルカドにも適用していきたいと考えています。何かを生み出したり、実績を出せばしっかりと報われる、そんな会社としての性格を強めていきたいですね。
※取材時の部署・役職を記載しています。
(取材日:2026年7月24日 聞き手:垣本陸)